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ガストロノミック・ペアリング <2>
ペアリング研究室の新企画となるガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第二回のテーマは、 『生牡蠣と生ウニ』 をふんだんに使った一皿。 第一回でも述べたように、複雑なペアリングを成立させるための第一歩は、ロジカル・ペアリングの中でもより優先度が高い、 「酸、甘味、渋味、アルコール濃度」の4項目 を強固に固めることとなる。 参考までに、4項目におけるペアリングの技法をまとめた表を添付しておこう。 まずは、ワインの 酸 。 カットの対象となる、塩分、油分、脂肪分の全てが低めの料理であり、調和(ハーモナイズ)の対象となる料理側の酸も無いが、食材と調理法が極めてシンプルなので、 「ハイライト」 の技法を狙いたいところだ。

梁 世柱
2023年8月17日


Not a Wine Pairing <3> 紹興酒と四川料理
クラシック・ペアリングというものは、何もワインの専売特許という訳ではない。 特定の食と飲が同一文化の中で共存し続けた結果、一部の組み合わせが完璧なクラシックへと昇華する例は、世界各地に少なからず存在する。 ペアリングの新シリーズ「 Not a Wine Pairing 」では、『ワイン以外のクラシック・ペアリングから、ワイン専門家や愛好家が何を学べるのか』をテーマとして、様々な検証を行なっていく。 第三回のテーマは、近年日本でも爆発的に人気が出てきた 四川料理と 、中国酒を代表する 紹興酒 との組み合わせ。 余談だが、筆者は生粋の辛党だ。 辛いものを食べ過ぎると味覚が鈍る、だからソムリエは辛いものを食べない 、なんていう謎めいた話もあるが、これは 嘘と誤解 によるものだ。

梁 世柱
2023年8月3日


ガストロノミック・ペアリング <1>
ペアリング研究室の新企画となる ガストロノミック・ペアリング では、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第一回のテーマは、 『とうもろこしのフラン、黒トリュフソース』 。 複雑なペアリングを成立させるための第一歩は、 基礎部分を強固に固める ことにある。 つまり、ロジカル・ペアリングの中でもより優先度が高い、 「酸、甘味、渋味、アルコール濃度」 の4項目で、 「間違えない」 ことが重要となるのだ。 まずは、 ワインの酸 。 カットの対象となる、塩分、油分、脂肪分の全てがやや低めの料理であり、調和の対象となる料理側の酸も無い。 つまり、ワインの酸が高い必要は無い、ということになる。

梁 世柱
2023年7月26日


ナチュラルワイン・ペアリング <5>
「欠陥的特徴」とも呼ばれるナチュラルワインに散見される風味を、あえてポジティヴに捉え、積極的にペアリングで用いていく方法を検証していく当シリーズ。 最終回となる今回は、 「ネズミ臭」 をテーマとして考えていくが、実はネズミ臭だけはポジティヴなペアリングを展開することが非常に難しい。 よって、ネズミ臭に関しては、ペアリング要素としての積極的な使用法ではなく、いかに発現を抑えるかについて検証していく。 ネズミ臭 は、発酵中、もしくは熟成中のワインが、過剰に酸素にさらされたときに起こると考えられている、細菌汚染の一種。現時点での研究では、乳酸菌が主因である可能性が高いとされているが、酵母菌のブレタノマイセスとの関連を指摘する研究結果も報告されている。

梁 世柱
2023年7月15日


ナチュラルワイン・ペアリング <4>
「欠陥的特徴」とも呼ばれるナチュラルワインに散見される風味を、あえてポジティヴに捉え、積極的にペアリングで用いていく方法を検証していく当シリーズ。 今回は、 「ブレタノマイセス」 をテーマとして考えていく。 酵母菌の一種である腐敗酵母菌ブレタノマイセス(通称ブレット)は、葡萄畑や醸造所に潜んでいる。その繁殖力は強力で、支配的になった場合は、 馬小屋臭 とも表現される強烈な異臭を生じさせる。葡萄畑にも潜んでいることから、特にヨーロッパの伝統産地においては、調和の中にある 少量のブレタノマイセスは、複雑なテロワールを形成する要素の一つとして考えられることも多く、 その場合は、 野性味やなめし革 と言った好意的な表現が用いられる。また、リリース時には支配的であったブレタノマイセスは、5~10年程度の熟成によって、美点とも捉えることができる変化に至るケースがある。 ブレタノマイセスは、還元臭と同様に「アロマ」の一種と考えるため、ペアリングにおけるポジティヴな利用方法は、「風味」の一点張りとなる。 ここでも、基本的な考え方は、 よく似た風味同士の調和 だ。

梁 世柱
2023年6月24日


たこ焼きでスリーランホームラン
大阪人のソウルフードといえば、 たこ焼き だ。 大阪で生まれ育った筆者も、幼い頃は「たこ焼きが主食」だったと言えなくもない程度には食べていた。なにせ、実家の隣家に住んでいたおばあちゃんが、ご自宅の一部をたこ焼き屋にしていたし、斜め向こうにも別のお店があったのだ。(ついでに、実家の目の前はお好み焼き屋だった。) そんな大阪で、たこ焼きとワインのペアリングといえば、なぜか シャンパーニュが大定番 。

梁 世柱
2023年6月22日


ナチュラルワイン・ペアリング <3>
「欠陥的特徴」とも呼ばれるナチュラルワインに散見される風味を、あえてポジティヴに捉え、積極的にペアリングで用いていく方法を検証していく当シリーズ。 今回は、 「還元臭」 をテーマとして考えていく。 還元臭は、ワインが嫌気的環境に晒された時、及び発酵中のワインに窒素が欠貧した際などに発生する。軽度の場合は、 火打ち石 の様な香りを発し、欠陥とはされず、クラシック・ワインの中にこの香りが出ているワインは多々存在している。重度の場合は、亜硫酸の揮発に由来する茹で卵を思わせる 硫黄臭 (白ワインで特に顕著)や、チオールに由来する 焼けたゴム の様な強烈な香り(赤ワインとオレンジワインで特に顕著)が生じる。 デキャンティングやスワリング等の手段で、ワインを空気に触れさせると、不快臭を揮発させることも可能ではあるが、現実的な範囲の時間内で改善するとは限らない。また熟成によって、還元的特徴が潜むことがあるが、逆により強まってしまうケースもあるため、確実な予測を立てた対処は非常に難しい。 還元臭はシンプルに「アロマ」の一種であるため、ペアリングにおけるポジティヴ

梁 世柱
2023年6月8日


難易度Maxなトムヤムクン
無類の辛党である私がこよなく愛する料理の一つが、 タイ料理 。 これまでに訪れた国々の中でも、ここの料理なら毎日食べても平気、と思える数少ない国の一つでもある。 そんなタイを代表する料理といえば、 トムヤムクン で間違いないだろう。 世界三大スープの一つ?などとも呼ばれるこの料理は、 唐辛子の辛味、タマリンドやライムの酸味、レモングラスやバイマックルー(コブミカンの葉)、パクチーの香り が特徴的な一皿。 パンチの効いた辛味と酸味、そして東南アジア圏特有のハーブ感が調和し、立体的で奥深い味わいが形成される。 その料理としての完成度は、確かに世界三大スープと呼ばれても納得の高さだ。 しかし、 トムヤムクンとのワインペアリングは難易度最高レベル 。 スパイス、ハーブのニュアンスが 非常にピンポイント な上に、スープの強い 酸味 、そして 軽いテクスチャー にも対応させる必要がある。

梁 世柱
2023年5月18日


ナチュラルワイン・ペアリング <2>
ナチュラルワイン・ペアリング・シリーズの第二弾以降では、「 欠陥的特徴 」とも呼ばれるナチュラルワインに散見される風味を、あえて ポジティヴ に捉え、積極的にペアリングで用いていく方法を検証していく。 その初回となる本稿では、 揮発酸 に関して考えていく。 揮発酸は、発酵が長期に渡った場合、好気的環境下におかれた場合等に発生し、支配的になると、 除光液 とも表現される様な、鼻腔に突き刺さる鋭い香りとなる。最悪の場合はワインを酢に変えてしまうため、各国の原産地呼称制度で含有量が規制されているケースも多い。 ワインに含まれる揮発酸の中でも、不快臭として欠陥扱いされることが多いのは、 酢酸と酢酸エチル だが、実際には、ワインの香味を構成する重要な要素の1つであり、正しい調和の中で存在している場合は、 梅しそ、アセロラ、ラズベリー、パッションフルーツ、グレープフルーツ を思わせる香味をもたらし、ワインに複雑性を与える要素として、 必ずしも欠陥として捉えられるわけではない 。 ペアリングで揮発酸を利用する際には、これらの特徴から導き出される、 大きな2つの

梁 世柱
2023年5月10日


日本料理と酸
日本料理と日本酒 の間には、ワインの世界で言うところの「 クラシックペアリング 」となる組み合わせが多々存在している。 その 結びつきは非常に強力 で、そうそう簡単にワインが「それ以上の」組み合わせとなることは無い。 ロジカルな側面 からその理由を説明すると、 塩分、脂肪分、油分、酸の全てが控えめな 日本料理は飲み物に対して強い「酸」を求めることが少ないから (ご存じの通り、日本料理は非常に幅広いため、例外となるケースも多くある) 、となる。 もちろん、日本料理とワインの組み合わせの中には、大変興味深いものや、非常に完成度が高いものも少なからずあるし、私自身深い研究を重ねてきた分野ではあるものの、「結局日本酒と合わせた方がペアリングとしての完成度が高い」という結論に至ることは、決して珍しくないのだ。

梁 世柱
2023年5月5日


ナチュラルワイン・ペアリング <1>
より精密で完成度の高いペアリングを目指す場合、 ペアリング理論に基づいた構築 は大きな助けとなる。少なくとも、ロジックをしっかり守ることによって、 ペアリングの失敗は非常に高い可能性で防げる ようになるのだ。 しかし、その強固なロジックを、 相当程度無視できるタイプのワイン が存在している。 そう、いわゆる ナチュラル・ワイン と呼ばれるものだ。 ナチュラルワイン・ペアリングのシリーズでは、ナチュラルワインだからこそできる、特殊なペアリング方法に関して、検証を行なっていく。 まず注目したいのは、ナチュラルワイン特有の「 浸透力 」に関して。 ナチュラルワインが有する「浸透力」を、科学的に証明することは難しいかも知れないが、 実際に確認できる物理的現象 として、存在している可能性は高いと考えられる。

梁 世柱
2023年4月25日


ポトフとシードル
なんだかジブリ映画になりそうなタイトルだが、このペアリングは狙ってやったのではなく、 偶然によって生まれた 。 そして、意図していたわけではないので少々悔しいが、実に美味しかった。 ポトフ といえば、 フランスの良く知られた家庭料理。 分かりやすくいうと、「 フランス版おでん 」のような食べ物だ。(フランス人からしたら、日本のおでんが日本版ポトフなのだろうけども。) 色んな肉類やソーセージ、ベーコンなどを、かなり大きめにカットした玉ねぎ、ニンジン、キャベツ、じゃがいもなどと一緒にコンソメで煮込むだけ。 仕上げにハーブを添えたり、黒コショウを散らせば完成だ。 味わいは「素朴」という言葉がぴったりで、良く言えば野菜やお肉の素直な味わいが楽しめる料理、悪く言えば意外と無表情で平坦な料理、となるだろうか。 その味わいの平坦さ故に、基本的にはカットした肉や野菜に 粒マスタード を結構しっかりと塗って食べるのが一般的。 おでんに和辛子を塗るのと一緒だ。 さて、夕食にポトフなどと洒 落込んで みたのだが、冷蔵庫を開けると(筆者宅にはワインセラーは無い)、どうに

梁 世柱
2023年4月15日


Not a Wine Pairing <2> 抹茶と和菓子
クラシック・ペアリングというものは、何もワインの専売特許という訳ではない。 特定の食と飲が同一文化の中で共存し続けた結果、一部の組み合わせが完璧なクラシックへと昇華する例は、世界各地に少なからず存在する。 ペアリングの新シリーズ「 Not a Wine Pairing 」では、『ワイン以外のクラシック・ペアリングから、ワイン専門家や愛好家が何を学べるのか』をテーマとして、様々な検証を行なっていく。 第二回のテーマは、日本を代表する伝統的なペアリングである「 抹茶と和菓子 」。 まずは、本題に入る前に、ペアリングの法則を一つおさらいしておこう。 食べ物に相応の甘味(砂糖などの甘味料の添加によってもたらされた甘味)が存在している場合、合わせる飲み物はそれ以上に甘い必要がある。 この法則は、数多いペアリング理論の中でも 無視できるケースが非常に限られる ものとなるため、基本的には守るにこしたことは無い。

梁 世柱
2023年3月28日


完璧なクラシック
その土地の料理とワインが、長年に渡って「共に在った」結果として、両者の間に強力な繋がりが自然と形成されることがある。 しかし、軽い繋がり程度であれば、例は無数に存在しているが、 完璧とも言えるクラシック・ペアリングへと昇華したケースは稀 と言えるだろう。 一般的なイメージとは違い、実際のところは多くの「クラシック」が かなり適当 なペアリングだったりするのだ。 さて、今回ご紹介するのは、完璧と断言できるケース。 イタリア・トスカーナ州の名物料理である ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ と、サンジョヴェーゼを主体とした同州の名ワインという組み合わせだ。

梁 世柱
2023年3月9日


ナポリタンを攻略
2022年は、意外なクラシック洋食がリバイバルされ、ちょっとしたブームを巻き起こした。 そう、 ナポリタン だ。 ナポリタンと言えば、古き良き 喫茶店や洋食店の味 。 ブヨブヨにゆでたパスタを、炒めた玉ねぎ、ピーマン、ベーコン(ハムやウィンナーの場合も)などの具材とたっぷりのケチャップで絡めた、日本発祥のパスタ料理だ。 何よりも特徴的なのは、そのパスタの柔らかさ。 クラシックなレシピでは、パスタを芯がなくなるまで柔らかくゆでた上で、サラダ油で和えて、冷蔵庫で寝かしておく。 これは、忙しい(忙しかった、とすべきか)喫茶店や洋食店では、「時短策」として有効な手法だった。 さらに、 味付けに砂糖が用いられることが多い のも特徴と言えるだろう。

梁 世柱
2023年2月2日


Not a Wine Pairing <1> クリームティー
クラシック・ペアリングというものは、何もワインの専売特許という訳ではない。 特定の食と飲が同一文化の中で共存し続けた結果、一部の組み合わせが完璧なクラシックへと昇華する例は、世界各地に少なからず存在する。 ペアリングの新シリーズ「 Not a Wine Pairing 」では、『 ワイン以外のクラシック・ペアリングから、ワイン専門家や愛好家が何を学べるのか 』をテーマとして、様々な検証を行なっていく。 第一回のテーマは、ワインと食というイメージからはどうにも遠い、 イギリス のクラシック・ペアリングである「 クリームティー 」。

梁 世柱
2023年1月18日


タコライスは強敵!
我々が日常的に食す料理、食材の中には、真面目にペアリングを考えようとすると、かなりの難敵となるものがある。 例えば、 ラーメン、うどん、蕎麦 といった 「汁+麺」 にカテゴライズされる料理は強敵揃いだし、 納豆 のような特殊な発酵食、 梅干し のような五味が極端に偏っているものも難しい。 ただし、ここでいう「難しい」というのは、不可能と同義ではなく、 実際には攻略可能なのだが、その攻略法そのものが特殊かつ、一般受けしづらい もの(梅干しと貴腐ワインなど)になりがちだ。 さて、今回挑むカジュアルフードは タコライス 。 沖縄県の料理であることは良く知られているが、その実態は一般的な日本料理からは程遠く、カレーライスやハンバーグと同様の「日本風洋食」と考えて差し支えない。 (そもそも、その起源は沖米国海兵隊の間で人気だったタコスを白飯に乗せた、安価でヴォリューム感のある料理として生まれたものだ。) 基本となるレシピは、 白飯、レタス、トマト、チーズ に牛挽肉をスパイシーに仕立てた タコミート 、もしくはトマトベースの 辛いサルサソース となる。...

梁 世柱
2023年1月4日


意外と強敵?豚の生姜焼きとペアリング
師走真っ盛りの12月。 夏バテと並ぶ「お疲れシーズン」のため、少しでもスタミナを補充しようと、家庭でこのメニューが登場することも多いだろう。 そう、 豚の生姜焼き だ。 シンプルな食材構成、簡単な仕込み、手短な調理、そして抜群のスタミナ補給力。 そんな家庭の味方には、 良く冷えたビールを 、と言いたいところだが、ワインで合わせるのも、ちょっとしたご褒美感があって良いものだ。 さて今回は、豚肉以外の食材を 玉ねぎ、生姜、りんご (定番レシピ)に限定して検証してみようと思う。 大前提として、豚肉、特に生姜焼きに使うような ロース は、 基本的には白ワイン向きの食材 だ。 しかし、 食材単体として見てしまうと、あらゆるタイプの白ワインが候補に上がってしまう ため、 副材料で焦点を定めていく 必要がある。

梁 世柱
2022年12月17日


蒸し野菜をさらに美味しく!?
野菜の一番好きな食べ方は?と問われると、迷うことなく「蒸し」と答える。 水分を含んで柔らかくなったテクスチャー、存分に引き出される甘味、皮のマイルドな苦味が、シームレスに繋がる。 野菜の「質」が味わいに大きく影響する料理でもあるため、さらなる美味しさを求めるとコストが意外と高くなってしまうのは難点だが、体に良いのはもちろんのこと、塩やソースで味付けを自由に変えることも可能なので、様々な楽しみ方ができる。 さて、このような料理は、 ワインペアリングの基礎技術を習得する上でも最高の教材 となる。 まずは、 NG例 から考えていこう。 多くの蒸し野菜にとってNG対象となりやすいのは、 渋味の強い赤ワイン だ。 タンニンとたんぱく質の互いに結びつこうとする性質 、がNGの理由となる。 つまり、 料理にたんぱく質がほとんど含まれていない場合、ワインのタンニンが行き場を失って暴走し、結果として苦味に近い味わいが生じてしまう 、ということだ。 一方で、 軽いタンニンの赤ワインなら問題とならないケースもある が、ここにも理由がはっきりとある。一部の緑野菜や、根野

梁 世柱
2022年12月3日
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