点数はワインを救ったのか、殺したのか
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8000年を超える歴史を誇るワインの世界には、ときどき妙に現代的な悲喜劇が起きる。
古い権威に疑念をぶつけるために持ち込まれた仕組みが、やがてそれ自身、より効率的で、より流通に適し、より疑われにくい新たな権威へと変貌する。
ロバート・パーカーJr.と100点満点法がもたらした変化も、まさにそういう種類の出来事だった。
まず認めておくべきことはある。
点数法は、歴史的名声や伝統的権威を完全に打ち砕いたわけではない。
名門は名門のままであり、偉大な畑は依然として偉大なままだった。
だが、それまであまりにも長く効きすぎていた「名門だから無条件偉大」という空気に対して、点数法は驚くほど無遠慮だった。
由緒があろうが格付けがあろうが、出来が悪ければ低く評価する。
逆に、新顔であっても良ければ高く評価する。
その忖度のなさは、旧来の権威に安住を許さなかった。
その意味において、点数はたしかにワイン市場を救った。
ワインは長いあいだ、味わいを楽しむよりずっと前の段階で、教養を要求する商品だった。
産地、格付け、生産者、葡萄品種、ヴィンテージの評判。店頭に並ぶボトルは、ほとんど暗号だった。
初心者はいつだって、自分の舌より先に、自分の無知のほうを思い知らされた。
そこへ100点満点法は、乱暴だが強力な翻訳装置として入り込んだ。
流通に比較の基準を与え、貴族的な教養ゲームだった市場に、初心者という多数派を本格的に参加させた。
そして、評価の民主化によって、無名の生産者にも歴史の外から浮上する回路を与えた。
ここまでは、点数法の重要な功績である。


