テイスティングコメントの不完全さ

ワインをよく知っている人が、あまり知らない人に対してワインについて語る際、専門用語を連呼してしまうと、それらの言葉を知らない人にとっては、まるで理解のできない呪文のような謎の言葉を延々と繰り返される状態になり、多くの人は(せっかくの素晴らしいかもしれない情報が!)全く頭に入ってこないだろう。そこで役に立つのが、テイスティングコメントだ。テイスティングコメントには、イチゴ、レモン、リンゴといったおそらく誰でも理解できるタイプのものもあれば、麝香(*1)のように、大多数の人にとっては完全に意味不明なものもある。テイスティングコメントを理解するのにも、多少の訓練と勉強は必要だが、基本的にはそれほど難しくはない。これまでワイン教育の現場に深く関わってきた経験上、多少努力すれば99%の人は問題なく使いこなせるようになると断言できる。その程度の難易度ということだ。上級者にとっても、初心者にとっても重要で大変便利なこの「共通言語」は、世界各国のあらゆるワイン教育機関で採用され、それぞれ微妙なヴァリエーションの違いはあれど、大筋では似通っている。


*1:ジャコウと読み、ムスクとも表現される香り。雄のジャコウジカの腹部にあるジャコウ腺から出た分泌物を乾燥させた香料の一種であるが、長いワイン経験をもつ筆者でも、本物を嗅いだことはない。かなり頻繁に、ソーヴィニヨン・ブランの香りを表現する言葉として用いられるが、正しく用いられているかどうかは、非常に怪しい。



しかし、テイスティングコメントは、コミュニケーションには役立つものではあるが、品質評価、特性表現、という観点から見ると、非常に不完全なものである。

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