A.A.Badenhorst, Kalmoesfontein White Blend 2021. ¥6,800
思い出が甦ってきてついつい笑ってしまう、そんなワインがある。
ワイン産地では、大なり小なり楽しい思い出はあるものだが、大抵の場合、適度に緩く、明るい国民性や地域性を通しての体験が、そうさせるものだ。
そしてなぜか、私にとって「笑ってしまうワイン」の多くが、南アフリカにある。
一年半前に初めて訪れた南アフリカでは、数多くの造り手たちと、談笑と爆笑のひと時を過ごした。かなり暗く辛い歴史がある国だが、少なくともワインに携わっている人々は、肌の色に関係なく、笑顔でいっぱいだった。
地域によっては、造り手たちも、試飲会の後半にでもなるとすっかり酔っ払っていて、ブースを飛び出してはしゃぎ回っている。
最初は驚いたが、すぐに慣れた。私自身は間違いなく「おとなしい」部類の人間だが、声を上げて歌い、踊っている彼らをみるのは、なんとも清々しいものだ。
異文化の中に身を置くことでしか体験できないグルーヴが、そこには確かにある。