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出会い <6> スペインワインの新常識
Muchada-Léclapart, Lumière 2017. ¥8,900 前回の「再会」では、小さなマイブームの波と、いつまでも色褪せない魅力の話をしました。 そう、ピノ・ノワールのように、永遠とも思える興味を与え続けてくれる品種もありますが、筆者にはいつでも、何かしらのマイブームが訪れています。 実は現在進行形のマイブームは、 スペイン 。 正確に言うと、スペインの中でも 特定の3産地 がマイブームの対象となっています。 1つ目の産地は カタルーニャ州のペネデス 。 2つ目の産地はスペイン領だけど位置的にはほぼアフリカな カナリア諸島 。 そして3つ目の産地は、本日ご紹介する アンダルシア地方 です。 アンダルシア と聞くと、皆様何を思い浮かべるでしょうか? 世界遺産でもある、荘厳な アルハンブラ宮殿 でしょうか。 有名なリゾート地である、 コスタ・デル・ソル でしょうか。 夏の定番料理、 ガスパチョ でしょうか。 それとも、異様なほどに奥深い世界が形成されている、 シェリー に代表される様々な酒精強化酒でしょうか。 魅惑的なアンダルシア

梁 世柱
2022年2月6日


再会 <6> 違いを知り、追求するという楽しさ
William Downie, Pinot Noir “Baw Baw Shire” 2018. ¥10,000 世界中のワイン、産地、品種、造り手に日々めまぐるしく接していると、どうしても 「小さなマイブーム」の波 が生じてしまい、特定のワインに集中的に接する時期がある一方で、しばらく接することがなくなるワインも出てきます。 特にマイナー産地、マイナー品種のような特殊性の高いワインは、公平公正がポリシーの筆者であっても、一過性の興味から抜け出せないことが少なくありません。 いや、本音で言うと、そういったワインの追求をもっともっと深いところまでやりたいのですが、そもそも造り手も生産量も少なく、俯瞰して比較しながらの検証がとても難しいという実情があります。特定の造り手の、見知らぬ品種を使った特殊なワイン、というのは飲む分には最高に楽しいのですが、その産地と品種の相性や、浮かび上がってくるテロワールの個性を知るには、どうしても不十分になってしまいます。 さて、筆者のそんなストレスをいつも軽快に吹き飛ばしてくれる品種こそ、 ピノ・ノワール です。...

梁 世柱
2022年1月29日


SommeTimes’ Académie <22>(ワイン概論18:白ワイン醸造1)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回から、一般的な白ワインの醸造フローを学んでいきます。赤ワイン醸造と重複する部分もありますので、適宜参考にしながら読み進めてください。 本稿の内容は、 <ワイン概論13:赤ワイン醸造1> 、 <ワイン概論15:赤ワイン醸造3> ともリンクしています。 同じ工程であっても、赤ワインと白ワインとではタイミングや目的が異なる場合も多々ありますので、注意してください。 なお、日本のワイン教育においては、醸造用語としてフランス語を用いるのが今日でも一般的ですが、SommeTimes’ Academieでは、すでに世界の共通語としてフランス語からの置き換えが進んでいる 英語にて表記します 。また、醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦

梁 世柱
2022年1月25日


出会い <5> 衝撃のオレンジ
Vinyas d’Empremta, Rabassa 2019. ¥5,200 オレンジワインの復興は、北イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州とスロヴェニアの国境付近から始まりました。 復興が始まったばかりの1990年代後半は批判も多かったのですが、2000年代に入ると徐々に理解を得るようになり、2010年代から一気に世界各国に拡散、今では第4のカテゴリーとして完全に確立したと言っても過言ではありません。 そして同時に、そのスタイルも、爆発的に多様化しました。 ほとんど白ワインと見分けがつかない色、ほぼ茶色のワイン、確かにオレンジ色に見えるものなど、色だけでも多種多様。 味わいも、古典的な旨渋味型、モダンなフルーティー型、いいとこ取りのバランス型と、大きく分けても3種類。さらに、濁っていたりいなかったり、泡立っていたりいなかったりと、これはもう確かに、一つの立派な大カテゴリーとしての確立を実感させられます。 中でも、筆者が特に注目しているのは、 混植混醸 (一つの葡萄畑に植わった多種類の葡萄を、全て混ぜて醸造する)タイプのオレンジワインで

梁 世柱
2022年1月16日


再会 <5> 貴族的ワインに宿った永遠の価値
San Giusto a Rentennano, Chianti Classico “Riserva le Baroncole” 2017. ¥5,600 イタリア・トスカーナ州の キアンティ は、世界で最も名の知れた赤ワインの一つ。主要品種である サンジョヴェーゼ も、イタリア屈指の高貴品種です。 それなのに、 キアンティには非常に安価なワインがたくさんあります 。理由はシンプル。 大量生産されているから です。キアンティ全体の平均的な生産量は 年産1億本前後 となっています。実はキアンティを名乗ることができるエリアは、異常なほど広く、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノやヴィノ・ノーヴィレ・ディ・モンテプルチャーノといったトスカーナ州にある他の銘醸地すらもその範囲内に入ってしまっています。「他者の名声にあやかる」というイタリア人の悪い癖が最大限に発揮されてしまっているのはとても残念ですが、相対的にその価値が高まったエリアがあります。 キアンティ・クラシコ のエリアです。 第6代トスカーナ大公「 コジモ三世・デ・メディチ 」が 1716年 に定めた

梁 世柱
2022年1月8日


真・日本酒評論 <3>:無農薬米が示す確かな可能性
<七本槍:生モト純米酒 無有 2019> ワインの世界においては、世界的なサステイナブル思考やSDGsが強く後押しをして、オーガニック農業が徐々にスタンダードとなりつつある。その勢いは驚異的とすら言えるほどで、オーガニック転換の前段階である減農薬農法までは、既に世界各地の産地で、広範囲に広がっている。「 ワインはオーガニックに作って当たり前 」となる時代は、すぐそこまで来ているのだ。 一方、 日本酒はどうだろうか 。 結論から言うと、 どうしようもなく出遅れている 。 栃木の 天鷹酒造 (銘柄: 天鷹 )、岡山の 丸本酒造 (銘柄: 竹林 )のように、随分と前から有機米の使用に踏み切ったパイオニア的存在はあれど、どこまでいっても大海の一雫に過ぎず、業界全体を揺るがすほどの影響力は発揮できなかった。 確かにここ10年くらいの間は、有機栽培米を導入する酒蔵が増加傾向にあるものの、それでもまだ、小波程度の動きだ。 なぜ、日本酒のオーガニック化がなかなか進まないのか。 ここには、確かに 難しい問題が山積 している。 まずは 有機栽培 そのものの問題。

梁 世柱
2021年12月24日


出会い <4> ナチュラルなグラン・ヴィーノ
Goyo Garcia Viadero, Finca Valdeolmos 2016. ¥5,500 テンプラニーリョ という葡萄は、 まだまだ過小評価されている ので無いでしょうか。 リオハ には数々の銘醸ワイン(協同組合の品質が恐ろしく高いのがリオハの特徴)がありますし、 リベラ・デル・デュエロ には、かの有名な「ウニコ」を造るベガ・シシリアや、かなり前にちょっとしたブームになった「ペスケラ」、カルト的人気と超高価格を誇る「ピングス」なんかもあります。 でも、こういった有名ワインは ブランドとして有名なだけ で、 テンプラニーリョの地位を向上させているとは、あまり思えない 側面もあります。もし本当にテンプラニーリョ自体が支持されているなら、有名では無いワインも、 しっかりと売れるはずなのですよ、テンプラニーリョだから、という理由で 。 でも、現実はそう甘くありません。 色々と シノニム (同意語)が多いのも、テンプラニーリョの弱点の一つ。 リベラ・デル・デュエロでは、ティンタ・デル・パイスか、ティント・フィノ。 トロでは、ティンタ・デ・トロ。

梁 世柱
2021年12月18日


SommeTimes’ Académie <21>(ワイン概論17:赤ワイン醸造5)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は、一般的な赤ワインの醸造フローを学ぶシリーズの最終章となります。一般的な醸造フローに関しては、 前章 で完結していますが、本章では、 赤ワイン造りに付随する特殊な醸造工程 に関して学んでいきます。 なお、日本のワイン教育においては、醸造用語としてフランス語を用いるのが今日でも一般的ですが、 SommeTimes’ Académie では、すでに世界の共通語としてフランス語からの置き換えが進んでいる 英語にて表記 します。また、醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとな

梁 世柱
2021年12月17日


海外でソムリエをするということ
ソムリエという職業を志した時から、また勉強を続け、世界のワイン産地を頻繁に目にするようになるにつれ、いつか日本を出て海外でソムリエとして働いてみたいと思った方は少なくないと思います。 フランスへ行けば、きっと誰しも一度は憧れるブルゴーニュやシャンパーニュがあり、カリフォルニ...

SommeTimes特別寄稿
2021年12月16日


再会 <4> 日本を代表する白ワインの価値
Fermier, El Mar Albariño 2018. ¥10,000 実は、このワインには複雑な思いを抱いてきました。つい最近までは。 そして、私の考えが変わった「再会」は、 リリースされたてのワインから、その真価を測りきることがどれだけ困難なことか というのを、改めて思い知らされる貴重な学びの機会でもありました。 さて、今回の主役は アルバリーニョ 。そして、日本の、 新潟のアルバリーニョ です。 SommeTimesでも 特集記事 を組んだことがあり、コラムでも様々な執筆者から度々取り上げていますので、注目が強く集まっている産地であるのは、間違いありません。 早速ですが、本題に突入しましょう。 過去の私も含め、このワインの論点は、「 価格 」に行きがちだと思います。 新潟のアルバリーニョで一万円という価格は、確かにあまり多くの人が免疫をもっている領域では無いと思います。 しかし、熟成によってしっかりと味わいが開いた El Mar Albariño を飲んだ時の私の率直な感想は、「 一万円の価値は十分にある 」でした。

梁 世柱
2021年12月12日


真・日本酒評論 <2>:季節酒は季節の変わり目が一番旨い
<蒼空:純米酒 ひやおろし> 「 ひやおろし 」とは、(前年の)冬に仕込んだ酒を春に一度火入れして安定させ、秋にそのまま(火入れせずに)瓶詰めして出荷される季節酒の一つ。 まろやかなで落ち着いた風味と、生酒(ひやおろしは正確には 生詰め )らしい華やかさが絶妙に混じり合う味わいは、季節酒の中でも際立った個性になる。 秋の酒とは言っても、ひやおろしは 早ければ9月の前半には出荷され始める 。9月の前半は、まだまだ夏真っ盛りな地方も多い。なんとも気が早いリリースだ。個人的には、日本酒の季節酒には、(現状よりも遅めの) 解禁日が設定されていても良いのでは と感じている。現状、「如何に早くリリースするか」という競争が垣間見えてしまっており、品質第一では無くなっている部分があると感じるからだ。 それに、筆者の経験上(個人的な嗜好もあるが)、 季節酒は次の季節の直前頃が一番旨い 。だから「ひやおろし」は11月後半頃に飲む方が、まとまりが出つつ、味がノッてきて、私は好きだ。

梁 世柱
2021年12月4日


新潟の夜に響く、鈴虫の音
シンガポールの名店でソムリエを務め、日本に帰国後も海外系の名店に所属。現在は都内屈指のラグジュアリーホテルであるアマン東京で辣腕を振るう藤原ソムリエ。東京でも指折りの国際派ソムリエである藤原ソムリエから今回届いたコラムは、注目が高まり続けている新潟のアルバリーニョにまつわる...

SommeTimes特別寄稿
2021年12月2日


「甘い」言葉に潜む罠
ワインにとって、「 甘い 」という表現は何を意味しているのだろうか。 これは非常に奥深いテーマであり、長年に渡って、 ワイン販売者と消費者の間や、愛好家同士の間にそびえたってきた、分厚い壁 でもある。 もちろん、「甘い」という表現は、「 美味しい 」と同様に、 最終的には完全に主観 となってしまうものなのだが、それでも(特に販売者、紹介者としては)どこかに線引きをしておかないと、 自身の発言が支離滅裂なものとなりかねない 。実に悩ましい問題だ。 基本的には、 ワインの甘さというのは、糖度と酸のバランスによって確定する 、としておくのが、最もセーフな考え方だろう。 レモネード を思い浮かべていただきたい。 レモン果汁だけでは、その強烈な酸故に、極めて酸っぱい(辛い)状態となるが、そこに砂糖を加えることによって、徐々に辛口から甘口へと向かっていく。 ワインも原理的には同じと考えて良い。 白葡萄品種では、 リースリング を例にすると分かりやすいだろう。

梁 世柱
2021年11月30日


出会い <3> 最高過ぎた「師匠の教え」
Shared Notes, Les leçons des maîtres 2019. ¥11,000 ソーヴィニヨン・ブラン の代表的な産地はどこでしょうか? 真っ先に思い浮かぶのは、 フランス・ロワール渓谷のサンセールとプイィ・フュメ 。 緻密なミネラルと、エッジの効いた酸がスタリッシュな産地です。 次は、 フランス・ボルドー か、 ニュージーランド・マルボロ でしょうか。 ボルドーはセミヨンやミュスカデルとのブレンドが基本で、より甘やかな果実味と、まろやかな酸、そして新樽もしっかり効かせる傾向があります。 マルボロも非常に個性的。パッションフルーツやハーブのアロマが全開で、万人受けしやすい味わいと言えます。 他にはどうでしょうか? イタリアの アルト・アディジェ 、オーストリアの ズートシュタイヤーマルク 、オーストラリアの マーガレット・リヴァー などなど、他にも素晴らしい産地が色々ありますね。この品種に関しては、日本の 長野 もかなり良い線行ってると思います。 あれ?何か重要な産地を忘れているような。 ソーヴィニヨン・ブランの話題になった

梁 世柱
2021年11月27日


SommeTimes’ Académie <20>(ワイン概論16:赤ワイン醸造4)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回は、一般的な赤ワインの醸造フローを学ぶシリーズの第四弾となります。 熟成から瓶詰め までの流れを追っていきます。 なお、日本のワイン教育においては、醸造用語としてフランス語を用いるのが今日でも一般的ですが、SommeTimes’ Academieでは、すでに世界の共通語としてフランス語からの置き換えが進んでいる 英語にて表記 します。また、醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes’ Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として

梁 世柱
2021年11月23日


再会 <3> 天才と狂人の間で
Nicholas Renard, Lulu 2015. ¥4,700 フランス・ ロワール渓谷 。多種多様な小産地を内包し、葡萄品種のヴァリエーションも豊か。小産地間にも、使用品種だけでなく、明確な味わいやスタイルの違いがあって、 とてつもなく奥が深い産地 です。 ロワール渓谷の中に、イタリアの3州分くらいが詰め込まれている、と言っても良いかも知れません。 この渓谷の世間的なスーパースターは、間違いなく ソーヴィニヨン・ブラン から造られる サンセールとプイィ・フュメ ですが、 シュナン・ブラン にとっても ロワール渓谷は聖地 です。むしろ、フランス内の他の産地や、フランス国外でも成功例がたくさんあるソーヴィニヨン・ブランに比べると、ロワール渓谷にとってのシュナン・ブランの価値はもっと高いのでは思います。 単一の原産地呼称を与えられている「 クーレ・ド・セラン 」を擁し、ビオディナミ農法の世界的なリーダーとしても知られる ニコラ・ジョリー( Savennières )は、シュナン・ブランの王様。 他にも、極甘口から辛口まで幅広く隙のないシュナン・

梁 世柱
2021年11月20日


SommeTimes’ Académie <19>(ワイン概論15:赤ワイン醸造3)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は、 一般的な赤ワインの醸造フローを学ぶシリーズ の第三弾となります。 圧搾とマロラクティック発酵 を学んでいきます。 なお、日本のワイン教育においては、醸造用語としてフランス語を用いるのが今日でも一般的ですが、SommeTimes’ Academieでは、すでに世界の共通語としてフランス語からの置き換えが進んでいる 英語にて表記 します。また、醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes’ Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイ

梁 世柱
2021年11月16日


出会い <2> ピエモンテのライジングスター
Nicholas Altare, Langhe Nebbiolo 2019. ¥4,900 イタリアの ピエモンテ州 といえば、なんといっても ネッビーロ という黒葡萄から造られる、 バローロとバルバレスコ が有名です。イタリアに数多くある最高の赤ワインの中でも、頭ひとつ抜けた存在といえるワインですが、2つほど難点があります。 1. 安くはない 2. 飲み頃の判断が難しい 偉大な産地のネッビオーロを、古典的なタッチで造るとどうしても超長期熟成型になりますし、多少最近風のタッチが加わったとしても、まだまだ若い間は固さが残りがちです。ワインショップでパッと買ってきて気軽に飲むには、残念ながら、なかなか難しいワインなのです。 ならば、ちょっと広い範囲で見れば近所のエリア(ランゲ地区)にある畑で栽培されたネッビオーロから造られた「 ランゲ・ネッビオーロ 」というワインはどうでしょうか?

梁 世柱
2021年11月14日


SommeTimes’ Académie <18>(ワイン概論14:赤ワイン醸造2)
一般的な赤ワインの醸造フローを学ぶシリーズの第二弾となります。なお、日本のワイン教育においては、醸造用語としてフランス語を用いるのが今日でも一般的ですが、SommeTimes’ Academieでは、すでに世界の共通語としてフランス語からの置き換えが進んでいる 英語にて表記 します。また、醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes’ Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’...

梁 世柱
2021年11月5日


再会 <2> 南アの絶対王者
Mullineux, Syrah 2016. ¥4,700 南アフリカは今、猛烈な勢いで新しいワインが続々と登場しています。当然、 新陳代謝 もおこるので、新しい生産者に注目が集まる一方で、馴染みの銘柄が少し軽視されがちにもなります。新しいもの好きの筆者もその例に漏れず、ニュースターばかりを試している間に、かつて大好きだったワインと、少し距離が空いてしまうことがしばしばあります。 マリヌー との2年ぶりの再会は、そんな流行りを追いかけてばかりいる日々を、猛烈に反省する出来事となりました。 栽培を担当する クリス・マリヌー 、そして醸造を担当する アンドレア・マリヌー は、南アフリカが世界に誇る最強の夫婦です。

梁 世柱
2021年10月31日
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