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- 葡萄品種から探るペアリング術 <4>カベルネ・ソーヴィニヨン
葡萄品種から探るペアリング術シリーズは、特定の葡萄品種をテーマとして、その品種自体の特性、スタイル、様々なペアリング活用法や、NG例などを学んでいきます。 今回は、 カベルネ・ソーヴィニヨン をテーマと致します。 また、このシリーズに共通する 重要事項 として、葡萄品種から探った場合、 理論的なバックアップが不完全 となることが多くあります。カジュアルなペアリングの場合は十分な効果を発揮しますが、よりプロフェショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 カベルネ・ソーヴィニヨンのスタイル テロワール、栽培、醸造に対して敏感である一方で、 品種自体の個性が非常に強く 、ブレンドに10%程度含まれているだけでも、カベルネ味になってしまうほど、 主張が強い品種 でもあります。国際品種としては最も成功したものの一つですので、文字通り、世界中で栽培されています。 カベルネ・ソーヴィニヨン( 以降、CSと表記 )は大別すると以下のように分かれますが、共通して 樽熟成が基本 になっています(新樽比率はワインごとに大きく異なる)。 1. ボルドー左岸型 :CSを主体として、他のボルドー品種(主にカベルネ・フラン、メルロー)とのブレンドを前提としたスタイル。 2. ニューワールド型 :CS単一で造られるスタイル。 3. ローカルブレンド型 :各地方のローカル品種(国際品種の場合も)とのブレンドを前提としたスタイル。イタリア・トスカーナ地方のサンジョヴェーゼとのブレンド(スーパー・トスカン)、オーストラリアのシラーズとのブレンドが特に良く知られています。 また、全てのスタイルが、気候タイプを基本ベースに、 さらにオールドワールド系かニューワールド系に細分化 されます。
- オレンジ色の夢の続き <オレンジワイン特集前編>
オレンジワインは、過去からの手紙を収めたタイムカプセルのような存在だ。そこには、センチメンタルな美しさと儚さがあり、時空を超えたノスタルジーがある。近代的醸造技術が発した同調圧力は、強引な都市開発が古民家を破壊し尽くすかのように、そこにあったはずの確かな価値を、文化と伝統の墓場へと放り込んだ。しかし、地中深くに埋められた古典美は、志高き英雄達によって掘り起こされ、再興の道のりを力強く一歩一歩踏みしめながら、進んできた。 改めて向き合おうと思う。オレンジワイン再興の物語と。そして、その夢の続きと。 名称と色 オレンジワインというカテゴリー名は、 2004年にイギリスのワイン商であるDavid A. Harvey によって考案された。オレンジワインに関する最古と目される歴史をもつ ジョージア では、歴史的に「 アンバーワイン (琥珀色のワイン)」という意味をもつ Karvisoeri ghvino という呼称が用いられてきたため、正にジョージアスタイルのオレンジワインをアンバーワインと呼ぶことも多いが、 単純に「カテゴリー名」としての機能を考えた場合、圧倒的な認知度を誇るオレンジワインの明確な勝利と言える 。歴史と文化へのリスペクトという点を鑑みても、このカテゴリー名称論争に意義はあまり無い。カテゴリー名とは、 共通言語としての役割を与えられた記号 である。つまり、より多くの人に伝わる言葉こそがその役割を最も的確に果たしている。 オレンジという言葉につられて、色から判断した否定的意見も非常に多く見られるが、この点に関しては、あまりにも短絡的であると断ずるしかない。 真っ白な白ワインも、真っ赤な赤ワインも存在していないのに、なぜオレンジワインにだけは「オレンジ色」であることを求めるのか 。 暫定的定義 世界的に認められるオレンジワインの明確な定義は、まだ確立していない。しかし、総体としての暫定的定義であれば、十分に有効と言える段階までは、オレンジワインへの理解が進んできているのも事実だ。本稿においても、現実点(2021年)での暫定的定義を、筆者なりの視点から、解説も含めて項目ごとに纏めておく。 *使用葡萄* 白葡萄、及びグリ色葡萄 解説 :グリ色葡萄を除外した場合、北イタリア・フリウリ州の伝統的なラマート(詳しくは後述)から発展した数々のワイン(グリ色葡萄を醸し発酵したワイン)が、カテゴリー不明となる。現時点では、このタイプに限定したカテゴリーを新たに生み出すよりも、オレンジワインの定義の中に含めた方が分かりやすい。 *醸造法* 葡萄の果皮(場合によっては種や茎も)を果汁に浸漬させた状態で、24時間以上発酵する 解説 :グリ色葡萄のオレンジワインと、ロゼワインの境界線や、非常にライトなスタイルを考えた場合、24時間というラインが妥当と考えられる。また白ワインの醸造でも非常に一般的なコールド・マセレーション(発酵が始まらない低温に維持した果汁に、果皮を漬け込む工程)は、「発酵していない」という点が極めて重要なポイントとなり、白ワインとオレンジワインを明確に隔てている。
- Advanced Académie <11> ミネラルの香り
「ミネラルの味」 で述べた通り、ミネラルの味わい、もしくは味わいのようなもの、は消去法的なテイスティングによって、探し当てることができる。 では、香りの場合はどうだろうか? 基本的に 無味無臭 であるはずの ミネラルの香り の正体とは? 火打ち石、チョーク、貝殻、鉛筆の芯、インク、濡れた土、岩塩、血(鉄分) 。一般的に香りとしての「ミネラル感」を表現するこれらの正体は、ほぼ全てが 揮発性硫黄化合物とチオール化合物 で説明がつくと考えられている。 ワインに最終的にそれらの香りをもたらす要因は、いくつか判明している。 うどんこ病 の予防に使用される 硫黄粉剤 と、醸造時に酸化防止剤や抗菌、殺菌剤として使用される 亜硫酸 は、ワインに含まれる 揮発性硫黄化合物 との関連が指摘されている。 また、 バトナージュ、シュール・リー、スキンコンタクト といった醸造手段は、 チオール化合物 の生成に関わっている。 一部のワインに含まれる 炭酸ガス は、酸味と塩味を強調する性質から、これも「ミネラル感」と認識する人が一定数以上いる。
- Advanced Académie <12> フィロキセラ
SommeTimes’ Académie <14> ブドウの虫害と生理障害 でも簡潔に触れたが、本稿ではワイン産業の歴史上、最も猛威をふるった害虫である フィロキセラ の詳細を追っていく。 そもそもなぜ、フィロキセラが世界中のワイン産業を壊滅寸前にまで追い込むほどの被害を及ぼしたのか。理由は至って単純なものだ。世界中で造られているほぼ全てのワインは、 ヴィティス・ヴィニフェラ (以降、ヴィニフェラと表記)という ただ一つの種に属するブドウ から造られていて、フィロキセラはヴィニフェラにとって 最悪の天敵 だった、ということだ。クローン増殖によって、 遺伝的多様性が失われていた こともまた、 天敵に対する脆弱性 を高める要因となった。 フィロキセラ禍の経緯 19世紀の初めごろ から アメリカ産葡萄がフランスに輸入され始めた が、その時は恐るべき付属物が未知の葡萄と共に渡来するなど、誰も想像していなかった。植物の輸出入に関して厳しい検疫をするという考えは、当時ありもしなかったのだ。 最初にヴィニフェラを攻撃したのはフィロキセラではなく、 うどんこ病 だった。 1845年 にイングランド・ケントで発見されたうどんこ病は、僅か数年の間にヨーロッパ中のヴィニフェラに襲いかかり、経験豊富な葡萄栽培家たちをパニックに陥れた。フランスのように、うどんこ病によって 生産量の60%以上を失った 国は少なくない。幸いなことに、うどんこ病の原因となる ウドンコカビ に対して、 硫黄粉剤が有効 であることが、かなり早期のうちに判明した。硫黄粉剤が 比較的安価 であったことも、問題の早期解決にとって、プラスに働いたため、ヨーロッパのうどんこ病被害は、 1858年頃には終息 した。 うどんこ病の撃退に成功してから間もない 1862年 、ついにフィロキセラという悪魔がやってくる。不幸にもこの悪魔を最初にヨーロッパの地に招いてしまったのは、 南仏のガール県 でワイン商を営んでいた、 ジョセフ=アントワーヌ・ボルティ という人物だった。自身が管理する小さな葡萄畑に ニューヨークから購入した苗 を植えたが、僅かに 2年後には周辺の葡萄が枯れ始めた 。この「原因不明」の現象は瞬く間にローヌ南部全体を襲い、1868年にはラングドック地方に進出。 1880年頃までにフランス全土に蔓延 し、ついにヨーロッパ各地へと猛烈なスピードで広がっていった。
- SommeTimes Académie <15>(ワイン概論11: 農法1)
本稿では、ワイン醸造を目的とした葡萄栽培において、目にする機会の多い農法に関して、学んでいく。なお、いくつかの農法に関しては、Advanced Académieにて、より詳細な内容に触れていく。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。 慣行農法 「慣行」とは広く一般的に実施されている、習慣的に行われている、といった意味合いをもつ言葉であるが、農法に関して用いられた場合、「各地域において一般的な量の化学肥料と農薬を使用した農法」を意味する。モノカルチャー(一定区画内で単一の作物のみを栽培する)と、効率よく安定した大量生産を前提とする現在の慣行農法は、1940年代以降からロックフェラー財団主導の元、「緑の革命」の狼煙と共に、世界各国に広まった。 SommeTimes’ View 慣行農法は第二次世界大戦後、先進国に限らず、数々の発展途上国における 食糧危機も救ってきた 。そして、ワイン産地においても、 戦後の深刻な人手不足による影響を、相当程度緩和してきた 。それらは確かな事実であるが、作物が吸収しきれなかった 窒素やリンが地球温暖化も含む深刻な環境破壊に繋がってきたことが判明 している今、SDGsの推進という意味においても、慣行農法は極めて難しい立場に置かれている。一方で、 食糧安全保障 の観点から見ると、オーガニックへの全面的な移行(回帰)は、地球の人口が増え続ける中で、食糧危機を招くリスクが高いと議論されてきた。つまりオーガニックは世界を養えない、という主張だ。実はこのもっともらしい主張は、科学的根拠に著しく欠けているのだが、反論もまた根拠に欠けるものが多く、 議論は堂々巡りを繰り返してきた 。
- ジョージアの試練 <オレンジワイン特集後編>
イタリアとスロヴェニア の国境地帯に股がる ゴリツィア の地から始まった オレンジワインの再興 は、消滅寸前まで追い込まれていた、 古代のワイン文化 を発掘した。 ジョージア と、ジョージアの伝統的な クヴェヴリ(*1)による醸造 、そして白葡萄の果皮を漬け込んだまま発酵した オレンジワイン である。大多数の現代的なワイン市場にとっては、ジョージア産オレンジワインは、まるで人類の前に突如姿を現した シーラカンスのような存在 であった。しかし、そのショッキングな登場から10年以上が経過し、今改めてジョージアの古代ワイン文化は、問われている。 骨董品として何も変わらない姿であり続けるのか、古代の文化を継承した現代のワインであるべきかを 。 *1: ジョージアで用いられる素焼きの土器。円錐形で地中に埋めて使用される。ジョージアの西側ではチュリとも呼ばれる。 ジョージアワイン文化の始まり 歴史の話を楽しめるかが、人それぞれなのは重々承知している。しかし、ジョージアの、そしてオレンジワインの理解を深めるためには、歴史を知ることは必須と考える。しばらく、お付き合いいただきたい。 ジョージアのワイン造りが、 8,000年 を越える歴史を誇っていることは、すでに広く知られていることだろう。 Transcaucasia (コーカサスの向こう側)とも呼ばれる、 コーカサス山脈南側のエリア (現在のアルメニアの全て、ジョージアとアゼルバイジャンのほぼ全て、イランとトルコの一部がTranscaucasiaに含まれる)は、20世紀初頭には、ロシアの植物学者 ニコライ・イヴァノヴィッチ・ヴァヴィロフ博士 によって、 ヨーロッパ葡萄 (ヴィティス・ヴィニフェラ)と ワイン文化発祥の地 である可能性が指摘されていた。しかし、謎に包まれたワインの起源が解き明かされ始めたのは、 1990年代以降 のこととなる。アメリカ・ペンシルヴァニア大学に所属し、古代の食物や飲料の解析を専門とする考古学者、 パトリック・エドワード・マクガヴァン博士 が、 イラン北西部 に位置する ザグロス山脈 にあった新石器時代の集落跡で発見された土器から、ワイン造りの痕跡と目される 酒石酸塩と樹脂 (現代まで続くギリシャのレッツィーナと同様に、ワインの保存性向上を目的として使用されたと推察される)を検出、紀元前5,400~5,000年の時代に使用されたものであるとの解析結果を発表したのだ。 マクガヴァン博士による、イランでの発見が公表された当時でも、ジョージアこそが世界最古のワイン産地であるという仮説(葡萄をモチーフにした装飾が施された、紀元前6,000~5,000年頃のものと目される土器がジョージアで発見されていた)を支持する考古学者は多かった。しかし、ジョージアの政治的不安定(詳しくは後述)が主因となり、本格的な調査が始まったのは2006年にまでずれ込んだ。この頃には、ワインに関する考古学調査は格段に精度を高めていた。酒石酸塩と樹脂だけではなく、炭素年代測定、遺伝子解析、超解像顕微鏡の使用に加え、生体分子考古学、植物考古学、葡萄遺伝子学、地質学といった分野からも「証拠」を積み上げることによって、仮説の立証をより強固なものにする体制が整えられていたのだ。 2014年 に、 National Wine Agency of Georgia が、ジョージアと世界各国の考古学調査機関が協力する「 Research Project for the Study of Georgian Grapes and Wine Culture 」を立ち上げると、調査は一気に加速した。調査の中心地となったのは、ジョージアの首都トビリシから50kmほど南下した Marneuli(マルネウイ) という街の周辺にある、 Shulaveri Gora(シュラヴェリ・ゴラ)、Gadachrili Gora(ガダチュリリ・ゴラ)、Imiri Gora(イミリ・ゴラ) という三箇所の密集した遺跡群。調査チームの中でも、特筆すべき発見をしたのは、ジョージアとカナダの共同調査プロジェクトである「The G adachrili Gora R egional A rchaeology P roject E xpedition」(通称 GRAPEプロジェクト )だ。GRAPEプロジェクトは、2016年にシュラヴェリ・ゴラ遺跡で出土した土器から、紀元前6,000~5,800年と解析されたワイン造りの痕跡を発見した。また2019年には、ガダチュリリ・ゴラとシュラヴェリ・ゴラ遺跡で発掘された8つの土器に付着していた酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等を解析し、他分野の解析も統合参照した結果、少なくとも紀元前6,000年にまで遡れることが発表された。現在でも、調査プロジェクトはさらなる発掘を進めており、より年代の古い証拠の発見に期待が寄せられている。 あくまでも、これらの調査結果から、「現時点では」ジョージアが世界最古のワイン産地とされているが、考古学というのは、新たな発見によって簡単に覆されるものである、ということを忘れるべきでは無い、とだけ記しておく。
- Advanced Académie <13> リュット・レゾネ
SommeTimes Academie <15> 農法1 でも簡潔に触れたが、本稿では近年ますます重要性を増している減農薬農法であるリュット・レゾネに関して、詳細を追っていく。 理想論 で言えば、世界中の全ての葡萄畑がオーガニックに準じた農法に完全に転換した方が良いのは当然なのだが、ワイン産地の気候条件と生産体制によっては、 オーガニック化があまり現実的とは言えないケースも多々ある 。そこで、「 科学的に農薬を減らす 」ために発展してきたのが、 リュット・レゾネ だ。 オーガニック化が難しい気候条件 基本的には、 温暖湿潤地はオーガニック栽培が難しくなる 。湿気と高温によって カビ系病害 が蔓延しやすいためだ。なお、湿気が問題になるのは、 生育期の雨 であるため、年間降水量が多くても、冬季に集中して降水する地域であれば、問題となることは少ない。 オーガニック化が難しい生産体制 簡単にいうと、 低価格ワインを大量生産 するタイプの生産体制では、オーガニック化が難しくなる。 生産量が大きく減少するリスク と、 栽培にかかるコスト (主に人件費)が重くのしかかるためだ。オーガニック栽培の低コスト化への取り組みは順調に進んできているものの、まだまだ完璧には程遠い。高価格ワインの場合は、大量生産型(ボルドー、シャンパーニュ型)でも少量生産型(ブルゴーニュ型)であっても、同様のリスクは間違いなくあるが、「より高価格で販売する」という逃げ道も一応はある。
- SommeTimes Académie <16>(ワイン概論12: 農法2)
本稿では、ワイン醸造を目的とした葡萄栽培において、目にする機会の多い農法に関して、学んでいく。なお、いくつかの農法に関しては、Advanced Académieにて、より詳細な内容に触れていく。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。 ビオロジック オーガニック農法とも呼ばれる。 化学合成農薬、化学肥料を使用せずに、土壌の力を引き出す有機農法 。しばしば誤解されるが、 ビオロジック=完全無農薬ではなく 、葡萄栽培においては特に重要となる、 うどんこ病 への対策で必須の 硫黄粉剤 や、 ベト病 への対策で必須の ボルドー液 (硫酸銅と消石灰の混合溶液)をはじめとして、実際には 天然物及び天然物由来の一部の農薬に限って 、使用が認められている。しかし、それらの認可農薬の使用はあくまでも 最終手段 であるというのが基本原則であり、可能な限り 耕種的防除、物理的防除、生物的防除の適切な組み合わせによって防除する ことを強く推奨している。ビオロジックに関しては、Advanced Académieにて、さらに詳細を追っていく。
- 葡萄品種から探るペアリング術 <1> シャルドネ
これまでペアリング研究室では、ペアリング理論の基礎をカヴァーし、その応用や実践、肉や魚といった特定の食材グループへの対応方法、そしてノンアルコールペアリングについて学んで来ましたが、ペアリングの新たなシリーズとして「 葡萄品種から探るペアリング術」 というシリーズを開始致します。第一回は シャルドネ をテーマと致します。また新シリーズの第一回目の本記事は、無料公開と致します。 このシリーズに共通する重要事項として、 葡萄品種から探った場合、理論的なバックアップが不完全となることが多くあります 。カジュアルなペアリングの場合は、十分な効果を発揮しますが、よりプロフェッショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 シャルドネの特徴 「 没個性こそがシャルドネの個性 」とも言われるほど、実はシャルドネという葡萄そのものは、個性に乏しい品種です。しかし、テロワールや醸造方法に極めて敏感に反応する性質があるため、幅広い理解と経験を必要としてくる品種でもあります。 シャルドネは、二つの気候的条件(テロワール)と二つの醸造的条件によって、合計4種類のスタイルに分けることができます。やや大雑把な分け方ではありますが、ペアリングで考慮していく要素としては、十分に機能します。 1. 冷涼気候・樽無 2. 冷涼気候・樽有 3. 温暖気候・樽無 4. 温暖気候・樽有 がその4種類のスタイルとなります。MLF発酵の有無、バトナージュの有無といった要素も一応関連はしてきますが、気候と樽に比べると、遥かに優先度が落ちますので、慣れないうちは無視してしまってかまいません。
- テイスティングコメントの不完全さ
ワインをよく知っている人が、あまり知らない人に対してワインについて語る際、 専門用語を連呼 してしまうと、それらの言葉を知らない人にとっては、まるで 理解のできない呪文 のような謎の言葉を延々と繰り返される状態になり、多くの人は(せっかくの素晴らしいかもしれない情報が!)全く頭に入ってこないだろう。そこで役に立つのが、 テイスティングコメント だ。テイスティングコメントには、イチゴ、レモン、リンゴといったおそらく誰でも理解できるタイプのものもあれば、 麝香 (*1)のように、大多数の人にとっては 完全に意味不明 なものもある。テイスティングコメントを理解するのにも、 多少の訓練と勉強は必要 だが、基本的にはそれほど難しくはない。これまでワイン教育の現場に深く関わってきた経験上、多少努力すれば 99%の人は問題なく使いこなせるようになる と断言できる。その程度の難易度ということだ。上級者にとっても、初心者にとっても重要で大変便利なこの「 共通言語 」は、世界各国のあらゆるワイン教育機関で採用され、それぞれ微妙なヴァリエーションの違いはあれど、大筋では似通っている。 *1:ジャコウと読み、ムスクとも表現される香り。雄のジャコウジカの腹部にあるジャコウ腺から出た分泌物を乾燥させた香料の一種であるが、長いワイン経験をもつ筆者でも、本物を嗅いだことはない。かなり頻繁に、ソーヴィニヨン・ブランの香りを表現する言葉として用いられるが、正しく用いられているかどうかは、非常に怪しい。 しかし、テイスティングコメントは、コミュニケーションには役立つものではあるが、 品質評価、特性表現 、という観点から見ると、 非常に不完全 なものである。
- Advanced Académie <14> ビオロジック
SommeTimes Academie <16> 農法2 でも簡潔に触れたが、本稿では一般的にオーガニックという言葉が用いられる際の基本となる、ビオロジックに関して、詳細を追っていく。 まずは改めて、ビオロジックの基本に再度ふれておく。 ビオロジックとオーガニック農法は、同一のものであると考えて問題ない。その基本は、 化学肥料、化学合成農薬を禁じ、天然成分由来の有機農薬のみを限定的に認可する農法 である。その点においては、 ビオロジック=無農薬では決してない ため、正しく理解する必要がある。 認可農薬 代表的なものとしては、 うどんこ病対策の為の硫黄粉剤、ベト病対策のためのボルドー液 が挙げられる。そして、これら二つの農薬は、ビオロジック農法が抱える 本質的な危うさ を象徴している。硫黄粉剤の一部はGHS(*1)の区分によると1A、つまり、 人に対する発癌性が認められている農薬 である。これは残留農薬という点よりも、散布者への危険度の方が深刻な問題となりうる。また、ボルドー液に含まれる銅は、土壌に蓄積し過ぎて地棲生物(主にミミズ等)に害を及ぼしたり、蓄積した銅が雨などで河川に流出し、その汚染水が灌漑用水等に使用されることによって、悪循環が生まれてしまう恐れがある。食品やワインが含むことができる銅の最大許容量は厳しく制限されており、ボルドー液への依存が高い地域からは、少なくない数で、許容量を大きく超えたワインが報告されてきている。 (*1)GHS: G lobally H armonized S ystem of Classification and Labelling of Chemicalsの略。化学品の危険有害性を、世界統一ルールのもとに分類する機構。 ビオロジックで、なぜそのような問題が発生し得るのだろうか。それは、「 可能な限り耕種的、物理的、生物的防除の適切な組み合わせによって対処する 」、という ビオロジックの大原則が、必ずしも厳格に守られているわけではない ということだ。本来は最終手段として限定的に認められているはずの有機農薬も、節度を守らずに依存してしまうと、たちまち害をなすものとなってしまう。農薬を使えるからといって、楽をして良いわけではない。ナチュラル・ワインの造り手たちの中に、認証に対して否定的な者は決して少なくないが、彼らの多くは実質的には認証の規定よりも厳しい自己規定を設けて畑仕事をしており、認証にかかる費用と、認証の規定そのものの「緩さ」にも疑問を呈している。
- 葡萄品種から探るペアリング術 <2> ピノ・ノワール
ぺアリング研究室の新シリーズ「葡萄品種から探るペアリング術」の第二回は ピノ・ノワール をテーマとします。このシリーズに共通する 重要事項 として、葡萄品種から探った場合、 理論的なバックアップが不完全 となることが多くあります。カジュアルなペアリングの場合は十分な効果を発揮しますが、よりプロフェショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 ピノ・ノワールの特徴 テロワール、栽培、醸造に対して非常に敏感に反応する性質がありますが、同時に一貫したピノ・ノワールならではの個性も、もちあわせています。その美点は、 冷涼気候産地 で真価を発揮すると一般的には考えられていますが、温暖なエリアでも、独特の力強い個性を伴ったワインとなります。そのようなエリアで造られたピノ・ノワールは、より シラー的な味わい となり、ペアリング上でも、シラー寄りの考え方をすべきですので、今回は除外します。高アルコールで濃厚なピノ・ノワールは、かつては多く造られていましたが、現在は明確な減少傾向にあります。 例外はもちろんありますが、ピノ・ノワールは 樽熟成が基本 となります。この点はペアリングにおいて、重要な判断ポイントとなります。 今回は、冷涼気候産地を前提として、新樽の効き具合を、 ライト(10%以下)、ミディアム(40%以下)、ヘヴィー(40%以上) の三段回に分けて、ペアリングを探っていきます。 ピノ・ノワールでペアリングしていく上で、忘れるべきでは無いのは、「 赤ワインのふりをした白ワイン 」と呼ばれるほどの、 圧倒的な汎用性の高さ です。おそらく、 最も広範囲な料理に合わせることができる赤ワインは、ピノ・ノワール でしょう。











