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Wine Memo <25>
Mayer-Fonné, Riesling Grand Cru Schoenenbourg 2016. ¥7,500 アルザスのグラン・クリュ は本当に難しい。 まず、 51という数は明らかに多すぎる 。しかも、(個人的な意見としては)その半数近くが、品質的にはグラン・クリュのステータスがかなり疑わしいのだから、信頼性がどうしても低くなる。 ブルゴーニュのグラン・クリュ群と比較するなら、アルザス・グラン・クリュの半数はプルミエ・クリュ相当といったところだろう。 平均的な面積(約34ha)が広すぎる のも問題だ。ブルゴーニュでは基本的に斜面中腹だけがグラン・クリュ認定されているのに対し、 アルザスは斜面上部から下部までもれなくグラン・クリュとなる のが通例。

梁 世柱
2024年5月3日


SommeTimes’ Académie <60>(フランス・ボルドー地方:Castillon & Francs)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回も ボルドー地方 について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第11回は、 「ボルドー右岸:Castillon及びFrancs地区」 と致します。 Castillon-Côtes de Bordeaux Francs-Côtes de Bordeaux ボルドー右岸東端エリアには、約2,270haとかなり大きな Castillon-Côtes de Bordeaux (以降、Castillonと表記) 、約396haと右岸でも最小クラスの Francs-Côtes de Bordeaux (以降、Francsと表記) という2つのアペラシオンがあります。 共に、中域アペラシオンの C ô tes-de Bordeaux 内に含まれ

梁 世柱
2024年5月2日


Advanced Académie <35> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング CDB最南部
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの新シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第7回は C ô te de Beaune最南部 をテーマと致します。 このエリアには、まだま

梁 世柱
2024年4月24日


Chablisの現状
フランスにおける冷涼産地の象徴的存在だった シャブリ は、 気候変動 による影響を強く受けている。 ブルゴーニュ委員会のイベントで来日していた複数の生産者の話も踏まえ、簡潔に現状をレポートしていこう。 まず、何よりも気になるのが 味わい(ティピシテ)の変化 だろう。 シャブリといえば、 やや細身な果実味と鋭角な酸、強靭なミネラル がトレードマークだったが、これらには確かに変化が起きている。 果実味は少しふくよかになり、酸は少し落ちた一方で、ミネラルの表現力は健在 、というのが 現状に対する平均的な評価 となるだろうか。 果実味と酸に関しては、収穫時期を早めることで、ある程度の対応はできる ため、それぞれの要素を「単体」として見る限りは、それほど大きな違和感は無いとも言える。酷暑の2018年、冷涼な2021年のようにイレギュラーなヴィンテージもあるが、そもそもブルゴーニュにとってイレギュラーはノーマルのようなものだったのだから、今更驚くようなことでもない。

梁 世柱
2024年4月19日


SommeTimes’ Académie <59>(フランス・ボルドー地方:Fronsac周辺)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回も ボルドー地方 について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第10回は、 「ボルドー右岸:FronsacおよびCanon Fronsac地区」 と致します。 Fronsac Canon-Fronsac ボルドー右岸エリアの入り口に位置する Fronsac は約771haなのに対し、 Canon-Fronsac は約243haとより小さなアペラシオンとなります。 両アペラシオンは似ている部分も多いため、まずは類似点を把握するのが良いでしょう。

梁 世柱
2024年4月10日


Advanced Académie <34> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Meursault周辺
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、 Advanced Académie の新シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第六回は ムルソー周辺 をテーマと致します。

梁 世柱
2024年4月3日


SommeTimes’ Académie <58>(フランス・ボルドー地方:Lalande de Pomerol)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Acad émie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回もボルドー地方について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第九回は、 「ボルドー右岸:Lalande de Pomerol地区」 と致します。 Lalande de Pomerol Lalande de Pomerolは、実質的にPomerolの衛星地区となりますが、Pomerolの総面積が約800haなのに対し、Lalande de Pomerolは 1,154ha とより大きなアペラシオンです。

梁 世柱
2024年3月27日


再会 <57> (私的)普遍のNo.1ボルドー
Chateau Lafleur 2013. ¥145,000 どの国のどの銘柄かは伏せるが、最近テイスティングする機会に恵まれた国内販売価格 30万円超のワインが、どうにもこうにも響いてこなかった。 ワインファン垂涎の超有名ワイン であり、当然私もそれなりの期待をもってテイスティングに臨んだが、期待外れも良いとこだった。 いや、実際には間違いなく高品質なワインではあったのだが、 同程度の品質のワインは、 1/30以下の価格でも、国や産地に拘らなければ簡単に見つけることができる 。 「それだけの超高価格なのに、その程度の味わいなのか。」 という落胆があまりにも大きく、すっかり気持ちが萎えてしまった。 ワインの価格とは、と考えさせられる機会に数えきれないほど触れてきた結果、私はいわゆる「ブランドもの」に対する興味を、ほとんど失ってしまっている。

梁 世柱
2024年3月24日


出会い <56> 新たなるHouillon
Corentin Houillon, Vieux Foug 2021. ワインの世界における 「親族」 というのは、実にややこしい話になりがちだ。 特にフランスの造り手にその傾向が強いと感じるが、親族のうちの誰かが突発的に素晴らしいワインを造り始めて名高い存在になった時、なぜか凡庸なままの他の親族のワインまで評価が上がる、という現象が度々起こる。 相続で「(有名な)誰々の畑を取得」といった類の話も同様だ。 この手の不可思議極まりない現象は、特に長年ブルゴーニュを追いかけていると、嫌というほど目にすることになるだろう。 ワイナリー一族に生まれれば、自動的に子供世代にも英才教育が施される。 親戚のおじさんが良いワイン造ってるから、甥っ子もその教えを存分に受けているに違いない。 前の所有者が素晴らしいワインを造っていた畑だから、所有者が変わっても素晴らしいに決まっている。 ちょっとでも冷静になれば、そんな状況に必ずなるとは全く限らないことなど、すぐに分かる と思うのだが、なんだかんだ結局「ブランド名」に弱いのもまた、現代人のサガ

梁 世柱
2024年3月17日


Advanced Académie <33> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング コルトンの丘周辺
ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第五回は コルトンの丘周辺 をテーマと致します。 特級畑コルトン及びコルトン=シャルルマーニュを取り囲む三つのAOC (Aloxe-Corton、Pernand-Vergelesses、Ladoix

梁 世柱
2024年3月13日


SommeTimes’ Académie <57>(フランス・ボルドー地方:Pomerol)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Acad émie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回もボルドー地方について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第八回は、「ボルドー右岸:Pomerol地区」と致します。 Pomerol St-Émilion と並び、ボルドー右岸を代表するアペラシオンが Pomerol です。総面積は約 800ha とボルドー主要アペラシオンの中では群を抜いて狭く、 St-Émilion の約1/7程度しかありません。 全植樹面積の 約80%をメルロー が占め、その他は主に カベルネ・フラン となっています。ブレンドにおいてもメルロー比率が90~100%になることも珍しくないため、 St-Émilion 以上にメルローの産地となりますが、エリアとシャトーのスタイルによってはカベルネ・フランの比率

梁 世柱
2024年3月6日


Advanced Académie <32> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Cortonの丘
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、 Advanced Académie の新シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 なお、クリマ内に含まれる小区画( lieux-dix )も一つのクリマとしてカウントしますが、

梁 世柱
2024年2月28日


SommeTimes’ Académie <56>(フランス・ボルドー地方:Saint-Émilion衛星地区)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Acad émie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回もボルドー地方について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第九回は、 「ボルドー右岸:Saint-Émilion衛星地区」 と致します。 Saint-Émilion衛星地区 Saint-Émilion はボルドー右岸を代表するアペラシオンの一つですが、その北部と北東部には、 Saint-Émilion から近い順に Saint-Georges-Saint-Émilion 、 Montagne-Saint-Émilion、Puisseguin-Saint-Émilion、Lussac-Saint-Émilion という4つの「衛星地区」と呼ばれるアペラシオンが連なっています。 かつては6のコミューンが衛星地区として認められて

梁 世柱
2024年2月10日


Advanced Académie <31> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Meursault
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、 Advanced Académie の新シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第三回は Meursault をテーマと致します。 特級畑こそありませんが、全体的に一級畑

梁 世柱
2024年2月6日


出会い <53> ブルゴーニュ生まれのナチュラル「テロワール」ワイン
Domaine Dandelion, Pet’ Nat 2022. ¥5,000 今回はあえて、この言葉を極端な意味合いで使うが、私はかねてから 歴史的大銘醸地 における 「ナチュラルワイン」 に、少々懐疑的な立場をとってきた。 理由は二つ。 まず、ナチュラルワインの中でも 欠陥的特徴の現出 を厭わない 「ワイルドナチュラル」 が、葡萄畑と葡萄のもつ個性をありのままに表現したいという 造り手の想いとは反し 、(往々にして稚拙で極端な)醸造工程によって発生した 欠陥的特徴そのものが、テロワールと呼ぶべきものを相当程度覆い隠してしまう危険性を秘めている からだ。 もちろん、テロワールの精緻な表現よりも、最終的な味わいを自身が「美味しい」と感じることを最優先とするのであれば、問題とはならない。つまり、そこに個人的な「良し悪し」という二元論を他者に押し付けること自体が、「余計なお世話」ということだ。 よって、(クラシックワインと呼ばれるものの相当数も、過度な調整と矯正によって結果的にテロワールを失していることも踏まえ)本稿の内容はあく

梁 世柱
2024年2月4日


Advanced Académie <30> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Chassagne-Montrachet
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、 Advanced Académie の新シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 なお、クリマ内に含まれる小区画( lieux-dix )も一つのクリマとしてカウントしますが、

梁 世柱
2024年1月27日


Advanced Académie <29> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Puligny-Montrachet
Advanced Académie の新シリーズは、ブルゴーニュにおける葡萄畑(クリマ)の ランキング企画 となります。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、 同階層内でも優劣が生じます 。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 なお、クリマ内に含まれる小区画( lieux-dix...

梁 世柱
2024年1月20日


再会 <52> ブラインドでこそ見える真実
Dom. Vincent Dauvissat, Chablis 1er Cru La Forest 2018. 各種コンクールの盛り上がりもあり、すっかり競技化した側面も強いブ ラインド・テイスティング 。 恐ろしく膨大な選択肢の中から、完全にノーヒントで品種、産地、ヴィンテージ、或いは生産者やキュヴェまで看破して見せるのは、砂漠の中からダイアモンドを探り当てるような作業に等しく、まさしく 神業 とすら言えるだろう。 「ディテールまで当てる」という意味では、その領域に到達できるのは、凄まじい修練を重ねた上で、超スピードの取捨選択を脳内で繰り返すことができる、極々限られたトップ・アスリートのみだ。 例え一割の成功率でも、そのような神業を繰り出せる人を、私は心から尊敬しているが、私自身がブラインド・テイスティングを行うときの最大の楽しみは、「当てること」ではなく 「真実を暴くこと」 にある。

梁 世柱
2024年1月13日


Chinonが魅せるテロワールの妙
テロワール とは、 ワイン趣味の真髄 であり、 醍醐味そのもの だ。 その場所でその葡萄が育てられたからこそ現出するユニークな味わい は、ワインという飲み物に 無限の変数 をもたらす。 生産者の個性や産地全体としての特性ももちろんあるが、結局どの生産者もどの産地も、...

梁 世柱
2023年12月27日


再会 <49> 地味だった格付けシャトー
Ch. Cantemerle 2020. ¥6,000 今でこそ超広範囲に渡って、世界中のあらゆるワインを探求しているが、キャリアの初期は決してそうではなかった。 21歳になってすぐ、生活上の理由で必要に駆られて始めたワイン修行は、当時のおおよそ一般的な例に漏れず、 フランスの銘醸地からスタート した。 私の場合は、なぜか強く興味をそそられた アルザスも含まれていた が、ここでいう銘醸地とは、 ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ のこと。 とはいえ、お金がとにかくなかった当時の私は、まずは座学から始めた。 NYの紀伊國屋で購入した 「ソムリエ・マニュアル(著:右田圭司)」 は、手垢にまみれ、ボロボロになるまで、何度も何度も読み込んだ。 しばらくは本から見えた「見知らぬ華やかな世界」を存分に楽しんでいたが、知識と同時に、様々なワインへの憧れも蓄えられてしまい、ほどなくして私は、それらのワインを飲みたくて仕方なくなってしまった。

梁 世柱
2023年11月12日
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