Corentin Houillon, Vieux Foug 2021.
ワインの世界における「親族」というのは、実にややこしい話になりがちだ。
特にフランスの造り手にその傾向が強いと感じるが、親族のうちの誰かが突発的に素晴らしいワインを造り始めて名高い存在になった時、なぜか凡庸なままの他の親族のワインまで評価が上がる、という現象が度々起こる。
相続で「(有名な)誰々の畑を取得」といった類の話も同様だ。
この手の不可思議極まりない現象は、特に長年ブルゴーニュを追いかけていると、嫌というほど目にすることになるだろう。
ワイナリー一族に生まれれば、自動的に子供世代にも英才教育が施される。
親戚のおじさんが良いワイン造ってるから、甥っ子もその教えを存分に受けているに違いない。
前の所有者が素晴らしいワインを造っていた畑だから、所有者が変わっても素晴らしいに決まっている。
ちょっとでも冷静になれば、そんな状況に必ずなるとは全く限らないことなど、すぐに分かると思うのだが、なんだかんだ結局「ブランド名」に弱いのもまた、現代人のサガということなのだろうか。