Gavalas, Mavrotragano 2020. ¥9,800
マイナー品種特有のクセの強さは、一度その世界に魅了されてしまうとなかなか抜け出せないほど楽しさに満ち溢れたものだが、特に絶滅危惧種ともなると、興味は尽きないものだ。
かつてはヨーロッパ大陸のあらゆる場所に、個性豊かな地品種が数えきれないほど多く根付いていたが、その多くはすでに絶滅、または絶滅に瀕している。
直接的とも言える原因は、ワインを真剣に学んだことがある人なら、一度はその名を耳にしたことがあるであろう、史上最悪の害虫フィロキセラだ。
フィロキセラ(和名:ブドウネアブラムシ)は、葡萄樹の根や葉に毒を注入してコブのようなものを生成することによって、葡萄樹の生育を著しく阻害し、最終的には枯死にいたらせてしまう昆虫の一種。
1845~1858年の間、当時は未知の病害であった「うどんこ病」への対応に追われ、すっかり疲弊していたヨーロッパのワイン産業を、フィロキセラが襲い始めたのは、1863年のこと。