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  • 有為転変のシードル

    恵比寿H(アッカ)にて、イノヴェーティヴなワインサーヴィスを牽引する新進ソムリエ菅野氏。幅広いジャンル、産出国にまたがるセレクションに加え、ノンアルコール・ペアリングの評価も高い菅野ソムリエからは、鋭い変化球的なコラムが届きました。 -------------------------------------------------------------- 今回ご紹介するのはワインではあるが葡萄原料でなく林檎原料のワイン、 シードル である。 国内のシードルも最近では賑わいを見せており、大手企業も市場に参入するなど大分市民権を得てきたように感じられる。 そんなシードルであるが、実に興味深いシードルがイタリア北東部Alto Adigeで作られている。 生産者 : Floribunda (Egger Franz) / フロリバンダ (エッゲルフランツ) ワイン名 :Sidro alla Cotogna / スィドロ・アッラ・コトーニャ 品種 :Topaz(林檎) 40% Gold Rush(林檎) 40% Cotogna(西洋カリン) 20% タイプ :スパークリング(シードル) 生産国 :イタリア 生産地 :Trentino Alto Adige / 北イタリア トレンティノ=アルト・アディジェ州 ヴィンテージ :2020 インポーター :エヴィーノ 参考小売価格 :¥2,400 元植物学者が作る 瓶内二次発酵 タイプの、 SO2完全無添加のナチュラルシードル である。 実はこの作者、かなり複雑な経歴をおもちな方。 大学にて植物学者として勤務した後、退職後に父が続けて来たリンゴ栽培農家を、奥様と共に引き継ぐ。ワインの作り手を目指していたものの、所有する平地の農園は葡萄には向いていなかった。一旦はリンゴ栽培とシードル作り双方を手掛けていたが、輸入元であるエヴィーノの新津博史さんが訪問した2015~2016年時点ではシードル作りはやめてしまっていた。 シードル作りをしていた時の作品も、今の彼のスタイルとはかけ離れた所謂一般的なシードル。洗練され、それでいてナチュラルな今の作風からは想像できない過去である。 元々他のワイナリーに訪問する予定で、そことは別に紹介されたことで 急遽訪問 した新津さんに、彼は今の日本ワイン事情を質問したそうだ。 ナチュラルワインの席巻、瓶内二次発酵が珍重されるスパークリングワイン等々… 興味深く聞き入っていた彼は、ナチュラルスタイルでのシードルの醸造を決意する。 初ヴィンテージでは生産量は僅かに120本しかなかったが、2017年には今回紹介しているスィドロ・アッラ・コトーニャのみ培養酵母添加無し、2018年には全てのキュヴェで培養酵母の添加を取りやめている。 その凄まじいまでの創作意欲は、シードルという飲料の可能性をまさに今広げようとしている最中だ。 基本的な暗黙の共通概念としてシードルは熟成に適しておらず、安価かつ安易に消費されがちだが、彼の目指すところは長期熟成のできるシードル。 そこで登場するのが彼の農園で一緒に栽培されている 西洋カリン である。日本国内のカリンと違い、西洋カリンは表皮に産毛があり分厚く、 タンニンが豊富に含まれている 。長期熟成に耐え得るタンニンを得るため、これをブレンドするという手法を思いついたそうだ。 それだけでなく、 ニワトコの花 をブレンドしたキュヴェは、その昔のアルト・アディジェの土地柄からインスピレーションを受けたものだ。 寒く貧しい地域であるアルト・アディジェでは、昔はワインがとても貴重且つ高価なものだった。そこでワインの澱に水と砂糖を入れ再発酵させたものを現地では飲まれていた。勿論クオリティはかなりひどく、せめて香りだけでも良くしようと使われていたのがニワトコの花だったが、それを応用して生まれたシードルがスィドロ・アイ・フィオーリ・ディ・サンブーコである。 他にも様々なキュヴェが彼の手で生まれているが、まだ実験段階であるというのでこれからがとても楽しみである。 彼の愛娘であるマダレーナもシードル作りに参加し、家族全員がその情熱を自分たちの林檎や作物に向けていく。歴史や伝統にはない作り方であるものの、その土地の暮らしや歴史が溶け込んだ彼らのフィロソフィーがどこに到達するのか、非常に興味深い。 <ソムリエプロフィール> 菅野 浩和 / Hirokazu Kanno H -acca- Drink Director・Manager 1987年福島生まれ。大学進学後プロオーボエ奏者として活動。 オーケストラでの公演やレッスンを行いながら、傍らでWakiya一笑美茶楼にてアルバイトとして勤務。 多種多様なグランヴァンに触れワインの魅力に目覚める。 Wakiyaグループ在籍中に現La Mer Inc. CEOである梁世柱氏が加わり、彼によりナチュラルワインへの造詣を深める。 その後ナチュラルワインの専門スタッフとしてフレンチ食堂ぶどうにて勤務。 2017年からは梁世柱氏がシェフソムリエとして在籍していたS'accapauに合流後バトンタッチ。 専門誌に寄稿する傍ら、ナチュラルワインオンリーのペアリング及びノンアルコールペアリング、飲料全般の管理や外部委託された商品開発などを担当。 現在は恵比寿H -acca-にてドリンクディレクター及びマネージャーとして勤務。 社内の飲料関係全般を取り仕切る。

  • 葡萄品種から探るペアリング術 <6> シラー

    葡萄品種から探るペアリング術シリーズは、特定の葡萄品種をテーマとして、その品種自体の特性、スタイル、様々なペアリング活用法や、NG例などを学んでいきます。 今回は、 シラー をテーマと致します。 また、このシリーズに共通する 重要事項 として、葡萄品種から探った場合、 理論的なバックアップが不完全 となることが多くあります。カジュアルなペアリングの場合は十分な効果を発揮しますが、よりプロフェショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 シラーのスタイル シラーの醸造法にはある程度の一貫性が見られますが、 やや冷涼なエリアと、温暖なエリアでは性質が大きく異なります ので、基本的には 産地によって大きくスタイルが変動する と捉えた方が分かりやすいと思います。 シラーは大別すると以下のように分かれますが、共通して 樽熟成が基本 になっています(新樽比率はワインごとに大きく異なります)。また、 全房発酵も一般的 に行われるため、僅かなピラジン(ピーマンや青唐辛子のような風味)のタッチが加わることも良くあります。 1. 北ローヌ型 :シラー100%、或いは極少量の白葡萄をブレンドして造られるスタイル。基本的にはやや冷涼なエリアに多いスタイルで、アルコール濃度を上げ過ぎず、華やかな香り(特に白葡萄ブレンドタイプ)と洗練されたテクスチャーが特徴的です。 2. 南ローヌ型 :シラーにグルナッシュやムールヴェドルといった葡萄をブレンドするスタイルですが、地域や造り手によってブレンド比率が異なり、グルナッシュの比重がより高くなることも多くあります。それぞれの葡萄が特徴を打ち消しあいながら溶け合うようにして別の個性が生じるため、よりフードフレンドリーになる傾向があります。 3. オーストラリア型 :シラー単一、或いはカベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドとして造られるスタイル。本場はオーストラリアで、現地ではシラーズと呼ばれるため、オーストラリア外でシラーが造られる場合、シラーズと表記してあればオーストラリア型、シラーと表記してあれば北ローヌ型として造られているケースがほとんどです。

  • 出会い <4> ナチュラルなグラン・ヴィーノ

    Goyo Garcia Viadero, Finca Valdeolmos 2016. ¥5,500 テンプラニーリョ という葡萄は、 まだまだ過小評価されている ので無いでしょうか。 リオハ には数々の銘醸ワイン(協同組合の品質が恐ろしく高いのがリオハの特徴)がありますし、 リベラ・デル・デュエロ には、かの有名な「ウニコ」を造るベガ・シシリアや、かなり前にちょっとしたブームになった「ペスケラ」、カルト的人気と超高価格を誇る「ピングス」なんかもあります。 でも、こういった有名ワインは ブランドとして有名なだけ で、 テンプラニーリョの地位を向上させているとは、あまり思えない 側面もあります。もし本当にテンプラニーリョ自体が支持されているなら、有名では無いワインも、 しっかりと売れるはずなのですよ、テンプラニーリョだから、という理由で 。 でも、現実はそう甘くありません。 色々と シノニム (同意語)が多いのも、テンプラニーリョの弱点の一つ。 リベラ・デル・デュエロでは、ティンタ・デル・パイスか、ティント・フィノ。 トロでは、ティンタ・デ・トロ。 ラ・マンチャでは、センシベル。 カタルーニャでは、ウル・デ・リェブレ。 これらのシノニムは全てテンプラニーリョを意味するという、壮大なしっちゃかめっちゃかぶりです。 ソムリエ試験やエキスパート試験に合格した人でも、試験後にはすっかりこのことを忘れてしまって、ティンタ・デル・パイスをテンプラニーリョと認識できないことが多々あるような有様です。 なんという不遇でしょうか、テンプラニーリョ。もういっそのこと、 全ての州で呼び名を統一する法律でも作ってしまった方が良い気すらします 。 さて、ちょっとかわいそうな感じすらあるテンプラニーリョですが、 その資質は本物中の本物 。

  • 海外でソムリエをするということ

    ソムリエという職業を志した時から、また勉強を続け、世界のワイン産地を頻繁に目にするようになるにつれ、いつか日本を出て海外でソムリエとして働いてみたいと思った方は少なくないと思います。 フランスへ行けば、きっと誰しも一度は憧れるブルゴーニュやシャンパーニュがあり、カリフォルニアには両サイドにそびえ立つ雄大な山々と広大な葡萄畑。そんな場所が身近に存在する環境で、休日はワイナリー巡りなんて羨ましいの一言ですよね!ね! 今回は、タイトルの通り海外でソムリエとして働くことについて、実体験を交えながら。 では早速、 日本のソムリエと海外のソムリエの違い について、私が感じること。 一つは、 知識 。 日本でソムリエとして働く方の多くが、日本ソムリエ協会認定ソムリエという資格を有しており、資格取得のために寝る間も惜しんで猛勉強をされたことかと思います。歴史から栽培、醸造、品種や産地の違いなど広範囲に渡って修得した知識は、 主要なワイン生産国出身のソムリエと比較しても、決して引けを取らないどころか、むしろ“基礎知識”という一点に限ればそれ以上のものを有している と感じます。 修得した知識が、実際にレストランで働く上で活かせるかどうかは、業態やジャンルによっても違ってくるとか思いますが、どんなワイン産地でどんなワインを作っているか理解しているというのは、 どこの国で働くにしてもアドバンテージになる ことは違いないです。 では海外のソムリエはどうかというと、日本のように広く浅く知識を持つというよりは、 専門的に、特定の産地に対して深い知識を持つソムリエが多い ように感じます。「え、それ知らないんだ」と思うこともあれば、「なんでそんなことまで知ってるの」と思うこともしばしば。それもそうですよね、だって 彼らにとっては地元で作ってるワイン ですから、気候や地勢はもちろん、生産者と幼馴染なんてことも当たり前で、日本人にとっての酒蔵が彼らにとってはワイナリーということ。 次に、日本と海外のソムリエ間で 大きく違うと感じる のは、 とにかく売り上げをしっかりあげるという意識 。お店の規模や方針により必ずしもそうとは限りませんが、ソムリエはゲストにワインを提案・サーブし、売り上げを確保する。少々乱暴な言い方をすれば、 ソムリエは1円でも多くワインを売ることに特化したポジション だということ。レストランにおけるワインの売り上げは非常に大きく、そこで得た売り上げが自分たちの給与として返ってくるため、 ソムリエ以外のスタッフにもソムリエが1杯でも多くワインを売れるようにサポートをお願いします 。(それでワインが売れない日は冷たかったりするんだけど…) さて、ここまでは私が感じた日本と海外のソムリエの違いを述べてきましたが、ここで少し海外の中でもまだワインのイメージが少ない、 東南アジア 。その中でも私が住んでいた バンコク(タイ) でのソムリエ事情を。 バンコクの年間の平均気温29度、熱帯に属するタイは、氷が入ったグラスにビールを勢いよく注ぎ入れ、水のように飲むというのが習慣で、ワインのイメージをお持ちでない方も多いかと思います。しかし実際は、在留外国人の増加や海外資本の参入などによる外食産業の成長に伴い、以前の「バンコク=安いストリートフード」だけでは到底言い表せない程、多様なジャンルのレストランが凌ぎを削っています。 保管や輸送に関して問題はたくさんありますが、こと消費の観点だけに注目すると、確実に成長を続けており、伸び代の観点では今後も大きな期待を持てるのではないかと思います。これは他の東南アジアの国々でも同じことが言えます。 また、ソムリエのレベルに関しては決して高いとは言いがたく(もちろん世界的に有名で素晴らしいソムリエもたくさんいます!)、そういった環境の中でソムリエとして働くことのメリットとして、海を渡って 比較的早い段階で即戦力として活躍できる ことが一つ挙げられます。ワーキングホリデービザで海外に修行に行ったは良いが、ソムリエとして働き始めた頃には残り数ヶ月しか残っていなかった、といった話をよく聞きます。それはそれで、日本にいた時には得られなかった経験値を得ることがあるとは思いますが、どうせならソムリエとしてバリバリ働きたいですよね。 言葉の壁に関しては、 英語が第一言語じゃない移民が多い ため、ヨーロッパやアメリカ・オーストラリアと比べると、慣れるのに時間はかからないように思いますし、あらゆる人種が混在するコスモポリタンな街なので(英語でのコミュニケーションは、東京よりバンコクの方が圧倒的にスムーズ)、世界中の英語を日常的に触れる機会があるという点では、ある意味すごく魅力的なことだと思います。 ただ、もちろん苦労する点もございます。 それは、どれだけ英語が話せても、ワインの知識があっても、そこはまだまだ東南アジア。 こちらの提案を受けてもらえないこと も多々あります。特に ナチュラルワイン に関してはその傾向が強く(在留、観光問わずタイやインドネシアを訪れる層は、バカンスでの滞在が多く、比較的裕福で年齢層も高め、ワインはクラシックなスタイルを好む方)、 良く言えば好みがはっきりしていて、悪く言えば新しいものを知ろうとしない方が多い印象 です。まぁこの点に関してはきっと日本も同じ時があったと思うので、私としては今後そういったワインが日常的に飲めるようになってほしいと願います。 最後に、バンコクでソムリエをしていた当時、跳ね返された回数断然トップの生産者をご紹介します。 生産者 :Sebastien Riffault / セバスチャン・リフォー ワイン名 :Skeveldra / スケベルドラ 葡萄品種 :ソーヴィニヨン・ブラン ワインタイプ :White / 白 生産国 :France / フランス 生産地 :Loire Valley / ロワール地方 ヴィンテージ :2015 インポーター :ディオニー 株式会社 参考小売価格 :¥4800 「おいおい、お前はサンセールも知らないのか」 「わたし、ソーヴィニヨン・ブランって言ったんだけど、シェリーなんて頼んでないわ」 これは実際に私が言われた数々の言葉の極一部です。笑 確かに多くのSB、サンセールと比べると一癖も二癖もあるこちらのワイン。それでもオススメしたい、きっとずっと大好きな生産者。その理由はぜひ一度飲んで頂きたいと思います。 <ソムリエプロフィール> 森本 浩基 1989年 大阪府生まれ 大阪のイタリア料理店でソムリエのキャリアをスタートし、その後はフランス料理店、スペイン料理店などで研磨を積み、2017年カリフォルニア ナパヴァレー Matthiasson で醸造を経験後、当時 Asia 50 Best Restaurant 4年連続 No.1 のインド料理店 Gaggan でソムリエを務める。 2020年東京兜町にオープンする Caveman ヘッドソムリエに就任。

  • 全ピノ・ノワール・ファンの宝

    情報が超速化した現代社会では、どんなショッキングな出来事も、あっという間に忘れ去られてしまう。国内では東日本大震災や一連の豪雨被害。海外のワイン関連なら、カリフォルニアで発生した2017年と2020年の大規模な山火事。多くの人がその出来事を忘れてしまっても、被災者の中には変わらずに苦しみ続けている人たちがたくさんいる。 2021年7月 。とあるワイン銘醸地を甚大な天災が襲ったことを、一体どれだけの人がまだ記憶しているだろうか。 悲劇の場所は、ドイツ・ アール渓谷 。 度々小規模な洪水に襲われてきたアール渓谷だが、 7月14日 に発生した洪水は、まさに 未曾有 のものだった。 6月上旬から降り注いだ雨で、土壌の水分吸収量が限界を突破したことから水位が徐々に上昇、7月14日の夕方には避難勧告が出されたが、23時頃に洪水がピークに達した時には、 8mという高さに及ぶ激流 が、アール川沿いにあった何もかもを、根こそぎ薙ぎ倒し、濁流が飲み込み、遥か遠くへと奪い去って行った。 ドイツのアール渓谷のことを良く知らない方も多いと思うので、改めて紹介させていただきたい。 アール地方は ドイツ西部では最北に位置する ワイン産地であり、 最も小さな産地の一つ でもある。この地方の主役となる葡萄品種は シュペートブルグンダー 、つまり ピノ・ノワール 。 近年着々とその真価を発揮してきたドイツのシュペートブルグンダーだが、 筆者は特にアール渓谷に強く注目してきた 。 北限という位置、川沿いに拓かれた超急勾配の葡萄畑、熱をため込む狭い渓谷、吹き抜ける強烈な冷風。まさに限界的な生育条件から、緊張感と威厳に満ちた偉大なシュペートブルグンダーが生まれる。この独特の緊張感は、バーデン、ファルツと言った、シュペートブルグンダーで知られるドイツの他の地方では、あまり出会わない特性だ。 別の言い方をしよう。筆者は アール渓谷こそが、真にピノ・ノワールという葡萄品種の頂点、つまり偉大なブルゴーニュのグラン・クリュだけが到達できる聖域に辿り着く可能性をもった産地 だと思っている。 ブルゴーニュが温暖化に苦しむ中、アール渓谷は ピノ・ノワールの未来を一身に背負っている ような産地ともいえる。 そんなアール渓谷の中でも、最も有名で、最も高い実力を誇り、そして 最も大きな被害を受けた ワイナリーの一つとなってしまったのが、 マイヤー=ネーケル 。 先代のヴェルナー氏が築き上げた名声に甘えることなく、 マイケとドルテ という二人の娘が改革を断行、現代的なセンスとバランス感覚で徹底的に磨かれたシュペートブルグンダーは、あっという間に ドイツ最高峰の一角 と評されるようになった。 被災当日、大波が迫りくる中、マイケとドルテは避難をせずに、ワイナリーを守るための対策に奔走していたが、すぐに膝下にまで浸水し、屋根裏に一度避難したものの、ガスタンクが破裂したため呼吸困難となり、また一階へ。その後、あっという間に増水し、ワイナリーが洪水に飲み込まれたため、窓ガラスを割って脱出。激しい洪水に流されながらも、なんとか木につかまって難を逃れることができ、木の上で一晩を過ごしたのち、奇跡的な生還を果たした。先代のヴェルナーは、被災のショックで心臓発作を起こし、意識不明の重体となったが、11月下旬にようやく退院することができた。 ワイナリーに戻ると、巨大なプレス機、フォークリフト、トラクター、300もの樽といった設備が尽く流され、ワイナリーの建物も完全な建て直しが必須となるほどに激しく損壊していた。 被災したタイミングは、収穫まで残すところ1ヶ月半というタイミング。復興作業を続けながらの畑仕事、ワイン造りは困難を極めたが、国内の様々な助けを得て、無事に2021年を仕込むことができた。 マイケとドルテは、様々な助けによって2021年ヴィンテージを終えることができた感謝を、動画のメッセージ送り届けてくれた。 マイケとドルテからのビデオレター(日本語字幕付き) しかし、 マイヤー=ネーケルが立ち向かっていく過酷な試練は、これから本格的に始まる 。 2021年ヴィンテージを仕込むためにリースしたほとんどの機材は返却する必要があり、ワイナリーの完全な建て直しも必須な状況。もちろん、億単位の資金が必要となる。 マイヤー=ネーケルの日本国内輸入元である Diony社 は、この状況を受けて クラウドファンディング を開始、Campfireの手数料を抜いた全額を、 マイヤー=ネーケルに直接送る 計画になっている。実は、アール醸造組合にはドイツ国内や海外から寄付金が寄せられたが、ワイナリー間での配分がまとまっておらず、集まった資金は浮いたままになってしまっている。マイヤー=ネーケルが、アール醸造組合から、再建に必要な資金を得られる可能性は、残念ながら非常に低いだろう。 このような状況だからこそ、ワイナリーに直接資金を送れるクラウドファンディングには、大きな意味がある。 さらに、Diony社は秘蔵品として自社熟成させていた マイヤー=ネーケルの特級畑ワイン を、クラウドファンディングのプランに含めるなど、まさにできる支援を一切惜しまない姿勢で臨んでいる。 一人のジャーナリストとして、たった一つのワイナリーの援助を読者の方々にお願いするのは、間違った行為なのかも知れない。 しかし、それでも、私はマイヤー=ネーケルに存続して欲しい。 マイヤー=ネーケルを失うということは、全世界のピノ・ノワール・ファンにとって、多大なる損失となる。そう心から信じているからだ。 クラウドファンディングのページはこちらから。

  • 再会 <4> 日本を代表する白ワインの価値

    Fermier, El Mar Albariño 2018. ¥10,000 実は、このワインには複雑な思いを抱いてきました。つい最近までは。 そして、私の考えが変わった「再会」は、 リリースされたてのワインから、その真価を測りきることがどれだけ困難なことか というのを、改めて思い知らされる貴重な学びの機会でもありました。 さて、今回の主役は アルバリーニョ 。そして、日本の、 新潟のアルバリーニョ です。 SommeTimesでも 特集記事 を組んだことがあり、コラムでも様々な執筆者から度々取り上げていますので、注目が強く集まっている産地であるのは、間違いありません。 早速ですが、本題に突入しましょう。 過去の私も含め、このワインの論点は、「 価格 」に行きがちだと思います。 新潟のアルバリーニョで一万円という価格は、確かにあまり多くの人が免疫をもっている領域では無いと思います。 しかし、熟成によってしっかりと味わいが開いた El Mar Albariño を飲んだ時の私の率直な感想は、「 一万円の価値は十分にある 」でした。

  • イタリアで最も偉大な産地 <ピエモンテ・ネッビオーロ特集:第三章>

    バレバレスコに想いを馳せると、いつもやるせない気持ちになる。偉大なるバローロの栄ある光は、バルバレスコに深い影を落とし続けてきたからだ。そう、バルバレスコに与えられた地位は、 永遠のNO.2 。ワインファンに「イタリアで最も偉大な赤ワインは」と尋ねると、おそらく90%程度はバローロと回答するだろう。残りの9%はトスカーナ州のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、そして 1%がバルバレスコ といったとこだろうか。実は、 筆者はこの1%に属している 。私はこのことを隠すことも、ましてや恥じることも一切ない。90%の超多数派が私をなんと罵ろうとも、私にとってイタリア最高の赤ワインは、バルバレスコなのだ。 バローロとバルバレスコの違いは、ブルゴーニュに当てはめるならシャンベルタンとミュジニーの違い 、と表現しても差し支えないだろう。不思議に思わないだろうか。ブルゴーニュ・ファンなら、意見が真っ二つに割れるような「違い」であるにも関わらず、なぜかバローロが圧倒的な優勢を保ち続けてきたことを。その本質は結局のところ、「 無知 」にある。 我々の多くは、ブルゴーニュよりも遥かに低い理解しか、バローロとバルバレスコを内包するランゲの地に対してもち合わせていない 。知らないなら、より有名な方に大多数が流されるのは必然だ。 幸運なことに、筆者は相当な数の、そして様々な状態のバローロ、バルバレスコと真摯に向き合う機会に恵まれてきた。そして、私が人生の「バローロ・バルバレスコ体験」の中からトップ10を選出するなら、7つはバルバレスコが占める。それどころか、トップ3は間違いなく全てバルバレスコだ。 「飲み頃のバローロなら」という反論は、当然出てくるだろう。しかし、筆者は飲み頃のピークに到達できるレヴェルだけで判断していない。ピーク時期の長さ、飲み頃予測の容易さ、飲み頃に至るまでの時間も、判断材料に含めている。 一点突破力ではバローロかもしれないが、総合力ではバルバレスコだ 。そして何より、 リアリストの私にとっては、ワインは飲んで楽しみ、嗜むものであって、棚に飾って眺めるものではない のだ。 バローロが荘厳な王宮の如きワインだとしたら、バルバレスコは 雄大な牧歌的神秘性を讃えるワイン 。 本章では、そんなバルバレスコの真髄に迫っていく。 Barbaresco誕生から現代まで バルバレスコというワインの名が明確に残っている古い文献はかなり少ない。 最古のものは1799年 で、オーストリア軍の将校だったデ・メラスが、ワインが入った600Lの樽をバルバレスコの教会に注文したという記録が残っている。バルバレスコの名が刻まれた現存する 最古のボトルは1870年製 であり、実際のところは、19世紀の終わり頃までは、瓶詰めされたバルバレスコは非常に少なかったと考えられている。 ネッビオーロの名産地として古くから知られてはいたものの、非常に長い間バルバレスコ産の葡萄は、 バローロにブレンドされ、バローロの名で販売されていた 。バルバレスコのフレッシュでエレガントな特性は、強固になりがちなバローロを和らげるためのパーツとして、重要視されていたのだ。 そんなバルバレスコの長い暗黒時代にやっと光が差したのは、 1894年 のこと。そして、歴史に名を残す偉大な革命家の名は、 ドミツィオ・カヴァッツァ である。現在のエミリア=ロマーニャ州にあるモデナで生まれたカヴァッツァは、ミラン大学で栽培学を学んだのち、フランスに渡り、ヴェルサイユとモンペリエでさらに学びを深めた。また同時期に、カヴァッツァはフランスの葡萄畑を フィロキセラとベド病が 蹂躙していく様を目撃している。1881年、若干 26歳 にも関わらずミラン大学とフランス各地で当時最先端のワイン学を吸収していたカヴァッツァは、イタリア農業省が新たに設立した アルバ王立ワイン学校 のディレクターに大抜擢された。 そして、カヴァッツァは自らの安住の地として、 バローロではなく、バルバレスコを選んだ 。1886年にはバルバレスコに最初の葡萄畑を取得し(*1)、 ネッビオーロの栽培を開始したが、バルバレスコの名声を高めるには、より大きな規模で品質改革に取り組み必要があると痛感したカヴァッツァは、1894年、9つの葡萄農家と共に、協同組合である Cantina Sociale di Barbaresco (カンティーナ・ソシアーレ・ディ・バルバレスコ)を設立した。 しかし、この偉大な革命と挑戦は、短命に終わってしまうこととなる。1913年にカヴァッツァが若くして急逝し、息子のルイージが引き継いだが、その2年後には彼も第一次世界大戦のために徴兵されてしまった。戦後の貧困と、多くの若者が戦死したことによる絶望的な人手不足はバルバレスコを直撃し(この時すでに高い名声を得ていたバローロは、バルバレスコほどの危機には陥らなかった)、さらにフィロキセラとベト病が襲来し、1922年から始まったファシスト政権による農地改革(イタリアの食糧自給のために穀物栽培への転換が強引に進められた)によって決定的な追撃を受けたことを機に、Cantina Sociale di Barbarescoは1925年に閉鎖された。そしてその後30年以上もの間、バルバレスコは再び暗黒時代へと突入してしまった。 バルバレスコに再び革命の狼煙があがったのは、1950年代後半から60年代にかけてのこと。第二次バルバレスコ革命の主役となったのは、カヴァッツァの遺志と果たせないままだった夢を引き継いだドン・フィオリーノ・マレンゴ神父が創設した、新たな協同組合 Produttori del Barbaresco (プロドゥットーリ・デル・バルバレスコ)、強大な野心を抱えた若き日の Angelo Gaja (アンジェロ・ガヤ)、そしてワインの偉大さは葡萄畑に宿ると頑なに信じた Bruno Giacosa (ブルーノ・ジャコーサ)である。 特にProduttori del Barbarescoの果たした役割は極めて重要で、多くの葡萄農家に再び情熱の火を灯しただけでなく、1966年にDOCが初めて制定された際に、バローロ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、キアンティと共にバルバレスコが認定される直接的と言っても過言ではないほどの原動力となった。 その後から現在に至るまでの変遷は、基本的にバローロと同じだ。単一畑バルバレスコの出現によって古典的なブレンド派との確執が生まれ、革新派バローロの流行を受けて(最初に新樽のバリックを導入したのはアンジェロ・ガヤだが)一部のバルバレスコは新樽を積極的に導入するようになり、現在は古典派と革新派が共存しつつ、ハイブリッド派も躍動している。

  • カベルネ・フランが好き

    大阪心斎橋の名店「Le Chat Noir」でオーナーソムリエを務める岡城ソムリエは、クラシックからナチュラルまで幅広い知見の深さと、柔らかい語り口が魅力の名ソムリエです。今回は、クラシックとナチュラルの境界線にいるような、ロワールの偉大なワインに関するコラムです。 ------------------------------------------------------------- 自身がはじめたお店が今日、ふんわりと10周年を迎えた。 よし、今日はオープンした年のワインを飲もう。そう思いワインを選んだ。 お店をはじめたとき目標にしたのが、まず10年続けようということだったのを思い出し、 なんでも飲食店は特に数が多いので生き残ることが本当に大変で、10年を越えれる割合はわずか1%だなんて誰かに聞いた気がする。いくらなんでも1%は少なすぎじゃない?と今になって思って調べてみたら、インターネット上では 6〜10%が一般論だった。全然ちがうやん。ま、とにかく 今年 はまともに営業すらできない状況が続いていたので実感なんてものも程遠く、まさに「ふんわりと迎えた」感じだ。 まだまだ派手なパーティなんてもってのほか、というタイミングで 、いつも通り家で家族との夕食の時間を過ごすも、やはりいつもとは違うワインを飲みたくなりこっそり用意したワイン。 生産者:Domaine du Collier / ドメーヌ デュ コリエ ワイン名:Saumur Rouge La Charpentrie / ソミュール ルージュ ラ シャルパントリ 葡萄品種:Cabernet Franc 100% ワインタイプ:ミディアム赤 生産国:フランス 生産地:Saumur / ロワール ソミュール村 ヴィンテージ:2011 アルコール: 13% インポーター:㈱徳岡 価格帯:¥8500 〜 12000 ロワールの カベルネ・フラン 。 正直、今まで仕事をさせていただいて「ワインが好き!」というお客様にリクエストされたことがほとんどないタイプ(「それ以外で」というリクエストは何度か受けたことがあるのだけど)。レストランだとピンポイントに食材とあわせて勧められそうだけど、 ワインバーではなかなか難しいタイプ のひとつ。だけど僕は本当にこの葡萄品種のワインが好きで、今日は妻の好みはさておき自分の飲みたいワインを選んだ。 同じ地域で世界的にもファンが多い クロ・ルジャール と縁の深いこの造り手、ちょうど10年経ってどういう表情をみせてくれるのかワクワクしながら抜栓し香りを嗅ぐと、笑みが溢れるくらい上品な大人の香り、熟した木苺や黒プラムに乾燥したハーヴのニュアンス、小さめのバラ、口に含むととても滑らかなタンニンにほどよく強いのびやかな酸、アフターまで続く赤と黒のフルーツのフレーバーにかすかに丁子のスパイス、血のような鉄っぽいミネラルが混ざりさらに複雑に。 派手なスタイルではないのだけど飲み疲れることなく、時間が経つとともに甘い香りが増えてきてさらにすすんでしまう。いつもなら僕が7割、あまりお酒が強くない妻が3割くらいのバランスなので、1本でちょうどいいのだけど、今日はいつもと違い妻が「飲んでいくうちに美味しい!」と予想以上のペースを発揮し、すぐに空になりそうだった残り少しのボトルを隠し、別のワインを開けるはめになったのだけど、これはこれで嬉しい夜になった。 カベルネ・フランという葡萄品種、カジュアルな価格帯のものは 酸味が強く (比較的涼しい土地柄)、品種由来の 渋みや独特の青い香り (野菜のような植物的な香り)もあって、それが若い時フランスのカフェで食べた、ちょっと安めの硬めの赤身のステーキと一緒だととても美味しかったのを思い出し、ノスタルジックな意味でも好きだし、 この青さのニュアンスが時を経て、朝鮮人参のような漢方に通じる香りに変化した時 のワインも色っぽくて好きな理由。特に最近では温暖化の影響や生産者の畑での努力や樹冠整理の向上もあり、前述のような青い香りもかなり優しくなりバランスがいいワインが多く、ますます楽しみなスタイルだと思う。そして何より好きな個性としては熟成につよい果実味があることで、さまざまな香りが加わってもワインとして常に1本芯の通った味わいを維持していけるところ。 ワインを選ぶ時の選択肢にタイプ、色、生産者、葡萄品種、価格などいろいろ要素はあるのだけど、ヴィンテージで選ぶというのも、やっぱりワインがもつ楽しみのひとつだなとつくづく思う。 余談ながら今日飲んだ「シャルパントリ」をしらべてみると、葡萄の樹齢が100歳を超える古樹の畑の名前だそうで、10年の記念に長寿葡萄のワインを飲めたことにまた、なんとも嬉しい気持ちになった。 <ソムリエプロフィール> 岡城 武士 / Takeshi Okajo Le Chat Noir 1979年大阪生まれ。1997年から心斎橋にてバーテンダーとして修行を開始。 2002年フランスに渡り、2年間カンヌでワインサービスに従事。 2011年大阪心斎橋にて自店シャノワールを開店、現在も営業。 JSA シニアソムリエ資格/WSET Level.3 資格保持 Level.4 挑戦中。 フランスワインを中心に食前・食後酒を幅広く取り揃えております。 フランスの家庭料理などと一緒に大切な人と心地いい時間をすごしていただけたらと思い日々営業しております。

  • オーストラリアワインの多様性と可能性

    Australian Food & Beverage Showcase Japan ブラインド・テイスティング オーストラリアは広い。 国土面積では世界6位。ヨーロッパがほぼすっぽりと入ってしまう大きさ。 だからオーストラリアのワインは 多様 だ。 ニュー・サウス・ウェールズ、ヴィクトリア、南オーストラリア、西オーストラリア、そしてタスマニアと、 東西は約4,000km にも及ぶ広大な範囲に 65のリージョン が広がる。 パワフルなシラーズという一面的な理解では語りきれないことは、おそらく今更言うまでもない 。カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネ、リースリングなどに留まらず、昨今ではオルタナティヴ系品種とも呼ばれる、ネッビオーロやサンジョヴェーゼ、テンプラニーリョ、グリューナー・フェルトリーナー、トゥーリガ・ナシオナルにサペラヴィなど、正に 幅広い品種の可能性が花開く 。まるで ヨーロッパ全土が南半球にもある 、ともいえそうな多様性。 今世界のプロフェッショナル百人に、オーストラリアで注目している産地/品種 は?と聞いたら、百通りの答えが返ってきそうな、そんな国が今のオーストラリアである。 だから面白いというのは、未知のワインを色々飲んでみたいと思うワインファンらしい感想だが、とはいえ、販売するとなるとどうだろうか。例えば上述したような品種は、既にオリジナルの国のワインが日本でも広く流通している。 オーストラリアの新しいキーワードとしてよく耳にする「多様性」とは、 どのくらい日本での可能性を有しているのか 。今、そもそもオーストラリアワインをプロや消費者が選ぶ理由とはなんだろう。オーストラリアこその 強みや特徴 とは? 豪州大使館商務部と在大阪豪州総領事館の主催による、 Australian Food & Beverage Showcase Japan が、 2022年6月30日まで開催 されている。これはオンラインで未輸入のオーストラリア製品を日本向けに紹介する目的で、輸入業者向けに行われているもので、ワイナリーは 40社 が出展。 200本程度 のワインが展示されている。 Australian Food & Beverage Showcase Japanの ページはこちらから * 登録対象は酒類・食料品の輸入業者や仕入れ調達企業のバイヤー担当者となっている。 以下は登録の手順。 ①「招待コード」取得 : オンラインフォーム から必要事項を入力し、送信すると、「招待コード」が発行される。 ② 新規ユーザー登録 : 展示会サイト の「REGISTER」からユーザー登録し、IDとパスワードを設定する。(①の招待コードが必要) ③ ログイン : 展示会サイト の「LOGIN」からログイン。(②で設定したIDとパスワードが必要。) * 2021年3月の展示会で登録済みのユーザーは同じID とパスワードで閲覧可能。 今回の取り組みは日本国内における 予想希望小売価格とワインタイプをベース にした4カテゴリーと、 価格制限無し の合計5カテゴリーを設定し、 トップ3の合計15本を選ぶ というもの。上記の出展者の 128本のエントリーワインからWANDS誌が書類選考で90本を厳選し、提供された合計90本を、日本を代表する経験豊富な4名のテイスターが、二日間に分けてブラインドでテイスティングした。初日はそれぞれが90本を試飲して予備審査を行った。その中で高得点だった計40本を、翌日再度ブラインドでテイスティングした 。 SommeTimesでは、二日目のトップ3を決するテイスティングを取材した。特に本記事をご覧いただいて興味を持っていただいたインポーターの方、是非このオンライン展示会をご覧いただきたい。 今回のテイスティングは、オーストラリアの多様性の強みと弱みをとても反映した内容だったと感じている。 カテゴリーとテイスターは以下の通り。 カテゴリー 1:赤 予想希望小売価格 ¥1,000 - ¥1,999 2:白 予想希望小売価格 ¥1,000 - ¥1,999 3:赤 予想希望小売価格 ¥2,000 - ¥2,999 4:白 予想希望小売価格 ¥2,000 - ¥2,999 5:一推しワイン 価格制限なし * 最終的な日本国内での小売価格は、為替や輸送費の変動などに大きな影響を受けるため、予想希望小売価格は、あくまでも参考とご理解いただきたい。 テイスター(敬称略) 井黒卓  ミシュラン3つ星レストラン『L’Osier』ソムリエ 高橋佳子 DipWSET ワインコンサルタント、通訳 太田賢一 ミシュラン2つ星レストラン『ESqUISSE』シェフソムリエ 宮下愛  DipWSET THE Winery店長 15ワインや本企画に関する問い合わせ先 オーストラリア大使館商務部 enquiry.japan@austrade.gov.au カテゴリー1:赤  予想希望小売価格 ¥1,000 - ¥1,999 第1位 ワイナリー:Corryton Burge ワイン名:Corryton Burge SA Shiraz 品種:Shiraz ヴィンテージ:2018 GI:South Australia 平均点:89.8P ボトルショット:©︎WANDS 紫の色合いに濃厚な果実味、まさに従来からのオーストラリアの顔であるお手頃価格シラーズのお手本となるようなワイン。プルーンのような果実味は艶があり、とてもピュアで葡萄の品質の高さを感じる。スミレの花を連想させる香水のような香りとうまく溶け合う。アルコール感が多少余韻に残るが、この価格なら素晴らしいコストパフォーマンス。 (宮下) 第2位 ワイナリー:Rymill Coonawarra ワイン名:Rymill Coonawarra The Yearling Cabernet Sauvignon 品種:Cabernet Sauvignon ヴィンテージ:2019 GI:Coonawarra(SA) 平均点:89.5P ボトルショット:©︎WANDS 凝縮感に富んでいて、この価格帯に多くみられるグリーンのトーンは穏やか。高いアルコール度数と甘く熟したタンニン。 オークの香りとフルーツのバランスがお互い強いながらも均衡を保っている。グリップのあるタンニンがタイトなフィニッシュを作っている。 (井黒) 第3位 ワイナリー:Swan Wine Group ワイン名:Red Deer Station 30 Cabernet Shiraz 品種:Cabernet Sauvignon, Shiraz ヴィンテージ:2019 GI:Langhorne Creek(SA) 平均点:88.0P ボトルショット:©︎WANDS ダークチェリーのコンポート、ユーカリ、メントールの精油。 全体的にオイリーなニュアンス。 凝縮度、中盤の広がり、余韻の豊かさ、とAUSの赤に求められるものが、カジュアルレンジにして全て備わっている。CP抜群。 (太田) 改めてその個性と品質の高さに驚く 小売から気軽なレストランのバイザグラスまで広く活躍する のがこのカテゴリーだが、出展されていたのはサンジョヴェーゼが一つあったのを除いて、全てシラーズ、もしくはカベルネ・ソーヴィニヨンを含むボルドー系。 テイスター各氏によると、前日のテイスティングではかなり出展ワインの良し悪しがはっきりしていたそうだが、 最終のテイスティングに残ったワインはどれも価格を考えると価値の高いワインばかり だった。 オーストラリアに一般的に期待されるような、果実の熟度、フルーツのアロマ、そしてメントールなどのグリーンなニュアンスがあるものも多い。 ティピシティがこの価格帯でしっかりと反映されている のは、 世界中のワインと並べて比べられる日本のマーケットでは大きな優位点 。オーストラリアだからこその味わいが、きちんと表現されているといえよう。 アルコール濃度は全般的に高めだが、酸などときちんとバランスが取れているワインが上位に選ばれており、 単純で飲み疲れするような退屈なワインではない 。この価格帯のオーストラリアワインに「甘くて強いだけ」といった印象をおもちの方がいるなら、是非この機会に改めて頂きたいと思う。 「全部よくできている。世界トップクラス(井黒)」、「ボルドーの同価格帯と比べても優位性がある(太田)」 などと、他の国とも比べても全く遜色がなく、寧ろキャラクターがはっきりしていてポジショニングがしやすい。味わいだけでなくラベルなども含めて、良いワインを選べば、まだまだポテンシャルの高いカテゴリーだと思う。 カテゴリー2:白  予想希望小売価格 ¥1,000 - ¥1,999 第1位 ワイナリー:Tempus Two ワイン名:Tempus Two Silver Series Pinot Gris 品種:Pinot Gris ヴィンテージ:2020 GI:South Eastern Australia 平均点:90.0P ボトルショット:©︎WANDS 香りは爽やかな柑橘系主体。 ジューシィなピンクグレープフルーツやネクタリン。 甘みを残したスタイルが親しみやすさを演出している。 丸みのあるクリーミーな食感が余韻まで続く。 (井黒) 第2位 ワイナリー:Corryton Burge ワイン名:Corryton Burge South Australian Chardonnay 品種:Chardonnay ヴィンテージ:2021 GI:South Australia 平均点:89.5P ボトルショット:©︎WANDS 香り、パレット共に充実のウエイトがあり、この価格帯なら十分に競合できる。 蜜っぽさや程よいオークのニュアンスも複雑さに寄与している。 (高橋) 第3位 ワイナリー:Handpicked Wines ワイン名:Versions by Handpicked Chardonnay, Victoria 品種:Chardonnay ヴィンテージ:2018 GI:Victoria 平均点:87.3P ボトルショット:©︎WANDS グリーンがかったレモンイエロー。 還元的でオイリー。洋梨、花梨、アカシア、菩提樹。 ボディと厚みがパワフルな印象を与える。 (太田) ウェルメイドを超えるか オーストラリアの低価格帯に求める味わいとはなんだろうか。先程見ていただいたように、赤はシラーズやカベルネの力強い味わいだろう。では白は? ノミネートされたうち約半分はシャルドネ。その他はピノ・グリ、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、グリューナー・フェルトリーナーだった。 2日目のテイスティングに残ったワインは、テイスターからもコメントがあったように 「クリーン(宮下)」で「欠点のない(高橋)」 ものが並んだ。 フレッシュでフルーティ、やや酸が高くバランスに優れる。ボディのあるシャルドネなどもあり、 価格を踏まえてよくできたワインが多い 。 とはいえ、裏を返せばそれほど特徴がないとも言える。「フレッシュでフルーティ、クリーン」なワインは、世界中どこでも造ることができる。それだけでは、オーストラリアの特徴にはなり得ない。 例えばニューワールドを見回してみても、ニュージーランドのフルーティでグラッシーなソーヴィニヨン・ブランや、カリフォルニアの樽やボディの強いシャルドネ、低価格が強みのチリなどと比べて、オーストラリアにはこのカテゴリーにこれといって確立したイメージがない。 トップ3に並んだワインはどれも、品質的にもコストパフォーマンス的にも非常に優れたワイン だが、消費者は何を期待してオーストラリアのこの価格帯の白ワインを積極的に選ぶのだろう。 一つの可能性として挙げたいのは ピノ・グリージョ だ。正にフレッシュ&フルーティなキャラクターで世界的にも人気が高まっている。それほど強いフレーヴァーもなく、 日常の食事の中で黒子のように振る舞うワイン 。マリアージュなどと言わなくても、どのような食卓にも馴染む。 良い意味で特徴のないこのカテゴリーは、品種を問わず、そのような楽しみ方を提案したい。 スクリューキャップも多く、気軽さがあるのも良い点 だ。考えてみると意外とそのような産地は他の国にもないものだ。特徴のある赤と比べると全く逆、 中庸の魅力、つまりカジュアルなシチュエーションであれば、どのような場にも自然に溶け込める汎用性の高さ こそが、このカテゴリーの白ワインの特徴であり強みである。 カテゴリー3:赤  予想希望小売価格 ¥2,000 - ¥2,999 第1位 ワイナリー:3drops ワイン名:3drops Cabernets 2018 品種:Cabernet Sauvignon, Cabernet Franc ヴィンテージ:2018 GI:Mount Parker(WA) 平均点:90.3P ボトルショット:©︎WANDS 個性的なミンティでハーバルなトップノーズ。 カシス、シダ、セイバリーなスパイス、腐葉土、なめし革と続く。 がっしりしたストラクチャーに溶け込んだダスティなタンニン。 やや垢抜けないラスティックさ(田舎っぽさ)が好印象。 (井黒) 第2位 ワイナリー:Wills Domain ワイン名:Wills Domain Mystic Spring Cabernet Sauvignon 品種:Cabernet Sauvignon ヴィンテージ:2019 GI:Margaret River(WA) 平均点:89.5P ボトルショット:©︎WANDS しなやかさと力強さの両方を感じるモダンなスタイル。カベルネ・ソーヴィニョンらしい力強さは完熟果実のフレーヴァーに支えられているが、吹き抜けるオレンジピールのようなニュアンスが“抜け感”となって爽やかささえ感じさせ、濃厚だが次の一杯もついつい飲み進めてしまいたくなる。その品質の高さは余韻の長さからも一目瞭然。 (宮下) 第3位 ワイナリー:DOWIE DOOLE ワイン名:DD Shiraz Grenache 品種:Shiraz 85%, Grenache 15% ヴィンテージ:2017 GI:McLaren Vale(SA) 平均点:89.3P ボトルショット:©︎WANDS 中心に黒みを帯びた、明るめのガーネット。 濃縮感がありながら全体的に抑えが効いている。 心地よく木樽由来のスパイスが混じる。 豊潤さと力強さ。非の打ち所がないワイン。 (太田) クラシックとモダン 売れるのはどちらか このカテゴリーに出展されたのは、ピノ・ノワールとテンプラニーリョが1つずつ、それ以外は全てシラーズかカベルネの単一もしくはブレンド。2日目のテイスティングに残ったワインはシラーズとカベルネのみとなった。 このフライトでトピックとなったのは、 クラシックとモダンの二つのスタイル についてである。熟度が高く酸化的、樽の香りも比較的強めでパワフルな印象の強い「 クラシック 」と、適熟での収穫で酸が高め、還元的な「 モダン 」。 「点数をつけるのが難しかった(宮下)」 といったコメントもあったが、赤ワインの低価格帯では見られなかった二つのスタイルが入り混じり、テイスターとしてはそれぞれの優劣をどう点数に反映するのか苦慮していた。 大柄で力強いクラシックスタイルは、世界的にも類を見ないオーストラリアらしい赤ワインだ。オーストラリア=濃い赤ワイン、といったイメージは古臭いと言われるかもしれないが、このテイスティングでも高く評価されたように、 見逃してはいけないこの国ならではの味わい。 グラス一杯でも満足感が高く、小売から飲食店まで幅広い可能性 がある。ペンフォールズなどのビッグ・ブランドの得意とするカテゴリーでもあるので、販売する上ではそこと比べた対比や 興味を惹くストーリー などは必要だろう。 対してタイトで酸の高い モダンスタイル は、 ペアリングなどを行うレストラン向け だと言える。熟度の高さがありながら緻密。 価格を超えたクオリティのワイン がいくつも見られた。とはいえこのカテゴリーの難しさは、ペアリングにおいてオーストラリアのワインでないといけないというシチュエーションをどう見つけるか、だ。ペアリングの舞台では世界中のワインと並べられ比較される。そのワインを選ばなくてはいけない、という必然性が欲しい。 また、今回のテイスティングでは、上位2つをカベルネ・ソーヴィニヨンが占めた。改めてこの国のこの品種の品質の高さを示したが、世界中のカベルネと比べてどう売るのか。 「カベルネ系が評価されていたが売る理由が見つかりづらい。(井黒)」 といったコメントもあった。品質だけでなく、ストーリーなども含めて考える必要があろう。 カテゴリー4:白  予想希望小売価格 ¥2,000 - ¥2,999 第1位 ワイナリー:Peos Estate ワイン名:Peos Estate Four Kings Chardonnay 品種:Chardonnay ヴィンテージ:2020 GI:Manjimup(WA) 平均点:92.5P ボトルショット:©︎WANDS グリーンがかった、やや明るいイエロー、粘性やや高め。 白桃、ヘーゼルナッツ、貝殻、石灰、アカシア、澄ましバター、トースト、ヴァニラ。 中程度のアタックから、フレッシュさ、リッチさ、塩味の引き締め。それら一連が綺麗に繋がる。 丁寧な栽培と醸造プロセスがうかがえる、非常に高品質。 (太田) 第2位 ワイナリー:Zilzie Wines ワイン名:Platinum Edition Arinto 品種:Arinto ヴィンテージ:2020 GI:Australia 平均点:90.5P ボトルショット:©︎WANDS よく熟した果実がオーストラリアのイメージと合致する。程よい酸味や苦味が厚めの果実とバランスしていてワイン全体をワンランク上げている。 オルタナティブ品種としてのポテンシャルを感じる好例。 (高橋) 第3位 ワイナリー:Peter Drayton Wines ワイン名:Peter Drayton Wildstreak Semillon 品種:Semillon ヴィンテージ:2020 GI:Hunter Valley(NSW) 平均点:89.8P ボトルショット:©︎WANDS 夏みかんやはっさくのようなアロマが印象的で、オーストラリアのセミヨンの特性をうまく表現している。低めのアルコール度でスムースに杯がすすむフードフレンドリーなワイン。柑橘のアロマから始まり余韻のオイリーさまでストーリー構成のよくできた構造が素晴らしい。 (宮下) 多様なスタイルを理解する 「多様だ」と言われるオーストラリアを、最も反映したフライトである。出展された品種は多い順に、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、セミヨン(ブレンドを含む)、ピノ・ブラン、アリント。上位3つはご覧の通り。 この中で、 多様性 というキーワードで特に取り上げるべきなのは アリント だろう。ポルトガルでは広く作られている高い酸をもつ品種だが、そもそもオーストラリアで造られていることを知らなかった。このような 一般的には知られざる品種から高く評価されるワインが生まれているのは、オーストラリアの今の面白さを端的に見せてくれている と思う。 干魃 などの問題に直面しているオーストラリアにおいて、こういった 南欧のウォーターストレスに耐性のある品種 は今後より広がっていくだろう。是非一度テイスティング頂きたいワインだ。 ハンター・セミヨンは、JSAのソムリエ試験やWSETで勉強したけどその後飲む機会がない、とよく言われてしまう。価格がそれほどカジュアルではなく、熟成しないとその本質が分かりづらい。故に中々輸入もされない。とはいえ アルコール濃度の低さは今求められているポイント だし、上記したように資格試験を受けた多くのプロや消費者には認知されていることを考えると、このような適当な価格のものは十分ポテンシャルがありそうだ。若くても十分楽しめるスタイルであることも是非ご注目頂きたい。 そしてシャルドネ。 オーストラリアのシャルドネは一般的に、樽のニュアンスがあっても、やや控えめなフレーヴァーと高い酸、リーンな印象のワインが多いと思う。 今回選ばれたシャルドネは、更に進化するこの品種の好例だ。 「酸のバランスの変化。リーンからボディのあるものへとシャルドネが変わっていっている(井黒)」 というコメントが表すように、ややタイトだったスタイルに適度に肉付けをしたような味わい。フルーツや樽の強さはあるもののまとまりがあり、酸の高さがバランスを取る。やや通向けだったものが、 誰にでも愛してもらえそうな分かりやすさと、それを支える繊細さが同居 しており面白い。高い技術を感じ、この国のシャルドネに改めて注目したくなるワインだ。 カテゴリー5:一推しワイン 価格制限なし 第1位(同点) ワイナリー:Chateau Yaldara 1847 Wines ワイン名:Grand Pappy's Shiraz 品種:Shiraz ヴィンテージ:2017 GI:Barossa Valley(SA) 平均点:93.8P ボトルショット:©︎WANDS 凝縮感のある果実味はブラックベリー、ブルーベリーなどの熟した黒果実のアロマに溢れている。その上に上品かつ存在感のある樽香、それら全体を引き締める酸味。それら全ての要素はそれぞれ非常に強いが、きれいな正三角形のように均衡が取れていて美しい。また、アタックからフィニッシュまでの階層が深く、堂々たる構成のワイン。品質はピカイチ。ただ、この価格になると世界にはライバルも多くなるので、味わいや品質だけでなくこのワインの背景、物語含めたマーケティング要素も必要になってくる。 (宮下) 第1位(同点) ワイナリー:Purple Hands Wines ワイン名:Planta Circa Ancestor Vine Shiraz 品種:Shiraz ヴィンテージ:2019 GI:Barossa Valley(SA) 平均点:93.8P ボトルショット:©︎WANDS 重層的な香りと味わい。しなやかでよく溶け込んだタンニン。抑制が効いていて、上質な酸味が全体を洗練された印象に纏めている。 (高橋) 第3位 ワイナリー:Scotchmans Hill ワイン名:Scotchmans Hill Pinot Noir 品種:Pinot Noir ヴィンテージ:2020 GI:Geelong(Victoria) 平均点:91.8P ボトルショット:©︎WANDS 官能的。全房発酵由来の複雑なアロマ。 ブラウンマッシュルーム、上質なレザー、腐葉土、ウーシャンフェン(五香粉)。血液のような鉄っぽい雰囲気がフルーツでも柘榴を思い起こす。ピンと張ったテンションを感じる緊張感のある酸味。 ボディに溶け込んだ艶やかなタンニン。 うっとりするような色香を感じる余韻。 (井黒) 世界のワインと比較して 何でもありのこのカテゴリーにノミネートされたワインは、最多の25種類。しかし、 シャルドネが1種類入った以外は全て赤ワイン だった。 シラーズ を中心に カベルネ系かピノ・ノワール が出展され、オルタナティブ系の品種は全くなかったのはやや意外なようでもあるが、 「世界のワインと比較してのテイスティング(井黒)」 というコメントを聞いて考えを改めた。 オーストラリアにおいて世界と伍する大きなポテンシャルがある品種 は、やはり先ずは出展されたこの3つなのだ。 同点一位に選ばれた2つのワインは、共にオーストラリアらしさに溢れたクラシックなバロッサ・ヴァレーのシラーズ。 「この価格帯のシラーズはやはり他にないクオリティとキャラクター(高橋)」 との言葉通り、熟度が高く、クリーンでブレットのないスタイルはオーストラリアならでは。 「料理はシンプルなものが合わせやすい。ローヌとは違う。(太田)」 というように、シラーといってもフランスとは明確にスタイルが異なるので、ペアリングの方向性も異なる。価格のバランスも考えつつ、ピンポイントでレストランでの立ち位置を探りたいワインだ。 そしてピノ・ノワール。 2日目に残った8種類のうち、3つがピノ・ノワール だった。モーニントン、ジーロング、タスマニア。どれもオーストラリアを代表するピノ・ノワールの産地である。トップ3に残ったのはジーロングだったが、どれも引けを取らない高品質なワインだったといえよう。 とはいえ、 「他のピノ・ノワールの産地と比べて競争力はあるのか(高橋)」 といったコメントがあったことも是非付け加えておきたい。いうまでもなく世界中で栽培されているピノ・ノワール。競争力といっても品質やコストパフォーマンスだけの話ではない。例えばこの、モーニントン、ジーロング、タスマニアのテロワールの違いについて、どの程度理解がされているだろうか。 それぞれの産地の個性や生産者のストーリー、醸造の特徴などについて深めていかないと、マーケットで埋没してしまう のは間違いないだろう。 今回のワインは全て日本への輸出向けということで生産者がセレクトしたワインだ。また出展されたワインも90種類であるので、偏りもあり、オーストラリアの今を網羅しているとは言い難い。とはいえ価格ごとに分けることで、それぞれのカテゴリーの特徴や強み/弱みを見ることができた。 オーストラリアは広い。今回のテイスティングも、フランスの産地のワインを並べてテイスティングするようなものとも言える。「多様性」と一言で言うのはたやすい。しかし多様性だけでワインは売れないのではないだろうか。 今回選ばれたような品質の高いワインを、一つ一つ丁寧に見つめ、適正な方法で流通させる ことが今求められていることだと感じている。 問い合わせ先 オーストラリア大使館商務部 enquiry.japan@austrade.gov.au <筆者プロフィール> 別府 岳則 / Takenori Beppu Wine in Motion代表 WSET®Level 4 Diploma オーストリアワイン大使(Austrian Wine Marketing Board) ポートワイン・コンフラリア カヴァレイロ (Institute dos Vinhos do Douro e Porto) International Personality of the Year 2018 (ViniPortugal) Award of Excellence (Austrian Wine Marketing Board) J.S.A.認定ソムリエ レストラン、インポーター、ワインショップを経て独立。 海外ワイン協会や生産者の様々なプロモーションに携わる。 プロフェッショナル向け、ワインラバー向けのセミナーやウェビナーも多数。

  • 真・日本酒評論 <2>:季節酒は季節の変わり目が一番旨い

    <蒼空:純米酒 ひやおろし> 「 ひやおろし 」とは、(前年の)冬に仕込んだ酒を春に一度火入れして安定させ、秋にそのまま(火入れせずに)瓶詰めして出荷される季節酒の一つ。 まろやかなで落ち着いた風味と、生酒(ひやおろしは正確には 生詰め )らしい華やかさが絶妙に混じり合う味わいは、季節酒の中でも際立った個性になる。 秋の酒とは言っても、ひやおろしは 早ければ9月の前半には出荷され始める 。9月の前半は、まだまだ夏真っ盛りな地方も多い。なんとも気が早いリリースだ。個人的には、日本酒の季節酒には、(現状よりも遅めの) 解禁日が設定されていても良いのでは と感じている。現状、「如何に早くリリースするか」という競争が垣間見えてしまっており、品質第一では無くなっている部分があると感じるからだ。 それに、筆者の経験上(個人的な嗜好もあるが)、 季節酒は次の季節の直前頃が一番旨い 。だから「ひやおろし」は11月後半頃に飲む方が、まとまりが出つつ、味がノッてきて、私は好きだ。

  • 偉大なる難曲の名を冠したワイナリー「ジャイアント・ステップス」

    ジャイアント・ステップス とは、1960年に、ジャズ史上最高の天才と評されるサクソフォーン奏者 ジョン・コルトレーン が発表したオリジナル曲であり、同名のアルバムでもある。ジャイアント・ステップスは、長3度という当時では非常に珍しかった転調を16小節の1コーラス間に10度も繰り返す上に、かなりのハイテンポで演奏するという、 極めつけの難曲 として知られている。また、当時ハード・バップ最高の奏者として知られていたコルトレーンが、 固定概念の壁を突破し、新たな領域への挑戦を高らかに宣言し、文字通り孤高の存在となった 、極めて重要なターニングポイント的作品でもある。 コルトレーンがジャイアント・ステップスで主題とした長3度の転調は後に「コルトレーン・チェンジ」と呼ばれるようになり、以降、数多くの音楽に強大な影響を与えた。目まぐるしい転調を正確に追いつつ、メロディアスなインプロヴィゼーション(アドリヴ)をするためには、音楽理論への深い理解、膨大な練習量、そして天賦の才能が必要とされるため、発表から60年以上経った今でも、ジャズ演奏において、一流の奏者か、そうでないかを分かつ大きな指標となっている。 さて、音楽に相当明るい人(余談だが、筆者はアメリカ・NYで音大を卒業している)にしかわからないような話を、わざわざ長い前置としたのには、当然理由がある。 オーストラリアのヤラ・ヴァレー に、 ジャイアント・ステップスというワイナリーがある からだ。 一人のワインプロフェッショナルとして以上に、一人の音楽家として、 ジャンアント・ステップスという名を冠するなら、半端でつまらないワインは全く許容できない 。 コルトレーンのジャイアント・ステップスとは、つまり 聖域 であり、 革新、挑戦、新たなスタンダードの象徴的存在 なのだ。 さて、オーストラリアのジャイアント・ステップスはどうだろうか。 結論から言うと、コルトレーンが同曲に込めたある種の「 狂気 」と同じ匂いのするワインだ。 シャルドネにおいては、野生酵母のみで、500リットルの中樽(パンチェオン)で発酵、熟成は小樽(新樽比率20~25%)、ワインの移動は全てグラヴィティ・フロウで行い、ポンプを用いない。マロラクティック発酵は基本的にワインの意思に任せつつ、バトナージュのみ、単一畑のテロワールとヴィンテージの特徴により柔軟に変化させている。軽く清澄はするが、無濾過で瓶詰め。ピノ・ノワールにおいては、同じく野生酵母のみで、基本的に小さなオークファーメンターで発酵(クローンの種類によって全房か否かを判断)、熟成は小樽(新樽比率25%)、グラヴィティ・フロウでラッキング後は、無濾過無清澄で瓶詰め。添加物は亜硫酸のみで、これも適切かつ必要最低限な添加量におさめている。 このあたりまでは、 テクニックとナチュラルを両立させた、現在最もアップ・トゥ・デートなタイプの醸造と言える範囲 だ。 しかし、偉大な音楽の名を冠したこのワインに「狂気」をもたらしているのは、それら一つ一つの「 手段 」そのものではなく、全ての手段が緻密に連動することによって叶えられた集合的な一つの「 個性 」である。 シャルドネ、ピノ・ノワール共に、広域、単一畑を問わず、あらゆる醸造行程において徹底徹尾貫かれているのは、驚異的に精密な オキシジェン・マネージメント 。樽は酸化を促し、グラヴィティ・フロウは酸化を防ぎ、スクリューキャップで閉じて瓶詰め後は完全に還元的な環境を保つ。 その結果として、 計算し尽くされた酸化によって華開いた香味のピークポイントが、還元的な状態で完璧に保存され、異次元的に「ピュア」な表現に至っている 。 もっと簡潔に書こう。 ジャイアント・ステップスというワインは、とにかく美しい のだ。 今回テイスティングしたジャイアント・ステップスのワインは10種。 シャルドネの単一畑が3種。 広域シャルドネが1種。 ピノ・ノワールの単一畑が4種。 広域ピノ・ノワールが1種。 そして、今回はレビューしないが、ローヌ系品種のブレンドが1種。 単一畑シャルドネ Tarraford Vineyard Chardonnay 2020 (国内価格:¥5,500) 標高100mと、単一畑の中では最も標高が低い谷間の平地に位置するタラフォード・ヴィンヤードは、引き締まったミネラルのコアと、柔らかい果実味のファーが魅力的なコントラストを生み出す逸品。単一畑シャルドネの中でも、最も親しみやすい個性と言えるだろう。 Sexton Vineyard Chardonnay 2020 (国内価格:¥5,500) 標高は130~210m。急勾配の斜面に位置しており、薄い表土を突破して地中深くまで根が張る。凝縮した力強い果実味、ある種のヨード的なアロマを伴う、強烈なミネラルが特徴的で、威厳に満ちた味わいと言える。 Applejack Vineyard Chardonnay 2020 (国内価格:¥5,900) 標高は220~320m。アッパー・ヤラ・ヴァレーと呼ばれる、特段に冷涼なエリアの斜面に位置する畑は、涼しい期間が長いため、収穫もより低地のエリアより、1ヶ月以上遅くなることも多い。生育期間の長さがそのままワインに反映されたかのような、充実したフェノールを感じさせるパワフルでヴォリューム感のある味わいと、独特のスパイス感が魅力。 単一畑ピノ・ノワール Sexton Vineyard Pinot Noir 2020 (国内価格:¥5,900) シャルドネと同様に、強い凝縮感とミネラルが特徴的で、非常にエレガントな印象。微かにスモーキーなアロマ、ダーク・チェリーやプラムのような果実味は、どことなく「陰った」印象にも繋がり、単一畑の中でも最もブルゴーニュ的な雰囲気をもつ。 Applejack Vineyard Pinot Noir 2020 (国内価格:¥5,900) ベリー系の非常に明るいアロマに、マッシュルーム的な土っぽさがエキゾチックなタッチを加える。中心部には強固なミネラルが陣取っているが、周囲は丸く優しい果実味でソフトに覆われている。コントラストというよりも、グラデーション的なシームレスさが魅力で、非常に完成度が高い。 Primavera Vineyard Pinot Noir 2020 (国内価格:¥5,900) 標高230mのより平坦な場所に位置しているのがプリマヴェーラ・ヴィンヤード。平地らしい大らかさと朗らかな個性があり、ジューシーで柔らかく、親しみやすい。現状では最も開いている単一畑ピノ・ノワールでもある。複雑性には劣るが、難しさが無いというのは、十分な利点だ。 Fatal Shore Pinot Noir 2020 (未輸入) ヤラ・ヴァレーから離れ、オーストラリア最南端の産地であるタスマニア島の、さらに南端部にある畑からこの興味深いピノ・ノワールが生まれている。この地域は非常に涼しいエリアではある一方で、日照時間が長い。つまり、基本的にはヴォリューム感のある果実味、高い酸、強めのタンニン、そして濃い色となる。ファタール・ショアは、そういう意味ではまさに教科書的な味わいであり、ジャイアント・ステップスというワイナリーが、テロワールの個性を正確無比に描き出せる能力を有していることを、証明しているような見事なワインだ。 単一畑総括 単一畑のシリーズは、シャルドネ、ピノ・ノワール共にそれぞれの畑の個性が、たっぷりのディテールと共に描き出された傑作揃い。そして、国内価格5,500~5,900円というのは、破格と言っても過言では無い。価格帯としては、近年一気に注目を集めた南アフリカ産のカルト的なブルゴーニュ品種ワイン(多くのものが国内価格6,000円強)と十分に競合できるだけの品質があり、新興産地に押されてやや陰りがちのオーストラリアワイン市場に、新たな光をさす頼もしい存在となっていくだろう。 広域シャルドネ、ピノ・ノワール Yarra Valley Chardonnay 2021 Yarra Valley Pinot Noir 2021 (共に国内価格 ¥4,200) テローワル至上主義的な単一畑シリーズとは、大きく性質を異にするのが広域のシリーズ。複数の単一畑をブレンドし、総体としてのヤラ・ヴァレーを表現しているラインナップとなっているが、精密なテロワール表現を無くした代わりに、圧倒的なフレッシュさを獲得している。より万人受けする味わい、と表現しても良いだろう。フレッシュ&クリーンなスタイルは競合も非常に多い分野ではあるが、ジャイアント・ステップスの高い技術とセンス、ヤラ・ヴァレーの偉大さが合わさった広域シリーズは、この手のワインにありがちな単調さはなく、確かな緻密さと繊細な表現が込められた快作となっている。 さらなる進化のために 現状、ジャイアント・ステップの葡萄畑はサスティナブル(リュット・レゾネ)的な手法のもとで管理されている。冷涼なヤラ・ヴァレーは、完全なオーガニック転換が容易な場所では決して無いが、前例は確かにある。また、2020年にジャイアント・ステップスは、アメリカのジャクソン・ファミリー・ワインズ(カジュアルワインからウルトラハイエンドまで、世界各地で展開)の一員となった。強力な資金面でのバックアップがあれば、多少のリスクを負ってオーガニックへと突き進むのは、非現実的な話では無いだろうし、ジャクソン・ファミリー・ワインズはオーガニック転換に積極的なグループでもある。現状でも素晴らしい品質を実現しているジャイアント・ステップスは、ビオロジックやビオディナミへの転換という新たな「ジャイアント・ステップ」を踏み出すことによって、さらに高位の領域に達するだろう。そうなるとワインの価格は上がるだろうが、筆者としては何の不満も無い。むしろ、現状の価格(特に単一畑シリーズ)は安過ぎるのでは無いだろうか。

  • 新潟の夜に響く、鈴虫の音

    シンガポールの名店でソムリエを務め、日本に帰国後も海外系の名店に所属。現在は都内屈指のラグジュアリーホテルであるアマン東京で辣腕を振るう藤原ソムリエ。東京でも指折りの国際派ソムリエである藤原ソムリエから今回届いたコラムは、注目が高まり続けている新潟のアルバリーニョにまつわるストーリー。 --------------------------------------------------------- 佐渡島を対岸に望む新潟市角田浜に広がるワイナリー、 カーヴ・ドッチ 。「落のワイン蔵(カーブ・ド・オチ)」という意味をもち、創設者であった 落希一郎 氏の名を今も冠している。豪雪地帯で知られるゆえ極寒だと条件反射で思ってしまうが、現地の方も異口同音されるように 新潟は暑く、海岸沿いは昼夜の寒暖差も少ない 。 ようやく夏の盛りが過ぎる頃、新潟へと向かった。残暑は続く中、いくつもの山々を越えて行くと美しい里山が一面に広がってきた。 新潟は広い。 生命力溢れる田んぼの青々しい輝きと稲穂の黄金色が混じるグラデーションは本当に美しく、深呼吸すると身体中の細胞が喜んでいた。安らぎと故郷の郷愁の念を抱かせるこの静謐な美しさは、守っていくべき大切な事だと思う道中であった。 葡萄畑が見えて来ると、いくつかのワイナリーの看板が目についた。 「 新潟ワインコースト 」である。 到着するとそこは多くの観光客で賑わっていた。施設内にはレストランやカフェ、マルシェやビール醸造所、そして温泉まである。時期柄もあろうか比較的若い方が多く散見された。長い道中を終えようやく一息つけると、オーベルジュである宿泊所トラヴィーニュに向かった。大きな暖炉を囲むラウンジからは、西ヨーロッパの田園をほうふつとさせる葡萄畑が一面に広がっていた。細かく手入れが行き届き整然としている畑だなと感じていた矢先、ウェルカムドリンクがグラスに注がれた。それがカーヴドッチのワイン、 アルバリーニョ である。 生産者: CAVE D’OCCI / カーヴドッチ ワイン名: Albarino / アルバリーニョ 葡萄品種 :アルバリーニョ 100% ワインタイプ :白ワイン 生産国 :日本 生産地 :Niigata / 新潟県新潟市 ヴィンテージ :2020 参考小売価格 :¥4,800 「目の前に広がる葡萄畑がアルバリーニョで、その葡萄から生まれたものがこのワインなのです。」 と、とても粋な計らいを頂戴した。黄桃やカリン、洋梨やジャスミンなどの芳香を放ちながら厚みがあり、アルバリーニョはアロマティック品種だと智覚させられた瞬間であった。 アルバリーニョは スペイン・ガリシア州やポルトガル・ミーニョ地方 の土着品種で、「海のワイン」と呼ばれるリアス・バイシャスを象徴するワインである。比較的温暖で雨が多く多湿で、日本と似た気候条件があるとされ、今では日本でも多く栽培されている品種である。 これまで酸が豊富でフレッシュなタイプが多かったが、近年は樽に由来する複雑で芳醇なワインも生産されるようになってきている。日本海のミネラルを含む土壌に根を張り、水分や養分を吸収した葡萄から造られるワインには、どこか 塩味を伴う旨味 がある。 ワイナリーがある角田浜は水捌けがよく、痩せた土壌で 極端な砂質土壌 が広がる。容赦なく夏の太陽が照りつける中、カーヴドッチ醸造責任者の掛川史人さんが土を掘って見せてくださった。20センチほどは軽々といとも簡単に手で掘れ、砂はサラサラと5本の指の間をすり抜け風に舞っていった。海沿いに近いので、単純に砂質土壌が広がっているのかと安直に思ったが、そもそも新潟の「潟」とは海岸に近いところで砂丘により河口がせき止められ、海と隔てられた湖沼のことを指しているのだ。信濃川や阿賀野川が運んだ土砂が日本海に堆積し、偏西風により陸側に吹き上げられ砂丘は形成された。痩せた新潟の砂丘地は、葡萄には理想郷だったのである。 都市ではナチュラルテイストのどうぶつシリーズが人気を博しているが、クラシカルな作りであるセパージュシリーズは品種や風土をダイレクトに感じる事が出来る。「あくまで趣味」と笑顔で話すどうぶつシリーズには掛川さんの明るさと実直さが体現されていおり、同時にセパージュシリーズに対する畏敬の念を感じた。海岸の砂浜を思わせる砂質土壌。極端に養分が少なく水はけが良いこの土壌は、品種の持つ繊細な味わいと華やかな香りをワインに与えていた。 夜の帳が下りると鈴虫の鳴き声が聴こえ、葡萄畑は秋への深まりを感じた。今年も彩り深い収穫を、心待ちにしているかのようだった。 【参考文献】 ・Fermier「テロワール」https://fermier.jp/?page_id=112 (参照2021.8.29) ・ENOTECA online「“海のワイン”と呼ばれるアルバリーニョの特徴」 https://www.enoteca.co.jp/article/archives/15025/(参照2021.8.29) <ソムリエプロフィール> 藤原 龍 / Ryo Fujihara アマン東京 ソムリエ シンガポール「WakuGhin」や「ジャンジョルジュ東京」など、国内外のミシュラン星付き名店を経て、2018年より現職。 ホテル館内のイタリアンレストラン、鮨店、カフェや客室のワインリストを手掛ける。 日本酒にも傾倒し、その深い知見による酒ペアリングは内外からの信望も厚い。

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