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あん肝チャレンジ
親族に痛風もちを二人抱えてる私も、いつ襲ってくるやも知れぬ恐怖に怯える日々を過ごしている。というのは完全な嘘で、全く気にしてなどいない。 ウニ、白子、あん肝。 特に冬から春にかけての日本の旬食材には、痛風の大敵と言われるものが多いが、どれもが大好物なのだから、どうしようもない。 ちょっとでも痛みが出たら、その時に考えよう、とは一応思いながらも、とりあえず今のところは健康だ。 さて、今回のペアリング研究室は、 「あん肝」 をテーマに考えていこう。 食材の鮮度と質、調理の巧みさによって増減はするが、特有の 臭み (個人的にはそこが好きなのだが)を完全に無くすのは難しいタイプのものとなる。

梁 世柱
2024年3月21日


Not a Wine Pairing <4> マッコリとカキ刺し
クラシック・ペアリングというものは、何もワインの専売特許という訳ではない。 特定の食と飲が同一文化の中で共存し続けた結果、一部の組み合わせが完璧なクラシックへと昇華する例は、世界各地に少なからず存在する。 ペアリングの新シリーズ 「 Not a Wine Pairing」 では、 『ワイン以外のクラシック・ペアリングから、ワイン専門家や愛好家が何を学べるのか』 をテーマとして、様々な検証を行なっていく。 第四回のテーマは、 韓国料理における冬の定番 「カキ刺し」 と、韓国酒を代表する マッコリ との組み合わせ。 飲食の現場から退いた後、ようやく「解禁」されたと言える食材が、ニンニクとカキだ。 ニンニクは言うまでもないが、カキは現場によっては食中毒予防のために「暗黙の了解」的な NGとなっていることが多い。 カキは元々大好物なのだが、ヴァケーション期間中にしか食べれなかったのは、なんとも辛かった。 必然的に、今回の題材となる「カキ刺し」も、ニンニクたっぷりの味わいも相まって、当然 NGど真ん中の料理だったのだ。

梁 世柱
2024年3月9日


聖地のオレンジワインとローカルフードのペアリング
1990年代半ばに、北イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州とスロヴェニアの国境地帯で始まったオレンジワインの再興から約30年。 現代では、オレンジワインという文化がそもそもあったかどうか疑わしい地域も含め、世界中のあらゆる場所で造られるようになり、赤、白、ロゼと並ぶ一つのカテゴリーとして完全に確立したと言える。 そして、オレンジワインを使ったワインペアリングもまた、非常に奥深く、面白い。 今回はせっかくオレンジワインの 「聖地」 である ゴリツィア周辺 まで来たので、 地元の伝統的な料理と、オレンジワインの組み合わせ を試してみることにした。

梁 世柱
2024年2月24日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.5 <酸味&アルコール濃度>
Part.1 で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の優先順位がワインとは大きく異なります。 4番目 に優先順位が高い要素となるのは、 「酸味」 。 5番目 に優先順位が高い要素となるのは、 「アルコール濃度」 となります。 まずは、ペアリングにおける 「酸味の基礎理論」 が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。 ワインペアリングにおいては最も優先度の高い要素である「酸味」の活用は、日本酒では大きく優先順位が下がりますが、完全に無視できるわけではありません。

梁 世柱
2024年2月9日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.4 <旨味>
Part.1 で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の優先順位がワインとは大きく異なります。 3番目に優先順位が高い要素となるのは、 「旨味」 。 ワインペアリングにおいては限定された手法に留まる「旨味」の活用が、日本酒では非常に重要な要素となります。 ではまず、ペアリングにおける「旨味の基礎理論」が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。 ブリッジ(接続) 料理か飲料のどちらかに強い旨味が存在している場合、双方の繋がりを強める 「ブリッジ(接続)」 の効果が働きます。

梁 世柱
2024年1月26日


チゲとオレンジワイン
長年レストランの現場にいた私にとって、ペアリングと 「料理へのリスペクト」 は切っても切り離せないものだ。 寄り添う、引き立てる、混ざり合い高め合うなど、様々な方法論があるが、どの場合も「料理あってこそ」のペアリングであり、ペアリングによって 「ワインだけが美味しく(良く)なってしまう」という結果は、少なくともガストロノミーという局面においては、NG である。 しかし、プライヴェートにおいてはその限りではない。 むしろ、その結果がこれ以上なく楽しいことは多々ある。 今回ご紹介する特殊なペアリング例は、レストランではなかなかできないタイプのものだ。

梁 世柱
2024年1月14日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.3 <風味>
Part.1 で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の優先順位がワインとは大きく異なります。 「甘味」に次いで優先順位が高い要素となるのは、 「風味」 。 ワインペアリングにおいては、上から5番目の要素が、日本酒ペアリングでは2番目となるため、注意が必要です。 ただし、 「風味」に対する考え方は、ワインと日本酒では少々異なります 。 ワイン の場合、「レモンのような酸味」といったように、 具体性を伴った味わい として捉えた方が有効ですが、 日本酒 の場合は、 具体性よりも「総合的な強さ」が重要 となります。 では、ペアリングにおける「風味の基礎理論」が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。

梁 世柱
2024年1月11日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.2 <甘味>
Part.1 で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の 優先順位 がワインとは大きく異なります。 基本的に、優先順位がより高い要素は、 「明確に強い効力を発揮する」 ため、日本酒ペアリングにおいては、表の通り 「甘味」を最優先 に考えていきます。 日本酒そのものが「甘い」飲み物、というわけでは決してありませんが、ワインとの比較で考えた場合、酸味と甘味(果実味)のバランスが味わいの中核を成しているワインに比べ、 日本酒はそのバランス感が甘味側に強く偏っています 。 では、ペアリングにおける「甘味の基礎理論」が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。

梁 世柱
2023年12月13日


ポルトガル名物、エッグタルト
ポルトガルは、実に豊かな食文化に彩られた国だ。 産地訪問でヨーロッパへ出向くことの多い筆者にとっても、ポルトガルの食事は、スペインと並んで、心地良いものだった。 (あくまでも「個人的に」だが、イタリアやフランスの方が、私には食が合わない。) そんなポルトガルの名物スイーツといえば、やはり エッグタルト(Pastel de Nata) は外せないだろう。 カスタードクリームがぎっしりと詰まったタルトが、オーヴンで香ばしく焼き上げられる。 仕上げに粉糖やシナモンパウダーをまぶすのも一興。 18世紀よりも前に、リスボンにあるジェロニモス修道院の修道女が発明したらしい、という逸話も、どことなく微笑ましくて素敵だ。 筆者が極上のPastel de Nataを求めて訪れたのは、活気溢れるボリャオン市場のすぐ側にある、 Manteigaria Fábrica de Pas té is de Nata 。 地元でも名店として知られる、Pastel de Nataの専門店だ。 濃厚だが絶妙な甘さバランスのカスタードクリームと、サックサク

梁 世柱
2023年12月6日


ポルトガル屈指の極上ローカルペアリング
ポルトガルへの旅で体験した数々のペアリングの中で、まず第一弾としてはより広範囲に楽しむための「ピリ・ピリ」との合わせをご紹介したが、多皿シェア文化のポルトガルでも、非常にクオリティの高い ローカル・ペアリング は確かに存在している。 そのペアリングを体験できたのは、 バイラーダ地方 。 この地には、 Leitão da Bairrada (レイタオン・ダ・バイラーダ)という名物料理がある。 分かりやすく日本語表記すると、 「乳飲み仔豚の丸焼き」 となるこの料理は、母乳のみで飼育された肉質の柔らかい仔豚に、 ラード、コショウ、ニンニクなどのスパイスを混ぜ合わせたペースト を、内側にも外側にもしっかりと塗り込み、じっくりと時間をかけて薪ストーブで焼き上げたものだ。 外側の皮はパリパリに焼き上がり、内側の肉はとろとろのジューシー感がたまらない。 特に、肋骨を剥がしながら食べる中央部は、「頬が落ちる」極上ぶりだ。 レイタオン・ダ・バイラーダ(以降、省略してレイタオンと表記)が、ポルトガルにおける傑作料理の一つとされる理由は、一口食べれば誰でもすぐに分かる

梁 世柱
2023年11月21日


大航海時代の秘薬
現在、 ポルトガル の D ã o (一般的な日本語表記ではダン、現地の発音では ダオン )に来ている。 例の如く、海外行脚時のルーティーンとして、現地ならではの食とワインの組み合わせを探っているが、実は 想像していたよりも難航 している。 ポルトガルは 多種多様な料理がテーブルに大皿で運ばれ、それらをシェアする という風習が強く、 一品一品に丁寧にワインを合わせる感じではあまり無い ようだ。 大皿及び多皿のシェアとなると、いわゆるクラシック・ペアリングとされる鉄板の組み合わせが生じにくいのは、世界のどこでも共通している。 もちろん ダオン でも、地元の有名なチーズである Queijo Serra da Estrela (ポルトガル本土の最高標高となるエストレーラ山脈の麓で造られる、羊乳のソフト〜セミハード系チーズ)と、同じく地元を代表する白葡萄である エンクルザード の見事な組み合わせなど、特筆すべきクラシックペアリングは存在しているが、フランスやイタリアに比べると、地元料理と地元ワインの関係性が、少々異なるように思える部分が大きい。 そう、ポ

梁 世柱
2023年11月15日


ガストロノミック・ペアリング <3>
ペアリング研究室の新企画となる ガストロノミック・ペアリング では、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第三回のテーマは、 『北京ダック』 。 星の数、と言っても決して大袈裟ではないほど膨大なヴァリエーションを誇る 中国料理 の中でも、高級料理の象徴として知られているものの一つが北京ダック。 特殊な 乾燥工程 を経た アヒル を、 炉の中でパリパリに焼き上げ 、 皮 (と場合によっては極少量の肉)を削ぎ切って、 ネギ などの野菜類と合わせてから、薄餅(バオビン)もしくは荷葉餅(ホーイエビン)と呼ばれる小麦粉から造られる 薄い皮 で包み、 甜麺醤ベースの甘い味噌 と共に食べる料理だ。 皮を最大限美味しく食べるために、あらゆる工程が特化されているため、 一般的に北京ダックの「肉」は、少々臭みもあって食べづらい が、コース料理の場合は(消臭作用の強い)生姜やニンニクなどと共に炒めたり、骨は白濁した鴨湯(ヤータン)と呼ばれるスープになったり、肝は素揚げにしたりと、なるべく無駄を出さない

梁 世柱
2023年11月8日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.1 <概論と優先順位>
今回から、日本酒ペアリングの基礎理論について学んでいきます。 基本的には、ワインペアリング基礎理論に基づいて話を進めていくため、過去の <ペアリングの基本>シリーズ 、及び ペアリングの構築手順 を復習した上で臨んでいただくと、理解が容易になると思います。 概論 まずは、ワインと日本酒の、ペアリングに関連した構成要素と適用される技法をそれぞれ整理すると、以下の表のようになります。 表の 赤字部分 から分かるように、日本酒からは、大項目として 渋味とテロワールを除外対象 としました。

梁 世柱
2023年11月3日


白レバーの魔法
世界三大珍味といえば、トリュフ、キャビア、フォアグラだが、日本にはフォアグラを凌駕するのでは思えるほど素晴らしい食材がある。 白レバー だ。 白レバーは 鶏の脂肪肝 であり、卵を産むために栄養を多く摂る必要がある 雌鶏 の中でも、一際食欲と力(いわば、群れの中のボス的存在)が強い個体に、偶発的に発生していたものだ。 そもそも 雌鶏は食肉用となることが少ない こともあり、かつては 超希少部位 として、知る人ぞ知る存在だった。しかし、近年は認知度が高まってきてしまったため、白レバーを生産することを目的とした、やや過剰な餌やりでも行われているのだろうか、比較的良く見かけるようになった。 生粋の焼き鳥好きであり、白レバーに目がない私としては、色々と思うところはあるのだが、これだけはお伝えしておこうと思う。 白レバーの魔法を存分に味わいたいのであれば、大衆焼き鳥ではなく、ある程度ちゃんとした本格的な専門店の方が良い。

梁 世柱
2023年10月21日


ヤンニョムチキンに挑戦
韓国では、なぜか フライドチキンがソウルフード となっている。 ソウルフードには(日本で言うところのラーメンのように)、無数のヴァリエーションが生じるため、韓国におけるフライドチキンの膨大なヴァリエーションもまた非常に興味深いのだが、日本でもお馴染みとなりつつ ヤンニョムチキン を、今回はペアリングの題材として取り上げようかと思う。 ヤンニョム とは、合わせ調味料の総称のようなもので、一般的にはコチュジャン、テンジャン(韓国味噌)、韓国醤油、唐辛子粉、胡麻油、ニンニク、すり胡麻などをベースに、砂糖や果物で 甘辛のバランスを調整 して造る。 漢字では 「薬念」 と表記され、 薬食同源 という古来からの食文化を感じさせる、なんとも素敵な名称だ。

梁 世柱
2023年10月7日


カンパーニャ風ステーキと極上ローカルペアリング
ペアリングを学ぶ上で、 クラシックペアリングやローカルペアリング と呼ばれるものの真髄を知るには、 イタリアは避けては通れない国 だ。 イタリアという国に来ると、 郷土料理と郷土ワインが、驚異的な完成度のペアリングとなっている ケースが非常に多いことに、とにかく驚かされる。 その「結びつき」の強さは、筆者が経験した範囲では、フランス、スペイン、ドイツ、オーストリアやギリシャよりも強く、 おそらく世界一 とすら考えられる。 20の州があるイタリアは、 20の異なる小国家の集合体 とも言われるほど、各地域の文化的独立性が強く(イタリア人いわく、方言もかなり強烈とのこと)、 その影響は食文化の細部にまで及んでいる のだ。 そして、さらに驚くべきは、 その結びつきが、料理とワインという枠を超えて、食材とワインにまで及んでいる ことだ。

梁 世柱
2023年9月22日


ボンゴレ・ロッソと極上ローカルペアリング
カンパーニャ州の名物料理 と言えば、なんと言っても ナポリ風ピザ だが、 パスタ類 にも 名品 が多い。 パスタ通の最終到着地であり、極めてシンプルが故に最も難しいパスタとも言われる Spaghetti aglio e olio (イタリア南部全域で見られるニンニクとオリーヴオイルのパスタだが、唐辛子を使わないバージョンはカンパーニャ州が発祥)、ほっこりとするトマトソースベースの Gnocchi alla sorrentina 、カボチャとショートパスタのスープである Minestrone alla napoletana 、アンチョビ、ケッパー、オリーヴ、唐辛子を効かせた Spaghetti alla puttanesca など、日本でも馴染み深いものが数多くカンパーニャ州を発祥の地としている。 中でも、筆者が特に好きなのは、アサリなどの二枚貝をふんだんに使用した、 Spaghetti alle vongole だ。一般的には、 veraci (ボンゴレ・ビアンコ)の方が有名だが、地元の人におすすめを聞いたところ、満場一致で rossi...

梁 世柱
2023年9月22日


マルゲリータと極上ローカルペアリング
長い年月をかけて、そこで暮らす人々の「当たり前」として残ってきたペアリングには、 論理的、美食的完成度とは別次元の、特殊な素晴らしさ が宿ることがある。 例えば、鯵のなめろうに適当な純米酒を合わせても、驚くほど美味しいように、鶏の唐揚げとレモンサワーがこれ以上なく最高のペアだと感じるように、我々の多くが知らず知らずのうちに、最高のペアリングを体験しているケースは多い。 そして、海外に来てそういう体験をしたいのであれば、 地元の人に聞くのが一番 だ。 筆者は今、 南イタリア・カンパーニャ州の州都ナポリ に来ている。 古代ギリシアによって、 ネアポリス (ネア=新しい、ポリス=都市)と呼ばれたこの街の名物といえば、日本でも馴染み深い ピザ だ。 薄く柔らかい生地が特徴の ナポリピザ だが、大定番はシンプルな マルゲリータ で間違いないだろう。 トマトソース、バジル、オリーヴオイル というシンプル極まりない構成故に、 とてつもなく奥が深いピザ でもある。

梁 世柱
2023年9月16日


料理の苦味とワイン
料理とワインの間で 五味を合わせる 、というのはペアリングの基本的な考え方の一つだが、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、旨味)の中には、一つ非常にトリッキーなものがある。 苦味 、だ。 その理由は、 ワインに「苦味」がたいして含まれていない ため、そもそも五味合わせが成立しないから。 一部のアロマティック系白葡萄に見られるフェノリックな苦味や、ミネラルの刺激によるものと考えられる余韻の苦味、などは一応あるが、どれもペアリングの要素としてカウントできるほど強くはない。 しかし、実際には料理の苦味に対してワインでしっかりとアプローチすることは、難しくない。 いや、むしろ 非常に簡単 だ。

梁 世柱
2023年9月9日


オムライスのパートナー
日本では様々な独自の「洋食」が発展し、一大ジャンルとなっている。 今回の題材となる 「オムライス」 も、日本人なら誰もが食べている代表的な洋食の一つだ。 まずは米、細かく刻んだ鶏モモ肉、玉ねぎを炒め、たっぷりの ケチャップ (場合によってはウスターソースも)を加えて炒めた 「チキンライス」 を作り、ふわふわに焼いた溶き卵を被せ、さらに 「追いケチャップ」 をして完成。 シンプルだが美味い。 幼少期から食べている「思い出補正」もあってか、なかなか中毒性の高い味わいだ。 さて、ペアリングという視点からオムライスを見ると、実はちょっと残念な気持ちになる。

梁 世柱
2023年8月25日
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