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出会い <79> デラウェアに見る、根付くことの意味
Agri-Coeur, Dela Logique 2023. ¥5,500 ハイブリッドという言葉を聞いた時、一般的にはどういう印象を抱くだろうか? 現代的、先進的、最新技術。 おそらく、そのようなフレーズが並ぶだろう。 しかし、ワインの世界においては、真逆とも言えるイメージがついて回る。 そう、ワイン用葡萄におけるハイブリッドは、ヨーロッパの伝統的なワイン用葡萄であるヴィティス・ヴィニフェラ種よりも遥かに劣る、という定評が完全に固まっているのだ。

梁 世柱
2025年4月7日


再会 <79> スペインの至宝
Vega-Sicilia, Unico 2014. 私がワインを学び始めた頃、正式なタイトルは忘れてしまったが、「世界の名ワイン100選」的な本を愛読していた。 ボルドー左岸メドック地区の第一級シャトー、右岸サン=テミリオンやポムロールの極上ワイン、ブルゴーニュのグラン・クリュ、シャンパーニュのプレスティージ・キュヴェ、イタリア・ピエモンテ州のバローロ、バルバレスコ、トスカーナ州のブルネッロ・ディ・モンタルチーノとスーパータスカン、カリフォルニアやオーストラリアの超高級ワイン。 20年以上前の本だが、よくよく考えてみれば、現代とそれほどラインナップは変わらないのかもしれないが、驚くことでもない。 偉大なワインは、よほどの失策を繰り返さない限り、いつでも偉大なのだ。

梁 世柱
2025年3月31日


出会い <78> アンフォラとサンジョヴェーゼ
Il Borro, “Petruna” Sangiovese is Anfora 2020. 1990年代半ばに、北イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリアの東端で始まった オレンジワインの再興が、ワイン界にもたらしたものは、オレンジワインが第四のカテゴリーとして定着したことだけではない。 その過程で、アンフォラ(地中に埋める円錐形のものはクヴェヴリ)という古代の容器もまた、世界各地へと再伝達されて行ったのだ。 アンフォラとオレンジワインを直接的に結びつける人は多いとは思うが、現在では、赤、白、ロゼ、オレンジワインの全てで、アンフォラの採用が広がっている。

梁 世柱
2025年3月24日


再会 <78> 魅惑のオーストラリア・リースリング
Ravensworth, Regional Riesling 2022. ¥4,500 リースリングは鏡のような葡萄品種だ。 葡萄が育ったテロワールを、どこまでも素直に表現することができる。 新樽を効かせたりといった手法が全く一般的では無いのも、また良い。 余計な味付けはせず、ただただ素材の味わいを活かす。 リースリングという葡萄が、私の心に深く響く理由は、そこにあるのかも知れない。

梁 世柱
2025年3月16日


出会い <77> Vin Santoの専門家
Giacomo Grassi, Vin Santo del Chianti Classico “Opre” 2011. ワインに芸術性を求めた時、行き着く先は2通りと個人的には思っている。 1つは、シャンパーニュ方式で造られるスパークリングワイン。 特殊な収穫方法から始まり、その製法のあらゆる段階における細部に至るまで、人類がワインと共に育んできたあらゆる叡智が込められている。 葡萄とテロワールに、ヒトの粋が詰め込まれたワイン。 芸術と呼ぶに相応しいと心から思う。

梁 世柱
2025年3月10日


再会 <77> やはり素晴らしかったTerra Electae
Marchesi Gondi, Chianti Ruffina Riserva Terra Electae “Vigneto Poggio Diamante” 2021. 昨年トスカーナ州を訪れた際、私の中では決して評価の高い産地ではなかったChianti Ruffinaという地に、一筋の光を見た。 Ruffinaを評価してこなかった理由は、全てと言って良いほど、過剰な国際品種のブレンドにあった。 そもそも、Ruffinaは、Chiantiの名を関するDOCGの中でも、最も冷涼な産地の一つ。 そのようなRuffinaにとっては、繊細で優美な酒質こそが本質のはずあり、それを覆い隠すようなカベルネ・ソーヴィニヨンのパワーには、違和感しか感じてこなかった。

梁 世柱
2025年3月3日


出会い <76> 補助品種の野心
Podere della Bruciata, Tizzo 2019. 葡萄栽培学と病害対策が現代に近い水準に進化するまで、ワイン造りは、多品種栽培と多品種ブレンドが基本であった。 それは、昔の人々が積み重ねた経験と観察眼に基づいた、リスクヘッジであった。 一つの葡萄が病害などによって不作に陥っても、他の品種が上手く育てば、ワインをつくることができる。 細かなブレンド比率や、テロワールなどといった概念よりも、毎年ちゃんと葡萄を実らせることの方が遥かに大切だったことは、想像に難くない。

梁 世柱
2025年2月24日


Wine Memo <33>
Stefano Amerighi, Syrah Cortona DOC 2021. 私が毎年2月に参加しているAnteprime di Toscanaというイベントでは、1日、もしくは2日毎にテーマの異なる試飲会が開催されるのだが、L’Altra Toscanaというトスカーナ州の「その他」を集めた試飲会が、実は密かな楽しみになっている。 Chianti Rufina、Carmignano、Montecucco、Maremmaといった、L’Altra Toscanaでは「お馴染み」のDOCやDOCGに加え、毎年もっとマイナーな産地から、交代でブースが出てくるのだ。 時に興味深い発見もあれば、肩透かしな年もあるが、2025年は「当たり」だった。

梁 世柱
2025年2月22日


Wine Memo <32>
Hermann J. Wiemer, Cabernet Franc 2018. NYでのソムリエ修行時代、とにかくギリギリの生活をなんとか乗り切っていた私は、アメリカという大ワイン産出国に住んでいたにも関わらず、産地訪問をすることがほとんどできなかった。 今思えば、実にもったいないことをしていたと思うが、そもそも東海岸のNYからカリフォルニア州へと飛ぶのにも相当お金がかかるし、車も運転できず、無名のソムリエだった私には、ワイナリーに迎えに来てもらうなどという発想もなかった。 そんな中で、私にとって人生で初めてのワイナリー訪問となった場所は、今回Wine Memoで紹介するNY州フィンガーレイクのHermann J. Wiemerだった。

梁 世柱
2025年2月7日


再会 <76> メルローの掘り出しもの
Castellina, Daino Bianco 2019. ¥5,000

梁 世柱
2025年2月3日


出会い <75> ハイコスパピノを求めて
Mound Edward, Ted Pinot Noir 2022. ¥4,350 世界的なワイン価格の高騰が止まらない中、我々の日常生活から最も遠いところへ行ってしまった品種は、おそらくピノ・ノワールだろうか。 その原因は、兎にも角にもブルゴーニュにある、と考える人がほとんどだと思うが、それは半分正解と言ったところ。 確かに、ブルゴーニュが(特にコート・ド・ニュイ赤)なかなか天井が見えない高騰を続けているため、その価格に世界各地のピノ・ノワールが引っ張られている側面はある。 しかし、そもそもピノ・ノワールという葡萄の性質を理解してみると、別の理由も見えてくるのだ。

梁 世柱
2025年1月27日


再会 <75> バックヴィンテージ定点観察の楽しさ
Sato Wines, Pinot Noir “Northburn” 2017. 同じワインを、新しいヴィンテージが出るたびにテイスティングすることは、ワインを深く理解していく上で、非常に大切だ。 ヴィンテージごとに全く異なる気象条件と、それらが最終的なワインに及ぼす影響を理解するという目的は当然だが、造り手の変化や進化に加え、「本質的に変わらない」テロワールを知る上でも、定点観測は大切になる。 しかし、同じボトルを年月を跨いでテイスティングをする、という別の定点観測は、なかなか環境は整わないと難しい。 そもそも、「それをやり出したらキリがない」というのもあるが、コンディションを保つためのセラーリングも、それに必要なスペースも、用意するのは簡単ではない。

梁 世柱
2025年1月20日


SommeTimes’ Best Performance Award 2024
本年もついに大晦日を迎え、また一年の締めくくりとなるBest Performance Awardの選出をする時がきた。 例年通り、選出基準は単純な価格でも味わいでもなく、その総合評価であり、さらにその中でも印象に強く残っているワインから、これぞというものを選出させていただい...

梁 世柱
2024年12月31日


出会い <74> 新世代ナチュラルボルドーの楽しさ
Marius Bielle, Pigalle 2021. ¥4,600 ボルドーといえば、クラシックワインの殿堂。 それは基本的に正しい見解だ。 左岸と右岸にそれぞれ存在する様々な公式格付けシステムは、まさにその象徴であるし、大衆の多くは、確かにボルドーに「格式」を求めている。 それでもなお、多様性が広がる時代のうねりは止められない。

梁 世柱
2024年12月23日


Wine Memo <31>
Inglenook, Edizione Pennino Zinfandel 2019. ¥9,900 ジンファンデルはなかなか興味深い葡萄だ。 長らく南イタリア・プーリア州のプリミティーヴォ種と同品種という紹介が主流だったが、DNA解析によって、その源流がクロアチアのマイナー品種であるツーリエンナーク・カーステラーンスキー(もしくはトリビドラーグ)にあると判明してからは、説明文に少々変化が起きた。 少々煩わしい。 ツーリエンナーク・カーステラーンスキーと言われても、名前も覚えにくく、味わいの想像もつかない。

梁 世柱
2024年12月21日


高級ビールを嗜む <3> リースリング・ビール
Gueuzerie Tilquin, Oude Riesling Tilquin a L'Ancienne. ¥4,800~ またまた随分と久々となる、高級ビールのレヴュー企画。 今回は、私が最も好きなタイプのビールである、ランビックに関してお話ししていこう。 ランビックはベルギービールの一種であり、パヨッテンラント地域(首都ブリュッセルの南西に位置)でのみ醸造される、非常に個性的なビールとなる。 一般的にビールの醸造には、培養酵母が使用されるが、ランビックは醸造所や周辺環境に棲む野生酵母の力で発酵させる。 ブリュッセルを縦断するゼンネの谷に自生すると言われているバクテリアや野生酵母は、通常の培養ビール酵母では分解できないデキストリンという多糖類まで分解するため、非常に辛口な仕上がりとなり、また乳酸を思わせるニュアンスも野生酵母によってはっきりと生じる。

梁 世柱
2024年12月16日


再会 <74> もう一つの、シャネルのボルドー
Château Canon 2021. 前回の再会 <73>では、シャネルが1994年に取得し、長期計画で改革を行なったシャトー・ローザン=セグラを取り上げたが、シャネルがボルドーに所有する最高レベルのシャトーは、もう一つある。 ボルドー右岸サン=テミリオン地区の、シャトー・カノンだ。 シャトー=カノンが辿ってきた道のりもまた、シャトー・ローザン=セグラと良く似ている。 シャトー=カノンはサン=テミリオン公式格付けにおいて、グラン・クリュ・クラッセBに格付けされてきたが、その評価は決して安定したものではなかった。

梁 世柱
2024年12月9日


出会い <73> 魔法のサンジョヴェーゼ
Chiara Condello, Predappio Sangiovese 2021. ¥4,500 サンジョヴェーゼといえば、イタリア・トスカーナ州。 その地位と名誉と実力は、確かに揺るぎないものだ。 Chianti Classico、Brunello di Montalcino、Vino Nobile di Montepulciano。サンジョヴェーゼの象徴たる三つの産地は、まるで不可侵の聖域が如く、色褪せない輝きを放ち続けている。 私自身、サンジョヴェーゼには強い関心と愛情を注いできたため、三大銘醸地に限らず、トスカーナ州以外やニューワールド諸国も含め、様々な産地のワインをテイスティングしてきたが、心の琴線に深く触れるワインは見つからなかった。 Chiara Condelloと出会うまでは。

梁 世柱
2024年12月1日


再会 <73> シャネルのボルドー
Château Rauzan-Ségla 2021. ボルドーというワインが品質向上を果たすには、とにかく時間とお金がかかる。 相当な量で生産されているにも関わらず、価格が高い傾向にあるのは、投資金の回収が大変だからという側面もかなり大きいのだ。 しかし、本腰を入れて、忍耐強く、優れたテロワールで品質改革を行えば、「結果」が付いてくる、というのもボルドーの面白いところだろうか。 過去に長らく低迷していたワインが大復活を果たした例も、実際に多くあるのだ。

梁 世柱
2024年11月25日


Wine Memo <30>
Tsukuba Winery, Twin Peaks Marselan 2022. ¥4,900 温暖化を見据えて、ボルドーを名乗れる品種として新たに認可された6種の葡萄。 黒葡萄は、マルスラン、トゥリガ・ナシオナル、カステット、アリナルノア。 白葡萄は、アルヴァリーニョとリリオリラ。 トゥリガ・ナシオナルとアルヴァリーニョは比較的良く知られた品種だが、その他はかなりマイナー。 黒葡萄のカステットは元々ボルドー近辺の絶滅危惧種。マルスランとアリナルノアは交配品種。白葡萄のリリオリラも交配品種だ。

梁 世柱
2024年11月23日
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