top of page

樽とワイン <後編>

後編となる本稿では、David Ramey氏が語った「樽を使う本当の意味」に、焦点を当てていく。


なお、今回の話は一人の醸造家による「意見」であるため、別の見解も当然存在していることはご理解いただきたい。




樽とはワインを入れるための容器である

私がDavidに対して最初に投げかけた質問は、「なぜ樽を使うのか?」というシンプルなものだった。


この質問を最初にもってきたのも、ちゃんとした意図があってのこと。


1980~2000年代をトップワインメーカーとして駆け抜けてきたDavidは、当時強大な影響力をもっていた米国のワイン評論家、ロバート・パーカーJr.の嗜好を、ワイン産業及びワイン市場が、部分的に「湾曲解釈」したことによって生まれた「パーカリゼーション」時代の当事者だ。


「More is More」とでも言わんばかりの、濃厚で芳醇で、極端に凝縮したワインがもてはやされた時代を走ってきたDavidにとって、現代の「Less is More」な風潮はどう見えているのだろうか。


新樽100%が正義とされていた過去と、新樽比率が低いほど「テロワールのワイン」とみなされる現代。


移りゆく時代の中で生じた、David自身の変化も含めて、私は知りたかった。


記事の続きは…

sommetimes.net を定期購読してお読みください。

bottom of page