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再会 <78> 魅惑のオーストラリア・リースリング
Ravensworth, Regional Riesling 2022. ¥4,500 リースリング は鏡のような葡萄品種だ。 葡萄が育ったテロワールを、どこまでも素直に表現することができる。 新樽を効かせたりといった手法が全く一般的では無い のも、また良い。 余計な味付けはせず、ただただ素材の味わいを活かす 。 リースリングという葡萄が、私の心に深く響く理由は、そこにあるのかも知れない。

梁 世柱
3月16日


Sonoma Coast の可憐なリースリング
日本人女性オーナー兼醸造家としては、カリフォルニアで唯一無二の存在。 アメリカ合衆国の大統領や副大統領が主催する、国賓をもてなす晩餐会での採用。 輝かしい実績と人気を誇る Freeman Winery が、新たにポートフォリオに加わった リースリング...

梁 世柱
2024年11月18日


Wine Memo <27>
Laurent Bannwarth, Riesling Bildstoeckle 2019. ソムリエとしての修行を始めて間もない頃。今から20年ほど前の話だ。 私は順当に、“当時は”ワイン界の中心にいた フランスの銘醸地 、つまりブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュから学び始めていたが、ワインの教科書を読み進めるうちに、とある産地に強く興味をもった。 フランスの アルザス地方 だ。 理由は大したものではない。 フランスなのにドイツ語が飛び交う だとか、 度重なる戦争でフランス領とドイツ領を行き来した とか、 ワインのボトルがドイツと同じ細長いタイプ だとか。 その 背景にある悲惨な歴史と理不尽に奪われた命 には興味をもたず、ただただ アルザスの特異性という結果 だけが私を惹きつけた。

梁 世柱
2024年8月9日


Wine Memo <25>
Mayer-Fonné, Riesling Grand Cru Schoenenbourg 2016. ¥7,500 アルザスのグラン・クリュ は本当に難しい。 まず、 51という数は明らかに多すぎる 。しかも、(個人的な意見としては)その半数近くが、品質的にはグラン・クリュのステータスがかなり疑わしいのだから、信頼性がどうしても低くなる。 ブルゴーニュのグラン・クリュ群と比較するなら、アルザス・グラン・クリュの半数はプルミエ・クリュ相当といったところだろう。 平均的な面積(約34ha)が広すぎる のも問題だ。ブルゴーニュでは基本的に斜面中腹だけがグラン・クリュ認定されているのに対し、 アルザスは斜面上部から下部までもれなくグラン・クリュとなる のが通例。

梁 世柱
2024年5月3日


Wine Memo <23>
Geheimer Rat Dr. von Bassermann-Jordan, Deidesheimer Kieselberg Riesling Trockenbeerenauslese 2015. 世界三大貴腐ワインといえば、 フランス・ボルドーのソーテルヌ、ハンガリーのトカイ 、そして ドイツのリースリング・トロッケンベアレンアウシュレーゼ 。 トカイの最高級品であるエッセンシアは、飲むというより「舐める」ので、比較対象にそもそもならない気もするが、極甘口ワインがたまらなく好きな私にとっての 最上 は、 トロッケンベアレンアウシュレーゼ一択 だ。 平均して8%前後のアルコール濃度、濃密極まりない甘味を、時に12g/Lを上回る凄まじい酸で中和したダイナミックかつ超多次元的なストラクチャー、糖分と合わさって強烈な粘性を生む凝縮したミネラル、桃源郷の余韻。 この地球上に、これほど甘美な液体は存在しない と、最高のトロッケンベアレンアウシュレーゼと巡り合う幸運に恵まれる度に思い知らされる。

梁 世柱
2024年4月11日


再会 <42> The Greatest Riesling on the planet
Weingut Keller, Riesling G.G. “Oberer Hubacker Monopol” 2021. 講演でも、SommeTimesでも、プライヴェートでも、私は底なしの 「リースリング愛」 を包み隠さず話してきた。 もちろん、シャルドネも、ソーヴィニヨン・ブランも好きだし、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーも好きだ。 ヨーロッパ各地の土着品種にも、ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、テンプラニーリョといった代表的なものに限らず、好きな葡萄品種はたくさんある。 葡萄品種という括りからは外れるが、シャンパーニュだって大好きだ。 それでも、私に至上の感動を与えてくれる、魂を奥底から揺り動かしてくれる唯一無二の葡萄が、リースリングであることには変わりない。

梁 世柱
2023年7月29日


出会い <39> 偉大なワインの最高の飲み頃
Van Volxem, Riesling Wiltinger Schlangengraben 2002. ワインはいつ開けても良い。 私が常にそう考えている理由は、数多くの先人たちによる、 「偉大なワインは、若くても、熟成していても、美味しいものだ。」 という類の意見に 同調しているからでは無い 。 むしろ、「いつ飲んでも美味しい」には 全くもって同意しかねる 。 「美味しい」 という感想は、 究極的に主観的 なものであるため、当然、 個々人の「好き嫌い」とは密接に関わっている 。 フレッシュな果実味が全開になった味わいが好きな人も、ほどほどの熟成を経て複雑性を増した味わいが好きな人も、長期熟成によって枯れた味わいが好きな人もいる。 少数派だとは思うが、ワインが若すぎて全然開いてない状態の方が好きな人もいるだろうし、果実味が跡形もなく抜け落ちるほどの熟成状態が好きな人もそれなりにいる。 その 嗜好のヴァリエーションは無限大に限りなく等しい ため、「美味しい」という主観を、「いつ飲んでも」というフルオープンなコンディションと連動させるのは、流石に無

梁 世柱
2023年6月18日


再会 <26> Terroir in California
The Ojai Vineyard, Riesling “Kick on Ranch” 2017. ¥4,200 カリフォルニア・ワインと聞くと、どうも派手で煌びやかな印象をもっている人が多いだろう。 多くのワインが「ブランド化」され、ヨーロッパの銘醸ワインを凌ぐ超価格で取引されるワインも少なくない。筆者個人としては、そのような「技術の粋」にはすっかり興味を失って久しいが、より大きなカリフォルニアとして括れば、長大なFavorite Listが出来上がる程度には、強く心惹かれ続けている産地だ。 ちなみに、 カリフォルニア州 の面積は 約424,000 ㎢。 フランス(約643,800 ㎢)よりは小さいが、 ドイツ(約357,600 ㎢)や 日本(約377,900 ㎢)よりも大きい。 こんなに広ければ、 多種多様なテロワールがあって至極当然 。そして、 テロワールが違えば好適品種もまた異なるというのは、ワイン界の不文律 だ。

梁 世柱
2022年12月4日


葡萄品種から探るペアリング術 <5> リースリング
葡萄品種から探るペアリング術シリーズは、特定の葡萄品種をテーマとして、その品種自体の特性、スタイル、様々なペアリング活用法や、NG例などを学んでいきます。 今回は、 リースリング をテーマと致します。 また、このシリーズに共通する 重要事項 として、葡萄品種から探った場合、 理論的なバックアップが不完全 となることが多くあります。カジュアルなペアリングの場合は十分な効果を発揮しますが、よりプロフェショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 リースリングのスタイル リースリングの醸造方法は 世界的に一貫性 (シャルドネやソーヴィニヨン・ブランほど多様ではない)が見られますが、 テロワールには極めて敏感 であり、 品種自体の個性も強く出ます 。リースリングの醸造過程で、 新樽が登場することは極めて稀 です。もちろん例外はありますが、バリック熟成をしたリースリングの成功例もまた、極めて稀と言えます。リースリングの大多数は、(産地を問わず)ステンレスタンク、コンクリートタンク、古

梁 世柱
2021年11月19日


第3世代の躍進と桁違いの可能性<NY後編>
冒頭から脱線するが、ニューワールドという言葉の定義は、いまいち釈然としない。例えば南アフリカ共和国は350年を超えるワイン造りの歴史があるがニューワールドとされている。一方で、近年スパークリングワインで注目を集めているイギリスのことを、はっきりとニューワールドと言う声は少なくない

梁 世柱
2020年12月16日


ブドウ畑をワインで描写する画家
皆さま、いかがお過ごしでしょうか? 私が日本に帰国してから、1年以上が経ちました。 ご愛読いただいております皆さまへの感謝の気持ちを忘れずに、本日もヒロミワールドへいらしてくださる皆さまの為に、コラムを全力でカスタマイズさせていただきました。...

SommeTimes
2020年12月8日


無添加リースリングの真価
亜硫酸、俗に酸化防止剤とも呼ばれるこの物質は、超長距離輸送と長期保存が常識化した近代ワイン産業にとって、欠かすことのできないものとされている。 しかしいつの時代も、近代化と原点回帰は交互に繰り返されるものだ。近年の世界的な亜硫酸無添加ブームは、一歩間違えれば盲目的な思想を消...

梁 世柱
2020年12月2日


誰も知らない偉大な産地<NY前編>(無料公開)
大都会のハイセンスが反映されたスタイリッシュなワイン。世界最大の大都市であるニューヨーク市を有するニューヨーク州のワインと聞けば、随分とバイアスのかかったイメージが先行するだろう。マンハッタンを悠々と闊歩する成功者たちが、昼間にテラス席で優雅に楽しむワイン。そんな光景すら、...

梁 世柱
2020年12月1日


【リースリングの聖地ドイツのグランクリュは、本当に世界最高か?】
これらはプロが熱狂する理由の最たるものだ。
でも、一つだけ違和感がある。
リースリングの品質に関して、どれだけの人が理路整然と語っているのだろうか。
今回はなるべく分かりやすい「格付けという記号」を用いて、その品質の真価に迫ってみよう。

梁 世柱
2020年12月1日
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