優れたテロワールから、凡庸なワインが生まれることは少ない。
凡庸なテロワールから、優れたワインが生まれることも少ない。
時折、テロワールの高き壁を突破したかのような造り手に出会うこともあるが、そんな天才がそこら中に転がっているわけなどない。
ワインという飲み物と、常にセットで語られるこのテロワールというものの正体は、温情のかけらも無い、徹底的に非寛容な存在なのだ。
ラングドックの重要AOP
前編では、筆者が私見に基づいて改変した、ラングドック地方のAOP格付けをご紹介した。
わざわざ公式なものを改変した理由はただ一つ、「テロワールは嘘をつかない」と私が信じているからだ。
より優れたテロワールに、適切な葡萄が植えられていれば、(ある意味極論ではあるが)よほど稚拙な仕事をしない限り、その偉大さは必ずワインに宿る。
ブルゴーニュの特級畑モンラッシェなどは、その良い例だろう。
モンラッシェという偉大なテロワールを前にしては、多少の実力差など、誤差程度の変数にしかならない。
後編となる本編では、格付けでリストアップしたAOPの中から、特に重要度が高いと判断したものについて、より詳しく解説していく。
取り上げるのは、以下のAOPだ。
『Grand Vin du Languedoc』
Picpoul-de-Pinet
Fitou
Saint-Chinian
Minervois
Corbières
『Cru du Languedoc “B”』
Faugères
La Clape
Pic-Saint-Loup
Terrasses du Larzac
Saint-Chinian Berlou
Sanit-Chinian Roquebrun
『Cru du Languedoc “A”』
Minervois-La Livinière
Corbières-Boutenac