Fermier, Kerner 2022.
私がNYでソムリエ修行を始めて間もない頃は、とにかく手探りで勉強をしていた。
元々は必要に駆られてのことだったが、幼少からの「ハマり症」が功を奏したのか、分厚いワイン教本を読み漁る日々は苦痛ではなく、むしろこの上なく私の知識欲を満たしてくれた。
もちろん、当時まだ学生だった私には、ワインスクールに通うような余裕は全くなく、ひたすら独学で学んでいた。
今は私自身が教育者となり、「あの頃にスクールで体系的に学べていれば」と思うことも少なからずあるが、(随分と遠回りにはなったものの)教えて貰わなかったこと自体は、結果的に良かったと思っている。
自分で考え、感じ取り、理解する力を、ゆっくりと養うことができたからだ。
今回は、私がNYの日本酒バーで働いていた頃のエピソードを、一つ紹介しようと思う。
当時はまだ、ワインの勉強を始めたばかりのタイミングで、フランスやイタリアの超有名産地くらいしか、知識が蓄えられていなかった。
ある日のディナーで、そんな私のセクションに訪れたのは、ワイン関係の仕事をしているらしきアメリカ人三人組。
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