一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回もボルドー地方について学んでいきます。
ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。
ボルドー地方シリーズ第八回は、「ボルドー右岸:Saint-Émilion地区」と致します。
Saint-Émilion
ボルドー右岸を代表するアペラシオンの一つがSaint-Émilionです。総面積は約5,400haと広く、全体的な品質は高いですが、玉石混交という側面もあります。
最も一般的なブレンド比率はメルローが60%程度、カベルネ・フランが30~40%程度、カベルネ・ソーヴィニヨンが0~10%程度となりますので、基本的にはメルローの産地と言えますが、一部のエリアでは、カベルネ・フランが最高品質の葡萄となります。
銘醸ゾーンは、主に4つの「丘」に分けることができます。なお、丘の名は通称であり、正式名称ではありません。
北西部は「シュヴァル・ブランの丘」で、砂質土壌が主体となり、カベルネ・フランを得意とします。Cheval-Blanc、Figeacがこの丘を象徴するシャトーです。
中央部は「オーゾンヌの丘」で、粘土質土壌が主体となり、メルローを得意とします。Ausone、Canonがこの丘を象徴するシャトーです。
北西部と中央部の間は「アンジェリュスの丘」で、粘土質、砂質、石灰質が混じり合った複雑な土壌となりますが、ややメルローが優勢なエリアです。Angélusがこの丘を象徴するシャトーです。
中央部の東側は「パヴィの丘」で、粘土石灰質が主体となり、メルローを得意とします。Pavieがこの丘を象徴するシャトーです。
Saint-Émilion地区公式格付け
1955年に導入されたSaint-Émilion地区公式格付けは、1969年、1986年、1996年、2006年、2012年、2022年と6度に渡って見直されてきましたが、2006年以降はトラブル続きです。