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ロマンスとエゴイズム <ナチュラル・ワイン特集:最終章>
ワインはその長い歴史の中で、存在価値を少しずつ変化させてきた。有史以前から造られていたと考えられるワインは、コーカサス地方からカナンを経由して 古代エジプト へと渡り、 ファラオが来世へと行くための供物 として献上され、 古代ギリシャ時代 には ディオニュソス を「 豊穣とワインと酩酊の神 」とし、エタノール(古代ギリシャ語の“エーテル(天空)”が語源とされる)による意識の変化(酩酊)は神との繋がりをもたらすと考えられるようになった。 古代ローマ時代 には、ディオニュソスへの崇拝は、「 ワインの神 」とされた バッカス へと受け継がれ、後の 聖書時代 においても、 ユダヤ人の間で儀式的な価値 が伝えられていたワインは、 イェス・キリスト の登場と最後の晩餐において「 キリストの血 」としての 決定的な宗教的意味 を得たことによって、その象徴性が極地に達することとなる。その後、カソリック教会でミサを祝うために必要なワインを確保するために、 ベネディクト会やシトー会 といった修道会がワイン造りの中心を担うようになり、 15世紀 になってようやく、ヨー

梁 世柱
2021年6月26日


SDGs:全方位型サスティナビリティとワイン <ナチュラル・ワイン特集:第三章>
50年後も、100年後も、200年後も、この素晴らしいワインという飲み物と、ワインを彩る美しい文化が続いていくこと。それを心から願うのは、ワインに人生を捧げてきた一人の人間として、当然のことだ。しかし我々人類が、その文化を紡いでいくための、極めて重大な ターニングポイント に来ていることに、まだ多くの人が気付いていない 。

梁 世柱
2021年6月12日


アンチ・サスティナブル <ナチュラル・ワイン特集:第二章>
無駄にしない こと。世界的なサスティナビリティの推進によって、限りある資源を無意味にする行為は、強く非難を浴びる対象となっている。飲食の世界においても、「 フードロス問題 」がキーワードとなり、数多くの先進的なレストランや食料品販売店で、対策が進んでいる。しかし、 ワインにおける「無駄」はあまり議論されていない のでは無いだろうか。生活必需品である食料に比べて、嗜好品であるワインの「無駄」は、 遥かに悪質 と言えるのにも関わらずだ。

梁 世柱
2021年5月26日


ナチュラル・ワインという偶像 <ナチュラル・ワイン特集:序章>
ナチュラル・ワインは偶像と成り果てたのだろうか。原理主義の信奉者が押し付けた「らしさ」は、いつしか厳格なレシピと化し、人と自然の共生関係を再構築するというナチュラル・ワインの本懐は、重要視されなくなっていった。偶像としてのナチュラル・ワインと、その本来の在り方の間に、決定的...

梁 世柱
2021年5月11日


静かに再起する産地 ダオン <ポルトガル特集後編>
ダオンは森に囲まれた静かな産地だ。

別府 岳則
2021年4月19日


一周遅れのランナーか?それとも世界の最先端? <ポルトガル特集 前編>
数年前に、 ダオン を代表する生産者である キンタ・ダ・ペラーダのアルヴァロ を訪問した時に連れて行かれたのが、街と森の境界線にある場所だった。周りを見回して驚いた。葡萄畑のようだが無造作に植えられたのか 樹間の統一性のかけらもなく、全ての樹は地面をうねり、ふたつとして同じ姿はない 。

別府 岳則
2021年4月3日


天と地と人と <コンテンポラリー・アメリカ 最終章>
信念と勇気。コンテンポラリー・アメリカに感銘を受けるたびに、ワインの向こう側にある造り手の強靭な意志に、手放しの称賛を贈りたくなる。精緻に彫琢され、華々しくラグジュアリーな魅力に満ちた至高のビッグワインは、確かに敬服の念に堪えない存在であるが、筆者の心が強く揺さぶれるワインは、 優れた審美眼と観察眼によって最適解を導き出した先に現出する、テロワールの最も輝かしい姿を表現したものである 。

梁 世柱
2021年3月21日


百花繚乱の多様性 <コンテンポラリー・アメリカ 第三章>
コンテンポラリー・アメリカという新たな潮流の勢力が増すほどに、直近の主流であるビッグワインは、無慈悲な批判の対象となることも多い。しかし、カリフォルニアを中心に洗練を重ねたビッグワインは、 一つのスタイルを達成するための栽培上、醸造上の方法論の確立という意味において、究極的に完成度の高いものだ 。事実、ビッグワインが隆盛を極めるにつれて、数多くの批評家たちから満点を勝ち取るワインが激増した。満点を取ったワインの総数という客観的な事実だけを見れば、その中心となってきたカリフォルニアは、世界で最も優れたワイン産地(筆者自身は点数制の意義には懐疑的だが)とすら表現しても違和感はないだろう。正確に数えたわけではないが、おそらく世界一と思われる満点獲得総数を達成できた要因が、 スタイルと方法論の圧倒的な練度 にあることは間違いない。

梁 世柱
2021年3月5日


アメリカワイン産業の誤算と改革 <コンテンポラリー・アメリカ 第二章>
ワイン造りの全ては 葡萄畑に始まり、葡萄畑に終わる 。ワインという文化が賛美する 普遍の真理 は、近代的醸造技術の粋と考えられがちなビッグワインに於いても、同様に当てはまる。なぜ、葡萄畑とビッグワインの間に切っても切れない関係性が生まれるのか、詳細に紐解いていこう。

梁 世柱
2021年2月22日


コンテンポラリー・アメリカ <序章:変わりゆく時代>
濃厚で力強く、樽もたっぷり効いた飲みごたえのあるワイン 。アメリカのワインに対して、そのようなイメージしかもっていないなら、あなたはすでに 新時代に取り残されてしまっている 。そして、そのような方にこそ、本稿と真摯に向き合っていただきたいと切に願う。難しいことでも、悲しいことでも、驚くようなことでもない。アップデートを繰り返しながら成長してきたアメリカのワイン産業が、 新たな大型アップデートの時を迎えただけの話 だ。最新のアメリカワインは、 Ver.6.0 。本稿では、計4回に渡って、アメリカのワインが最初期からどのように変化して、現在の最新型に至ったのか、そして新時代のスタイルである、 コンテンポラリー・アメリカ とは何なのかを、深く掘り下げながら追っていく。

梁 世柱
2021年2月1日


新潟ワインコーストを彩る超個性派ワイナリー(新潟特集後編)
後編では、新潟ワインコーストで訪問したワイナリーを、個性豊かなストーリー、ワイン造りの哲学、マーケティング手法も含めて、詳細にレポートしていく。

高橋 佳子
2021年1月19日


新潟ワインコースト <日本海と海岸砂丘のテロワール>(新潟特集前編)
そんな中、小さなワイン産地が新潟県の日本海側に誕生している。その名も「新潟ワインコースト」。ユニークなワインが生産されるそのテロワールと、個性的な生産者について紹介しよう。

高橋 佳子
2021年1月5日


第3世代の躍進と桁違いの可能性<NY後編>
冒頭から脱線するが、ニューワールドという言葉の定義は、いまいち釈然としない。例えば南アフリカ共和国は350年を超えるワイン造りの歴史があるがニューワールドとされている。一方で、近年スパークリングワインで注目を集めているイギリスのことを、はっきりとニューワールドと言う声は少なくない

梁 世柱
2020年12月16日


誰も知らない偉大な産地<NY前編>(無料公開)
大都会のハイセンスが反映されたスタイリッシュなワイン。世界最大の大都市であるニューヨーク市を有するニューヨーク州のワインと聞けば、随分とバイアスのかかったイメージが先行するだろう。マンハッタンを悠々と闊歩する成功者たちが、昼間にテラス席で優雅に楽しむワイン。そんな光景すら、...

梁 世柱
2020年12月1日
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