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酒魅の世界

6月中旬から梅雨入りした長野県、7月中旬まで晴れ間少なく雨の多い日が続き、その後、8月中旬までの1か月間ほぼ雨の降らない晴天が続いた。(何度か激しいゲリラ豪雨は発生した)


8月中旬に発生した「令和3年8月の大雨」。

長野県も雨が数日続き、若干の災害が出てしまった。昨年7月の豪雨に続き甚大な被害がでてしまった九州。今後の台風も含め、これ以上の災害が起きないことを切に願っている。


この大雨を境に長野の夏ピークは過ぎ、徐々に気温が下がり、秋はすぐ近くまで来ているように感じていたが、まさかの真夏へ逆戻り。日中30度を超す残暑が8月末まで続いた。


私圃場のブドウ達は今年、予想以上にグングン伸び、来年に初収穫を迎えられるところまで生長してくれた。生長スピードに作業が追いつかず、病気に感染してしまうなど苦しい状況ではあったが、どうにか踏ん張り来年に繋げることができそうだ。


5月の萌芽から9月までの繁忙期は、日の出から暮れまで畑仕事に追われ、それ以外のことがあまり出来ない状況だったが、国内で起きている事柄、オリンピック開催、コロナ感染増、ワクチン、変異株、緊急事態宣言、終わりの見えない酒類提供の禁止など…そういった記事を目にするたびに心が痛み、早く収束することを祈っていた。


特に酒類提供の禁止については、前職レストランでソムリエをしていた身としては、飲食店スタッフの厳しい状況が目に浮かび、一日も早くコロナ以前のように誰もが楽しくお酒を飲める日が戻ってくることを願ってやまない。


その一方で、「ノンアルコール」の盛り上り、「ソーバーキュリアス」という選択の広まり、世界的な若者のアルコール離れなど、お酒に関して世の中が変化してきているのも感じる。


厚生労働省「国民健康栄養調査」によると、20~30代の男性の飲酒習慣率(週3日以上、1日1合以上飲酒する割合)は20年前と比べておよそ半分程度となり、もともと飲酒習慣率の低い20代女性では、現在、わずか3%となっているそうだ。


ネット上で「ソーバーキュリアス」についての記事を見つけた↓


なぜ「ソーバーキュリアス」がかっこいい?


『なぜ、若者では「ソーバーキュリアス」が広がっているのでしょうか。この背景には、ミレニアル世代ならではの価値観の影響があるのでしょう。

ミレニアル世代は、物心ついた頃からパソコンやインターネットが普及したデジタルネイティブです。大量の情報に触れながら育っているために、何につけても情報通で、健康や予防医療に関する知識も豊富な傾向があります(浅く広くかもしれませんが)。また、何かを買う時は情報を比較検討し、コストパフォーマンスを重視する傾向も強いです。さらに、技術革新や消費社会の成熟化によって、娯楽も多様化しています。

今の若者は、アルコールを飲んで楽しむことは、コスパの良くない娯楽と考えているのかもしれません。酔って楽しむことによるメリットよりも、健康への悪影響や、費やされる時間やお金などのコスト、酔うことによる失敗のリスクなどのデメリットが上回ると判断しているのかもしれません。』(引用元:MONEY PLUS)



お酒とうまく付き合い、豊かな時間を享受している身としては、お酒を飲まないという選択に強い寂しさと残念な気持ちがあるのが正直なところ。


ということで今回の記事は、お酒を好む私たちが今一度「お酒」の魅力を再考察し、お酒の楽しみ方を若者達へ伝えられるよう、その歴史や役割、健康面について考えてみたいと思う。



【お酒の起源】

人間はいつからお酒を飲んでいるのだろうか??


なんと考古学的に、人類誕生の前から(人間以前の霊長類、初期人類、大型類人猿)お酒を飲んでいた可能性があるそうだ。それは遥か2400万年前

人類誕生以前から、果実を食料として食べてきた可能性が高いことから、アルコール飲料との関係もおそらく遠くなかったであろうと思われている。

とりわけ熱帯の温暖な気候では、果実が熟する過程で自然に、樹上で野生酵母によるアルコール発酵が行われていた可能性は十分にあるそうだ。もしそれを偶然に一口でも口にしていたならば。。 

事実、世界には酔いを求めてそういった自然発酵したアルコールを含む果実を摂取する虫や鳥、動物が存在する。


それでは、人類がお酒を飲み始めたのは??

それは、約1万年前頃ではないかと言われている。


『人類の祖先は、史上初めて狩猟採集生活から定住の農耕生活へと暮らし方を変えた。人々は定住して村落をつくり、都市国家を築き、文字や数字を編み出し、人間の行為を取り締まる法律をつくった。それとほぼ同時期に、蜂蜜や熟した果実、穀物が酵母菌で発酵し、アルコール飲料になることを発見した。

もちろん、太古の祖先は酵母について何も知らなかった、しかし彼らは、潰したブドウが発酵し、飲むと気分が大きく変わる液体に変化することを知った。穀物を水に浸して静かに置いておくと、やがて泡立ち、間もなく独特な味わいの飲むと気持ちが高ぶる液体が生まれることにも気付いた。

それ以来、このワインとビールは人類に欠かせないアルコール飲料となり、蒸留酒が生まれるまでそれは続いた。』(引用元:「カクテルの歴史」Joseph M.Carlin)



【お酒の役割】

酒は、ただ「酔う」為だけのものではく、もっと多くの役割を担っていた。

・細菌に汚染された危険な水に代わる、より安全な飲料として

(祖先たちは、新鮮な水を常に確保するのが非常に難しかった)


・大事な栄養源として

(狩猟から農耕への生活変化で不足したタンパク質とビタミン類を補った)


・通貨や労働報酬の代わりとして

(穀物が経済の基盤であった時代、パンとビールは便利な通貨代わりとして広く普及した。ピラミッド建設の賃金はそれで支払われたそうだ)


・宗教儀式の必需品(アルコールは神々からの贈り物とされていた)


・祈りや祝いの儀式(豊穣祈願や葬儀なども)


・哲学的、芸術的発想の源(多くの哲学者、芸術家がアルコールを嗜好した)


・命を救う薬(塗り薬や飲み薬として病院で処方されていた時代もある)


・政治的シンボル(政治や権力の象徴として利用された)



これらの中でも特に、神との繫がりや宗教的役割が強かった期間が長いことが、歴史から推察される。


古代ギリシャでは、ワインを水で割って飲むという習慣があったが、それはワインをそのまま飲んでも平気なのは酒神ディオニュソスだけだと信じられていた為で、例え上質なワインでも、水を加えずに飲むことは野蛮な行為とされていたそうだ。


アルコール飲料が持つ超自然的な性質(酔い、意識の変化、発酵)は不思議なことであり、それが神々からの贈り物という結論に行き着いたのも、しごく当然なことだろう。


日本でも、昔はその役割が強かった。


『酒は神祭りに不可欠な供え物であり、神と人が相嘗めするための飲み物であった。興奮を誘い、陶酔境に浸りつつ、神と人との一体化を図ったのである。酒がその起源を神に結びつけられていたのも、その所為である。女が神に仕える巫女(みこ)として働いた関係で、日本では女が酒を醸す古風なものであった。』


『日本酒は、奈良時代には麹を使っての酒作り法が確立していました。当時は、お酒は集団の儀礼の中にあって、神人と民衆との交流の場での群飲がほとんどでした。神に供えることで豊かな収穫や無病息災を祈り、そのお酒を飲むことで厄を払う。お酒は超現実的な神と人とを結びつける役割を担う、神聖なものでした。』

(引用元:「酒飲みの文化史」青木英夫)


その他に、乾杯や献杯、婚約の盃結(つきゆい)、葬儀の後「お清めの酒」、お神酒(おみき)、お屠蘇(おとそ)などのしきたりもある。



【お酒の役割の変化】

今現在も、世界中でこうした神事的な儀式の必需品としてお酒が供されることは多くあると思うが、祖先達が持っていたお酒に対する根本的な価値、神々とつながる為のツールとしてのお酒の役割は、既に大きく崩れてしまっているのも事実であろう。


では一体、いつから人間にとってお酒の価値が大きく変化したのだろうか?

定かではないが、恐らくアルコールの普及と共に自然に変わっていったのだろう。実際にビールは遥か昔から庶民の飲み物であった。ただ、大きなきっかけは蒸留酒の誕生、そしてお酒の楽しみ方の変化にあるのかもしれない。


『アルコール度数の高い蒸留酒は、アメリカ独立戦争(1775〜1783)以前は大量に入手することも妥当な価格で購入することも難しかった。アフリカの奴隷貿易、カリブ海の豊富なサトウキビ、そしてアメリカで大量に栽培されたトウモロコシという重要な要素がそろって初めてそれが可能になった。19世紀初頭は、糖蜜やトウモロコシといった蒸留酒の材料を輸送するよりも、蒸留酒そのものを船便で取引する方が安くついた。

北アメリカでは、瞬く間に強い酒が流行した。18世紀前半に安価なジンが蔓延し、アルコール中毒者が大量に生まれた「ジンの伝染」を体験したイギリスと同じである。しかし、アメリカの元凶はジンではなく「悪魔のラム」と、別名「ジョン・バーレーコーン」ことモルトウイスキーだった。』(引用元:「カクテルの歴史」Joseph M.Carlin)


一気飲み、飲み放題、暴飲暴食、ちゃんぽん、ストロング缶酎ハイなど。


「お酒を嗜む」の真逆をいくこういったものが蔓延していては、若者達がお酒離れしてしまうのも仕方ないのだろうか。。


ではどうやって、若者達にお酒の魅力を伝えていこう?



【お酒の魅力:①古き良きしきたりと人間関係】

人間同士のコミュニケーションが希薄になっていく時代だが、やはりお酒の場で築ける人間関係は必ず存在するのではないだろうか。

日本には神事的なお酒の役割以外にも、数多くの酒席での独特な習慣「盃のやりとり」がある。


「盃をうける」「お流れ頂戴」「御返杯」などの習慣は、主人と客、上司と部下、友人同士などが、お酒そのものとその器である盃を通して親しみを表す、日本的風習です。日本酒に燗をして徳利や銚子に入れ、相手に丁寧についでやるという、温かい心が宿る飲み方といえるでしょう。



【お酒の魅力:②健康】

「適量のお酒は百薬の長」と言われるが、酒は適量摂取なら健康効果があるという考えは医学的に証明されている。


(1) お酒を飲まない人よりも、適量飲む人の方が長生きできるという事実

これを裏付ける「Jカーブ効果」というものがあり、お酒の適量摂取では死亡率が下がり、一定量を超えてくると死亡率があがるというデータが存在する。



(2) ストレス発散

お酒によって会話がはずみ、みんなが笑顔になる楽しいお酒は、お酒のもつ健康作用が体にも心にも行きわたる。


『酔っぱらうというのを医学的に説明すると、お酒の中のエチルアルコールが、脳の神経細胞に作用し、適度に麻痺させている状態のことです。脳が軽く麻痺することで、まず、抑制が取れます。普段、職場や家庭で我慢している人が、お酒を飲むと素直になって言いたいことが言える。つまりストレスが発散できるのです。同時に気分が高揚します。しかし、お酒を飲めば皆必ずハイになるわけではなく、抑圧されている人は抑圧が取れてハイになり、逆にいつも無理に明るく振る舞っている人は、静かになることがあります。要は本音が出るのです。これは、我慢し過ぎの日本人にとって、精神的に良いことだと思います。お酒を飲んで抑圧が取れ、自分をさらけ出すことも、ときには必要です。』

(引用元:「酒好き医師が教える 薬になるお酒の飲み方」秋津としお )


(3) アルコールが善玉コレステロールを増やす

『医学的にお酒は動脈硬化を予防すると言われています。アルコールがHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やし、血液凝固系と呼ばれるシステムに作用するので血が固まりにくくなり、脳梗塞や心筋梗塞によるリスクが低くなるのです。』

(引用元:「酒好き医師が教える 薬になるお酒の飲み方」秋津としお )


『長年の研究で、適度なアルコールは善玉コレステロールを増やし、動脈硬化を引き起こす悪玉コレステロールのレベルを引き下げる働きがあることが分かった。つまり、心臓病のリスクを低減させる効果が期待出来るということだ。アルコールにはまた、血液中の血小板の凝集を防ぎ、血栓症から人体を守る効果もある。さらに人体機能をリラックスさせる効果もあるため、乱用しなければ社会的価値も非常に高い。』

(引用元:「イギリス王位化学会科学者が教えるワイン学入門」David Bird )


(4) アルコールで血流向上

『冷え性は万病のもとと言われます。冷え性といえば、かつては女性に多く見られる悩みでしたが、最近では、男性の冷え性も増えています。

 体を温めるために、お酒を利用するのも一つの手です。お酒を飲むと体がぽかぽかしてきますよね。あれは、アルコールが血管を拡張させるので、血流が良くなっているのです。冷えが改善されることは、体にとっては良いことずくめです。肩こりや筋肉疲労が解消されますし、免疫力や代謝が低下するのを防ぐこともできます。』

(引用元:「酒好き医師が教える 薬になるお酒の飲み方」秋津としお )


(5) お酒各種に含まれる有効成分

1. ワイン

1990年代に起きた「フレンチ・パラドックス」よる赤ワインブームから早30年。その後も次々とワインが健康によいという事実が医学的に証明されてきた。


・タンニン:ワインの渋味の主成分で、抗酸化作用や殺菌作用がある。


・ケルセチン:黄色の色素成分。強い抗酸化作用があり、糖尿病や動脈硬化の予防に効果的。


・レスベラトロール:ブドウの果皮に含まれる物質。抗酸化作用のほか、長寿遺伝子に作用して細胞を守る効果がある。


・カテキン:抗酸化作用があり殺菌効果が高い。血圧の上昇を防ぎ、血液中のコレステロールを減らす。


・アントシアニン:ブドウ果皮の色素成分。抗酸化作用や肝機能の保護、疲れ目の解消など。


・プロアントシアニン:ブドウの種子に多く含まれる抗酸化物質。抗動脈硬化、心臓保護などの作用がある。


・カリウム:ワイン中の主要なミネラル成分の中でも多く含まれ、人間の体内で過剰になったナトリウムを尿と共に対外へ排出する働きをもつ。


・ヒスタミン:生体に広く分布する活性アミンの一種で、通常は不活性状態で体内に存在し、生命に重要な役割を果たしている。


『ワインには、数多くの病気を抑制する効能がある。加えて、酸化による老化や、現代病とも言える塩分の過剰摂取からも私たちを守ってくれる。このような様々な健康維持効果があり、何千年にもわたり人々に親しまれてきたワインと言う素晴らしい飲み物の恩恵にあやからない手はないだろう。』

(引用元:「イギリス王位化学会科学者が教えるワイン学入門」David Bird )


2. ビール

原料のホップに含まれるポリフェノールが赤ワイン同様、体内の増え過ぎた活性酸素を除去する抗酸化作用がある。さらに、ホップに含まれるフィストロゲンという物質には動脈硬化予防や骨粗鬆症防止効果があり、ホップの苦味成分イソα酸には認知症予防効果があるとされる。


3. 日本酒

日本酒にはアルコール分以外に、アミノ酸、アミン、有機酸、糖類、ビタミンなど120種類以上の栄養成分が含まれており、特に健康維持にとても重要なアミノ酸を非常に多く含んでいる。

日本酒中の各種アミノ酸は、免疫機能の維持と改善、成長ホルモンの分泌と促進、運動時のエネルギー源など様々な働きをし、さらに、糖尿病や動脈硬化、心臓病といった生活習慣病全般を予防する効果が期待出来るとされている。



【お酒の魅力:③食事を更に美味しく】

私がワインの世界へ足を踏み入れたきっかけは、生ハムと白ワインだった。まだワインを知らない若い頃に勤めたレストランで開かれた、ワイン勉強会での出来事。何もなしで食べた生ハムの味と、白ワインをひとくち口に含んだ後に食べた生ハムの味が全く異なることにショックを受け(数倍に美味しく感じた!)、「もしかして、同じ食べ物を、ワインを使って数倍美味しく食べている人達が世の中にはいるということか!?」ということに気づき、それから、ワインは生ハム以外にどんな食べ物をより美味しくしてくれるのだろう!?という興味が、ワインの世界へ入るきっかけとなった。


ワイン以外にも、料理を美味しくしてくれるお酒は世の中に多く存在する。

お酒と料理が織りなす至福の時間。絶対に知っていた方が良いと思う。



【お酒の魅力:④レストラン】

もちろんレストランは基本的に食事を楽しむ場所であるから、お酒無しでも素晴らしい時間を過ごすことが出来ると思うが、お酒をともにすることでより幸福な時間を過ごすことができるだろう。

シェフが心を込めてつくった料理、ソムリエが吟味したお酒、スタッフの心地よいサービス、それらをレストランという特別な空間で味わう。

人生にそんな時間が無いなんて寂しすぎると思いませんか?

レストランに限らず飲食店で食事&お酒の素敵な時間がないなんてもったいない!



お酒の魅力は正直まだまだ書ききれない程あるが、このままだと⑳くらいまでいってしまいそうなので、一旦終わりに。


ただ前提として、これら全ての魅力は「正しく飲んだ場合」の話しであり、間違ったお酒の飲み方をしてしまうと、全くの逆効果になってしまうことは言うまでもない。



【お酒の魅力:名言集(参考図書より)】


「楽しみ、それはビール。苦しみ、それは遠征」

(紀元前2000年、メソポタミアのことわざ)


「早くワインを一杯持ってきておくれ。そうすれば頭に潤いを与え、なにか気の利いたことが言えるかもしれぬ」(ギリシャの喜劇作家アリストパネス)


「富める者にも貧しい者にも、彼はワインの喜びを与え賜うた。あらゆる痛みを和らげる飲み物を」(「バッコスの信女」一節)


「もしも酒がなかったら、いったい世界はどれだけ味気なかったろうか」


「酒が生まれたのは、今から1万2000年前。果物から偶然つくり出されたと言われている。以来、人間は絶えず創意工夫を凝らして、酒づくりという不思議で複雑な現象を習得しようとしてきた。

どの飲み物も、その国の人々や地域の社会的、経済的背景を背負っていて、人間について、そして乾杯したいという抑えきれない欲望について、何らかの形で物語っている。

酒の時を超える能力。樽やボトルの中で何年もかけて熟成し、花開くアロマ。年代物のワインやウイスキーに私たちが魅了される理由も、そのあたりにありそうだ。こうした酒を味わうことは、過去を追体験し、現在を味わい、未来を想像する時間なのだ」(著書/世界お酒MAPS)



うまく付き合えば良いこと尽くめの「お酒」

飲み手自身がきちんとお酒の魅力を認識し、正しく楽しく飲んでいれば、きっと自然と若者達も興味を示すだろう。


一丁前にワイングラスをくるくる回して香りを嗅いで「んー良い香り♪ ちょっとペロしていいー? 早く飲みたいー!」と、ワインを飲むとき必ずそばにやって来ては味見懇願する息子(5歳)は既にお酒に興味津々です。(笑)

お酒を嗜む姿を見せていれば、きっと将来一緒に飲むことができるでしょう!




生産者:Farr Rising(ファーライジング)

ワイン名: Saignee Barrel Fermented Pinot Noir

品種:Pinot Noir(ピノ・ノワール)

ワインタイプ:Rose(ロゼ)

生産国:Australia(オーストラリア) 

生産県:Geelong(ジーロング)

生産年:2013

販売元:ワインダイヤモンズ


参考小売価格:4500円(税別)


美しくオレンジがかった淡いチェリーピンク。香りは既に果実の域を超え、8年の熟成による妖艶なスパイスやドライフルーツ、トースト、樽香などが芳醇なブランデーを思わせる。非常にまろやかな口当たり、口の中で広がる優しい果実、香り同様のスパイス、果皮からのほのかなタンニンと苦味、それら複雑な味わいを強めの酸味がしっかり支えまとめている。余韻も非常に長い。大きめのグラスで15度以上がお勧め。


グラスにワインを注いでから一口目の余韻が終わるまでに数分を要する。

一気飲み不可能。

これぞまさに「嗜む」飲み物。


参考図書

「酒の起源」(Patrick E. McGovern)

「酒飲みの文化史」(青木英夫)

「世界を変えた6つの飲み物」(Tom Standage)

「カクテルの歴史」(Joseph M.Carlin)

「科学者が書いたワインの秘密 身体にやさしいワイン学」(清水健一)

「イギリス王位化学会科学者が教えるワイン学入門」(David Bird)

「医者が教える体にいい酒の飲み方」(宝島社)

「酒好き肝臓専門医が教える カラダにいい飲み方」(栗原毅)

「酒好き医師が教える 薬になるお酒の飲み方」(秋津としお)

「酒好き医師が教える 最高の飲み方」(葉石かおり)

「酒好き医師が教える もっと最高の飲み方 続編」(葉石かおり)


<プロフィール>


ソン ユガン / Yookwang Song


Farmer

1980年宮城県仙台市生まれ。実家が飲食店を経営していたこともあり幼少時よりホールサービスを開始。2004年勤務先レストランにてワインに目覚めソムリエ資格取得後、2009年よりイタリアワイン産地を3ヶ月間巡ったのち渡豪、南オーストラリア「Smallfry Wines(Barossa Valley)」にて約1年間ブドウ栽培とワイン醸造を学ぶ。また、ワイン産地を旅しながら3つのレストランにてソムリエとして勤務。さらにニュージーランドのワイン産地を3ヶ月間巡り、2012年帰国。星付きレストランを含む、都内5つのレストランにてソムリエ、ヘッドソムリエとして勤務。


2018年10月家族で長野へ移住。ワイン用ブドウを軸に有機野菜の栽培をしながら、より自然でサスティナブルなライフスタイルを探求している。


2021年ブドウ初収穫/ワイン醸造開始予定。


現在も定期的に都内にてワインイベントやセミナーなどを開催。


日本 ソムリエ協会認定 シニアソムリエ


英国 WSET認定 ADVANCED CERTIFICATE


豪国 A+AUSTRALIAN WINE 認定 TRADE SPECIALIST



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