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クラフトビールと地ビールの違い
クラフトビールが世界的なブームとなって以降、日本国内も含めて小規模ブリュワリーの数は激増した。 私自身も、このジャンルのビールはとにかく好きで、様々なものを日常的に試しているのだが、ふと冷静になって疑問を抱くことも多い。 クラフトビールで採用されることが多いIPA、セッション、セゾンといったスタイルは、世界中で異常とも思えるほどのヴァリエーションが誕生しているにもかかわらず、結局のところ、(総合的な品質の差はあれど)似たような味わいが実に多い。

梁 世柱
2025年8月26日


再会 <88> 伝説と継承
Emmanuel Rouget, Vosne-Romanée 1er Cru Cros Parantoux 2013. レストランという現場で働いていると、(特に高級店の場合)店舗で販売したものと、持ち込みワインを合わせれば、かなり頻繁に高級ワインを味わうことができる。 飲食店の現場は体力的にも精神的にもかなり過酷ではあるが、それでも「役得」というものはあるのだ。 しかし、不思議なことに、頻繁にそのようなクラスのワインに触れていると、段々と感覚が麻痺してきてしまう。 「普通」の高級ワインでは、もはや心が激しく揺さぶられなくなってしまうのだ。

梁 世柱
2025年8月19日


出会い <87> 特別編 仮面ライダーという名の究極
仮面ライダー1号 x 伯楽星, 仮面ライダー 純米大吟醸. ¥160,000 精米歩合を極限まで突き詰める、というムーヴメントの先駆け(より大きな動きを生み出すという意味で)となったのは、山口県・旭酒造が手がける「獺祭2割3分磨き」の登場だろうか。 それまで(今でも基本的には同様だが)、大吟醸酒の精米歩合は35%がスタンダードだったが、「2割3分磨き」は超高精白(素数である23という数字自体の美しさも、マーケティング上では見逃せない)という新たなアイデンティティをかかげた日本酒を、国内だけでなく、世界市場へと多いに広めていった。 その後、福井県・加藤吉平商店が手がける「梵 超吟 純米大吟醸」(精米歩合20%)などが人気を博すなど、高精米ブームにいよいよ火が付くこととなる。

梁 世柱
2025年8月7日


再会 <87> ブルゴーニュ・ループ
Pierre-Yves Colin-Morey, Meursault 1er Cru Charmes 2018. 世代交代という側面から、フランスのボルドーとブルゴーニュを比べると、非常に興味深い違いが浮かび上がってくる。 ボルドーでは、高名かつ歴史ある格付けシャトーなどが、そのまま次世代へと継承されていく(もしくは、丸ごと買収される)のがスタンダードであるため、もちろん世代交代はあるものの、劇的なというよりは緩やかな変化となることが圧倒的に多い。 一方のブルゴーニュでは、世代交代で葡萄畑が親族へと継承されたり、婚姻によって異なる一族の葡萄畑が部分的に夫婦の共有資産になったりなど、とにかく葡萄畑の所有権が頻繁に移り変わる上に、マイクロネゴシアン(買い葡萄から比較的小規模ながら優れた品質のワインを生産する造り手)の台頭なども併せて、とにかく新たなネームが次々と誕生する。

梁 世柱
2025年7月30日


出会い <86> 圧巻のグリニョリーニョ
Gaudio, Grignolino del Monferrato Casalese 2022. 有名産地のマイナー品種はなかなか難しい。そこに、「よほどの理由」がなければ、なかなか手が伸びないからだ。 品質、味わい、個性の全てにおいて、その壁を突破するのは決して容易ではなく、多くのマイナー品種ワインが「珍品」の類のままである。 それが、ネッビオーロという王者を有するイタリアのピエモンテ州なら尚更のことだろう。

梁 世柱
2025年7月22日


再会 <86> 紙パックワインの躍進
Giovannini Giorgio, Trebbiano IGT Rubicone. ¥4,900(3ℓ) 四角い紙パックに収められたワイン。 それは、瓶に入った牛乳よりも、紙パックに入った牛乳が安っぽく見えてしまうことなどとは比べ物にならないほど強烈に、中に入ったワインのイメージを悪くしてしまうのだろうか。 重厚な瓶、見目麗しいラベル、目の詰まった天然コルク、そして抜栓という儀式。 視覚から得られる情報には、大多数の人が印象を操作されてしまう。 そういうものだ。いや、そういうものだと思われていた。

梁 世柱
2025年7月14日


Wine Memo <34>
Ch. Rieussec, R de Rieussec 2016. ¥6,000程度 装飾品がどれだけ豪華に見えても、中身は随分と「普通」なことは、ワインの世界では往々にしてある。 マーケティングのために使われる、数々のワインを飾る言葉。 その中に真実がどれだけあるのだろうかと、私はすっかり懐疑的になってしまっているが、実際に、懐疑的なくらいがちょうど良いと思うのだ。 先日、仕事帰りにふらっと立ち寄ったワインバーで出てきたのは、こちらのワイン。 ボルドー・ソーテルヌ地区でも、高名なシャトー・ディケムに次ぐ名声を誇るグループの一角が、こちらのシャトー・リューセック。

梁 世柱
2025年7月13日


出会い <85> 思い込みの恐ろしさ
André Brunel, Côtes du Rhône Villages Cuvée Sabrine 2022. ¥2,800 思い込みは恐ろしい。 20年以上ワインと向き合ってきて、何度も何度も思い込みによって失敗を重ねてきたが、今回もまた、経験則が完全に外れてしまった。 特に、相当程度総体的な個性が固まっているクラシックワインの方が、このリスクは高い。 原産地呼称を名乗っているワインなら、尚更。 その審査過程の相応の厳しさも含めて理解しているため、どうしてもイメージが固定化しやすいのだ。

梁 世柱
2025年7月8日


再会 <85> ニューワールド的カジュアル古典美
Little Giant, Coonawarra Cabernet 2022. ¥2,600 ワインを学び始めた20年と少し前のこと。 世界の銘酒とされているワインを、なけなしの稼ぎを注ぎ込んで片っ端から飲み漁っていた中で、どうにもその良さが理解できなかったワインがいくつかあった。 その中の一つが、オーストラリアでカベルネ・ソーヴィニヨンの銘醸地として、当時からすでに名高かったCoonawarraだ。

梁 世柱
2025年7月1日


出会い <84> ナチュラルワインのクリエイティヴマインド
Les Chant Des Ailes, Chouchou 2022. ナチュラルワインの多くは、テーブルワイン格でリリースされる。 その国が定める国産葡萄の比率さえクリアすれば、大体のことは許容されてしまう格付けだ。 フランスならVdF、イタリアならVdTがこのテーブルワイン格に相当する。 原産地呼称制度の規定がそもそも非常に緩いニューワールドでは関係のない話だが、ヨーロッパにおいては、テーブルワイン格=自由を意味する。

梁 世柱
2025年6月24日


再会 <84> 巨大ワイナリーの超良品
Penfolds, Koonunga Hill Autmn Riesling 2023. ¥3,000 ワインを深く学んでいくにつれ、巨大ワイナリーが造るワインに対して、無意識に偏見が溜まっていってしまう人は多い。 私自身もその例外ではないのだが、どうしてもより「手作り感」のあるものに魅力を感じるようになるのは、根っからのマニア気質な私にとって、それほど違和感のあることではない。 実際、私がプライヴェートな時間に、巨大ワイナリーのワインを口にすることは、1年間でも片手で数えられる程度しかない。

梁 世柱
2025年6月18日


Not a wine review <4>
美丈夫, 蔵ハイ 高知ゆず&山椒. 海外へと赴いた時、ワインも含め、私は徹底的に「ご当地もの」を飲むようにしている。 ところかまわず有名国のファインワインを飲む人も、私の同業者には多くいるが、個人的にはどうにも食指が動かない。(お疲れシャンパーニュだけは話が別。) 自分自身がそういう思考であるからか、私は海外からゲストが来た時に、可能な限り日本のご当地ものでおもてなしをしたいと考える。

梁 世柱
2025年6月15日


出会い <83> 超熟成シャンパーニュ
Taittinger, Comtes de Champagne 1961. 超長期熟成シャンパーニュは酸化の塩梅が読みきれないため、その流通価格に対しかなりハイリスクなワインだ。 もちろん、メゾンの蔵出しや、定温環境で長期間不動保存されていたケースであれば、相当程度信頼できるが、人の手を渡り歩いてきたボトルに関しては、まさにギャンブルである。 私もレストラン用の仕入れでは、超長期熟成シャンパーニュにかなり慎重な姿勢を保つように心がけていた。 正直なところ、ハズレを引いたことの方が多いからだ。

梁 世柱
2025年6月10日


再会 <83> 国際品種のダークホース
Christophe Lindenlaub, Muscat “Je Suis au Jardin” 2023. 国際品種と聞いて、真っ先に思い浮かぶ葡萄はなんだろうか? 白葡萄ならシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング。 黒葡萄ならピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー。 おそらくその辺りだろう。 他にも、シュナン・ブランやグルナッシュの名を挙げる人もいるかも知れないが、おそらくこの葡萄品種を思い浮かべる人は、ほとんといないだろう。

梁 世柱
2025年5月27日


出会い <82> テロワールが薫る至高のナパ・カベルネ
Hewitt Vineyard, Cabernet Sauvignon Double Plus 2017. 現地価格$500 アメリカ合衆国・カリフォルニア州のナパ・ヴァレーは、まだまだ誤解されているように思えてならない。 特に高級品になればなるほど、その傾向が強い。 それもそうだろう。ナパ・ヴァレーのトップエンドは、葡萄畑のテロワールが如何に優れているか、と言うワインに取っての普遍の真理ではなく、高給取りのコンサルタントを栽培でも醸造でも雇って、如何に「高品質なイメージ」を実現させるかに躍起になってきた。

梁 世柱
2025年5月20日


再会 <82> 外れの高地の極上クラシコ
Tenuta la Novella, Musignana 2022. 温暖化は伝統産地に新たなトレンドを呼び込んだ。 より高地の冷涼ゾーンへの進出だ。 このトレンドは、ブルゴーニュを例にすると最も分かりやすい。 長い歴史の中で、最上とされてきた村や葡萄畑の多くは、現在でもその優位性を保ってはいるものの、一部の低地にある畑が、温暖化に苦しんでいる。

梁 世柱
2025年5月14日


出会い <81> 新世代のブラウフレンキッシュ
Gober&Freinbichler, Blaufränkisch Horitshon 2020. 私がオーストリアワインを学び始めた約20年前、彼の国を代表する偉大な黒葡萄であるブラウフレンキッシュは、どのテキストをみても「エレガント」な味わいであると表現されていた。 違和感があった。 興味をもって、色々とテイスティングしてみていたのだが、どのワインもどちらかというとカベルネ・ソーヴィニヨン的な性質で、エレガントという表現に結びつけられるピノ・ノワール感を、ほとんど感じることができなかった。

梁 世柱
2025年5月5日


再会 <81> サスティナブルなピンクワイン
La grange de l’oncle, mille lieux les bas fonds. ¥3,300 ワインほど、サスティナブルへの意識が急速に浸透した産業もそうは無い。 産業構造自体が、そもそも農業と密接に関わっている上に、食料品のような生活必需品ではなく、あくまでも嗜好品であるということも、その動きを力強く後押ししているだろう。 元々サスティナブルに関して先進的であり続けてきたヨーロッパが、産業の中心を担ってもいるし、アメリカ、オーストラリア、南アフリカ、チリ、アルゼンチン、カナダなどでは、主要産地が大都市に近いことが、サスティナブルへの意識を間違いなく強めている。 サスティナブルと言っても、多種多様な形があり、農業の部分に特化したものもあれば、SDGsと連動した包括的かつ多角的なものもある。 中には、特に大メーカーが推進する戦略を、「ビジネス・サスティナブル」と揶揄する声も聞かれるが、「何もしないよりかは、何かをする方が遥かにマシ」だ。

梁 世柱
2025年4月29日


出会い <80> 田舎ワインの素朴さ
Gismondi, Cerreto 2023. ¥3,800 ワインには、あらゆるタイプの魅力が本来宿っているのだが、高級ワインになればなるほど、その味わいは「都会的」になっていく傾向がある。 シャンパーニュとボルドーはその最も顕著な例であるし、今ではブルゴーニュにもバローロにもブルネッロ・ディ・モンタルチーノにもリオハにも、都会の空気がたっぷりと流れ込んでいる。 ニューワールド諸国の高級ワインは、例外を探す方が異常に大変な程度には、都会的だ。

梁 世柱
2025年4月22日


再会 <80> 線香花火のようなペットナット
Max Dexheimer, Petillant Naturel 2022. ¥3,500 ナチュラルワイン好きを公言している筆者だが、ほぼ無条件で警戒心をもって臨むタイプのワインがある。 ペティヤン・ナチュレル。通称ペット・ナットだ。 元々、アンセストラル方式と呼ばれていた原始的なスパークリングワインの製法だが、低亜硫酸醸造が多いナチュラルワインの中でも、ペット・ナットは特に、完全無添加の割合が高い。

梁 世柱
2025年4月14日
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