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SommeTimes’ Académie <57>(フランス・ボルドー地方:Pomerol)

一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回もボルドー地方について学んでいきます。

 

ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。

 

ボルドー地方シリーズ第八回は、「ボルドー右岸:Pomerol地区」と致します。

 

 

Pomerol

St-Émilionと並び、ボルドー右岸を代表するアペラシオンがPomerolです。総面積は約800haとボルドー主要アペラシオンの中では群を抜いて狭く、St-Émilionの約1/7程度しかありません。

 

全植樹面積の約80%をメルローが占め、その他は主にカベルネ・フランとなっています。ブレンドにおいてもメルロー比率が90~100%になることも珍しくないため、St-Émilion以上にメルローの産地となりますが、エリアとシャトーのスタイルによってはカベルネ・フランの比率が少し増えることもあります。

 

基本的には海洋性気候(海の影響によって、より安定した気候)ですが、Pomerolは海からの距離が遠く、付近に大きな河川も無いため、大陸性気候(昼夜の寒暖差が大きくなり、春の降雨量も多くなる)の影響も強く受けています。

 

土壌に関しては、基本的に北部と東部は粘土質が優勢、南部と西部は砂利質が優勢となりますが、実際にはかなりのモザイク状態となっています。

 

少々強引に一般化すれば、北部と東部は重心が低くよりパワフルな味わいに、南部と西部は重心がより高く軽快な味わいになると言えなくも無いですが、各シャトーにおけるワインメイキング等の影響も大きいため、あくまでも一般論として捉えておくべきでしょう。

 

メルローと粘土質土壌のイメージから、パワフルなワインと誤解されることも多いPomerolですが、その本質「パワーとエレガンスが共存した優美極まりない味わい」にこそあります。大陸性気候の影響による昼夜の寒暖差によって、充実した酸を保ちつつ、早熟型のメルローをゆっくりと成熟させることができる点は、その酒質に大きく関わっていると言えるでしょう。

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