top of page
検索


クラシックの定義と個性の行方
最近、クラシックとされるワインに対して考えを巡らせることが増えた。 そもそも クラシックの定義 とはなんだろうか? ナチュラルワインに法的な定義が無いように、 クラシックワインにもまた法的な定義は存在しない 。 だが一般的には、 その産地と品種の個性として広く認知されたスタイル 、を指していると考えて差し支えないだろう。

梁 世柱
2025年7月1日


造り手の想い
私は造り手を訪問した際、できる限り 「造り手の想い」 を引き出そうと努めている。 その舞台は、もっぱら 葡萄畑の中 だ。 セラーやテイスティングルーム、ましてや大きな試飲会場などでは、(嘘も含めて) 適当な回答をされることは少なからずある が、不思議と(全てがさらけ出される)葡萄畑の中では、そのようなことはない。 ある程度融通の聞く単独取材の場合は特に、葡萄畑でできるだけ多くの時間を共に過ごしたい、とリクエストを入れるようにもしている。 しかし、私が造り手の想いを知りたい理由は、 それを他者に伝えたいからではあまりない 。 そう、私は 造り手の想いと、ワインという結果の「整合性」をはかる ために、聞いているのだ。

梁 世柱
2023年11月26日


自由と責任
ワイン造り、ワイン輸出入、ワイン販売、そしてワインを飲むこと。 自由意志の元に行われるそれらの行為には、どのような責任が付随しているのだろうか。 人類が科学と兵器を手にし、真に地球の支配者となって以降、ヒトが他のあらゆる動植物よりも優れた存在たるための「理性」は、自由と責任は表裏一体である、という普遍の真理によって守られてきた。 理性は動物的な感情や本能を制御し、尊重の精神を育む。 尊重の精神をもったヒトは、無意味に何かを壊したり、奪ったりはしない。 尊重の精神をもったヒトは、やむを得ず犠牲にしてしまったものごとに対して、責任を取ろうと行動する。 儒教文化で言うところの、「徳を積む」行動は、ヒトがヒトであるために、本来欠かせないはずのものだ。 しかし、高度経済成長期の真っ只中にいた人々は、本当に徳を積んでいたのだろうかと、疑問が湧く。 自らが謳歌した自由と成功と成長の裏にある、ヒトとしての責任を、どれだけの人々が意識しながら日々を過ごしていたのだろうか。 結果だけを見て判断するなら、少なくとも私が生きているワイン産業に限った話をするのなら、不十分

梁 世柱
2023年11月4日


呼称資格の価値と、守られるべき権威
ワインには様々な 呼称資格認定試験 がある。 日本においては、 日本ソムリエ協会 が認定している J.S.A.ソムリエ、J.S.A.ワインエキスパート に加え、近年では WSET が認定している呼称資格も認知度が高まっている。まだまだ極一部だが、 Court of Master Sommelier(C.M.S.) の呼称資格に挑む人も増えてきた印象だ。 J.S.A.ソムリエ、J.S.A.ワインエキスパート、WSET Level 3、C.M.S. Certified Sommelier辺りの資格になると、 かなりの長期間に及ぶ勉強や訓練 を経ないと、合格まで辿り着けない。 世の中には、一夜漬けで余裕の突破を果たせるような難易度の呼称資格認定試験が山ほどあるが、それらに比べると一般的なワインの資格が、 随分と難しい部類に入る のは間違いないだろう。 最上位の呼称資格を除いて、特別な才能を求められるような類のものではないが、少なくとも努力は必要だ。 そして、 その難しさも、求められる努力も、呼称資格の価値を高めるための、極めて重要な要素 である。 しか

梁 世柱
2023年8月19日


味が変わる=悪、なのか
去年と味が違う。10年前の方が良かった。30年前は全てが素晴らしかった。 ワインというのは、何かにつけて、 味わいの変化が否定的にみなされる 事が多い(その逆もあるが)飲み物だ。 もちろん、そう言いたくなる気持ちも分からないではない。 ビール に関して、「昔のキリンの方が良かった」なんていう意見は滅多に聞かないし、 ウォッカやジン もそうだ。 我々が日常的に口にするアルコール飲料の中に、本質的には 味わいが変化しないタイプのものが数多くある からこそ、一部の「変わるもの」に対して、時に過敏に反応してしまう。 少し 例外 が見え隠れしてくるのは、 ウィスキーや日本酒 などだろうか。 ウィスキーはブレンドマスターの交代や、原酒の過不足、熟成樽の変更などによって、どうしても味わいが変わるし、日本酒も代替わりなどによってスタイルが全面的に刷新されることが多い。 これらの「変わることがある」アルコール飲料に共通しているのは、 その変化が「人的要因」によって引き起こされている 点と言えるだろう。 そして、人的要因による変化なのであれば、それは 批判の対象とな

梁 世柱
2023年8月12日


ワインとAI Part.3
本シリーズでは、AIの進化が、ワインの世界に携わる人々にどのような影響を与え得るのかについて、実際に Google Bard でコマンド入力を行いながら検証していった。 Part.1では、AIがもっともらしいウソをつく「 ハルシネーション 」と、その問題点について、Part.2では、AIが苦手とする 曖昧さへの対応 と、現状での問題点に関して考察してきた。 そして、最後となるPart.3では、 一般的な人の反応や対応 に着目しつつ、AIとの比較を行なっていく。 まずは、 消費者目線 から考えていこう。 実は、消費者にとって、「ハルシネーション」や「曖昧さへの不対応」は、 さほど問題にはならない ことが多いのでは無いだろうか。

梁 世柱
2023年7月18日


ワインとAI Part.1
OpenAI社の ChatGPT 、Google社の Bard 、Microsoft社の BingAI 。 文章生成AIや対話型AI(以降、統一して 生成系AI と表記)などと呼ばれるこれらの新技術は、私のようなワインプロフェッショナルが聖域と信じて疑わない領域に、いよいよ足を踏み入れようとしているのだろうか。 現代人の必須ツールとなって久しい 検索エンジン は、すでにGoogleやMicrosoftなどによって、 生成系AIとの統合 が進んでいる。 今後さらに、 SiriやAlexa といった、 音声認識・ヴァーチャルアシスタントアプリケーションとも統合 されていくのは間違いないだろう。 そして、生成系AI、高機能検索エンジン、進化した音声認識アプリケーションが 高次で統合 された時、私は いよいよ聖域が荒される可能性 があると感じている。 「高次で」 と書いたのは、 現状ではまだ不完全な部分があまりにも多い からだ。 生成系AIもまた、 プログラムの一種 であることには変わらない。 つまり、他のあらゆるプログラムと同様に、望んだレスポンスを正

梁 世柱
2023年6月7日


生体アミンとSO2:示された一つの可能性
個で全を語ることは危険であり、一つのソリューションが全てを救うという希望もまた、ただの夢想に過ぎないのではないだろうか。 「ワイン不耐性にようやく光が」(ジャンシス・ロビンソンMW著、小原陽子訳)と題され、オンラインワインメディア「Vinicuest」上で公開された記事(訳...

梁 世柱
2021年11月2日


ラベルに罪はあるのか
ワインのラベルは重要だ。 ブラインドテイスティングでも無い限り、一連のワイン体験の中で 最初 の「楽しむ」プロセスは ラベルを観る ことだ。 ラベルには、そのワインに関する様々な情報が詰めこまれている場合もあれば、文字による情報をほとんど含まないデザインの場合もある。 実は、そのどちらのパターンであっても、 ラベルデザインとワインのスタイルは、同じ方向を向いていることが圧倒的に多い 。経験を積めば、産地と品種が分かってさえいれば、そのワインのスタイル(品質では無い)に対して、ラベルデザインからかなり正確な予測を立てることすらできるようになる。 不思議と思えるかも知れないが、造り手の哲学が反映された(反映させないという形の反映のさせ方も含めて)ラベルに、農産物である葡萄が人の手によってワインへと転じていく過程における、 自然と人の多様な関係性が宿る のは、必然と言えるのではないだろうか。 そもそも、味わうという行為は、舌の味蕾がキャッチした刺激に加えて、触覚が感じとるテクスチャー、嗅覚が感知したアロマ、言語情報による知覚的影響、そして視覚が捉えるイ

梁 世柱
2021年10月12日


ワインと味わいの不思議な関係
多くのワイン愛好家の方々が、特定の状況や場所で「 ワインをより美味しく感じた 」経験をおもちなのではないでしょうか。今回は、その謎めいた現象に迫ってみたいと思います。なお、本稿の内容は、 科学的見地に基づいた内容では基本的にありません 。あくまでも、実体験に基づく「 推測 」になります。一種の思考実験を覗くようなお気持ちで、お読みいただければ幸いです。 まずは、「美味しく感じた」という体験を、2つの大カテゴリーに分けてみます。 1. シチュエーション(状況)によって美味しく感じる。 2. ロケーション(場所)によって美味しく感じる。 の2種に分けることができるでしょう。 シチュエーション 1のシチュエーションに関しては、 「久々に飲むワイン」 「友人や家族、恋人と飲むワイン」 「仕事後に飲むワイン」 「ピクニックで飲むワイン」 などなど、様々な「ワインを美味しく感じる」シチュエーションが考えられます。

梁 世柱
2021年10月3日


西ドイツを襲った大洪水
7月15日、世界に名だたる銘醸地が連なる西ドイツ(ベルギー、オランダの一部も)を、記録的豪雨とそれによって引き起こされた未曾有の洪水が襲った。13日頃から降り注いだ雨は、複数のエリアで例年同時期の約2ヶ月分に相当する降雨量を24時間で記録し、多くの河川を氾濫させた。...

梁 世柱
2021年7月21日
bottom of page

