梁 世柱2022年5月31日高みへと <ロワール渓谷特集:最終章>ロワール渓谷のソーヴィニヨン・ブランには、どうも複雑な思いが拭いきれずにいた。セントラル地区は、この品種の世界的聖地とされてきたが、特に日本においてはあまり話題に上がることもないし、レストランやショップでも、それほど見かけるわけでもない。同じくフランス国内にある、その他品種...
梁 世柱2022年5月21日アイデンティティの行方 <ロワール渓谷特集:第三章 >悲壮感漂うワイン。 カベルネ・フランから生み出される、ロワール渓谷を代表する数々の素晴らしい赤ワインを一言で表すとそうなる。 華やいだスミレの香りと、力強い大地のトーンが交差し、ワイルドとエレガンスを行き来しながら、メンソールのような心地よい余韻へと誘われる。最高のテロワー...
梁 世柱2022年5月10日伝統と変化 <ロワール渓谷特集:第二章 後編>少し古いワイン教本を読むと、ロワール渓谷のシュナン・ブランの特徴として、「濡れた犬」、「濡れた藁」、「濡れた羊毛」といった表現が頻出する。確かにかつて、この地のシュナン・ブランには「濡れた」何かの印象が強く残るものが多かった。その主たる要因として、葡萄の熟度の低さが挙げられ...
梁 世柱2022年4月30日マイナー品種の女王 <ロワール渓谷特集:第二章 前編>私自身は決して好きではない表現だが、世界三大〇〇という紹介の仕方は、あらゆるジャンルにおいて、非常に一般的だ。もちろん、ワインの世界でも様々な使われ方がされてきた表現だ。一種の思考実験として、この表現を深堀してみると、今まで見えてこなかったものが、突然見え始めることがある。...