我々が日常的に食す料理、食材の中には、真面目にペアリングを考えようとすると、かなりの難敵となるものがある。
例えば、ラーメン、うどん、蕎麦といった「汁+麺」にカテゴライズされる料理は強敵揃いだし、納豆のような特殊な発酵食、梅干しのような五味が極端に偏っているものも難しい。
ただし、ここでいう「難しい」というのは、不可能と同義ではなく、実際には攻略可能なのだが、その攻略法そのものが特殊かつ、一般受けしづらいもの(梅干しと貴腐ワインなど)になりがちだ。
さて、今回挑むカジュアルフードはタコライス。
沖縄県の料理であることは良く知られているが、その実態は一般的な日本料理からは程遠く、カレーライスやハンバーグと同様の「日本風洋食」と考えて差し支えない。
(そもそも、その起源は沖米国海兵隊の間で人気だったタコスを白飯に乗せた、安価でヴォリューム感のある料理として生まれたものだ。)
基本となるレシピは、白飯、レタス、トマト、チーズに牛挽肉をスパイシーに仕立てたタコミート、もしくはトマトベースの辛いサルサソースとなる。
ペアリングのロジックにこれらの要素を当てはめていくと、以下のように整理できる。
1. 白飯は「あらゆる粉物」と同様に、基本的には無視する。
2. レタスは風味、トマトは酸味、チーズは塩味として捉える。
3. タコミート、サルサソース共に、辛味として捉えるが、タコミートの場合は牛肉であることを意識する。
4. 野菜と肉が同じ料理内に混在している場合は、基本的には肉を優先する。
タコライスとのペアリングを難解にしている最大の要因は、4番目の法則。
そう、この料理に含まれるレタスが生野菜であるため、4の注意事項として存在する「ただし、生野菜(特に葉野菜と根菜)が多く含まれる場合は、その限りとならない。」が適用されてしまうのだ。