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SommeTimes’ Académie <66>(フランス・ロワール地方:Anjou & Saumur地区)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はフランス・ロワール地方について学んでいきます。 フランスの銘醸地産ワインが高騰するなか、日常に寄り添うフランチ・ワインの産地として、ロワール地方の価値は一層高まっています。 ロワール地方シリーズ第6回は、「Anjou & Saumur地区」からカベルネ・フランの主要産地を学んでいきます。 ボルドーよりも寒いロワールの地に、なぜカベルネ・フランが根付いたのかは、明確になっていない部分が多く残されています。可能性として挙げられるのは、カベルネ・フラン特有の寒気耐性の高さですが、温暖化の影響が顕著になる前まで、ロワール渓谷で栽培されたカベルネ・フランの潜在アルコール濃度は、10~11%程度の熟度だったとされています。このことからも、ロワール渓谷におけるかつてのカベルネ・フランは、相当程度「補糖」とのセットで成立していたことも見えてきます。 フルボディのワインが強く求められた時代背景に加え、ピラジンの影響を最

梁 世柱
2024年8月23日


SommeTimes’ Académie <65>(フランス・ロワール地方:Anjou & Saumur地区)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はフランス・ロワール地方について学んでいきます。 フランスの銘醸地産ワインが高騰するなか、日常に寄り添うフランチ・ワインの産地として、ロワール地方の価値は一層高まっています。 ロワール地方シリーズ第5回は、シュナン・ブランの銘醸地として知られる「Anjou & Saumur地区」と致します。 また、前回のTouraine地方と合わせて、両地区はカベルネ・フランの銘醸地でもあります。カベルネ・フランを主体としたAOPに関しては、両地区を合わせて、第6回で解説いたします。 Savennières Anjou地区の中でも、辛口タイプのワインを産出する小アペラシオンとして、圧倒的に良く知られているのが、北西部に位置するSavennières(サヴニエール)です。 1970年代後半には、僅か46haにまで栽培面積が落ちていたSavennièresですが、その安定した高品質が認められ、復活の最中にあります。南か

梁 世柱
2024年8月7日


SommeTimes’ Académie <64>(フランス・ロワール地方:Touraine地区)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はフランス・ロワール地方について学んでいきます。 フランスの銘醸地産ワインが高騰するなか、日常に寄り添うフランチ・ワインの産地として、ロワール地方の価値は一層高まっています。 ロワール地方シリーズ第4回は、シュナン・ブランの銘醸地として知られる「Touraine地区」と致します。 シュナン・ブラン この品種の歴史を紐解くと、最古の記述は1496年にまで遡ることができます。 トマ・ボヒエなる貴族が、ロワール渓谷の古城群でも際立って名高いシャノンソー城周辺に葡萄畑を開墾し、アンジュから葡萄を持ち込んだとの記録があり、この「アンジュの葡萄」は、シュナン・ブランであったと確実視されているため、少なくとも1496年以前から、ロワール渓谷にシュナン・ブランが根付いていたことが確認できます。

梁 世柱
2024年7月11日


SommeTimes’ Académie <63>(フランス・ロワール地方:Centre Nivernais地区:後編)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はフランス・ロワール地方について学んでいきます。 フランスの銘醸地産ワインが高騰するなか、日常に寄り添うフランチ・ワインの産地として、ロワール地方の価値は一層高まっています。 ロワール地方シリーズ第3回は、ソーヴィニヨン・ブランの殿堂として知られる「Centre Nivernais地区:後編」と致します。 今回は、Centre Nivernais地区のSancerreとPouilly-Fumé(以降PFと表記)に関して、より深く学んで行きます。 全体像 『サンセールは春のようで、プイィ=フュメは夏のようだ。』 故キット・スティーヴンスMWは、SancerreとPFの違いをこう詩的に表現しました。

梁 世柱
2024年6月27日


SommeTimes’ Académie <62>(フランス・ロワール地方:Centre Nivernais地区:前編)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はフランス・ロワール地方について学んでいきます。 フランスの銘醸地産ワインが高騰するなか、日常に寄り添うフランチ・ワインの産地として、ロワール地方の価値は一層高まっています。 ロワール地方シリーズ第2回は、ソーヴィニヨン・ブランの殿堂として知られる「Centre Nivernais地区:前編」と致します。 Centre Nivernais地区 19世紀初頭まで、現在ではソーヴィニヨン・ブランの産地となっているSancerreは、赤ワインの生産が大半を占めていました。後に白葡萄であるシャスラに大幅に取って代わられましたが、それも19世紀後半のフィロキセラ禍で壊滅しました。 ソーヴィニヨン・ブランの栽培が本格的に始まったのはフィロキセラ禍以降ですが、1930年代中頃まで、 Sancerreのワイナリーはシャンパーニュにバルクワインを送り届けることで生計を立てていました。

梁 世柱
2024年6月14日


SommeTimes’ Académie <61>(フランス・ロワール地方:Pays Nantais地区)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はフランス・ロワール地方について学んでいきます。 フランスの銘醸地産ワインが高騰するなか、日常に寄り添うフランチ・ワインの産地として、ロワール地方の価値は一層高まっています。 ロワール地方シリーズ第1回は、一連のMuscadet系ワインで知られる「Pays Nantais 地区」と致します。 Melon de Bourgogne Muscadet系アペラシオンの主要品種はムロン・ド・ブルゴーニュ(ムロン)、通称ではワイン名と同様にミュスカデと呼ばれます。 公式名にブルゴーニュとつく通り、原産地はブルゴーニュと考えられています。実は、1,395年にフィリップ豪胆公が発令した有名なガメイ栽培禁止令には、ムロンの栽培禁止も含まれていました。

梁 世柱
2024年5月17日


高みへと <ロワール渓谷特集:最終章>
ロワール渓谷のソーヴィニヨン・ブランには、どうも複雑な思いが拭いきれずにいた。セントラル地区は、この品種の世界的聖地とされてきたが、特に日本においてはあまり話題に上がることもないし、レストランやショップでも、それほど見かけるわけでもない。同じくフランス国内にある、その他品種の「聖地」と比べれば、その歴然とした格差に正直驚きも隠せない。一般的なワインショップなら、ブルゴーニュの品揃えはサンセールの10倍を遥かに凌駕するだろう。 価格だけを見れば、もう一つのソーヴィニヨン・ブラン伝統産地であるボルドーの後塵を拝したままどころか、その差はますます広がる一方だ。 ふと、頭によぎる。サンセールやプイィ=フュメは、名前だけの聖地なのかと。フランスの産地である、という理由だけで、聖地に押し上げられた存在なのかと。 オリジンとパーソナリティ ロワール渓谷のセントラル地区(以降、ロワール・セントラルと表記)がソーヴィニヨン・ブランの聖地と見なされてきた確実な理由の一つとして、その歴史を挙げることができる。現時点で判明している限り、ソーヴィニヨン・ブラン発祥の地は、

梁 世柱
2022年5月31日


アイデンティティの行方 <ロワール渓谷特集:第三章 >
悲壮感漂うワイン。 カベルネ・フランから生み出される、ロワール渓谷を代表する数々の素晴らしい赤ワインを一言で表すとそうなる。 華やいだスミレの香りと、力強い大地のトーンが交差し、ワイルドとエレガンスを行き来しながら、メンソールのような心地よい余韻へと誘われる。最高のテロワールと、最適な品種と、奥深い伝統が織り成していた確かな様式美は、その多くがすでに過去のものだ。 かつて、葡萄品種とテロワールの統合的特性である「青い」風味を、絶対的な悪と見なした評論家がいた。彼はそういったワインに平然と60~70点代という低スコアを叩きつけて、ボルドーだけでなく、ロワールのカベルネ・フランという伝統をも、根底から否定した。そこまでなら、ただの一意見に過ぎなかったはずだが、真の問題は別のところにあった。自らの感性を信じず、他者の、しかもたった一人の他者の評価を絶対として信じた主体性なき群衆が、意気揚々と非難の声をあげて同調してしまったのだ。まるで、突然手のひらを返すかのように。 世紀の変わり目を迎える頃には、ロワール渓谷の偉大な赤ワインは、すっかり様変わりしていた

梁 世柱
2022年5月21日


伝統と変化 <ロワール渓谷特集:第二章 後編>
少し古いワイン教本を読むと、ロワール渓谷のシュナン・ブランの特徴として、「濡れた犬」、「濡れた藁」、「濡れた羊毛」といった表現が頻出する。確かにかつて、この地のシュナン・ブランには「濡れた」何かの印象が強く残るものが多かった。その主たる要因として、葡萄の熟度の低さが挙げられることは多いが、温暖化や収穫時期の見直し(より遅摘みへと変化)が進んだ現在は、その特徴はほぼ完全に消失したと言える。 素材の状態が変わると、当然のようにレシピにも変化が起こる。まず、熟度の高まりと、それに並行して広まったオーガニック栽培への転換は、野生酵母での発酵と亜硫酸添加量の大幅な低下と言う一つの大きな流れを生み出した。野生酵母がよりテロワールを正確に表現するかどうかという議論はここではしないが、亜硫酸添加量の低下は、強烈な酸とミネラルで、とにかく「固い」印象の強かったシュナン・ブランに、確かな柔らかさをもたらした。 もう一つの大きな変化は、意外なところから生まれた。空調の導入だ。通年で低温を保てる地下カーヴがほとんどないロワール渓谷では、(主にマロラクティック発酵を防ぐ目

梁 世柱
2022年5月10日


マイナー品種の女王 <ロワール渓谷特集:第二章 前編>
私自身は決して好きではない表現だが、世界三大〇〇という紹介の仕方は、あらゆるジャンルにおいて、非常に一般的だ。もちろん、ワインの世界でも様々な使われ方がされてきた表現だ。一種の思考実験として、この表現を深堀してみると、今まで見えてこなかったものが、突然見え始めることがある。 まずは三大〇〇を黒葡萄に当てはめてみよう。一般論で言うならピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンは確定。三つ目はシラーあたりが妥当だろう。しかし、ピノ・ノワールが含まれることには全く異論は無いが、他の2品種には疑問が浮かんでくる。メルロでもカベルネ・フランでもなく、カベルネ・ソーヴィニヨンだけを三大黒葡萄として含めるのは、アンフェアでは無いだろうか?実際に、最高地点の品質の話をすれば、ボルドー左岸の主体となるカベルネ・ソーヴィニヨン、ボルドー右岸サン=テミリオンで重要な役割を担うカベルネ・フラン、ボルドー右岸ポムロールの主体となるメルロの三者間に、優劣は無い。シラーに関してもそうだ。シラーを主体とした最高のコート・ロティやエルミタージュと、グルナッシュを主体とした最高のシャ

梁 世柱
2022年4月30日


フランスの庭 <ロワール渓谷特集:第一章>
全長1,006km。フランス最長の河川であり、ヨーロッパ全土でも3番目の長さであるロワール河は、色とりどりの恵みを、フランスに、そして世界にもたらしてきた。数々の壮麗なシャトー群は世界中の旅行者を魅了し、アスパラガスやアーティチョークは世界各地のレストランへと届けられる。ヴァランセ、サント・モール、クロタン、セル・シュール・シェールといった、世界に名だたる極上のチーズでも有名だ。そして、「フランスの庭」と称されるロワール渓谷には、広大な「葡萄の庭」が広がっている。約2,000年の歴史を誇るその庭は、まさに楽園。そして楽園に美酒はつきものだ。 歴史 ロワール渓谷におけるワイン造りの歴史に関して、簡潔に触れていこう。 記録上、ワイン造りが始まったのは1世紀の間とされている。古代ローマの政治家であり、自然と芸術に関する歴史的書物である『プリニウスの博物誌』の著者であるガイウス・プリニウス・セクンドゥス(大プリニウス)は、その著書(西暦77年発表)の中でロワール河沿いに広がる葡萄畑に関して言及している。 しかし、ロワール渓谷でワイン造りが盛んになり始めた

梁 世柱
2022年4月15日


再会 <3> 天才と狂人の間で
Nicholas Renard, Lulu 2015. ¥4,700 フランス・ロワール渓谷。多種多様な小産地を内包し、葡萄品種のヴァリエーションも豊か。小産地間にも、使用品種だけでなく、明確な味わいやスタイルの違いがあって、とてつもなく奥が深い産地です。 ロワール渓谷の中に、イタリアの3州分くらいが詰め込まれている、と言っても良いかも知れません。 この渓谷の世間的なスーパースターは、間違いなくソーヴィニヨン・ブランから造られるサンセールとプイィ・フュメですが、シュナン・ブランにとってもロワール渓谷は聖地です。むしろ、フランス内の他の産地や、フランス国外でも成功例がたくさんあるソーヴィニヨン・ブランに比べると、ロワール渓谷にとってのシュナン・ブランの価値はもっと高いのでは思います。 単一の原産地呼称を与えられている「クーレ・ド・セラン」を擁し、ビオディナミ農法の世界的なリーダーとしても知られるニコラ・ジョリー(Savennières)は、シュナン・ブランの王様。 他にも、極甘口から辛口まで幅広く隙のないシュナン・ブランを手がけるドメーヌ・ユエ(V

梁 世柱
2021年11月20日


ナチュラルワイン嫌いな方へ
これは、アンチ・ナチュラルワイン派だった私の考え方が変わるきっかけになったお話です。

SommeTimes特別寄稿
2021年1月12日
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