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ポルトガル屈指の極上ローカルペアリング
ポルトガルへの旅で体験した数々のペアリングの中で、まず第一弾としてはより広範囲に楽しむための「ピリ・ピリ」との合わせをご紹介したが、多皿シェア文化のポルトガルでも、非常にクオリティの高いローカル・ペアリングは確かに存在している。 そのペアリングを体験できたのは、バイラーダ地方。 この地には、Leitão da Bairrada(レイタオン・ダ・バイラーダ)という名物料理がある。 分かりやすく日本語表記すると、「乳飲み仔豚の丸焼き」となるこの料理は、母乳のみで飼育された肉質の柔らかい仔豚に、ラード、コショウ、ニンニクなどのスパイスを混ぜ合わせたペーストを、内側にも外側にもしっかりと塗り込み、じっくりと時間をかけて薪ストーブで焼き上げたものだ。 外側の皮はパリパリに焼き上がり、内側の肉はとろとろのジューシー感がたまらない。 特に、肋骨を剥がしながら食べる中央部は、「頬が落ちる」極上ぶりだ。 レイタオン・ダ・バイラーダ(以降、省略してレイタオンと表記)が、ポルトガルにおける傑作料理の一つとされる理由は、一口食べれば誰でもすぐに分かるだろう。

梁 世柱
2023年11月21日


出会い <49> 時代の先を歩みすぎた偉大なワイン
Quinta da Pellada, Tounot 2011. 日本には数多くのワイン・インポーターが存在しているが、中には世界でもトップ・レベルの先進性と審美眼を兼ね備えた才能の持ち主を抱える会社がある。 そういったインポーターは、世界の最先端と時差のないワインを輸入し、日本のワイン市場が停滞しないための、重要な役割を果たしてきたとも言える。 しかし、彼らの先進性に、市場やワインプロフェッショナルの理解が追いつかないということもまた、残念ながら幾度となく繰り返されてきた。 その最たる例と言えるのは、ドイツの辛口リースリングだろうか。 ドイツでは今から20年前にはすでに、世界のリースリング・マップを完全に更新してしまうレベルの、圧倒的な辛口リースリングが生産されていたが、長年の甘口路線が強烈に染み込んでしまった日本市場は、その先進性を頑なに拒絶し続けてきてしまった。 もちろん、そのムーヴメントの初期段階から、ドイツ産辛口リースリングのトップ・ワインを輸入していた国内インポーターはあったのだが、それらのワインが決して少なくない割合で、最終的に一度は

梁 世柱
2023年11月19日


Wine Memo <15>
Opta, Dão Grande Reserva 2017. ポルトガル滞在中の訪問及び取材先は、ダオンとバイラーダ。 両産地とそのワインに関しての大部分は、特集記事にてまとめてレポートしていくが、今回の旅で出会ったワイン(他産地も含む)の中には、どうしてもメインテーマからは外れてしまうものもあったため、しばらくこのWine Memoにて紹介していこう。 一本目は、ダオンから。 ダオン西部にワイナリーと葡萄畑を構えるBoas Quintasが手がけるブランドの一つOptaからリリースされるGrande Reservaは、ヴァリエーション豊かなダオンにあっても、間違いなく「珍品」に属しているワインだ。

梁 世柱
2023年11月18日


出会い <46> 島ワインの最高到達点
Azores Wine Company, Arinto dos Açores Solera NV. ¥12,000 2023年10月の時点で、私が本年度最大の衝撃と断言できる「出会い」のワインは、大西洋にひっそりと浮かぶ未知の島で造られていた。 イタリア・シチリア島の躍進を皮切りに、ギリシャ・サントリーニ島など大小様々な島が名乗りを上げ、今や島ワインは群雄割拠の様相を呈している。 私が考える島ワイン最大の面白さは、古典的価値観に基づいた縦軸評価と、個性を重んじる横軸評価の間で、至高とすべきワインが決定的に異なる点にある。 縦軸評価の場合、ネッビオーロやサンジョヴェーゼにすら比肩し得るポテンシャルを発揮している、シチリア島・エトナ火山の土着品種ネレッロ・マスカレーゼが、「至高」に該当することに、異論を唱える人は少ないだろう。 横軸評価はより「主観」が強くなるため、個人差が生じるのは当然のことなのだが、私はスペイン・カナリア諸島のワインを、これまでは横軸評価の「至高」としてきた。 他にも、ギリシャのクレタ島、トスカーナ州のジリオ島、前回の「出会い」で

梁 世柱
2023年10月8日


Wine Memo <13>
José Piteira, Vinho de Talha Tinto 2018. ロシアによるウクライナ侵攻を発端とした物価と輸送費の高騰、歴史的な円安によって、日本国内でもあらゆる物価とエネルギー費が上昇し、輸入ワインの価格もどんどん釣り上がっている。 大幅な賃上げという幸運を享受できている人なら問題ないのかも知れないが、5%程度の賃上げでカヴァーしきれるほど、昨今の物価高は緩くない。 限られた資金源は、生活必需項目に優先して回され、娯楽や嗜好品にかけられるDisposable incomeは縮小していく一方だ。 私がワインに携わってから20年余りの間で、今ほどワインの「コストパフォーマンス」を強く意識したことは無いだろう。 長年買い続けてきた銘柄を、価格高騰を理由に見限ることは、もはや日常茶飯事となった。 なかなか心が痛むのだが、仕方のないことだ。 ワインの世界において、コストパフォーマンスの王者は、昔も今もチリであることは間違いない。

梁 世柱
2023年10月6日


ポルトガルの巨星
眠れる巨人と呼ばれてきたポルトガルは、もう眠ってなどいない。 それどころか、ヨーロッパで造られる「フランス品種系非フレンチワイン」に世界中がそっぽをむき出して以降、かつての大波に乗り損ねたポルトガルは、魅力的な地品種が数多く残る、周回遅れのトップランナーとでも呼ぶべき存在になった。 とはいえ、フレンチ味に慣れすぎた市場がそう簡単に未知の味わいを評価する、ということもない。 面白いだけでは、偉大にはなれない。 ヨーロッパ中の地品種ワインが挑んだその高き壁の前には、無数の残骸が積み上げられている。 もちろん、優れたワイン=偉大なワイン、という時代でも無いのだから、進む方向は様々だ。 ヴィーニョ・ヴェルデの多種多様な表現、リスボンを中心とするナチュラル・ワインの盛り上がり、ドゥロやダオンの混植混醸、アレンテージョにおけるターリャ(アンフォラ)の復興、テロワールをより重視するようになったポルト。ポルトガル各地で様々な伝統が再発掘されつつ、「らしさ」もまた多様化しつつある中で、その全てをやってしまっているだけでなく、伝統品種ワインを「偉大なワイン」へと進化

梁 世柱
2022年12月8日


埋もれた可能性の発掘
今回フォリアス・デ・バコ、または造り手であるティアゴ・サンパイオのことを書こうと考え始めたが、つくづく簡単には語れない面白い生産者である。 ポートワインの生産で有名なドウロの中で、ポート用のぶどうとして考えるなら最悪のテロワール。代々引き継がれた畑は、ポート用のぶどう生産の...

別府 岳則
2021年4月23日


静かに再起する産地 ダオン <ポルトガル特集後編>
ダオンは森に囲まれた静かな産地だ。

別府 岳則
2021年4月19日


一周遅れのランナーか?それとも世界の最先端? <ポルトガル特集 前編>
数年前に、ダオンを代表する生産者であるキンタ・ダ・ペラーダのアルヴァロを訪問した時に連れて行かれたのが、街と森の境界線にある場所だった。周りを見回して驚いた。葡萄畑のようだが無造作に植えられたのか樹間の統一性のかけらもなく、全ての樹は地面をうねり、ふたつとして同じ姿はない。

別府 岳則
2021年4月3日


ポルトガル・プレミアムワイン
「世界でも最もコストパフォーマンスに優れた国の一つ」 これが、ポルトガルというワイン伝統国の、ワイン市場における現代の一般的評価だろう。 現代の、と付け足したのには理由がある。 ポルトガルと言えばポートワイン、というイメージからの脱却が、...

梁 世柱
2020年12月1日
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