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  • ソムリエの皆さま、マイナー産地フォローできてますか?

    ここ数年で頭角を表してきた マイナー産地 の勢いには、目を見張るものがある。 え!そんな国でもワイン作ってるの?という声もお客様からよく聞く言葉だ。 ここでは敢えて「 マイナー産地 」という言葉を用いるが、過去100年間で新たにワイン作りを始めた国は数えるほどしかなく、多くの国々ではそれ以上遥か前からワイン作りは行われてきた。 ただ、それらの国ではワイン産業が奨励されていなかったり、国や投資家による充分な投資がなされてなかったりの話であっただけで、厳密に言えば「 メジャー産地の影に隠れていた産地 」なのだが、日本のソムリエ資格を勉強されている方々に対しては、「メジャーではない産地」という風に映ると思ったので、敢えてこのような表現にさせて頂いた。 そしてこれらのマイナー産地でのワイン作りが盛んになったのは、以下の様な要因が考えられる。 ・気候変動によりブドウ栽培が可能となった。 かつてのワイン用ブドウ栽培は北半球で北緯30〜50度、南半球で南緯30〜50度であった。 それはこれらの範囲の多くが、年間平均気温が10〜20度となり、ブドウの発芽から成熟までに必要な日射量1,000〜1,500時間をクリアし、なおかつ栽培時の平均雨量が500〜900mmの範囲内であるからである。 しかしこれは今までの話であり、世界的な平均気温の上昇が進みゆく今では、イギリスや北海道でもブドウは完熟する可能性もあるし、ロシアやスカンジナビア南部でもワイン作りが盛んになってきている。 南オレゴン大学のグレゴリー・ジョーンズ教授の調査によると、 この50年間でブドウ栽培に適する地帯が、北極南極の両極側に、約180kmも移動した ことが確認されている。 つい最近もA.S.I.(国際ソムリエ協会)が、新たに注目されるべき産地としてポーランドを挙げたのは記憶に新しい。 ・新天地を求めて国外進出した、もしくはかつての産地で修行した若い作り手が新興産地である祖国に戻って起業した。 前者に関してはシャトー・ラフィットやロバート・モンダヴィのような大企業が行なっており、近年ではMHDがブラジルやインドで高品質なスパークリングを生産しているのは、みなさまご周知であろう。 これらの国々は気温こそ高くはあるが生育期の雨量が少なく、乾季も長い。さらに、地価や労働賃金の安さという、スケールメリットの恩恵が享受できる国々とも言える。 驚くべきことにインド南部やブラジルはその気温の高さゆえ、年に2回収穫が可能だそう。これにはさすがに驚かされる。 ちなみにシャトー・ラフィットが中国で生産する「 Long Dai 」も少し前に2年目のヴィンテージとなる2018年が発表となり、同時にセカンドラベルである「 Hu Yue 」もリリースされると発表がなされた。 これらのケースは一般的にマイナー産地というよりかは、ニューワールドに多い傾向かもしれないが、今後はマイナー産地でも、国外の大企業や、出戻った新世代がおおいに台頭してくるであろう。 世界のワイン造り年表 参考までに、ざっくりと年代別にワイン作りをしていた国々を分類してみた。 紀元前6,000年:ジョージア 紀元前4,500年:トルコ 紀元前4,000年:アルメニア、ルーマニア 紀元前3,500年:キプロス 紀元前3,000年:イスラエル、レバノン、エジプト、モルドバ、ギリシャ、ブルガリア 紀元前2,800年:マケドニア 紀元前1,100年:スペイン 紀元前1,000年:ポルトガル 紀元前800年:イタリア、アルバニア 紀元前700年:ウクライナ 紀元前600年:フランス、スロバキア、マルタ 紀元前500年:モロッコ、アルジェリア、チュニジア、クロアチア、スロベニア 紀元前300年:オーストリア、ウズベキスタン 紀元前200年:ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、中国、スイス 100年:イングランド 200年:ルクセンブルグ、ドイツ、チェコ、セルビア 300年:エチオピア 400年:ハンガリー 800年:ベルギー 1,521年:メキシコ 1,540年:ペルー 1,548年:ボリビア、チリ 1,551年:アルゼンチン 1,560年:アメリカ 17世紀:インド 1,659年:南アフリカ 1,788年:オーストラリア 18世紀:ロシア 19世紀:マダガスカル 1,811年:カナダ 1,819年:ニュージーランド 1,870年:ウルグアイ 1,874年:日本 1,875年:ブラジル 1,980年:ポーランド その他ではスウェーデン、パラグアイ、ジンバブエ、タイ、タヒチ、カザフスタンなどでも葡萄栽培がなされている。 世界のその他酒類造り年表 さらに、その他の酒の歴史も辿ってみた。 紀元前4,000年:メソポタミアで「シカル」と呼ばれる、ランビックのルーツとなるビールが醸造される。 紀元前3,500年:現在のイラク付近で最古の蒸留の形跡が発見される・ 100年:中央アメリカにてプルケ(アガベの樹液を発酵させた、テキーラの原型)がつくられる。 432年:スコットランドの税帳にウイスキーの記述が登場する。 1世紀:日本で稲作が始まり、日本酒が登場する。 8世紀:アラビア人がフランス南西部に侵入し、蒸留器が伝わる。 13世紀:モンゴルから朝鮮に蒸留技術が伝わる。 1,308年:ベルギーで初めてのビールの醸造組合が形成される。 1,553年:ノルマンディーでシードルに触れた初めての文書が綴られる。 1,617年:ルイ・エベールがカナダのケベックに初めてリンゴの木を植える。 1,736年:イギリスでジンが法的規制の対象となる。 1,756年:ポルトワインが史上初のAOCに認定される。 1,780年:アイルランドでアーサー・ギネスにより初めてのポーターがつくられる。  1,820年:ケンタッキー州でバーボンの名称が登場する。 1,835年:イギリスでインド向けの「インディア・ペールエール」の名称が登場する。 1,842年:ヨーゼフ・グロルが初のピルスナーを醸造。 1,857年:ルイ・パスツールによる酵母の重要性の発見。 1,860〜1,900年:全世界にてフィロキセラの流行 1,860〜1,950年:ヨーロッパでベルモットが流行。 1,900年:新世界のワインが国際的に評価され始める 1,915年:フランスでのアブサン禁止。 1,920〜1,933年:アメリカでの禁酒法の施行。 1,923年:日本初のウイスキーの蒸留所が設立される。 1,933年:フランスの産地のAOC認定がなされる。 1,976年:パリスの審判にてカリフォルニアワインの評価が急上昇する。 2,016年:ベルギービールがユネスコの無形文化遺産に認定される。 ざっくりとだが、このような時系列となる。 しかしながら、これを見ると改めてワインの歴史の奥深さが分かると言える。 ワインから歴史を学ぶ ワインを知るということは歴史を学ぶということでもあり、その国での時代背景、政治、紛争、食生活、アルコールの位置付けなどなど、深く切り込めば切り込むほど色んな面が見えてきて、興味深くもあれば、恐ろしくもある 。 我が国では、現在では当たり前のように世界の様々な国々のワインをテイスティングすることが可能だが、 これは他国では当たり前のことではない 。 スカンジナビア諸国のような政府がアルコールの販売規制を行なっているような国では、 ワインを購入することができるのは政府の承認を得た店のみであるし、東南アジアの諸国ではワインに対しての関税が高い国も多く、我々が普段スーパーやコンビニで見ることのできるワインでさえ、驚くような値段で販売されてる国々もある。 それに比べると我が国はまだ優遇されていると喜ぶべきで、我々ソムリエはもっと自身の経験値や引き出しを広めるためにも、 チャンスがあればまだ飲んだことのない国のワインがあれば、積極的にテイスティングをするべき ではないだろうか。 昔勉強した知識もそれはすでに過去の情報であり、現実は常にアップデートされてゆく 。  常に自身をブラッシュアップし続けることで、多彩な変化に対応しうるソムリエになってゆけるのではないだろうか。 そんな中で、まだマイナー産地であろう国からホットな生産者を紹介させていただく。 ワイン名:Pinot Noir Barrel Selection 2019 ワイナリー:Krasnahora(クラスナ・オラ) 生産国:チェコ/モラヴィア 輸入元:The African Brothers 日本では今回が初輸入となるこの作り手、もちろんその名はほとんど知られてはいないが 北欧や中欧では人気の作り手 である。 その名を大きく轟かせた理由としては、昨年発表のスターワインリストで錚々たる作り手が並ぶ中で、堂々と18位にランクイン。 当時は日本ではまだ無名に近い全くのノーマークであった為、トップソムリエたちをざわつかせたそう。 畑はビオディナミ農法、収穫は手摘み、オープンプラスティックタンクで1ヶ月間スキンコンタクトし、自然発酵。 プレス後に新樽にて12ヶ月熟成、ノンフィルターでボトリング。   透き通るような輝きのあるオレンジがかったルビーの外観。 タートなブラックチェリーにピンクのシャクヤクや黒オリーヴのニュアンス、ナツメグのスパイシーさがアクセント。 樽由来のビターさも奥の方に感じられる。 今日はカレンダー上では花の日。他の地域のピノとはまた違うオリエンタルな雰囲気のアロマが興味深い。 軽快なアタックで、さくらんぼのような控えめだが焦点のあった酸味と、口内の香りの広がりがとても心地よい。 調べてみれば、チェコはさくらんぼが特産品らしい。それは納得がいく。 空気に触れることで、さくらんぼの香りはスパイスと混ざり合い、プルーンのような香りに変化してゆく。 アルコール度数13%を全く感じさせない、ボディに溶け込んだシルクのようなタンニンが全体を形成し、ミッドから口内を包み込むように広がる花のアロマは、余韻にまで長く持続する。 ブドウがストレスなく伸び伸びと育ったのが想像できるような伸びやかな味わいで、かつピントが合ってて、かっこいい味わい。 正直ここまでのクオリティだとは思ってはおらず、いささか 心を揺さぶられる味わい だった。 まだまだ世界には知らないワインが溢れている。だからこそ面白い。 ソムリエの知的好奇心の対象は一生尽きることはない。とてもやり甲斐のある仕事だ。 ぜひ皆様も知らない国のワインを見かけたら、オープンマインドな姿勢で、ぜひテイスティングしてほしい。 そこから新しいモノの見方も生まれてくるかもしれないのだから。 <ソムリエプロフィール> 朝倉 達也 1986年生まれ 鹿児島県出身 Maison de Taka Ashiyaシェフソムリエ ASI 認定Diploma JSA認定ソムリエ・エクセレンス WSET Level 3 WSET Diploma Student CMS Introductory Sommelier 第3回ソムリエスカラシップ優秀賞受賞 第9回全日本最優秀ソムリエコンクール本戦出場 15歳で料理人として飲食業界に入り20歳を機に接客へ転向。 22歳でソムリエ資格を取得しLE PONT DE CIEL(大阪・一つ星)でソムリエ職務の基礎を学ぶ。 GEORGE BLANC(マコン・三つ星)やGUY LASSAUSAIE(シャスレー・一つ星)などのフランスの星付きでも研修を重ね、 2013年より現職。

  • ペアリングの元常識 <2>

    料理とワインのペアリングにおいて、長年「 常識 」とされてきた組み合わせの中には、様々な研究と検証が進んだ現代においては、 既に否定されているものも少なくありません 。

  • ペアリングの元常識 <4>

    料理とワインのペアリングにおいて、長年「 常識 」とされてきた組み合わせの中には、様々な研究と検証が進んだ現代においては、 既に否定されているものも少なくありません 。 このコーナーでは、そんな「 元常識 」なペアリングの例をご紹介致します。 今回は鉄則とすらされる、「 魚には白ワイン 」の組み合わせを検証して行きます。 魚には白ワイン? 長い間、魚料理に赤ワインが合わない(らしい)理由は、赤ワインに多く含まれるタンニンが原因とされてきましたが、この点に関しては既に 科学的に否定 されました。 他の要因に目を向けると、科学的根拠がそれなりに示されているものが2つあります。 より詳しくは、 ペアリングの元常識 <2> でも紹介していますので、そちらもご確認ください。 まずは、ワインに含まれる 鉄分 (正確には 鉄イオン )と、魚に含まれる 不飽和脂肪酸 の反応です。この2つが反応すると「 生臭み 」が生じる、ということは 科学的に解明されています 。一般的に赤ワインとロゼワインにはより多く鉄分が含まれる傾向がありますので、確かに理にかなっているように思えます。ただし鉄分は、品種やワインの種類に限らず、葡萄畑や、醸造上の様々な工程で発生しますし、一般的なテクニカルデータでも確認できません。 もう1つは、酸化防止剤としてワインに含まれる 亜硫酸 と、魚の 不飽和脂肪酸 の反応です。この反応は、亜硫酸が不飽和脂肪酸を酸化と分解を促進するというところまでは解明されていますが、 生臭みとの直接的な関連性は不明なまま です。ですが、 実体験としては、確かに亜硫酸は低めであった方が良いと感じます 。 さて、この2つを組み合わせれば、鉄分と亜硫酸が少ないワインの方が魚に合う、という結果が示唆されているように思えますが、ここには パラドックス が潜んでいます。 確かに白ワインの方が鉄分は少ない傾向がありますが、亜硫酸は赤ワインよりも多い傾向があります。これは、白ワインには抗酸化作用のあるポリフェノール類の含有量が少ないためです。

  • 出会い <5> 衝撃のオレンジ

    Vinyas d’Empremta, Rabassa 2019. ¥5,200 オレンジワインの復興は、北イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州とスロヴェニアの国境付近から始まりました。 復興が始まったばかりの1990年代後半は批判も多かったのですが、2000年代に入ると徐々に理解を得るようになり、2010年代から一気に世界各国に拡散、今では第4のカテゴリーとして完全に確立したと言っても過言ではありません。 そして同時に、そのスタイルも、爆発的に多様化しました。 ほとんど白ワインと見分けがつかない色、ほぼ茶色のワイン、確かにオレンジ色に見えるものなど、色だけでも多種多様。 味わいも、古典的な旨渋味型、モダンなフルーティー型、いいとこ取りのバランス型と、大きく分けても3種類。さらに、濁っていたりいなかったり、泡立っていたりいなかったりと、これはもう確かに、一つの立派な大カテゴリーとしての確立を実感させられます。 中でも、筆者が特に注目しているのは、 混植混醸 (一つの葡萄畑に植わった多種類の葡萄を、全て混ぜて醸造する)タイプのオレンジワインです。

  • 【実験】ワインの温度と実際の味わいの関連性

    こんにちは、Restaurant Re:苅田です。 前回の 【糖分・酸度】 に関する実験スタイルの記事は非常にやりがいがあったので、今回は違った実験を行っていきたいと思います。 前回の記事参照 今回は 【温度】 について考えたいと思います。ワインをはじめとした、飲料の世界では常に新しい常識が生まれ、その常識が打ち破られたとき、発見や素晴らしい体験を得たりできます。自分がワインを説明するときもやはり常識にとらわれない、周りに変わり者とされている生産者のお話をお客様にすることも多いです。そういう常識にとらわれない視点で作られたワインは、やはり新しい感動となることがあります。 そこで今回は皆さんがよく聞く提供温度の常識について、もう少し深く掘り下げて考えていくことで新しい発見をしたいと思いたったわけです。 提供温度 皆様聞いたこともあるかと思いますが、ワインにそれぞれそのキャラクターを存分に発揮できる温度帯があります。JSAソムリエ協会の教本に書かれている温度をまとめると、以下のようになります。 6~8℃  スパークリングワイン、甘口白、辛口白、ロゼ甘口 8~12℃  上級シャンパーニュ、コクのある上級白、ロゼ辛口 12~14℃  軽め赤 16~18℃  ブルゴーニュ赤 18~20℃  ボルドーやローヌ赤 (上級は高めの温度)ヴィンテージポート 白ワインや甘口などは低く、上級の複雑なものになれば温度が上がる。赤ワインでも軽めのものは低い提供温度、上級のものは温度を上げることでその複雑さを味わうことができると表記されています。 また、一般的には温度の変化によって、以下のような香りや味わいの変化があるといわれております。あくまで上記のような温度帯の中で範囲でということですが。 表➀ワインの温度変化における印象の変化 実際、味わいの変化はあるものの、温度を変化させることで液体中の成分量が変わるというわけではなく、 香りの出方が変化しそれによって味覚が左右されたり、糖分や酸度の感じ方が変わることによって、全体の印象が変化していくためこのような現象が起こります 。 当店もいくつかの冷蔵庫とワインセラーを使って適正に近い温度にて保管し、理想に近い温度で提供できるように管理しています。 温度の変化によってワインが変わっていくのもまたワインの楽しみの一つですし、提供温度が重要であることは周知の事実ですね。 さて、ここで考えたいのが、 今理想とされている温度帯が本当にそうであるのか? という再検証です。日本酒とワインを比べたときに必ず言われるのが、提供温度の幅の広さです。日本酒の場合、かなり冷やした5度くらいの状態から、60度近い温度までさまざまですが、ワインではそうはいかないといわれています。 本当にそうなのでしょうか? レストランなどの食事に合うかは別として、ワインも日本酒と同じように、オンザロックで飲んだり、ホットワイン(ヴァンショー)といって温めて飲むこともあります。噂では甘口ワインを 燗酒 で出している店もあるとか?チリやアルゼンチンのアルコール濃度も高く、果実味がしっかりしたタイプのワインなどは、生産者もかなり温度は低めからスタートしてほしいと言っているのを聞いたことがあります。 つまり、これはもうやってみようということになったわけです!それでは実験開始です。 実験方法 対象酒類 :前回の反省点もあり(多すぎてそのあとの消費が大変でした)、今回はキャラクターのはっきりした10種類に絞りました。 白ワイン: ①ドイツ リースリング ドライスタイル Thörle / Riesling 2019 ②ドイツ リースリング・カビネット 半甘口のスタイル Thörle / Riesling Kabinett 2019 ③ブルゴーニュ地方 樽のニュアンスのあるシャルドネ Raymond Dupont-Fahn / Bourgogne Blanc Chames des Perrières 2019 赤ワイン: ④ブルゴーニュ地方 ピノノワール David Duband / Bourgogne Hautes Côtes de Nuits Rouge Louis Auguste 2018 ⑤イタリア タンニンが強靭な モンテファルコ・サグランティーノ Tenute Lunelli / Carapace Montefalco Sagrantino 2015 ⑥アメリカ 果実味をしっかり感じる ジンファンデル Clos du Val / Zinfandel 2018 その他: ⑦オレンジワイン 醸し6か月 タンニンのしっかりしたジョージアのオレンジ Makashvili Wine Cellar/ Mtsvane 2019 ⑧甘口 ボルドー地方 熟成ソーテルヌ  Château Sigalas Rabaud 2005 ⑨日本酒 燗酒用 愛知県 醸し人九平次 萬乗酒造 / 醸し人九平次 火と月の間に 雄町 ⑩スペイン シェリー 熟成した辛口 アモンティリャード Lustau / Almacenista Amontillado del puerto 検証方法: -5℃、10℃、15℃、20℃、40℃、55℃ 、合計6つの温度帯に分けてテイスティング(今回の実験における提供温度の概念については後述の余談をご覧ください。) 【香り】 香りの出方やバランス 【味わい】 酸味、甘み、渋みなどバランス それぞれ2つ項目を主観にて 0~5ポイントの6段階評価 しその 合計得点を0~10ポイントの【総合】 とした。 急激な温度変化によるダメージを考えて一般的な提供温度帯である 10℃、15℃、20℃ はボトルのまま管理、それ以外は小瓶に小分けし ー5℃ は冷凍庫、 40℃、55℃は熱燗 の要領で温度を管理した。 テイスティングの際のグラスはすべてリーデル社のヴィノムシリーズ キャンティクラシコを使用。 今回は主観の計測だけになるので私と、弊社スタッフの栗原にも同時にテイスティングしてもらい点数のすり合わせを行った。 仮説 今回も行う前にいくつかの 仮説 を立てました。 ①:繊細な白ワインは樽の効いたワインに比べて適正温度の幅が狭いのではないか? ②:赤ワインのほうが白ワインに比べて要素が多く、バランスがとれる温度帯の幅が狭いのではないか? ③:ジンファンデルのようにタンニン分よりも果実味などを多く感じるワインは冷えた温度帯でもバランスを保つのではないか? ④:③とは逆にタンニン量の多いワインは低い温度帯ではかなり 収斂性 を感じてしまうのではないか? ⑤:甘口のワインは幅広く温度に対応できるのではないか? 結果 以下の表②に結果を記します。 ・白ワインではドライリースリングよりも、半甘口リースリングのほうが、多少幅が広く温度をとれる。 ・また、樽のニュアンスからか、③のシャルドネは 40℃、55℃ においても味わいは落ちてしまうものの、ある程度の香ばしさや甘いニュアンスなどが好印象であった。 ・低い温度帯でも樽のニュアンスが意外と出ていたが、味わい的には酸が突出してNG。 ・白ワインは総じて 40℃ を超えるとアルコール感を香りに強く感じてしまうため、ワイングラスではなくおちょこなどのほうがまだ、可能性があると思われる。 ・赤ワインは想像していた通り、温度帯の幅が狭く、 40℃、55℃ の温度帯ではもはや味わいのバランスは崩壊し香りも意味不明な方向へ、ホットワインははちみつやスパイスを入れて味わいを整えるがまさにその必要性を感じた。 ・ -5℃や10℃ などの低い温度帯でもとにかくタンニンが突出して感じ、全く別物といった印象であった。 ・ピノノワールは低い温度で提供するイメージがあったが、意外と 20℃ という少し高めの温度でもいいパフォーマンスを発揮。 ・さらに、今回ではその温度帯は計測しなかったが、⑤⑥などのフルボティのワインは 20℃より25℃ くらい高い温度のほうが良いパフォーマンスを発揮しているように感じた。 ・その他のジャンルでは、やはり⑧ソーテルヌの汎用性の高さに脱帽で、かなり低い温度から、 40℃、55℃ などの温度帯でもかなりいいパフォーマンスを発揮していた。 ・オレンジワインはバランスが崩れやすいかと思われたが、極端な ー5℃や55℃ などの温度でなければ様々な顔を見せてくれるのも発見であった。 ・⑨日本酒はー5℃では香りはほとんどなく、高いアルコール感と低い酸味からか、ねっとりとした質感は個人的に好み。ただし、その日本酒の個性が出ているかは不明。どれでもおなじになってしまいそう。それ以外での温度の汎用性はやはり高い。 ・⑩シェリーにおいてはかなり幅の広い温度帯での提供が可能。40℃での提供にも可能性を感じた。今回は熟成したものを使ったがライトタイプであれば低い温度帯もいいかもしれない。 考察 今回の実験では、 白ワインや赤ワインに関しては個人的には仮説を大きく超えるような発見はありませんでした 。むしろ、低温での赤ワインのタンニンの強さはなかなかのものでした。仮説で考えていたジンファンデルも、低い温度帯でかなりタンニンが目立っていました。もっと、タンニンの少なく果実味を多いものであれば可能であったかもしれません。 一番の発見はやはり、 甘口ワインや酒精強化ワインの高い温度帯での可能性 。 甘口ワイン、酒精強化ワインは今回1種類ずつでしたが、タイプ別にいくつか試して、実践で使えるようなスタイルまでもっていければと思います。 店舗のオペレーションもあるかとは思いますが、現在当店の10月のメニューでは松茸のスープを使った魚料理に、日本酒を ぬる燗40℃ で合わせています。 今後は 温かいお料理に温めた酒精強化ワイン などの組み合わせや、 アイスと温かいデザードワイン の対比のある組み合わせなど、お客様にも楽しんでいただきつつワインの新しい提供方法を模索していきます。また、最高の組み合わせが見つかりましたら追って報告させていただければと思います。 今回も苅田は何をやっているのかと思われるかもしれませんが、皆様の何かのこの実験が、皆様の(何かの)お役に立てれば幸いです。 余談 今回温度をテーマにすることで、 2つの別の疑問 がわいてきました。 まず、提供温度とは、どのタイミングのことを言うのだろうか と。調べてみましたが 、 提供温度がどのタイミングなのか明確に書かれているものはみつけられませんでした。 考えられるタイミングは以下の3つ。 ①注ぐ前のボトルに入っている状態の温度 ②グラスに注がれた後の温度 ③口に入ってくるときの温度 推察になってしまうのですが、本当の意味では③の口に入ってくるときの温度というのがベストではあると思うのですが、自分で温度管理して飲むならまだしも、グラスに提供してから、スワリングしたり、雑談していたり口に含むまでの時間など、多くの外的要因は調整できません。なので③は難しい。 温度を測るタイミングで言えば➀が一番計測しやすいですが、これもそのあと、どんなグラスにどれくらいの量を注ぐか?グラスがそんな素材なのか?などによってある程度変わってきてしまいます。 よって今回の計測では、②のグラスに入っている状況でその温度帯であるかどうかで判別し、なるべく早くテイスティングをすることを心がけました。 ちなみに、実際に室温 24℃ の部屋においてある当店グラス(木村硝子社製ピーボオーソドックス 525cc) 4.5℃ の冷蔵庫に入れてあるワインを125cc注ぎ軽くスワリングして図るとその時点で 7℃ 、50ccで注ぎ軽くスワリングして温度を測ると 9℃ 。ペアリングなどで理想温度が狭いワイン提供する場合、多皿料理が多くなっている昨今の現状を考えると、1杯のペアリングの量も少なくなりがちです。 提供するグラスのサイズやグラスでの温度上昇を意識した提供が必要になってくると思われます。 もちろん、温度がもともと高い赤ワインを注ぐ際にはここまで大きな温度変化があるわけではありません。 そして、もう一つ気になること。 ワインを冷やす際に、どれくらいの時間を見ればいいのでしょうか?以前先輩ソムリエから 氷水に付けておけば1分で1℃下がる といわれ、ソムリエ協会の教本に載っている資料にも近いデータがのっておりました。 ソムリエ教本には、 クーラーを十分な氷と水で満たし18℃のワインを入れて冷やした場合 との記述。 実際にはもっと時間がかかる印象 があったので、こちらも実験してみました。よく見かける1本から2本入るこちらのワインクーラーに水道水 24℃ 、氷をある程度入れてよく混ぜ氷が表面を覆うくらいでワインクーラーの下部の水温を図ると 5.5℃ から 6℃ くらい。 そこに室温( 24℃ )に置かれていたワインを想定して、空のシャンパーニュボトルに 24℃ の水を入れ7割程度つかるように入れ動かさずに置いた場合、5分ほどたってもネックのあたりの温度は 20℃ でした。 途中から攪拌して温度を測ると、 5分 20℃   10分 18℃   15分 15℃  20分 13℃ 1分で1℃とは、かけ離れた結果 になりました。 まず、ワインクーラー内の水温を氷に近い 1℃ にするにはかなり多い割合で氷を入れる必要があるようです。 よく攪拌した状態で、氷が5割程度入っていないと全体の水温は 1℃ までいきませんでした。 さらに温度をしっかり下げるには、ボトルネックの上のほうまで漬かるように入れないと 1分で1℃下降には達しない ことがわかりました。 意外としっかり上のほうまで漬かるワインクーラーってないですよね。 皆さんすでにご存じかもしれませんが、参考にしていただけたら幸いです。 <ソムリエプロフィール> 苅田 知昭 / Tomoaki Karita Restaurant Re: 支配人兼シェフソムリエ 1982年栃木県日光生まれ。 臨床心理学を専攻するものの大学時代のアルバイト先の研修旅行でジュヴレシャンベルタンのドメーヌに連れていかれワインをはじめとした飲食、飲料の虜に。株式会社シャノアールにてコーヒー業界から飲食に入るが、カフェインに極端に弱いことが発覚しワインの道へ。イタリアンバル、カフェ、パティスリー、ビストロと様々な業態の立ち上げ。飲料を担当。 飲食以外のジャンルを経験する為、株式会社KDDIの常駐営業として人材育成を担当後、中目黒cuisine francaise NARITA YUTAKA 支配人兼シェフソムリエとして飲食業界に復帰。 現Restaurant Re: 支配人兼シェフソムリエ 。 2018年 JSA シニアソムリエ 取得 営業の傍ら、毎月、若手ソムリエや飲食人、インポーターを集めた勉強会を開催。近年はワインだけでなく、日本酒や焼酎の酒蔵の方も招き、情報提供、普及に尽力している。 <Restaurant Re:>東京中目黒、目黒川沿いにあるフレンチレストラン。八重桜の季節には満開の桜を見ながら食事を楽しむこともできる。 日本各地の和の食材を使い、昔ながらの食材や地方の食文化が再発見できるフレンチ。 シャンパーニュやブルゴーニュのボトルワインが充実していながら世界各国の豊富なグラスワインの数は都内屈指。ペアリングではワインはもちろん、日本酒、焼酎、紹興酒と幅の広さも定評がある。

  • Advanced Académie <19> ヴィンテージ

    ワインの世界において、「 ヴィンテージ 」という言葉は、主に3通りの使われ方がある。 1. ヴィンテージワイン、というように 熟成 を意味する使い方。 例:今日は記念日だし、ヴィンテージワインでお祝いしようか? 2. 2013年、のように特定の 収穫年 を意味する使い方。 例:2015年のボルドーは、○○○なヴィンテージだった。 3. (生産者が)その年の収穫作業や、 収穫の開始 を意味する言葉として使う場合。 例:もうそろそろ今年のヴィンテージだな。 今回は、2の使用法、つまり特定の年を意味する記号としての使われ方と、我々消費者側がどのように接していくのが良いかを考察していく。 グレート・ヴィンテージ まず、グレート・ヴィンテージ、バッド・ヴィンテージという言葉が何を意味してきたのかを整理しておく。 1980年代後半頃から、アメリカのワイン評論家 ロバート・パーカーJr. が影響力を増し始めたことによって、 ヴィンテージの優劣という価値観に、変化が生じた 。 それまでは、 グレート・ヴィンテージとはつまり長熟型のヴィンテージ であり、赤ワインであれば酸とタンニンの構造が強固であることなどが条件となっていた。 ロバート・パーカーJr.は、温暖で果実味の凝縮度は高かったが酸が少し緩かった1982年ヴィンテージのボルドーを、世紀のグレート・ヴィンテージとして高評価したことに象徴されるように、 それまでの常識とは違う方向にグレート・ヴィンテージの指標を見出した 。彼の絶大な影響力がピークに達していた1990年代~2000年代までは、 熟度が高く、アルコール濃度が高く、濃縮した味わいのヴィンテージがより偉大なヴィンテージとみなされる傾向 が生じた。

  • 再会 <5> 貴族的ワインに宿った永遠の価値

    San Giusto a Rentennano, Chianti Classico “Riserva le Baroncole” 2017. ¥5,600 イタリア・トスカーナ州の キアンティ は、世界で最も名の知れた赤ワインの一つ。主要品種である サンジョヴェーゼ も、イタリア屈指の高貴品種です。 それなのに、 キアンティには非常に安価なワインがたくさんあります 。理由はシンプル。 大量生産されているから です。キアンティ全体の平均的な生産量は 年産1億本前後 となっています。実はキアンティを名乗ることができるエリアは、異常なほど広く、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノやヴィノ・ノーヴィレ・ディ・モンテプルチャーノといったトスカーナ州にある他の銘醸地すらもその範囲内に入ってしまっています。「他者の名声にあやかる」というイタリア人の悪い癖が最大限に発揮されてしまっているのはとても残念ですが、相対的にその価値が高まったエリアがあります。 キアンティ・クラシコ のエリアです。 第6代トスカーナ大公「 コジモ三世・デ・メディチ 」が 1716年 に定めたワイン産地の境界線は、ワインの 歴史上初めての原産地呼称制度 となりましたが、その当時にキアンティと呼ばれたエリアの大部分が、 現在のキアンティ・クラシコとして残っています 。 クラシコは広大なキアンティの中心部にある限られたエリアとはいえ、 総面積は7,000haを超えている ため、決して小さな産地ではありません。しかし、驚くべきはクラシコにおける 平均レベルの圧倒的な高さ です。広域キアンティは、正直なところ、凡作と駄作の掃き溜めの中に僅かな宝石が眠っている、という感じですが、 クラシコは宝石揃い です。それでいて、広域キアンティの安価に足を引っ張られ、 クラシコの価格は控えめなまま 。品質的にはものすごい格差が両者間にはありますので、クラシコは多くのワインファンにとって、 リーズナブルに高品質なワインを楽しめる、楽園のような場所 なのです。

  • Advanced Académie <18> 葡萄畑の方角

    太陽は、赤道上を東から昇り西へと沈む 。赤道よりも北では、太陽は常に南側にあり、赤道よりも南では、常に北側にある。 この当たり前の自然現象が、ワインの世界ではとても大きな意味をもつ 。そう、 葡萄畑の斜面の方角 だ。 北半球のワイン伝統国 では長年に渡って、 真南を中心とした90度の範囲 、つまり 南西から南東向きの斜面が良い (南半球では南北が逆 になる)とされてきた。 南東向きの斜面 は、昼夜の寒暖差が大きい地域では特に効力を発揮する。日が昇るとすぐに 朝露や霜を払い 、葡萄が太陽光を吸収する体制を整えてくれるからだ。 では、 南西側の斜面 はどうだろうか。日当たりのことだけを考えれば、東でも西でも一緒のように思えるかも知れないが、実は 大きな違い がある。 その違いが生まれる理由は、 植物が光合成を活発に行う時間帯 にあるのだ。 植物には、 朝から午前中にたっぷりと光合成をして、午後はのんびりする 、という性質がある。つまり、植物が西日を受ける午後の時間帯には、既に光合成は随分とスローペースになっているため、太陽エネルギーを処理しきれずに、水分だけがどんどん失われていってしまう。 これらの要素から、伝統的に(北半球では) 南東向きの斜面が最上、北西向きの斜面が最低 とされてきた。

  • Why not drink Greek wine?

    2021年は気候変動の波をグッと受けた厳しい年です。 ギリシャでも、過去30年で最も深刻な熱波に見舞われ、各地で山火事が発生。被害を受けたワイナリーも多数でました。そして、何より引き続くコロナ化でワイナリーの状況は一層厳しさを増しています。 応援として最も手軽なおうち飲みを、私も奮って実践中ですが、つくづく、ギリシャワインって「 おうち飲み最強! 」と思うのです。ワインショップで販売する際にもストーリー性の高さを強みとすることができるのではないでしょうか。 Great value for money なんといっても素晴らしい コストパフィーマンス です。世界に美味しいワインはたくさんがありますが、千、二千円台で単にフレッシュフルーティなだけでなく、味わいの満足感と品質の高さを持ち合わせたワインがゴロゴロあります。 A good story 真っ青な エーゲ海 、眩しく輝く白い岸壁の家々。世界トップクラスのリゾート地である サントリーニ島 をはじめとする美しい島々。アテネの街を神のごとく見下ろすように聳え立つ人類文明最大ともいえる古代遺跡、 パルテノン神殿 。そして、めくるめく神秘的な ギリシャ神話 。誰しもが一度は訪れたいと憧れるこの国の ストーリー性の高さ は、誰の目に明らかでしょう。 Food-friendly 長い歴史と共に発展してきただけあって、 食事と共に楽しむ、食に寄り添うワインである こともギリシャワインの特徴の一つです。ギリシャは暑い国だから、アルコール度数も高そう!と思われるかもしれませんが、ギリシャワインは、 往々にしてアルコール度数が高くない のも特徴の一つ。12%代の穏健なアルコール度数のワインが多いのです。これは、伝統的にワインを水と薄めて飲んでいたこと、そして、お酒を飲みすぎて泥酔してしまうことをよしとしない文化的背景があるのかもしれません。 また、ギリシャの生産者と話していると「そんなにアルコールが高いと食事に合わないよ」と口を揃えていいます。ギリシャ人にとって、食事とワインは切っても切り離せない関係なのです。 Versatile ギリシャワインの最大の魅力の一つともいえるその 多様性 !使用される品種がとにかく多いというだけでなく、フレッシュな白、パワフルな白、チャーミングなロゼ、味わい深いオレンジ、カジュアルな赤、フルボディで長熟の赤、そして、ごくごく飲むスパークリング、瓶内2次発酵の本格的スパークリング、伝統の白や赤の甘口ワインと多彩。また、近年は気鋭の生産者がぞくぞくと誕生し、 スタイルの多様性は枚挙にいとまがない のです。 でも、ギリシャワインってよくわからない。 ギリシャワインは 土着品種 がとにかく多くて(wine grapes*1では世界4位の多さ)、しかもなんて読んでいいのかわからない覚えづらい品種がたくさんあります。この類稀な土着品種はギリシャ最大の強みと世界のプロフェッショナルには高く評価されていますが、一般消費者にとっては難解で購入を阻む壁となっているのかもしれません。 *1:ジャンシス・ロビンソンMWとジュリア・ハーディングが共著。1368種類ものワイン用葡萄に関する詳細なデータを集めた、ワインプロフェッショナルのバイブル的一冊。 今回は、上記条件を満たした!日本でも一定数入荷されている ネメアのアギオルギティコ をご紹介します。フレッシュフルーティーな赤、ロゼワインからシリアスな赤ワインまで造る万能選手です。ロゼ・スパークリングワインのチャーミングさはこの上ないのですが、残念ながら日本には入荷していません。 ネメアは、手の形をしたギリシャ本土の最南端部を形成するペロポネソス半島北東部に位置する、 アメリン&ウィンクラー教授の積算温度による産地区分 では Region VI の暑い産地です。夏には40度を超える時もあります。ギリシャで最も有名なワイン産地であるだけでなく、4大祭典競技の一つ「ネメアン・ゲームズ」の地としても知られています(この4大祭典競技の一つがオリンピアのオリンピア祭典競技、つまりオリンピックの前身)。この競技場の側には全能の神ゼウスの神殿があります。 ギリシャ北部のナウサと並ぶ ギリシャで最も重要で最大のPDO であり、その面積は2,220haに及びます。この広大さはネメアPDOの位置付けを不明瞭にし、高品質ワインを生み出す大きなポテンシャルを持ちながらも、高級志向を目指す造り手の大きな壁にもなっているのも事実です。多くのバルクワインをも産出しています。畑は標高230mから900mの高地まで広がり、畑の標高がワインのスタイルに大きな影響を与えます。750-900mの高地エリアの中でも最も冷涼な アスポロカンボス には熱い視線が注がれ、その注目度は年々増しています。 ネメアPDOの唯一の使用品種であるアギオルギティコは、かつてネメアがアギオス・ゲオルギオスAgios Georgios(St. George)と呼ばれていたことに由来しています。晩熟のアギオルギティコは、この暑い産地で長い生育期間を享受し、9月中旬に収穫期を迎えます。 レッドチェリー、ストロベリーの甘やかなアロマとソフトなテクスチャーを備えたアギオルギティコは、例えるならメルローのように、カジュアルなデイリーワインからとびきりの一級品まで生み出す多彩な品種。フルーティなロゼや赤ワインはいつ飲んでも美味しく消費者の心をしっかり掴んでいます。樽とも相性抜群ですので、新樽で熟成された長熟型の赤ワインには目を見張るものがありますよ。万能選手ぶりをぜひお試しください! ・ザシャリアス・ワイナリー オミクロン・レッド 2018  希望小売価格1,280円 12.5% abv アヨルギティコ100% 希望小売価格1,280円 アズマコーポレーション アヨルギティコのフレッシュフルーティな赤ワインはイチゴの甘やかなアロマとバランスの取れた酸味、ソフトなタンニンがとても心地よい一本。軽く冷やすのもおすすめ! ・イエア・ワインズ  アヨルギティコ 14-18H 2019  税込2,519円 12.5% abv アヨルギティコ100% 税込2,519円 ヴァンドリーヴ アヨルギティコのチャーミングな魅力を最大限に発揮!いつんでも美味しく、気がついたら一本飲んでしまう軽快なロゼワイン。 イエア・エステート 2014   14.5% abv アヨルギティコ100% 税込5,858円(2016年現行価格)  ヴァンドリーヴ イエア・ワインズのフラッグシップ。長期熟成型の逸品。このヴィンテージを初めてテイスティングした2017年時には強く主張していた新樽由来のフレイヴァーが2020年末にテイスティングした際には美しい調和をみせていました。 <プロフィール> 青山 敦子 / Atsuko Aoyama DipWSET WSET® Level4 Diploma WSET® Certified Educator アカデミー・デュ・ヴァンWSET資格取得コース主任講師 ギリシャワイン・オフィシャル・アンバサダー 2018年 Wines of Greece World of Greek Wine Program 最優秀賞 IWCインターナショナル・ワイン・チャレンジ・ロンドンAssociate Judge WSET ディプロマコースをロンドン本校で学び最速最短の1年半で取得。ロンドン本校にて認定講師と認められた唯一の日本人。 英国スパークリング専門誌 “Glass of Bubbly”のライター、WSET Level 3筆記・テイスティング試験採点官を務め、約8年過ごしたロンドンから2016年に帰国。 スティーヴン・スパリュア氏の紹介でアカデミー・デュ・ヴァン講師となり、2016年12月WSET日本語コースをゼロから立ち上げる。現在アカデミー・デュ・ヴァンWSET講座は常時14クラス程度開講。

  • 葡萄品種から探るペアリング術 <7> ヴィオニエ

    葡萄品種から探るペアリング術シリーズは、特定の葡萄品種をテーマとして、その品種自体の特性、スタイル、様々なペアリング活用法や、NG例などを学んでいきます。 今回は、 ヴィオニエ をテーマと致します。 また、このシリーズに共通する 重要事項 として、葡萄品種から探った場合、 理論的なバックアップが不完全 となることが多くあります。カジュアルなペアリングの場合は十分な効果を発揮しますが、よりプロフェショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 ヴィオニエのスタイル ヴィオニエは 品種自体の個性が非常に強く出ます 。晩熟で気難しい性質があり、この品種が輝けるエリアは限られていますが、テロワールの特徴もしっかり反映し、「テロワールxワインメイキング」の組み合わせで、 様々なヴァリエーション が楽しめます。品種そのもののポテンシャルも非常に高く、その真価が最も発揮される場所では、三大白葡萄品種(シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング)を脅かすほどの品質に達します。 どのエリアでも ピーチ、アプリコット、カリンのようなトロピカルフレーヴァー が特徴として出ますが、冷涼産地では柑橘のタッチが加わり、より温暖な産地ではトロピカル感がさらに強まる傾向にあります。 シャルドネとゲヴュルツトラミネールの両方の性質をもつ 、とも言えます。 醸造上のスタイルでは、 新樽をどれだけ効かせるか 、が大きなポイントになります。ヴィオニエは 新樽風味と非常に相性が良い ため、伝統的に新樽は積極的に使用されてきましたが、古樽やステンレスタンクのみというケースも少なくありません。

  • 偉大さだけが、価値では無い <ピエモンテ・ネッビオーロ特集:最終章>

    より優れていること。漠然としたその言葉だけが絶対的な価値になってしまうことほど、悲しく、虚しく、恐ろしいことはない。ヒトに当てはめてみると、その怖さが良くわかる。極々一部の「より優れた人間」だけに価値が宿る社会になってしまったとしたら、ヒトの大多数は逃れようの無い絶望感の中で生きていくことになるだろう。そう、「優れている」という言葉は、 使い方を間違えれば脱出不可能な混沌への呼び水となってしまう のだ。ワインについて語る時、特に、偉大とされるワインと必ずしもそうでは無いワインの両方を語る時は、何をもって「優れている」と表現するかが、極めて重要になる。つまり、 広義としての「優れている」ではなく、常に狭義としての「優れている」という価値判断を貫くべき なのだ。イタリア・ピエモンテ州のネッビオーロにおいては、バローロ・バルバレスコという圧倒的な知名度を誇る二大巨塔と、それ以外のネッビオーロとでは、優れているポイントが全く異なる。確かに、古典的価値観に基づく偉大さという点では、二大巨塔の優位は揺るぎないものだ。しかし、現代は多様性と個性の時代である。 偉大さだけが、価値では無い のだ。ピエモンテ・ネッビオーロ特集の最終章となる本章では、バローロ、バルバレスコ以外の、あまり日の目を見ることのないネッビオーロワインの真価に迫っていく。 Langheのネッビオーロ Roero DOCG ランゲ地方の北西部、最も緯度の高い位置にある Roero(ロエロ) に、近年注目が集まるようになったのは二つ理由がある。一つは、復活した土着白葡萄である アルネイス の中心地であったことから、 ピエモンテ州屈指の高品質な白ワインの産地 として知られたこと。もう一つは、ランゲ第三のネッビオーロ銘醸地として、 バローロやバルバレスコとは違った個性 が認められ始めたことにある。このような経緯もあり、 Roero DOCG は白、赤、スパークリングが認められている。本章では、ネッビオーロ主体(最低95%、残り5%は非アロマティック系黒葡萄)の赤ワインに関してのみ取り上げていく。 ロエロには、一人の偉大な革命家がいた。 故マッテオ・コッレッジァ だ。かつてロエロではアルネイスが中心に栽培されており、産地としての知名度は非常に低く、むしろ他のランゲ地方の造り手に葡萄を供給する(かつては、エリア外の葡萄をブレンドすることに対する規制があってないようなものだった)という、 名もなき下請け企業的立ち位置 が、ロエロに与えられた主な役割だった。しかし、若かりし頃のマッテオが、 1976年、エリオ・アルターレらと共にブルゴーニュ視察に向かった ことが、その後のロエロにとって、まさに運命の分かれ道となった。 ロエロの中でも様々な土壌や微気候のヴァリエーションが見られるが、土壌に関しては全体的に 砂質の割合が多い ことが特徴となっている。この土壌からは、しなやかで軽やか、香り高く、若いうちから楽しめるチャーミングなネッビオーロが生まれるが、その特性は強固なタンニンと酸の構造をもつバローロ、バルバレスコの価値観とはかなり異なるものとも言える。しかし、 Valmaggiore (ヴァルマッジオーレ)のように一部の限られたエリアでは、 よりバルバレスコ的な性質をもったネッビオーロ が生まれ、ブルーノ・ジャコーサ、ルチアーノ・サンドローネといった名門が、この地から素晴らしいワイン(Roeroではなく、Nebbiolo d’Alba Valmaggioreとしてリリース)を造っている。 Valmaggioreの例のように、現状ではNebbioloと表記できた方が販売しやすい側面があり、規定に厳しいDOCGであるRoeroではなく、あえてDOCのNebbiolo d’Albaとしてワインをリリースすることも少なく無い。 クリュ名、コムーネ名を合わせたMGAは153という非常に多い数が認定されたが、現在のロエロに対する世間的な理解度を鑑みれば、 欲をかいたが故に意味消失してしまった と言えるだろう。

  • 真・日本酒評論 <3>:無農薬米が示す確かな可能性

    <七本槍:生モト純米酒 無有 2019> ワインの世界においては、世界的なサステイナブル思考やSDGsが強く後押しをして、オーガニック農業が徐々にスタンダードとなりつつある。その勢いは驚異的とすら言えるほどで、オーガニック転換の前段階である減農薬農法までは、既に世界各地の産地で、広範囲に広がっている。「 ワインはオーガニックに作って当たり前 」となる時代は、すぐそこまで来ているのだ。 一方、 日本酒はどうだろうか 。 結論から言うと、 どうしようもなく出遅れている 。 栃木の 天鷹酒造 (銘柄: 天鷹 )、岡山の 丸本酒造 (銘柄: 竹林 )のように、随分と前から有機米の使用に踏み切ったパイオニア的存在はあれど、どこまでいっても大海の一雫に過ぎず、業界全体を揺るがすほどの影響力は発揮できなかった。 確かにここ10年くらいの間は、有機栽培米を導入する酒蔵が増加傾向にあるものの、それでもまだ、小波程度の動きだ。 なぜ、日本酒のオーガニック化がなかなか進まないのか。 ここには、確かに 難しい問題が山積 している。 まずは 有機栽培 そのものの問題。

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