前編の最後にお見せしたこの写真から、後編を始めようと思う。
アルゼンチンの今の品種の多様性を端的に表しているこの写真だが、実はそれに留まらない。全てウコ・ヴァレーのワインだが、品種名の下にはその生産地区の名前が書かれているところに注目してほしい。
セミヨン(トゥプンガト)、シュナン・ブラン(ビスタ・フローレス)、ソーヴィニヨン・ブラン(トゥプンガト)、アルバリーニョ(サン・パブロ)、ベルデホ(サン・パブロ)、カベルネ・フラン(サン・パブロ)。
これが今のアルゼンチンを表すもう一つの多様性、つまりテロワールである。
アルゼンチンのワインにテロワールを感じたことがあるだろうか?
メンドーサはどこでも一緒だと思っていないか?
ウコ・ヴァレーの名前を聞くことはあっても、その特徴とはなんだろうか?
そして、アルゼンチンにグラン・クリュは存在するのだろうか?
メンドーサ
前編でも説明したようにアルゼンチンは4つの産地に大別されるが、最も重要な産地はクヨだ。なぜか。
単純な理由である。アルゼンチンのブドウ畑の95%がここにあるのだ。
さらにクヨはラ・リオハ、サン・フアン、メンドーサと3つに分けられるが、クヨの畑の約80%がメンドーサにある。
つまり南米でも最大規模のワイン生産国であるアルゼンチンの、実に75%がメンドーサなのである。
この点において、アルゼンチン=メンドーサという認識は概ね正しい。そしてメンドーサのことを考えずに、アルゼンチンワインのことは分からないと言ってもいい。
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