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出会い <80> 田舎ワインの素朴さ
Gismondi, Cerreto 2023. ¥3,800 ワインには、あらゆるタイプの魅力が本来宿っているのだが、 高級ワイン になればなるほど、その味わいは 「都会的」 になっていく傾向がある。 シャンパーニュとボルドーはその最も顕著な例であるし、今ではブルゴーニュにもバローロにもブルネッロ・ディ・モンタルチーノにもリオハにも、都会の空気がたっぷりと流れ込んでいる。 ニューワールド諸国の高級ワインは、例外を探す方が異常に大変な程度には、都会的だ。

梁 世柱
4月22日


ワインを理解するテイスティング術 <5> アロマ Part.1
テイスティング術シリーズの第5回は、 「アロマ」 についての基礎を学んでいきます。 まずは、 白ワイン のアロマについて学んでいきましょう。 第一アロマ とも呼ばれる フルーツ香 は、 共通アロマ と 固有アロマ に分けることができます。 一部のソーヴィニヨン・ブランに見られるパッションフルーツ香、ゲヴュルツトラミネールのライチ香、シュナン・ブランのカリン香などの固有アロマは、 品種ごとに把握していく 必要がありますが、 「ワインを理解する」と言う目的のテイスティングにおいては、共通アロマの方が重要 です。

梁 世柱
4月21日


魔法の料理 サルシッチャとペアリング
今思えば、イタリアンレストランと私の縁は、かなり古い。 高校生の時のアルバイトで、イタリアンレストランに入ったことがあったのだが、レストランの中で飛び交う聞き慣れない横文字の連呼にすぐさま挫折してしまい、長くは続かなかった。でも、歓楽街の大衆的なお好み焼き店でのバイトが長かった私にとっては、全くの異世界に触れたようなものだったので、なぜか強く記憶に残っている。 それから、日本酒バー、割烹、高級日本料理、高級フレンチ、高級中国料理など、さまざまな料理店で経験を積んで行ったが、最後にフルタイムで現場に入ったのは、イタリアンだった。 10代の頃とは違い、経験を積んできた私にとって、クリエイティヴなイタリアンでの仕事は楽しかった。 それまではワインの教科書で、名前だけ知っていて実際には食べたことはなかった料理に、数多く触れることもできた。

梁 世柱
4月19日


SommeTimes’ Académie <88>(フランス・ジュラ地方:Macvin du Jura)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回は フランス・ジュラ地方 について学んでいきます。 かつては、フランスの山奥にあるマイナー産地として、あまり注目される存在ではありませんでしたが、現在はナチュラルワインの文脈からブームが始まり、その少ない生産量を世界中の市場が争奪するという状況となっています。 ブルゴーニュに近いという立地もあり、ピノ・ノワール、シャルドネも多く栽培されていますが、他にもジュラ特有の品種があり、個性豊かな魅力を放っています。 価格に関しては、需要と供給のバランスが崩れていることから、かつてに比べると大幅な上昇傾向にあります。 ジュラ地方第4回は、ジュラ地方で作られる高品質な Vin de Liqueur(*) の一種である、 Macvin du Jura(マクヴァン・デュ・ジュラ) をテーマとします。 (*) :ヴァン・ド・リキュール。未発酵の葡萄ジュースか、発酵の初期段階でスピリッツを加えて造る、甘口

梁 世柱
4月18日


再会 <80> 線香花火のようなペットナット
Max Dexheimer, Petillant Naturel 2022. ¥3,500 ナチュラルワイン好きを公言している筆者だが、ほぼ無条件で 警戒心 をもって臨むタイプのワインがある。 ペティヤン・ナチュレル。通称ペット・ナット だ。 元々、 アンセストラル方式 と呼ばれていた原始的なスパークリングワインの製法だが、 低亜硫酸醸造 が多いナチュラルワインの中でも、ペット・ナットは特に、 完全無添加の割合が高い 。

梁 世柱
4月14日


SommeTimes’ Académie <87>(フランス・ジュラ地方:プールサール)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回は フランス・ジュラ地方 について学んでいきます。 かつては、フランスの山奥にあるマイナー産地として、あまり注目される存在ではありませんでしたが、現在はナチュラルワインの文脈からブームが始まり、その少ない生産量を世界中の市場が争奪するという状況となっています。 ブルゴーニュに近いという立地もあり、ピノ・ノワール、シャルドネも多く栽培されていますが、他にもジュラ特有の品種があり、個性豊かな魅力を放っています。 価格に関しては、需要と供給のバランスが崩れていることから、かつてに比べると大幅な上昇傾向にあります。 ジュラ地方第3回は、これまでのようにアペレーションごとに学ぶのではなく、ジュラワインの中でも大変人気が高い黒葡萄品種である、 Poulsard(プールサール) をテーマとします。

梁 世柱
4月9日


出会い <79> デラウェアに見る、根付くことの意味
Agri-Coeur, Dela Logique 2023. ¥5,500 ハイブリッドという言葉を聞いた時、一般的にはどういう印象を抱くだろうか? 現代的、先進的、最新技術。 おそらく、そのようなフレーズが並ぶだろう。 しかし、ワインの世界においては、真逆とも言えるイメージがついて回る。 そう、ワイン用葡萄におけるハイブリッドは、ヨーロッパの伝統的なワイン用葡萄であるヴィティス・ヴィニフェラ種よりも遥かに劣る、という定評が完全に固まっているのだ。

梁 世柱
4月7日


凍ったワインはどうなるのか
先日、不覚にもワインを凍らせてしまった。 夕食用にワインを急冷しようと冷凍庫に入れたのだが、繋ぎのビールを飲みながら食事を進め、TVを観ている間に、すっかりと冷凍庫に入れたボトルの存在を失念してしまったのだ。 気付いたのは翌日の朝。 時すでに遅しだった。 ワインは完全に凍り、氷結によって膨張した液体がコルクを押し上げ、激しい液漏れを起こしていた。 急冷のために冷凍庫を利用することは良くあったが、凍らせてしまったのは初めて。 かなりショックを受けたが、ここはジャーナリスト魂を発揮して、凍ったワインに何が起こるのかをレポートさせて頂こう。

梁 世柱
4月7日


鰻重を活かす赤ワインとは
一昔前まで、鰻は日本人の食卓には欠かせない食材のはずだったが、20年前と比べると2倍以上に膨れ上がった価格が、鰻をすっかりハレの日の楽しみへと変えてしまった。 鰻の価格が跳ね上がった理由には、もちろん需要と供給の関係という市場原理が働いている側面もあるが、別の問題として、鰻養殖の難しさがある。 鰻の養殖は、実は現状その大部分を、天然のシラスウナギ(鰻の稚魚)の漁獲に頼っている。 近年は、そのシラスウナギの漁獲量が減少の一途を辿っているため、輸入への依存度が高くなり、さらに飼料の高騰などの要因も重なって、価格上昇に歯止めが効かなくなった。 2024年の朝日新聞の記事によると、日本の水産省は1990年代からシラスウナギそのものを養殖する技術開発に取り組み、2002年には世界で初めて成功。現在では、年間4~5万匹ほどのシラスウナギ生産が可能になったようだが、日本国内における鰻の年間消費量は約1億匹とされているため、全てを賄うには到底足りない。 2050年までには、国内の全ての鰻養殖業者に、養殖シラスウナギを行き渡らせる計画を立てているそうだが、それほど

梁 世柱
4月5日


SommeTimes’ Académie <86>(フランス・ジュラ地方:トゥルソー)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回は フランス・ジュラ地方 について学んでいきます。 かつては、フランスの山奥にあるマイナー産地として、あまり注目される存在ではありませんでしたが、現在はナチュラルワインの文脈からブームが始まり、その少ない生産量を世界中の市場が争奪するという状況となっています。 ブルゴーニュに近いという立地もあり、ピノ・ノワール、シャルドネも多く栽培されていますが、他にもジュラ特有の品種があり、個性豊かな魅力を放っています。 価格に関しては、需要と供給のバランスが崩れていることから、かつてに比べると大幅な上昇傾向にあります。 ジュラ地方第2回は、これまでのようにアペレーションごとに学ぶのではなく、ジュラワインの中でも大変人気が高い黒葡萄品種である、Trousseau(トゥルソー)をテーマとします。

梁 世柱
4月2日


再会 <79> スペインの至宝
Vega-Sicilia, Unico 2014. 私がワインを学び始めた頃、正式なタイトルは忘れてしまったが、 「世界の名ワイン100選」 的な本を愛読していた。 ボルドー左岸メドック地区の第一級シャトー、右岸サン=テミリオンやポムロールの極上ワイン、ブルゴーニュのグラン・クリュ、シャンパーニュのプレスティージ・キュヴェ、イタリア・ピエモンテ州のバローロ、バルバレスコ、トスカーナ州のブルネッロ・ディ・モンタルチーノとスーパータスカン、カリフォルニアやオーストラリアの超高級ワイン。 20年以上前の本 だが、よくよく考えてみれば、 現代とそれほどラインナップは変わらない のかもしれないが、驚くことでもない。 偉大なワインは、よほどの失策を繰り返さない限り、いつでも偉大 なのだ。

梁 世柱
3月31日


トランプ関税が、日本のワイン市場をどう動かすのか?
先日、EUが米国産のウィスキーに対して50%の関税を課すとしたことに対する報復として、米国のドナルド・トランプ大統領が、EU産のワインに対して200%の関税を課すという、暴挙にも等しい報復関税策をほのめかした。 本来なら、世界の経済リーダたる米国は、世界経済に混沌ではなく調和をもたらす存在としてあるべきだと私は考えるのだが、アメリカ・ファーストを掲げ、自国の利のみを徹底的に追求する「タフ・ネゴシエーター」であるトランプ大統領は、そのようなリーダー像に興味も関心も一切無いのだろう。 「世界中がアメリカから金をむしり取っている。」などと、ご本人は随分な被害妄想を抱えているようなので、流石に200%関税のような異常事態にはならないと願いたいが、最悪の結果は十分にあり得るのだろう。 このような貿易戦争は、我々にとっても対岸の火事とは言い切れない。 米国は日本に対し、25%の自動車関税を課すことをすでに発表しているが、貿易戦争の中で、2019年の日米貿易協定が破棄され、再び米国産ワインに対する関税が上昇する(2019年以降、段階的に引き下げられていた)可能

梁 世柱
3月30日


SommeTimes’ Académie <85>(フランス・ジュラ地方:黄ワイン)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回は フランス・ジュラ地方 について学んでいきます。 かつては、フランスの山奥にあるマイナー産地として、あまり注目される存在ではありませんでしたが、現在はナチュラルワインの文脈からブームが始まり、その少ない生産量を世界中の市場が争奪するという状況となっています。 ブルゴーニュに近いという立地もあり、ピノ・ノワール、シャルドネも多く栽培されていますが、他にもジュラ特有の品種があり、個性豊かな魅力を放っています。 価格に関しては、需要と供給のバランスが崩れていることから、かつてに比べると大幅な上昇傾向にあります。 ジュラ地方第1回は、これまでのようにアペレーションごとに学ぶのではなく、ジュラ特有の「黄ワイン」(Vin Jaune)をテーマとします。

梁 世柱
3月26日


SommeTimes’ Académie <84>(フランス・南西地方:Bergerac & Irouleguy)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回は フランス・南西地方 について学んでいきます。 魅力的な地品種がありながらも、どこかマイナーなイメージも拭えない南西地方ですが、昔から名ワインとされてきた産地が複数あります。 力強い赤ワインを中心に、白ワインや甘口ワインが優れた産地などもあり、その多様性も大きな魅力と言えるでしょう。 価格的にも、比較的カジュアル帯のワインが多く、デイリー消費でも活躍の機会が多くあることでしょう。 南西地方第4回は、南西地方における、ややマイナーですが、秀逸なワインが散見される2産地、 「Bergerac」 と 「Irouleguy」 を学んでいきます。 Bergerac 主要品種 赤:Cabernet Sauvignon, Merlot 白:Sauvignon Blanc 補助品種 白:Semillon ドルドーニュ川沿いに広がる海洋性気候の ベルジュラック は、ボルドー地方に非常に近く

梁 世柱
3月20日


洋食のスター ハンバーグとペアリング
日本における「洋食」の文化は、独自の発展を遂げてきた。 とんかつ、ナポリタン、カレーライスなど「原型」から大きく変化し、オリジナルとすら呼べるようなものへと成った料理もあるし、南蛮漬けなど、もはや日本料理の一部と化しているものもある。 そのような日本の洋食文化の中で、最もオリジナルと呼ぶに相応しいのは、 「ハンバーグ」 だろうか。 ハンバーグの起源には諸説あるが、「ハンブルク」からきている通り、 ドイツのハンブルク が有力と考えられている。ハンブルグの名物料理である 「タルタル・ステーキ」 が元となり、ひき肉にパン粉を混ぜて焼くハンバーグが誕生したのだ。この小型のハンバーグは、ドイツでは 「フリカデレ」 と呼ばれている。

梁 世柱
3月15日


SommeTimes’ Académie <83>(フランス・南西地方:Jurançon)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回は フランス・南西地方 について学んでいきます。 魅力的な地品種がありながらも、どこかマイナーなイメージも拭えない南西地方ですが、昔から名ワインとされてきた産地が複数あります。 力強い赤ワインを中心に、白ワインや甘口ワインが優れた産地などもあり、その多様性も大きな魅力と言えるでしょう。 価格的にも、比較的カジュアル帯のワインが多く、デイリー消費でも活躍の機会が多くあることでしょう。 南西地方第3回は、南西地方における白ワイン、そして甘口ワインの雄 「Jurançon」 を学んでいきます。

梁 世柱
3月13日


出会い <77> Vin Santoの専門家
Giacomo Grassi, Vin Santo del Chianti Classico “Opre” 2011. ワインに芸術性を求めた時、行き着く先は2通りと個人的には思っている。 1つは、 シャンパーニュ方式で造られるスパークリングワイン 。 特殊な収穫方法から始まり、その製法のあらゆる段階における細部に至るまで、人類がワインと共に育んできたあらゆる叡智が込められている。 葡萄とテロワールに、ヒトの粋が詰め込まれたワイン。 芸術と呼ぶに相応しいと心から思う。

梁 世柱
3月10日


ワインを理解するテイスティング術 <4> 色調 Part.3
テイスティング術シリーズの第四回は、 赤ワイン、ロゼワイン、オレンジワインの「色調の濃淡」 についてさらに学んでいきます。 赤ワイン の色調は ルビー(ラズベリーレッド) と ガーネット(ダークチェリーレッド) の2色が基本色となり、そこから 若い段階では紫 を基調とした濃淡、 熟成が進んだ段階ではオレンジ(褐色) を基調とした濃淡で表現していきます。 まず、 基本色のベースは品種由来 となります。例えば、ピノ・ノワールであれば、ほぼ無条件でルビーとなりますが、カベルネ・ソーヴィニヨンの場合は、ルビーにもガーネットにもなりえます。

梁 世柱
3月9日


町中華の逸品とワイン
大衆料理といっても様々なものがあるが、私は町中華が特に好きだ。 炒飯、エビチリ、麻婆豆腐、小籠包。まさに大好物のオンパレード。 多種多様な麺類にも強く心惹かれる。 町中華での飲み物といえば、ビール、サワー、そして紹興酒が定番だと思うが、私はあまり紹興酒が好きではないため、大体サワーで済ませてしまう。

梁 世柱
3月8日


SommeTimes’ Académie <82>(フランス・南西地方:Madiran)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回は フランス・南西地方 について学んでいきます。 魅力的な地品種がありながらも、どこかマイナーなイメージも拭えない南西地方ですが、昔から名ワインとされてきた産地が複数あります。 力強い赤ワインを中心に、白ワインや甘口ワインが優れた産地などもあり、その多様性も大きな魅力と言えるでしょう。 価格的にも、比較的カジュアル帯のワインが多く、デイリー消費でも活躍の機会が多くあることでしょう。 南西地方第2回は、南西地方における力強い赤ワインの象徴的存在である 「Madiran」 を学んでいきます。

梁 世柱
3月6日
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