日本にはかなりの数の「地鶏」がいる。
全国的に流通、もしくは地方の焼き鳥店などへ行けばそれなりに食べられる、という括りにすれば、その数は60種類をゆうに超えるというのだから、驚きだ。
その圧倒的なヴァリエーションゆえに、地鶏は日本という小さな国の異次元的に豊かな食文化を象徴する食材、とすら言える。
そして、その中でも日本三大地鶏と呼ばれているのが、鹿児島県の「さつま地鶏」、愛知県の「名古屋コーチン」、そして秋田県の「比内地鶏」である。
食べ比べをすれば誰でもわかるくらいに、地鶏によって味わいと肉質は大きく異なる。
最終的にはもちろん、人それぞれの好みの問題、となるが、筆者にとっての至高の地鶏は、比内地鶏だ。
濃密な脂と肉の旨味、絶妙な弾力のある歯応え、縦横無尽に広がる味わい、中心の圧倒的な力強さ。
どれをとっても、比内地鶏は「グランクリュの味」がする地鶏だ。
東京都内にも比内地鶏を売りにする焼き鳥の名店は多数あるが、先日訪れた根津の「照隅」もまた、比内地鶏のポテンシャルを最大化する極上の名店だ。
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