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10 Best Wines (スペイン/プリオラート)

10 Best Winesのコーナーでは、世界各国の産地やエリア(時に同一品種で複数の産地)から、特に優れた生産者とその代表的なワインをご紹介いたします。


第一弾は、スペインのプリオラートです。

スペインを代表する産地といえばリオハですが、

カタルーニャを代表する産地はプリオラートです。

(歴史的諸々もあり、分けて考える方がリスペクトだと思います)


そのワイン造りの歴史は12世紀頃からと、比較的古い産地でもあり、

フィロキセラによって一度は壊滅してしまいますが、

1989年ヴィンテージを「4人組」と呼ばれた生産者集団が、

5つのラベルに分けてリリースしたことをきっかけに、

近代は大きな復興を遂げ、スペイン(カタルーニャ)の最高位格付け産地の一角となっております。


葡萄畑の標高は100m〜700m超と非常に高低差の激しい産地でもあり、

標高と斜面の向きが複雑に絡みあい、

多様性に溢れるワインが造られています。


プリオラートの主役はなんと言っても赤ワインです。


主要葡萄品種はガルナッチャですが、より酸の強いガルナッチャ・ペルーダや、近年ではカリニェーナの注目も高まっています。

カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロをブレンドするワインもあります)


主要な土壌はリコレッリャと呼ばれるスレート岩盤土壌

ワインに濃い色調、高アルコール、力強い骨格を与える土壌です。


元々暑く乾燥した産地ですが、温暖化の影響も強く、近年はより日照量をセーブできる北向き斜面の畑にも注目が集まっています。


ではSommeTimes厳選の10 Best Wines in Prioratをご紹介いたします。

プリオラートの中でも、まだまだマイナーな生産者ですが、

Clos i Terrasses(Clos Erasmus)で栽培を担当してきた経験を存分に活かし、ビオディナミ農法に心血を注ぐ、生粋のテロワール主義者です。

ナチュラルに、クリーンに磨き上げた酒質は白眉。

トップ・キュヴェのLa Rodedaは生産量僅か1樽という希少品ですが、

プリオラートの真髄を体現した凄いワインです。


バルビエ家のレネ・バルビエJr、ペレス家のサラ・ペレス。

「4人組」の家系同士の結婚によって生まれた、

プリオラートの未来を担う重要なワイナリー。

レネJrもサラもそれぞれの実家では、慎重に改革を進めていますが、

このプライベートプロジェクトでは、よりナチュラルに、

そしてクリエイティヴ精神も全開にしています。


レネ・バルビエほど、Down to Earthなレジェンドはなかなか居ません。

底知れぬ優しさと大らかさ、どこまでもリラックスしたカジュアルさが、

レネを多くの人々の中心に自然と置いていくようです。

代表作のClos Mogadorは、カベルネやシラーもブレンドするという、

インターナショナル・スタイルを現在に於いても堅持している逸品です。

近代プリオラートの歴史そのものであり、歴史的な味わいであり、

その保存という一点に於いても、このワインの存在意義は計り知れません。


スペインを代表する醸造家の一人であるラウル・ボベが、

プリオラートにもたらした影響は巨大です。

完璧主義的な精密な醸造と、豊富な経験、類稀なるセンスが合わさり、

驚くほどエレガントで優美なプリオラートの表現を生み出しました。

まさに、プリオラートの正当進化系の教科書的ワインであり、

隙のない品質は驚異的。


プリオラートの古参組の一つであるMas Doix。

そのワインはまさに古典的の一言に尽きます。

プリオラートらしさ、旧世界らしさ、その強靭なミネラルと、

独特の土っぽさ、そんな古典の魅力がぎっしりと詰まった銘醸中の銘醸です。

特に樹齢100年超えのカリニェーナから造られる代表作の1902は、

プリオラートにおけるこの品種の偉大な可能性を早くから提示してきた、

極めて重要なワインであり、その品質も極上。


4人組の一角であるダフネ・グロリアン率いる銘醸。

ダフネはその名声に満足することは無く、次々と改革を断行してきた、

4人組きっての革新派。

いち早くオーガニックとビオディナミに取り組み、

近年では一部のワインにアンフォラも用いています。

プリオラート近代クラシックの中でも、最も変化してきたワインであり、

洗練に洗練を重ねたその酒質は現在、凄まじい領域に突入しています。


Mas Martinetと言えば、旗艦的ワインであるClos Martinetが最も有名ですが、

遥かに凄いワインがあることは、あまり知られていません。

ガルナッチャから造られるEls Escurçonsと、カリニェーナもブレンドしたCami Pesserolesの二つのワインです。

共に醸造にアンフォラと大樽を取り入れて造られるキュヴェであり、

独特の滋味深さと奥行きを携えた酒質は、

一度味わうと決して忘れられない大傑作。


全プリオラートの中でも、最も異質なワインであり、

最もピュアなワインであり、最も評価の分かれるワインでもあります。

若きドミニク・フーバーは、アルコール度数が14.5%を超えることが当たり前のプリオラートにあって、13%代でも平然とワインを造ります。

「テロワールが偉大なら何もする必要はない」と、

醸造技術や醸造手段による「味付け」を完全に拒絶し、

純真無垢なテロワールの味わいをそのまま瓶詰めします。

高標高、高樹齢の最高の畑から生み出される二つのトップ・キュヴェは、

ガルナッチャのLes Manyes、カリニェーナのLes Tossesとそれぞれ明確に異なる個性を表現しています。


プリオラートの中で、最も過小評価されている造り手がCellers de Scala Deiです。

大きなワイナリーであるScala Deiが作るベーシックなキュヴェの印象が強いからかも知れません。

しかし、Scala Deiには、プリオラートの頂点に座す異次元のトップ・キュヴェが二つああります。

St. AntoniとMasdeuです。

共に、12世紀に修道士によって開墾された、プリオラート最古の畑です。

斜面に畑があることが多いプリオラートですが、この二つの畑は、

山の中腹に切り開かれた、平坦な畑。

そして土壌もリコレッリャではなく、石灰を含む赤土の粘土質土壌。

これは大変興味深い事実です。

最古の畑が、後に開かれる畑とは、あらゆる面で全く異なっているのですから。

St. AntoniにもMasdeuにも、パワーを求めてはいけません。

ここにあるのは、究極のフィネスと、無上の飛翔感です。


プリオラートの筆頭とも言える存在は、やはりこの高名なレルミタでしょう。

現在ではその価格はとてつもなく高騰し、

なかなか飲む機会に恵まれない神秘的なワインになってしまいました。

パーカーの高得点のせいか、濃厚なパワフルワインという、

思い込みが先行してしまっている節もあるレルミタですが、

全く違います。

レルミタは、プリオラートの太陽と土と風がもたらす、力強さ、奥深さ、エレガントさの全てが、完璧なバランスで共存した神格的なワインです。

間違いなく、スペイン全土はもちろんのこと、世界最高の赤ワインの一つです。

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