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フレンチトーストで朝ワイン
日本の一般的な洋食系朝食メニューの中でも、 フレンチトースト と パンケーキ は、王者争いをしているのではないだろうか。 パン生地そのものに味を染み込ませるフレンチトースト、上に乗せる食材で様々に表情を変えるパンケーキ。 近年の流行を鑑みると、勝負はややパンケーキが優勢に思えるが、私は頑なにフレンチトースト派だ。 フレンチトーストの起源は、 古代ローマ時代 にまで遡れるほど古いと考えられている。

梁 世柱
2025年3月29日


牡蠣グラタンのストライクペアリング
誰にでも、幼少期からの大好物、という食べ物があるだろうか。 私の場合は、なんといってもグラタンだ。 ベシャメル、チーズ、マカロニのゴールデントリオが奏でるハーモニーは、何ものに変え難い落ち着きを与えてくれる。 肉、海鮮などの追加食材によって、また味わいの性質が微妙に変わっていくところも、グラタンの面白いところだ。 今回ペアリング研究室の題材として取り上げたいのは、牡蠣グラタン。 牡蠣のエキスが絶妙に染み込んだ奥深い味わいのベシャメルと、シンプルにグリルした牡蠣が、グラタンを三重奏から五重奏へと重厚に変化させる。

梁 世柱
2025年3月22日


洋食のスター ハンバーグとペアリング
日本における「洋食」の文化は、独自の発展を遂げてきた。 とんかつ、ナポリタン、カレーライスなど「原型」から大きく変化し、オリジナルとすら呼べるようなものへと成った料理もあるし、南蛮漬けなど、もはや日本料理の一部と化しているものもある。 そのような日本の洋食文化の中で、最もオリジナルと呼ぶに相応しいのは、 「ハンバーグ」 だろうか。 ハンバーグの起源には諸説あるが、「ハンブルク」からきている通り、 ドイツのハンブルク が有力と考えられている。ハンブルグの名物料理である 「タルタル・ステーキ」 が元となり、ひき肉にパン粉を混ぜて焼くハンバーグが誕生したのだ。この小型のハンバーグは、ドイツでは 「フリカデレ」 と呼ばれている。

梁 世柱
2025年3月15日


町中華の逸品とワイン
大衆料理といっても様々なものがあるが、私は町中華が特に好きだ。 炒飯、エビチリ、麻婆豆腐、小籠包。まさに大好物のオンパレード。 多種多様な麺類にも強く心惹かれる。 町中華での飲み物といえば、ビール、サワー、そして紹興酒が定番だと思うが、私はあまり紹興酒が好きではないため、大体サワーで済ませてしまう。

梁 世柱
2025年3月8日


トリッパのトマト煮込みにベストのサンジョヴェーゼとは?
イタリアを、そしてトスカーナ州を代表する郷土料理の一つである Trippa alla Fiorentina (トリッパのトマト煮込み フィレンツェ風)は、ホルモンやモツを食べる習慣がある日本人にとって、随分と馴染みやすいものかもしれない。 トリッパは、表面に開いた多数の大きな穴から日本語では「ハチノス」とも呼ばれる、牛の第二胃袋。 トリッパを、ソフリットと呼ばれるイタリア料理の香味ベース(オリーヴオイル、玉ねぎ、ニンニクをベースに多種多様な追加香味)、トマト、ハーブと共に煮込んだ非常にシンプルな料理だけに、素材の質と調理の巧みさが最終的な味わいに大きな影響を及ぼす。 トスカーナ州においては、Trippa alla Fiorentinaを食べれば、そのお店の実力が測れる、とすら言えるだろう。 そんなTrippa alla Fiorentinaに合わせられるローカルワインと言えば、当然の如く、サンジョヴェーゼである。

梁 世柱
2025年3月1日


苦味と渋味、ローカルペアリングの極致
毎年2月の恒例となった、 イタリア・トスカーナ訪問に来ている。 今回はプラスアルファの時間を、他州での取材活動には当てず、あえて キアンティ・クラシコ へと向かった。 クラシコというワインの研究は毎年深度を増しながら取り組んできたが、どうしても行ってみたかった場所があったのだ。 初日の訪問先は Greve 。

梁 世柱
2025年2月12日


小籠包は、ワインのお供
筆者が 小籠包 の魅力に目覚めたのは、NYでのソムリエ修行時代だ。 チャイナタウンの名店「Joe’s Shanghai」(日本のも出店)の本店で、名物の蟹小籠包がたっぷりと入った蒸篭を、数人の友人達と共に次々に空にし、高く高く積み上げていったことは、食体験の記憶として今でも鮮明に残っている。 今思えば、小籠包を一人30~40個も平らげるような食べ方には、なかなか若気の至りを感じるが、抗いがたい強力な魔法によって、あっという間に胃袋へと吸い込まれていったのだ。 さて、小籠包といえば、おおかた ビールか紹興酒 が定番のペアリングとはなるが、ワインで合わせるのもまた楽しい。 いや、むしろ 小籠包は、コツさえわかれば、ワインにとって最高のお供になり得る のだ。

梁 世柱
2025年2月2日


奥深き紅茶ペアリングの世界 Part.2
Part.1で解説したように、 ティーペアリングの魅力は、ワインペアリングとは大きく異なる作用にある 。 例えば、生魚との相性において、ワインが日本酒を超えることが極めて難しいように、ティーペアリングにも 「不可侵」と呼べるような領域が存在 しているのだ。 その上で、 ワイン側の土俵にティーペアリングが入り込んだ時 、どのような 面白さ が生まれるのか、今回はまた視点を変えて検証してみよう。 お題としたのは、 「湘南みやじ豚 和風ロースト」 。 非常に滑らかなテクスチャーの脂身は甘味が強く、身もしっとりと柔らかい。タレは、醤油ベースの甘塩っぱい味わいだ。 どうしても 長い 咀嚼 時間 を必要とする肉料理は、 アルコール分と強いタンニンで持続性を増強 できるワインの方が、圧倒的に合わせやすい。

梁 世柱
2025年1月31日


奥深き紅茶ペアリングの世界 Part.1
先日、 紅茶と日本料理をペアリングする会 、というものに参加してきた。 ペアリングを探究するものとして、非常に強い興味をもって参加したのだが、 収穫は予想と期待を遥かに超えるもの であった。 まず先に、ワインペアリングとティーペアリングそれぞれの利点不利点を整理しておこう。 ワインは、その味わいを構成する要素が非常に複雑であることから、ペアリングの際には 料理と多数の接点を作ることができる ため、必然的にペアリングもより 複雑 なものとなる。

梁 世柱
2025年1月25日


ニョッキとワインの複雑な関係
私はパスタには目がないのだが、中でも好きなものの一つが、少し変わり種のパスタである、 ニョッキ だ。 ジャガイモと小麦粉を合わせて練り、ぷるんとした独特の柔らかい食感と、ソースにしっかりと絡みつく濃厚な味わいが特徴だ。 他にも、カボチャ、パン、ほうれん草、リコッタチーズなど、様々なヴァリエーションが存在するのも、ニョッキの奥深い魅力の一つ。 パスタマシンなどがなくても、自宅で簡単に手作り点は、さらなるプラス要素と言えるだろう。 そんなニョッキとのワインペアリングだが、 「粉物の法則」 がここでも適用される。

梁 世柱
2025年1月24日


年越し蕎麦と合わせるワイン
激動の2024年が終わろうとする中、年の瀬といえば、と誰が決めたのかもよくわからないまま、例年通りに 年越し蕎麦 を食した。 少し濃いめの出汁に仕立て、海老がたくさん入ったかき揚げと共に仕上げた蕎麦は、寒気が強まる日々に、ぬくもり溢れるひとときを演出してくれた。 さて、蕎麦と言えば、やはり最高のお供は日本酒。特に少し熟成した純米酒に燗をつけると最高なのだが、ワインと楽しむのもまた良き。 しかし、 ワイン選びはなかなか難しい 。

梁 世柱
2025年1月10日


家庭用カジュアルペアリング術
SommeTimesでは、ペアリング基礎理論に基づいて、高度なペアリング術について言及することが多かったが、今回は 古典的な色合わせの法則 に、 プラスアルファの要素 を加えて、家庭やカジュアルなシチュエーションでは十分に有効となるアイデアを紹介していこう。 色合わせの法則 は非常に簡単で、 料理の中心となる色調に、ワインの色調をできるだけ近付ける という方法だ。

梁 世柱
2024年12月14日


当たり前、の丁度良さ
郷土料理と同じ地のワインをペアリング する。 クラシックな手法として知られるが、その 本質 とは何なのだろうか、と時々考える。 と言うのも、 美食的な観点から、究極のペアリングを追い求めると、郷土ペアリングが正解とは思えないことが、実際に多々ある からだ。 その主たる理由として、 郷土料理の進化、もしくは郷土ワインの変化 が挙げられる。 例えば、フランス・ブルゴーニュ地方の郷土料理として名高い エスカルゴ・ア・ラ・ブルギニョン は、シャブリとの相性が抜群だったが、現在のアルコール濃度が上昇し、フルーツの熟度が高まり、酸が少し緩くなったシャブリと優れた相性を維持できているか、と問われると大きな疑問が残る。

梁 世柱
2024年11月29日


ガストロノミック・ペアリング <10> 日本料理・ペアリングコース構築 Part.7
ガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第四回より全7回にわたって、日本料理(コース)の流れに沿ったペアリングの構築をテーマとしていく。 日本料理編最終回となる第十回では、 「旨味」 の要素を取り入れて、ペアリングを考察していく。 旨味は、ペアリングにおける 非常に特殊な要素 の一つで、「テロワール」と同様に、 効果は強力だが、優先順位は基本的に低い ものとなる。 旨味の基本的かつ最も重要な効果は2つ。

梁 世柱
2024年11月22日


ガストロノミック・ペアリング <9> 日本料理・ペアリングコース構築 Part.6
ガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第四回より全7回にわたって、日本料理(コース)の流れに沿ったペアリングの構築をテーマとしていく。 第八回(日本料理編としては第六回)となる本編では、 「テロワール」 の要素を取り入れて、ペアリングを考察していく。 内陸の食材には内陸のワイン、海辺の食材には海辺のワイン。 広く一般的には、 ペアリングの基本と考えられている「テロワール」の要素 だが、 実はペアリング基礎理論上は、かなり優先順位が低い ものとなっている。 その理由は、ワインという飲み物の味わいが最終的に決まるまでに至る、 変数の多さ にある。

梁 世柱
2024年11月15日


ガストロノミック・ペアリング <8> 日本料理・ペアリングコース構築 Part.5
ガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第四回より全7回にわたって、日本料理(コース)の流れに沿ったペアリングの構築をテーマとしていく。 第七回(日本料理編としては第五回)となる本編では、肉とワインを合わせる際の基本と、特定の品種と食材間の相性にフォーカスして、ペアリングを考察していく。 肉料理に対して、非常に重要なアプローチとなってくるのが、 ワイン側の渋味とアルコール濃度の調整 だ。 まず肝になってくるのは、肉料理の 咀嚼回数 。 ワインが肉に対してアプローチするためには、 肉の細胞が破壊されて、ワインが染み込んでいく「隙間」が生じる必要 がある。

梁 世柱
2024年11月9日


ガストロノミック・ペアリング <7> 日本料理・ペアリングコース構築 Part.4
ガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第四回より全7回にわたって、日本料理(コース)の流れに沿ったペアリングの構築をテーマとしていく。 第四~六回で学んできたこととは少し方向性を変え、今回は 「渋味と苦味の関係性」 にフォーカスしながら検証していく。 まず 重要なポイント として、 料理には基本的に、ペアリングの要素として換算できるほどの「渋味」が含まれることは無く、ワインには基本的に、ペアリングの要素として換算できるほどの「苦味」が含まれることは無いが、料理は苦味を含むことが多く、ワインは渋味を含むことが多い ということを、理解しておく。 そして、ペアリングにおいて、 苦味と渋味は、「非常に良く似たもの」 として考えることができるため、両者間には ハーモナイズ(調和)の関係性 を構築することができる。

梁 世柱
2024年11月1日


ガストロノミック・ペアリング <6> 日本料理・ペアリングコース構築 Part.3
ガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第四回より全7回にわたって、日本料理(コース)の流れに沿ったペアリングの構築をテーマとしていく。 第四回 で学んだ ペアリングの緩急 、 第五回 で学んだ 「アロマ」 という要素に加えて、今回は 「重心」 という特殊な技法を交えて検証していく。 重心とは、口内で料理やワインの味わいを、上顎方向か、下顎方向のどちらで集中的に感じ取ることができるのか、という、少々「慣れ」が必要な概念。 ペアリング全般において、 決定的な意味をもつほど重要な要素とは言えない が、 特定のケースでは、抜群の効果を発揮 する。

梁 世柱
2024年10月23日


ガストロノミック・ペアリング <5> 日本料理・ペアリングコース構築 Part.2
ガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第四回より全7回にわたって、日本料理(コース)の流れに沿ったペアリングの構築をテーマとしていく。 第四回で学んだ ペアリングの緩急 に、今回は 「アロマ」 という要素を加えて検証していく。 我々が日常的にテイスティングノートに書き溜めているアロマは、ペアリングでこそ最大限の意味を発揮する ことができる。 そして、アロマで着目すべきは、 「違和感」 である。 例えば、牛肉という食材とイチゴのアロマの組み合わせには違和感が無いが、牛肉とバナナのアロマの組み合わせには違和感が生じる。 ある程度は個人差も鑑みるべき点ではあるが、より多くの人にとって違和感を無くしていくための微調整は、特にペアリングの提供側であれば、しっかりと考えていきたいところ。

梁 世柱
2024年10月11日


ガストロノミック・ペアリング <4> 日本料理・ペアリングコース構築 Part.1
ガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第四回となる本稿より7回にわたって、 日本料理(コース)の流れに沿ったペアリングの構築 をテーマとしていく。 西洋料理とのペアリングとは違い、 日本料理とワインの間には、クラシックという最適解がそもそも存在していない 。 それは 「自由」 であると同時に、高度なペアリングを実現するためには、 練り上げられた 構成 が必要となる ことも意味している。 さらに、コース料理ともなると、 料理単位に対するアプローチと並行して、全体の流れも強く意識する 必要がある。 つまり、料理に対してそのワインを合わせることで 「何をしたいのか」 という意図(アプローチ)を定めることと並行して、全体の流れにしっかりと 「緩急」 が生じるように、アプローチを柔軟に変化させつつ、ペアリングの 「強度」 を調整する、というかなり難しい作業となるのだ。

梁 世柱
2024年9月26日
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