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出会い <74> 新世代ナチュラルボルドーの楽しさ
Marius Bielle, Pigalle 2021. ¥4,600 ボルドーといえば、クラシックワインの殿堂。 それは基本的に正しい見解だ。 左岸と右岸にそれぞれ存在する様々な公式格付けシステムは、まさにその象徴であるし、大衆の多くは、確かにボルドーに「格式」を求めている。 それでもなお、多様性が広がる時代のうねりは止められない。

梁 世柱
2024年12月23日


Wine Memo <31>
Inglenook, Edizione Pennino Zinfandel 2019. ¥9,900 ジンファンデルはなかなか興味深い葡萄だ。 長らく南イタリア・プーリア州のプリミティーヴォ種と同品種という紹介が主流だったが、DNA解析によって、その源流がクロアチアのマイナー品種であるツーリエンナーク・カーステラーンスキー(もしくはトリビドラーグ)にあると判明してからは、説明文に少々変化が起きた。 少々煩わしい。 ツーリエンナーク・カーステラーンスキーと言われても、名前も覚えにくく、味わいの想像もつかない。

梁 世柱
2024年12月21日


高級ビールを嗜む <3> リースリング・ビール
Gueuzerie Tilquin, Oude Riesling Tilquin a L'Ancienne. ¥4,800~ またまた随分と久々となる、高級ビールのレヴュー企画。 今回は、私が最も好きなタイプのビールである、ランビックに関してお話ししていこう。 ランビックはベルギービールの一種であり、パヨッテンラント地域(首都ブリュッセルの南西に位置)でのみ醸造される、非常に個性的なビールとなる。 一般的にビールの醸造には、培養酵母が使用されるが、ランビックは醸造所や周辺環境に棲む野生酵母の力で発酵させる。 ブリュッセルを縦断するゼンネの谷に自生すると言われているバクテリアや野生酵母は、通常の培養ビール酵母では分解できないデキストリンという多糖類まで分解するため、非常に辛口な仕上がりとなり、また乳酸を思わせるニュアンスも野生酵母によってはっきりと生じる。

梁 世柱
2024年12月16日


再会 <74> もう一つの、シャネルのボルドー
Château Canon 2021. 前回の再会 <73>では、シャネルが1994年に取得し、長期計画で改革を行なったシャトー・ローザン=セグラを取り上げたが、シャネルがボルドーに所有する最高レベルのシャトーは、もう一つある。 ボルドー右岸サン=テミリオン地区の、シャトー・カノンだ。 シャトー=カノンが辿ってきた道のりもまた、シャトー・ローザン=セグラと良く似ている。 シャトー=カノンはサン=テミリオン公式格付けにおいて、グラン・クリュ・クラッセBに格付けされてきたが、その評価は決して安定したものではなかった。

梁 世柱
2024年12月9日


出会い <73> 魔法のサンジョヴェーゼ
Chiara Condello, Predappio Sangiovese 2021. ¥4,500 サンジョヴェーゼといえば、イタリア・トスカーナ州。 その地位と名誉と実力は、確かに揺るぎないものだ。 Chianti Classico、Brunello di Montalcino、Vino Nobile di Montepulciano。サンジョヴェーゼの象徴たる三つの産地は、まるで不可侵の聖域が如く、色褪せない輝きを放ち続けている。 私自身、サンジョヴェーゼには強い関心と愛情を注いできたため、三大銘醸地に限らず、トスカーナ州以外やニューワールド諸国も含め、様々な産地のワインをテイスティングしてきたが、心の琴線に深く触れるワインは見つからなかった。 Chiara Condelloと出会うまでは。

梁 世柱
2024年12月1日


再会 <73> シャネルのボルドー
Château Rauzan-Ségla 2021. ボルドーというワインが品質向上を果たすには、とにかく時間とお金がかかる。 相当な量で生産されているにも関わらず、価格が高い傾向にあるのは、投資金の回収が大変だからという側面もかなり大きいのだ。 しかし、本腰を入れて、忍耐強く、優れたテロワールで品質改革を行えば、「結果」が付いてくる、というのもボルドーの面白いところだろうか。 過去に長らく低迷していたワインが大復活を果たした例も、実際に多くあるのだ。

梁 世柱
2024年11月25日


Wine Memo <30>
Tsukuba Winery, Twin Peaks Marselan 2022. ¥4,900 温暖化を見据えて、ボルドーを名乗れる品種として新たに認可された6種の葡萄。 黒葡萄は、マルスラン、トゥリガ・ナシオナル、カステット、アリナルノア。 白葡萄は、アルヴァリーニョとリリオリラ。 トゥリガ・ナシオナルとアルヴァリーニョは比較的良く知られた品種だが、その他はかなりマイナー。 黒葡萄のカステットは元々ボルドー近辺の絶滅危惧種。マルスランとアリナルノアは交配品種。白葡萄のリリオリラも交配品種だ。

梁 世柱
2024年11月23日


出会い <72> カルト・シャンパーニュ
Brigitte Fallon, Millesimé 2014. ¥18,000 私がワインを学び始めた20年と少し前の頃は、シャンパーニュと「カルト」というワードが結びつくことは、ほとんど無かったように思う。 ジャック・セロス、エグリ・ウーリエなどのレコルタン・マニピュラン(RM)ブームがすでに押し寄せてはいたが、RMとはいえ、それなりの生産量はあったため、全く手に入らないというほどのものでも無かった。 それから5年が経ち、10年が経った頃のタイミングから、どうも様子が異なり始めたと感じたのを、今でもはっきりと覚えている。 そう、カルト・シャンパーニュとでも呼びたくなるような極少量生産型のシャンパーニュが、続々と市場に出現し始めたのだ。

梁 世柱
2024年11月18日


再会 <72> カジュアルフレンチの救世主
Domaine Cauhapé, Jurançon Sec “Quatre Temps” 2020. ¥3,500 高騰を続けるワインの世界に救いはあるのか。 新型コロナ禍直前に比べると、複合的な理由から、平均して1.3~1.5倍の高騰となってしまった中、新たなカジュアルワインの発掘は、日本のワイン市場にとって、死活問題となっている。 特に、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、ボルドーだけでなく、アルザス、ロワール、ローヌ、ジュラなどの産地にも高騰の大波が押し寄せているフレンチワインは、(不思議なことに、超高価格帯だけは堅調だが)我々の日常から、急速に遠ざかろうとしている。

梁 世柱
2024年11月10日


出会い <71> もう一つの大銘醸地
Prieler, Ried Steinweingarten 2022. ピノ・ブランは「偉大なワイン」となれるのだろうか。 おそらく、100人のワイン好きに訊ねても、Yesと答える人は1人いるかいないか、だろう。 それもそのはず。 そもそも、ピノ・ファミリーの中では圧倒的にピノ・ノワールの知名度と人気が高く、ピノ・ブランは実質的に、ピノ・ノワールの劣化版亜種のような扱いを受けている。 さらに、ピノ・ブランが一般的に最も良く知られている産地は、フランスのアルザス地方だと思うが、そのアルザスにおいても、ピノ・ブランは主役の座からは程遠く、高貴品種には同じピノ・ファミリーであるピノ・グリが名を連ねている。

梁 世柱
2024年11月4日


Wine Memo <29>
Smallfry Wines, Gewurz Bomb 2022. ¥4,000 オレンジワインは楽しい。 白ワインとして、長年にわたって練り上げられてきた、「クラシックな佇まい」とやらが、オレンジワインになった瞬間から、様変わりするからだ。 白ワインの常識は、オレンジワインには通用しない。 もしかしたら我々は、白葡萄の数だけ「学び直し」が求められている時代を生きているのかも知れないが、その分だけ楽しさが増えたと思えば、なんてことはないだろう。

梁 世柱
2024年11月3日


再会 <71> シャブリの黄金時代
Alice et Olivier de Moor, Chablis l’humeur du temps 2022. ¥6,600 ワインを学び始めた頃、白ワインの「基本中の基本」として、シャブリを知った人は多いだろう。 シャープな酸が持ち味の、淡麗辛口型白ワインの典型。 シャブリというワインをそう教わったはずだ。 しかし、近年の気候変動により、その「シャブリらしさ」は随分と影を潜め始めている。酸はまだなんとか高いレベルで維持できているが、フルーツの性質が明らかに「淡麗」の域を超えてきているのだ。 近年では、遅霜の被害による収量の激減と、ブルゴーニュ全域を襲う価格高騰で、「安くて美味しいワインの代名詞」だったシャブリが、すっかり非日常のワインになってしまったことを嘆く声が多く聞かれる。 確かに、シャブリが昔のままの酒質で、価格だけが高騰したのであれば、その嘆きも仕方のないことと思うが、実際には少し様子が異なっていることに、一体どれだけの人が気付けているのだろうか。

梁 世柱
2024年10月28日


出会い <70> ノーマークだった、極上シャルドネ
Markus Altenburger, Ried Jungenberg Chardonnay 2022. 完全にノーマークだった産地と葡萄品種の組み合わせに、心底驚かされることが時々ある。 そのような発見は、ワインを広く深く探究していくことの、最大の醍醐味の一つだ。 今回の「出会い」ワインは、オーストリア・ブルゲンラント州で、ブラウフレンキッシュやツヴァイゲルトを集中的にテイスティングする最中で出会った、驚異的なシャルドネ。 このシャルドネが育まれたのは、Leithaberg DAC内の小地区であるJois(ヨイス)。ノイジードル湖の北端から北、ライタ山脈の麓に広がる、Leithaberg最東端のエリアだ。

梁 世柱
2024年10月20日


再会 <70> ポルトガルの至宝
Casa Ferreirinha, Douro Reserva Especial 2014. 現地価格約€280 日本は世界で最も成熟したワイン市場の一つだが、「なんでもある」というわけでもない。 低価格〜ある程度の高価格帯までであれば、十分過ぎるほどのバリエーションで世界各地から集められているが、実は、意外なほどに最高級クラスには穴がある。 その「穴」の代表的なものの一つが、ポルトガル最高峰の赤ワインとして、あの分厚い教本にもその名が載っている、Casa FerreirinhaのBarca Velhaだ。 1952年に誕生したBarca Velhaは、現在に至るまで、僅か21ヴィンテージしかリリースされていない。 最新ヴィンテージは2024年の7月にリリースされたばかりの2015年で、その前は2011年、そのさらに一つ前は2008年ヴィンテージだった。 非常に興味深いことに、Barca Velhaは単一畑ワインではない。 標高120~280mにあるQuinta de Ledaの畑からのセレクションと、標高650mを超えるDouro...

梁 世柱
2024年10月13日


出会い <69> サントリーニ島の赤ワインとは
Gavalas, Mavrotragano 2020. ¥9,800 マイナー品種特有のクセの強さは、一度その世界に魅了されてしまうとなかなか抜け出せないほど楽しさに満ち溢れたものだが、特に絶滅危惧種ともなると、興味は尽きないものだ。 かつてはヨーロッパ大陸のあらゆる場所に、個性豊かな地品種が数えきれないほど多く根付いていたが、その多くはすでに絶滅、または絶滅に瀕している。 直接的とも言える原因は、ワインを真剣に学んだことがある人なら、一度はその名を耳にしたことがあるであろう、史上最悪の害虫フィロキセラだ。 フィロキセラ(和名:ブドウネアブラムシ)は、葡萄樹の根や葉に毒を注入してコブのようなものを生成することによって、葡萄樹の生育を著しく阻害し、最終的には枯死にいたらせてしまう昆虫の一種。 1845~1858年の間、当時は未知の病害であった「うどんこ病」への対応に追われ、すっかり疲弊していたヨーロッパのワイン産業を、フィロキセラが襲い始めたのは、1863年のこと。

梁 世柱
2024年10月6日


再会 <69> マイクロ・グローワー・シャンパーニュの世界
Domaine de Bichery, Champagne “la source” NV (2020). ¥10,000 シャンパーニュの在り方、というのは随分と変化してきた。 かつては、大手メゾンが文字通り「全て」と言いたくなるほど牛耳っていた時代もあったり、ジャック・セロス、エグリ・ウーリエなどの人気に引っ張られたレコルタン・マニピュランのトレンドがあったり、サロンやジャクソンなど、超大手とレコルタンの中間的規模のシャンパーニュが注目を集めたり。 なかなか目まぐるしい変化だが、ただ一つ変わらないのは、どのようなトレンドが押し寄せても、シャンパーニュが偉大な飲み物である、ということだ。 そして、過去10年間のトレンドとなっているのは、従来の一般的なレコルタンよりも更に小規模な、マイクロ・レコルタン、もしくはマイクロ・グローワーとも呼ばれる、超小規模生産者たち。 もちろん、その生産量の少なさもあって、セールス面では大手メゾンに遥か遠く及ばないが、マイクロ・グローワーが激増したこともあって、「集の力」が働き始めているのだ。 さらに、マイクロ・グ

梁 世柱
2024年9月29日


出会い <68> オリジナルのプライド
Ostal Levant, olé 2022. ¥4,100 ニューワールド諸国でのワイン造りは、大航海時代にヨーロッパから葡萄樹、葡萄栽培、ワイン醸造がセットになって持ち込まれたことによって始まった。 ワインの歴史におけるこの常識は、品質面においても大きな意味がある。 当然、オリジナルであるオールドワールド諸国では、「一日の長」どころか、場合によっては「数百年、数千年の長」がある。 長い年月の中で淘汰が繰り返された結果としてその地に残った葡萄は、テロワールとの親和性が極めて高く、栽培、醸造の「レシピ」に関しても、高い精度で完成しているケースが圧倒的多数となるのだ。 しかし、ニューワールド諸国におけるワイン造りの歴史も数百年がすでに経過し、あらゆる技術もグローバルなものとなった今、オリジナルとの品質格差はどれほど縮まったのだろうか。

梁 世柱
2024年9月22日


再会 <68> 大人のナチュール
L’Anglore, Tavel 2022. ¥8,500 造り手の変化は、「進化」として常に好意的に受けとめられるわけではない。 より良いワイン造りと誰よりも真摯に向き合っているのは、造り手自身に他ならないのだから、彼らの情熱が、時に理不尽な理由で拒絶される時、どうにも居た堪れない想いが込み上げてくる一方で、私自身にも確かに「覚え」がある。 私がこのテーマに関して考えるとき、二者の造り手が真っ先に頭に浮かぶ。 一つはシャンパーニュ地方のジャック・セロス。 かつては私も、必死になって探し求めていたシャンパーニュだったが、リューディ・シリーズをリリースし始めた頃から始まった、極端とも言えるような酸化的な味わいに、理解が全く追いつかなかくなった。

梁 世柱
2024年9月15日


出会い <67> キャリアチェンジへの憧れ
Domaine Chahut et Prodiges, Les Gros Locaux 2022. ¥3,800 「いつか自分でもワインを造るのか。」 知人、顧客、生徒たちから頻繁に受ける質問だが、答えはNo。 自分でモノづくりをしてしまうと、ジャーナリスト、教育者としての徹底した公平性を保てなくなる。 それが建前だが、本音は少し異なる。 大阪市内で生まれ育ち、NYで学び、東京で働く私は、生粋のシティ・ボーイ(ボーイというほどの年齢でも無いが)で、運転免許すらも取得していない。 取材などで国内外の田舎に赴くことは多々あるし、ゆったりと流れる時間の心地良さは十分に理解しているが、それでも自分がそのような場所で生きていくイメージはどうにも沸かない。

梁 世柱
2024年9月8日


Wine Memo <28>
金井醸造場, Vino da Manriki+Tenjin 朝焼2020. 今から約12年前、私がまだNYにいた頃の話だが、当時は現在でいう「オレンジワイン」の解釈がまだまだ固まっていなかった。 オレンジワインという言葉自体は徐々に浸透してきていたものの、その時代においては、ジョージアとゴリツィア周辺(イタリアとスロヴェニアの国境地帯)のワインのみがオレンジワイン(もしくはアンバーワイン)とみなされていたし、醸し発酵白ワイン(skin fermented white wine)という通称も現役だった。 さらにややこしかったのは、グリ葡萄を使用したオレンジワイン。 フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の銘醸、La CastelladaがリリースしたPinot Grigio(グリ系葡萄であるピノ・グリージオに、長期のマセレーションを施したワイン)は、NYのマーケットでも大きな衝撃と共に、流行に敏感なソムリエたちの話題を独占していたが、あくまでも同州の伝統的なワインであるRamato(偶発的にマセレーションが長期化したことによって誕生した、非常に淡い

梁 世柱
2024年9月6日
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