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オニオン・グラタン・スープという強敵(前編)

なレストランで、アートのように飾られた一皿に込められた、驚異的な技術と奥深い伝統を体感する。ハレの日の高級フランス料理には、確かに特別なものがある。しかし、筆者はカジュアルなフランス料理も大好きだ。カジュアル・フレンチには、ブフ・ブルギニョン、エスカルゴ・ブルギニョン、キッシュ、スープ・ド・ポワソン、カスレと筆者の大好物が目白押しなのだが、その中でも特に思い入れの強い料理は、オニオン・グラタン・スープだ。


フランス語では、Soup à l’Oignon Gratinée。英語では、French Onion Soup、もしくはFrench Onion Soup Gratineeと呼ばれるこの伝統料理は、世界で最も完成されたカジュアル料理の一つ、と私は思っている。



私がニューヨークで働いていた頃、マンハッタンから、自宅のあるクイーンズへと戻る中間地点に、Le Bateau Ivreというフレンチ・ワインバーがあった。


深夜3時頃まで営業していたLe Bateau Ivreは、厳しく激しいレストランサーヴィスを終え、くたくたになった自分にとって、まさに仕事後の憩いの場であった。

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