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SommeTimes’ Académie <26>(ワイン概論22:ロゼワイン醸造)

一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回は、一般的なロゼワインの醸造フローを学んでいきます。


なお、日本のワイン教育においては、醸造用語としてフランス語を用いるのが今日でも一般的ですが、SommeTimes’ Academieでは、すでに世界の共通語としてフランス語からの置き換えが進んでいる英語にて表記し、英語が一般的で無いものに限り、フランス語で表記します。また、醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。


試験後に忘れてしまった知識に意味はありません。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「記号」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「何を意味するのか」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「リアル」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください


セニエ(Saignée)

ロゼワインの製法としては、最も一般的な手法の一つがセニエです。黒葡萄を使用して、破砕するまでの流れは赤ワインと同様です。破砕後〜主発酵初期段階のどこかのタイミングで、タンクから果汁を抜き出す工程自体をセニエ(血抜きという意味)と呼び、セニエによって抜き出した果汁を最後まで発酵させたものを、セニエタイプのロゼと呼びます。


SommeTimes’ View

赤ワインと同様の工程を辿る手法であることから、色が濃く、渋味も強いと誤解されることの多いセニエタイプのロゼですが、実際はセニエを行うタイミングによってその性質が大きく変化するため、ロゼの手法の中でも最も豊かな(色調、渋味の)ヴァリエーションがある手法と理解するのが正しいでしょう。また、セニエタイプのロゼは、赤ワインを作る過程で生じた二次産物であるケースもあります。果汁を抜き出すことによって、マスト中における果汁に対する果皮の比率が大きくなるため、より濃厚な赤ワインに仕上げることができるようになるからです。この情報だけでは、セニエタイプのロゼの品質が劣るように感じてしまうかも知れませんが、決してそんなことはありません。むしろ、赤ワインの濃度を高める過程で抜き出した果汁を無駄にしないための、極めてサスティナブルな手法と評価すべきでしょう。製法上、実質的には「色の薄い赤ワイン」とも言えます。

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sommetimes.net を定期購読してお読みください。

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