スペインでスパークリングワインといえば、すぐに「カバ Cava」と答えられるくらい、スペインワインの中ではかなり認知度が高いと思われます。
カバとは原産地呼称名で、シャンパーニュなどと同じ瓶内二次発酵で造られていながら安価なものが多く、日常的に飲むスパークリングワインとしての地位を築いていきました。
まずDOカバはエリアを示す原産地呼称ではなく、生産方法を示すものであり、そのエリアはスペイン各地に広がっています。95%近くはカタルーニャ州ではありますが、その他にもバレンシア州、ラ・リオハ州、アラゴン州、そしてエストレマドゥーラ州となっています。
そんなカバの中でも、高品質なワインを造る生産者がカタルーニャ州の中心エリアであるペネデスで増えていきました。
しかし、近年ではそういった高品質スパークリングワインを造る生産者が、DOカバからの離脱し、さらに生産者同士で新しい認証を作る動きが出ています。
その中でも注目を浴びているのはCORPINNAT(コルピナット)です。
コルピナットは2017年に5社のボデガ(*)によって設立され、その後この動きに賛同したボデガが年々増え、現在は11社が加盟しています。
ぶどうはDOペネデス内のみで有機栽培、手摘み収穫、最低18か月間の瓶内熟成といった規定を設けて、高品質なスパークリングワインを造っています。
その中でも、私が特に注目しているボデガはRecaredoです。
*ボデガ:スペインにおいて、ワイナリーを意味する言葉。
生産者:Recaredo / レカレド
ワイン名:Terrers Brut Nature / テレルス・ブリュット・ナチューレ
葡萄品種: 58% Xarel-lo, 37% Parellada, 6% Macabeo / チャレロ、パレリャーダ、マカベオ
ワインタイプ:泡
生産国: スペイン
生産地: カタルーニャ州
ヴィンテージ:2017
インポーター: 株式会社グッドリブ
参考小売価格(税抜):5000円
このボデガは、有機農法やビオディナミ農法で栽培した自社畑のブドウを使い、ドサージュを行わないブリュットナチューレのみを造っています。
またデゴルジュマンを行う際に、澱を凍らせずに手作業で1本1本行うことが特徴となっており、見学の際にもその様子を見ることが出来ます。
また土着品種の中でもチャレロに注力しており、スパークリングワインの主要品種としての使用はもちろん、スティルワインも造っています。
実際に現地訪問をし、また日本とスペイン共に販売していたこともあり、特に思い入れが強いワイナリー、そしてワインの一つです。
シャンパーニュを目指した高品質を求めて造っているため、これまでのカバのイメージが覆ることは間違いないでしょう。
また、飲食店はもちろん全国の高島屋やオンラインショップでも購入することが出来ることからもお買い求めしやすいですので、プレゼントやワイン会に持っていくにも最適です。
今回はコルピナットを中心に、カタルーニャ州のスパークリングワインについて少し書きましたが、他の地域でも土着品種を使ったスパークリングワインを造る動きが多くなっていますので、これからのスペインのスパークリングワインの動きには注目していきたいと思います。
〈プロフィール〉
鎌田 昌之(カマダ マサシ)
1990年 京都 伏見生まれ
大学時代のスペインへの語学留学で、スペインワインの美味しさを知る。
大学卒業後はインポーター2社で働き、2017年にスペイン・サン・セバスティアンにある料理大学バスク・クリナリー・センターの、ソムリエとワインマーケティングのマスターコースに入学。同年、コース初のアジア人として卒業。
スペインではセビージャのDelatierra、マドリッドのEnoteca Baroloにて職場研修後、ワーキングホリデーを利用して、サン・セバスティアンワインショップのn.06で勤務。
2020年より東京・六本木にあるスペイン料理店「フェルミンチョ」にて勤務。
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