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- ご縁を大切にする
自分自身が生きていく上で、大切にさせていただいていることの1つです。 当たり前かもしれませんが、やはりとても大事な事ですよね。ご縁からご紹介いただけるワインもあるし、お仕事もたくさんある。思いは通じたりして世界が広がっていきます。 そう、世の中ってとっても不思議です! 昨年後半、とある撮影のお仕事を引き受けさせていただきました。それは今年の初めから放映され、本来ならば丁度この記事を書き終えるころ終了する予定だったのですが、コロナウイルスによる(意味不明の)非常事態宣言が急遽出てしまいました。残念ながら4月末にて新国立美術館の閉館をもって会期を終了してしまった、「佐藤可士和展」にまつわるYouTubeの撮影のお仕事でした。 生産者: Waimarama / ワイマラマ ワイン名: Minagiwa Reseve Selection 2016 Kashiwa Sato Limited Editio / ミナギワ リザーブセレクション 佐藤可士和 限定ラベル 葡萄品種 :Merlot (メルロ), Cabernet Sauvignon (カベルネ・ソーヴィニヨン), Syrah (シラー), Cabernet Franc (カベルネ・フラン), Malbec (マルベック) 生産国 :ニュージーランド 生産地 :Hawkes Bay ホークスベイ ヴィンテージ :2016 希望小売価格 :¥12,100(税込) お問い合わせ :ワイマラマジャパン株式会 佐藤可士和さんが、NZにあるワイナリー「 シャトーワイマラマ 」のオリジナルエチケットを手掛けた限定ワイン。「 Minagiwa 2016 Kashiwa Sato Limited Edition 」 このワインに合わせてコメントとペアリングさせる料理を提案し、撮影させていただくという大変光栄なお仕事だったのですが、このお仕事をご提案いただいたO氏は、ある仲間のソムリエO君の「飛田さんのところ辺りは使いやすいんじゃないかな」と言われたことをきっかけに、営業の連絡をいただきました。その様ないきさつだったので、一度お話だけは聞いてみようと思い、会ってみたのがご縁の始まりでした。その後リーデルショップのお仕事の案件や、「乃木坂しん」をご利用いただきながら別のご縁をいただいたりと、いろいろとほかのご縁もいただいており、今ではお互いいろいろなアイデアを出し合いながら楽しくお仕事をさせていただいております。 とまあ外観の話ばかりになってしまっておりますので、ワインの内側のお話も。このワイン中身も大変素晴らしく、香りはとても複雑かつ華やかで、味わいも素晴らしいのですが、何かが突出するわけではなく、香りや味わいがしっかりとある「バランスの非常に良いワイン」で、映像の中で私は「 良い意味でとても抑制のきいたバランスの良いワイン 」と表現させていただきました。 品種構成は メルロ が中心の ボルドースタイルにシラーがブレンド されていますが、それぞれの良さがちゃんと出ているのにどこかに偏ることなく、味わいも程よいアタックと果実味、ミネラル、酸味、苦みとあり、余韻も長く、細かめのタンニンは口中でお料理と程よくバランスが取れ、一緒に流れていきます。 ワイナリーは早くから サスティナブル に取り組んでいたりと、 環境保全 にも力をいれています。 そんな中、私が提案し、おすすめした料理は… 「 伊勢海老の具足煮 」というお料理です。 伊勢海老を豪快に縦割りし、殻ごと(甲冑の具足に見える)全てを炊いていくお料理で、お出汁を少しとたっぷりの日本酒、素揚げにした桜海老を入れて、中火~強火の間で、短時間で一気に炊いていきます。 そこに味わいを整える意味で、少しの味噌と醤油と胡麻油を入れて仕上げに柚子の皮(なければ自家製の陳皮をふる)をすりおろして完成です。 では、さてここで問題です。このワインペアリングは一体何からヒントをえたのでしょう? 答えは是非とも「佐藤可士和さんのYouTube」をご覧になってください! WAIMARAMA Presents 佐藤可士和×WAIMARAMA~乃木坂しん~ - YouTube 動画は全部で5本あり、素晴らしい面々の中にお恥ずかしながら、混ぜてもらっています。 自画自賛ですが、和食店ならではの良いご提案ができたと思っています。 ちなみに事前のご予約でこちらのワインペアリングは当店でお楽しみいただけますので、非常事態宣言が明けたあかつきには是非ともリクエスト予約をしてください‼ 最初から最後まで宣伝ばかりですいません(笑) いつも最後までお読みいただき、ありがとうございます。 読んでいただいたご縁に感謝です‼ <ソムリエプロフィール> 飛田 泰秀 / Yasuhide Tobita The Flying Stones LLC 乃木坂しん オーナーソムリエ 1974年東京都出身 19歳で単身渡英し習得した語学⼒をもとに、都内イタリアンレストランサービススタッフとして飲食業界でのキャリアを開始する。 2002年 東京・銀座フランス料理「オストラル」。 同店移転オープニング業務にも携わる。 2006年 オストラル閉店に伴い、南⻘山のフランス料理「ランベリー」開業。支配⼈として2年間レストラン開業準備から運営の経験を積む。 (在職中、ミシュランガイド東京2008にて1つ星) 退職後、各種レストランの開業運営コンサルタントとして携わり、その経験を活かし、フランス料理「ラ・ロシェル溜池山王」入社。シェフソムリエとして新店舗開業を成功へと導く。 2012 年 東京・銀座日本料理店(当時3つ星)に支配⼈兼シェフソムリエとして入社。グループのフランス・パリ店の開業に伴い渡仏。開業準備から営業オペレーションなど全ての礎を築く。(在職中1つ星) 2016 年 6 月 日本料理「乃木坂 しん」を開業し独立。オープンから半年でミシュランガイド東京2017において1つ星を獲得。以降現在まで1つ星を維持 様々なイベントの企画や開発、育成、ワインスクールでの指導など幅広く活動している。 <乃木坂しん> 東京は赤坂、乃木神社にほど近い赤坂通り沿いに、料理人である石田伸二氏とともに開店させた会席料理店。お料理に合わせたワインや日本酒とのペアリングコースも楽しめる。 ミシュランガイド東京において1つ星の日本料理店
- アンチ・サスティナブル <ナチュラル・ワイン特集:第二章>
無駄にしない こと。世界的なサスティナビリティの推進によって、限りある資源を無意味にする行為は、強く非難を浴びる対象となっている。飲食の世界においても、「 フードロス問題 」がキーワードとなり、数多くの先進的なレストランや食料品販売店で、対策が進んでいる。しかし、 ワインにおける「無駄」はあまり議論されていない のでは無いだろうか。生活必需品である食料に比べて、嗜好品であるワインの「無駄」は、 遥かに悪質 と言えるのにも関わらずだ。
- SommeTimes Académie <9>(ワイン概論5: EUワイン法)
試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。
- 善し悪しは紙一重?葡萄→ワイン「不思議なチオールの香り」
このご時世、家で読書をする機会が増えた方も多いだろう。 最近読んで感銘を受けた本 を一冊、ワインとともに紹介したい思う。 かれこれ10年くらい前だろうか、勉強の為に古本屋でワイン本を片っ端から漁っていた頃に一度手に取った本があった。いつものようにパラパラとページをめくり流し読むが、余りに専門的な内容であったので「今の自分にはまだ早い」と心の中で早急な"買わない"の判断を下したのであった。 数年の時を経て、昨年1度目の緊急事態宣言が明けた頃、長い自粛生活にも痺れを切らしていた時に「久しぶりにうちでワインでもどう?」と先輩の家に招かれた。本棚に並んだものを眺めていると、懐かしい背表紙が目に入った。 「これ...」 その本に興味を持った私に先輩は、"自分がこの業界で働く上で原点ともいえる大切な本"であることを教えてくれた。 再び巡り会ったのも何かの縁と思い、改めてじっくり読んでみたいと先輩に頼み込み、その本を借りて帰った。 今なら少しは理解できるだろうか。 そんな期待を込めて、私は終始読み耽るのであった。 その本がこちら、 「きいろの香り ボルドーワインの研究生活と小鳥たち」 ボルドー第二大学醸造学部 の名教授であり、「 白ワインの魔術師 」として広く知られる故 デゥニ・デュブルデュー教授 のもとで働いた日本人醸造学者、 富永氏 の著書である。 余談ではあるがこの本を貸してくれたその先輩も、同大学醸造学部認定のテイスティングコースDUADの卒業生であった。 著者の故富永敬俊氏は、まだワインの香り成分などの多くが科学的に解明されていない30年以上前からフランスへ渡り、その最前線で日本人として研究を重ねた。主となる研究内容は白ワインの醸造やその香り成分、特に「 チオール ※1」に関して。常に化学的な視点から切り込み、ときに師であるデュブルデュー教授のユーモアある人柄や哲学にも触れながら、独創的なアイディアと研究で成功や失敗を重ねていく日々が描かれている。 その一冊には「今尚も決して色褪せる事のない確かな情報」が詰まっていた。 いくらか難しい表現などもあるのだが、ソムリエ目線から見た、面白かった内容を少し噛み砕いて紹介したいと思う。 ワインと科学は常に遠いようで密接な関係 といえる。しかし香りの原因物質を科学的に紐解いていくような事は、我々には到底出来ない。科学者の方々のそのような研究結果は、いつでもソムリエの知的好奇心をくすぐる。 最も興味を惹かれたのはやはり本書の研究の主となる、チオールの話。この化合物が香りの主体となるワイン(ソーヴィニョン・ブラン種に代表される)について。 例えばブラインドでワインを飲み、品種を探るときに最大のヒントとなるあの香り。具体的には グレープフルーツやパッションフルーツ、グァバ などのフルーツ香や カシスの芽、ツゲ などの清涼感を思わせるグリーンなアロマであり、これらにチオール化合物が大きく貢献しているとされる。 ここで改めて驚いたのは、ワイン中では捉える事が出来るあの典型的な香りは、 発酵前の果汁の段階ではほとんどしない という事だ。 ではあの香りはどこからくるのだろうか? "ルトゥール・アロマティック"「戻ってくる香り」 同大学元教授であり近代醸造学の確立者としても知られる故エミール・ペイノー博士の記したこの言葉をヒントに研究は更に動き始める。それは俄に信じがたい事でもあるが収穫期少し前のソーヴィニョン・ブランの粒を口に含み、潰して種と皮を吐き出すと数秒後にワインのような香りが爆発的に現れるというものであった。 「果汁や果皮の成分が口中の何かと接触し、反応して...? 」 ほんの小さな手掛かりであるが、多くの研究はいつも何かしらの「仮定」から始まり、展開していく。 その結果、あの華やかな香りの原因物質は、葡萄の段階では 前駆体物質 (本書では プレカーサー ※2と言っている)として存在しているということが突き止められた。プレカーサーは果汁や果皮に潜んでおり、アルコール発酵を経て酵母によって香りを放つ状態になるということが証明されるのである。 もとの素材からはいっさい香らず、ワインになると別人のような色気を放つ不思議なその果実。葡萄はやはりどこまでも神秘的なフルーツである。 更に付け加えると、こんなことも記されていた。一般的にソムリエが知っているマセラシオン・ペリキュレール(スキン・コンタクト)という醸造技術に関して。 葡萄の段階で既にフルーティな香りを放つアルザスなどのアロマティック系品種※3 などでは発酵前の果汁と果皮を一定期間低温で接触させて、果皮に含まれている香り成分を果汁に移す作業であり、これが従来の意味とされる。 一方で香りの殆どがプレカーサーして存在するソーヴィニョン・ブランに対しては、その「香りの素」となる物質をより多く果汁に取り込ませる特殊な作業といえる。特に3MH※4 は果汁よりも果皮に多く存在するということが後の研究で発表され、この技術のソーヴィニョン・ブランへの高い優位性がしっかりと裏付けられるかたちとなった。 他にもプレカーサーすらも多く含まないノン・アロマティック品種などのケースでは、目的やその効果は変わるはずである。 醸造テクニック一つをとっても科学的な視点から、その用途はそれぞれ違った捉え方が出来るという面白い見解であった。 例えば知識として漠然と知っている3MHなどの科学用語。その目には見えない物の性質を分析し、いかに理解してワイン造りにまで活かしていくかは研究者と醸造家にとっては正に腕の見せ所であるといえるのではないだろうか。 ソムリエはワインの香りを様々なものに例えるが、その芳香の原因物質は未だ科学的に解明されていないものも多い。 このチオール類以外にもアロマティック系品種に代表されるテルペン類をはじめ、各品種、産地特有に生成される化合物など、様々な要素がワインの香りを構成する要因とされるが、更に長い話になるのでここではあえて割愛させていただく。 今回のこのチオールだけでも膨大な情報量であり、一つ一つを整理して理解していくには時間を有する。ワインと科学の世界の関係が深いことを改めて思い知った。また、文章になった研究の過程を読む事は簡単な事であるが、最後に答えを導き出すまで、実際にはきっと想像を絶する歳月を費やし、成功と失敗を繰り返してここに辿り着いたのだろうと推測される。勿論その長い道のりや苦悩も本書では描かれているので、是非皆様にもご一読いただきたい。 一旦話題を変えて、今日のトピックに合った2種類の白ワインを紹介したい。 どちらも典型的なボルドーブランのブレンドであるが、所謂新旧産地の飲み比べ。 (写真左のワイン) 生産者:シャトー・タルボ カイユ・ブラン 葡萄品種:ソーヴィニヨン・ブラン70% 、セミヨン30% 生産国:フランス 生産地:ボルドー地方、メドック地区 ヴィンテージ:2017 インポーター:日本リカー株式会社 参考小売価格:¥6,000 メドック地区、サン・ジュリアンの格付けシャトーとして有名なシャトー・タルボが生産する白ワイン。爽やか軽快系よりも、コクありボルドーブランの典型的スタイルで2017は葡萄の熟度が極めて高く、香りや味わいの凝縮感がしっかりと感じられる。パッションフルーツやマンゴーなど南国のフルーツや花の香りはアプローチャブルな印象、樽熟成のニュアンスもしっかりとけ込み味わいの骨格を成す。 (写真右のワイン) 生産者:ソレンバーグ ソーヴィニヨン・ブラン セミヨン 葡萄品種:ソーヴィニヨン・ブラン80% 、セミヨン20% 生産国:オーストラリア 生産地:ヴィクトリア州、ビーチワース地区 ヴィンテージ:2019 インポーター:株式会社ダウンアンダー 参考小売価格:¥7,000 こちらはオーストラリアのヴィクトリア州より。私も一度訪れた事のあるビーチワースへは、メルボルンから車で約5時間、標高500m程を登った州の北東に位置するエリア。隣のニューサウスウェールズ州との境界線に程近い小さな田舎地区であるが人気の生産者がひしめき合い、国内有数のワイン産地として知られる。 レモンやグレープフルーツなどの柑橘を中心にフレッシュハーブなどグリーンノートの清涼感漂うアロマ。口中ではソーヴィニョンの溌剌とした酸味を感じ、質感はクリーミーであるが樽のニュアンスは控えめ。発酵槽から古い大樽を使用している為、適度な酸化が促され、しつこくフルーティに仕上がるのを抑制されているイメージだろうか。 同生産者は他にも素晴らしいガメイやシャルドネをこの地で産している。一貫して洗練されたスタイルは時よりブルゴーニュっぽさすら連想させる。このスタイリッシュな仕上がりこそがビーチワースの真骨頂といえる。 両者を比較すると、品種構成こそ似ているが互いに全く対象的なスタイルと言える。 エキゾチックでパワフルなソーヴィニョン代表の前者に対し、温暖な南半球特有のトロピカルな果実味先行型のワインを連想される方も多いだろうが、良い意味で期待を裏切られる清楚さがある。 どちらもバランスの良さがある中に、品種の個性をしっかりと感じられるワインである。 最後に一つ、本書より家庭でできる面白い実験についてもご紹介したい。次回白ワイン(特ソーヴィニョン・ブラン)をテイスティングする際にワインを少し注いだそのグラスに10円玉を2,3枚入れてみて欲しい。ワインによっては品種特有のアロマはたちまち消えて香らなくなるという、面白い現象が起こる。(グラスには樽香などだけが残る) これは硫黄系化合物であるチオールが金属イオンの中でも特に銅イオンと結合しやすいという性質を利用したもので、チオール含有量が多いワインほど顕著に現れるということである。 この研究が行われる以前は、シャルドネとソーヴィニョンを人間の嗅覚によって区別するのは簡単に出来ても、それをソーヴィニョン・ブランたらしめる理由とは?という観点から「香りを捉える」研究は皆無であったらしい。 では何故ワインにチオールが発見されていない当時に、チームは「ソーヴィニョン・ブランの香りはチオールの仲間だ」というただ漠然とした希望を抱けていたのか。 それは、経験として、 " 銅が主成分であるボルドー液を過剰散布したソーヴィニョン・ブランの畑から造られたワインは香りが乏しい "という事実を知っていたから、という事であった。正に長年ボルドーに居を構える研究者だからこその発想といえる。 経験論や推測だけでは時に信憑性に乏しいので、動かぬ証拠をもとに、科学的に立証していく。まるで難解な事件に遭遇する探偵小説のような物語であるが、この事実もまた研究の原点となる希望の光であったと言えるのだろう。 人間が文化としてワイン楽しんできた歴史はとても古いが、科学的な視点からの研究は新しく、これからもたくさんの発見があるのかも知れない。それもまたワインの謎が深いゆえの、面白さである。 ※1 チオール 水素化された硫黄を末端に持つ有機化合物で、メルカプタンとも呼ばれる。香りとして知覚できる閾値がとても低く、少量でも人間の嗅覚には大きな影響を与えるとされる。特有のガス臭さや腐ったたまねぎ、汗の匂いなどとも表現されるが必ずしもマイナスなイメージのものばかりではなく、例えば白ワインのフルーティな香りへも起因するとされる。 ※2 フレーバー・プレカーサー 科学分野で使われる用語。不活性の物質が物理的、科学的、酵素的変化を受けて活性状態になる過程で、その前の段階の不活性物質のこと。 ※3芳香性による一般的な品種の分類 ①アロマティック品種 芳香性の強い品種、あるいは発酵前にワインと同じ特徴的な芳香を持つ品種。リースリングやミュスカ、ゲヴュルツトラミネール、ヴィオニエなど。 ②セミ・アロマティック品種 ソーヴィニヨンブランなどの発酵前には品種の特徴的な芳香が出ていないもの。 ③ノン・アロマティック品種 もともと芳香性が弱く、発酵後も強くない品種。シャルドネ、ミュスカデ、甲州など。 ※4 3MH 白ワインに含まれる代表的なチオールの一種、メルカプト・ヘキサノールのこと。メルカプト・メチル・ペンタノン(4MMP)やメルカプト・ヘキシルアセテート(3MHA)と共にソーヴィニョンの香りを代表する揮発性チオールであり、グレープフルーツやパッションフルーツの香りなどと表現される。後に日本の甲州にも含まれる事が特定され、有名なメルシャンの甲州きいろ香が開発される手がかりともなった。 <ソムリエプロフィール> 丸山 俊輔 / Shunsuke Maruyama Restaurant Ryuzu Chef Sommelier 1988年 埼玉生まれ。 2008年 都内のフレンチレストランでサービスとしてのキャリアをスタート。 2011年 ソムリエ資格を取得。 2014年 渡豪、二年間シドニーやメルボルンなどシティのレストランでソムリエとしての勤 務、南オーストラリア州のワイナリーで働く。 2016年 渡仏、パリの星付きレストランで一年間研鑽を積む 2017年 帰国後より現職。 オーストラリア、フランスと計三年間の海外滞在期間中は語学取得に励み、現地や近隣諸国のワイン産地、ワイナリー訪問などにも日々足を運ぶ。国内の食通のお客様のほか、海外からも毎日たくさんのゲストを迎えるRyuzuでは経験、スキルを活かし現在も日々研鑽中。 六本木交差点からほど近くにあるフレンチレストラン。オーナーシェフの飯塚隆太により2011年オープン。2013年よりミシュラン二つ星。
- Advanced Académie <8> ワイン栓前編:ブショネ
ワインを取り囲む人々を、長年に渡って悩ませてきた問題が ブショネ だ。英語では Cork Taint と呼ばれ、ブショネが発生した状態を「 Corked 」とも表現する。
- 新たなチャレンジ
このコラムの締め切りがそろそろですよ〜、と連絡がきたちょうどその日に3回目の緊急事態宣言、そして酒類の提供禁止を検討しているというニュースが流れてきました。いっこうに落ち着かない現状に思うところある方も多いかと思います。 こんな状況下ですが私、長年勤務していた銀座レカンを退職いたしました。 そして元上司でワインテイスターの大越さんと働いております。 今回の事態で痛感したのは、 飲食店で働いている事への不安 。 緊急事態宣言発令で飲食業界への休業、時短要請、そして今回の酒類提供禁止措置。 レストランを運営することが出来ず、 私たちの仕事を否定されているような感覚 になってしまいました。 今までに経験したことのない事態。 コロナ禍の前と後では、世界が変わってしまいました。 これまで日々の仕事に没頭していたのですが、時間ができると色々なことを考えてしまいます。今のスタイルで仕事していて続けられるのだろうか、と。 ネガティブに考えても前に進まないので、この状況をきっかけに変えられることはないかを考えるようになりました。 そんな時に相談した元上司から持ちかけられた提案。 一緒に働かないか? うちにきて働きつつ、自分の仕事もやればいい。 ソムリエの新しい働き方を実践していこう。 正直レカンを辞めることは全く考えていませんでした。 現代の働き方として、一つの会社で生涯を終えるのはかなりのレアケースです。 むしろそんな珍獣的な扱いをされようかな・・なんて考えておりました。 何と言っても御常連のお客様からのご期待もありました。 それに応えなければ、というプレッシャーは常にあったと思います。 タイミング、ですね。 まさにターニングポイントだったと思います。 しばらく考えさせてください、と返事したにもかかわらず、確実に心が動いていました。背中を押してくれた家族とレカンの皆様には本当に感謝しております。 前置きが長くなり恐縮です。 そんな今の私がオススメするワインがこちら。 生産者: Domaine des Accoles / ドメーヌ・デ・ザコル ワイン名: /Miocène / ミオセヌ 葡萄品種 :Grenache, Carignan / グルナッシュ70%、カリニャン30% ワインタイプ :赤ワイン 生産国 :France / フランス 生産地 :Rhône Ardèche / ローヌ アルデッシュ ヴィンテージ :2013 インポーター :AMZ 参考小売価格 :¥4,670 前回 私がご紹介したワインの ドメーヌ ラルロ 。こちらを2011年まで手掛けていた オリヴィエ・ルリッシュ 氏が、 コートデュローヌ地方アルデッシュ にて始めたワイナリーがこの ドメーヌ・デ・ザコル 。 ラルロの醸造家として名声を得ていた彼がその地位を捨て、自身の夢であったワイナリーを築く。 新たなチャレンジを始めた私とリンクするところがありました。 ラルロ時代からの彼のワインの素晴らしいところは、ナチュールらしい造りですが オフフレーバーなどが無くピュアなワインである こと。 そのバランス感覚は健在で、こちらのワインは温暖な地域らしいジューシーさがありつつ、綺麗な果実感と滑らかで染み入るようなテクスチャーがあります。 もちろん以前までのワインとはスタイルが全く違いますが、共通する柔らかさやエレガントさを感じられるのは、造りたいワインのイメージがしっかりしているからなのでしょう。 ラルロ時代の彼のワインは、ブルゴーニュのヴァン・ナチュールが好きな方にとても人気がありました。 ヴァン・ナチュール、と言われるワインに対する捉え方は飲み手によっても、提供する側であるソムリエによっても違うかと思います。 提供する側である私達が必要なことは、ワインを分析し、何が特徴か、どういった点が素晴らしいかを把握し、お伝えすること。 そしてオフフレーバー、 欠陥とされる要素があるかを把握し提供できるかを判断すること 。 この線引きが難しいかもしれません。 例えばナチュールで問題になることの多いオフフレーバーである 豆香 。 フランス語ではgoût de sourisグー ド スーリ(直訳するとネズミ味!)なんて呼ばれる欠陥臭です。 原因とされる物質 (2-アセチル3,4,5,6-テトラヒドロピリジン2-Acetyl-3,4,5,6-tetrahydropyridine、など)や発生するメカニズム(醸造時に乳酸菌とブレタノマイセス(野生酵母の一種)が反応してできてしまう)などもわかってきています。 そしてこれが厄介なのが、この物質が揮発する(香り成分が大気中にでる)にはワインのpH(アルカリイオン値)では低く、 香りを嗅いだだけではわかりません 。 飲んだ時に唾液によってpHが上がることで揮発し感知できるようになります。 上記の知識が無いと、この香りがなぜワインの余韻に強く出るのかが説明できません。またこの香りに対する閾値(人が感知できる最少の量)も人によって違うため、 極端に苦手な方もいれば少量なら気にならない方もいます 。 また 余韻に感じられるということは、お料理とのペアリングを考えた時に強敵となってしまいます 。 ワインを飲んだ後の余韻に料理の風味が乗ってくる、というペアリングでとても大事な部分が台無しにされてしまうからです。 やっかいなのが、ワインの状態によって発生することがあります。 コンディションが悪い、抜栓してから時間が経った、など。 逆に瓶熟成させる事によってなくなることもあります。 なかなか不安定で危ういワインに出会うこともありますね。 その状態をきちんと見極め、ご提供する必要があるかと思います。 ヴァン・ナチュールをお好きな方はそんな不安定さにも魅力を感じているような気がします。 攻めてるワイン、なんて表現される方もいらっしゃいました。 どこをどう攻めるのでしょう・・笑 クリーン・ナチュラルという表現がありますが、本来ワインはナチュラルですしクリーンなものが一般的です。 ヴァン・ナチュールが登場したことによって、表現が広がっていますね。 私もこういったワインが好きですが、ご提供する時には色々気をつけております。 話がだいぶ脱線しましたが・・。 造り手のフィロソフィを感じられるワインだと思います。 自身の道をしっかりと見据えて進んでいく。 そんなイメージを持つことができるワインです。 こんな状況だからこそ、できること、やりたいことをしっかり考えて進んでいきたいですね。 <ソムリエプロフィール> 宇佐美 晋也 Ăn Điアンディ マネージャー 1980年東京生まれ。 2002年レカングループ入社ブラッスリーレカン上野を経て2006年「銀座レカン」へ。15年勤務し最終的にはエグゼクティブソムリエを務める。 2021年銀座レカンを退社し現職。 Ăn Điに所属し現場に立ちつつ、ワインスクール講師など外の仕事もするソムリエの新しい働き方を実践。 長くグランメゾンで働いた経験を活かし、その知識やサーヴィスを伝えていきたいと思っております。 JSAソムリエエクセレンス。 <Ăn Điアンディ> ベトナム語で「召し上がれ」を意味する、モダンベトナム料理とヴァンナチュールを主体としたドリンクのペアリングを楽しめるレストラン。 銀座レカンのシェフソムリエを経て独立し、現在は日本を代表するワインテイスターとして活躍する大越 基裕氏がオーナー。
- Advanced Académie <7> アルコール濃度の表示
ワインのアルコール濃度は、平均的に最も低いイタリアの Moscato d’Asti(5%~) から平均的に最も高い 酒精強化ワイン(17~23%) と、 醸造酒の中では非常に広いバリエーションが特徴 と言える。
- 【実験】ワインの糖酸度と実際の味わいの関連性
今回はワインの糖分と酸度を計測してみようという話です。 ワインの一つのすばらしさとして、幅の広さがあります。 価格帯、国、品種、味わい、スタイルさえも。ここまで幅のある飲み物はないでしょう。 ソムリエや愛好家はそれを理解するために(机上はもちろん、たくさん飲んで)経験を積み、先輩方や学校などに教えを請い理解を深めていきます。その時によくあるのが、自分の感覚と教えてもらう時の〔 ズレ 〕です。自分は酸が強いと感じても、講師の方は「酸味は穏やか」とおっしゃったり、甘みを感じても「これはドライ」と言われることもあります。以前の私は、これはそういうものなのだと自分の中で納得させていましたが、もし甘さや酸味の数値が測れたらより正確に自分のティスティングの感覚を調整していけるのではないかと考えました。さらに、それでも〔 ズレ 〕を感じる場合にもう一歩踏み込んだ考察が可能になると考えました。 例えば、数値上は酸度が低いのに酸を強く感じる場合には、香りに強い酸を感じる柑橘の香りが強く表れているからではないか?相対的に糖度が少ないのではないか?酸度は低いけど、MLF(※1)をしていないからなのではないか?など。 そしてこれに基づいて、料理とのペアリングやお客様への提案など、アウトプットを構築していく。よりワインへの理解を深めていくポイントになるのではないかと思い、今回のテーマとしました。 糖度も酸度も両方測れる計測器がないかと探していたら、ちょうど 株式会社 アタゴ製 ワイン用糖酸度系 PAL-BX|ACID2という計測器を発見し、店にある様々なワインや日本酒などを飲みながら計測。 (楽しくなってたくさん開けてしまい、その後、お酒の提供ができなくなるという悪夢の緊急事態宣言期間に突入し痛い目にあうのですが。) 糖と酸 では実際の計測結果を検証する前に、糖分と酸味のお話に少しお付き合いください。 そもそも、感覚として甘辛を感じる要素は何でしょう?以下の4点が大きなポイントではないかといわれております。 ① 残糖分の量 ② 酸の量 ③ 香りのタイプ ④ アルコール濃度 詳細を説明します。 ① 残糖分の量 収穫期のブドウには グルコース(ぶどう糖)とフルクトース(果糖) という糖がメインで、これを使ってアルコール発酵が行われます。 アルコール発酵が終了してもこの2つは多少残る といわれています。これ以外にも発酵に使えない糖も存在するため完全なドライワインというのは存在せず、要はこれらの糖分がどれほどワインの中に残っているかということです。これが一番わかりやすい要因ですね。 ② 酸味の量 ワインに含まれる酸といえば、 コハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸 が代表的。酸味として特に強く感じるのは酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸あたり。たとえ、液体に糖分があったとしても、これらの酸度が高ければバランス的にドライ(辛口)に感じやすくなりますし、逆に少量の糖分でも酸度が低ければ、相対的により甘く感じるといわれています。例えば有名メーカーのレモン100%の果汁とフルーツトマトの糖度は同じであったり、リンゴとパイナップルなども同じような糖度の値を出すそうです。やはり酸度が大きくかかわっているように感じます。 ③ 香りのタイプ かき氷のシロップは有名な話ですが、あのシロップは同じ味わい。色と香料によって味さえもそう感じているそうです。私が最近見た面白い話では、春雨スープを豚骨ラーメンの香りと見た目にVRで加工してあげると脳が錯覚して実際に豚骨ラーメンの味がするというもの。ワインで言えば、ゲヴェルツトラミネールのライチやバラの香りや、ヴィオニエのモモの香り。アメリカンオークの新樽を使用した場合に出る甘いココナッツのような香りなどが甘さを強調しそうです。 ④ アルコール濃度 純粋なアルコールは 味覚神経には甘みと苦みと判断 され、官能検査においても同じような結果が出ているそうです。ただし、あまり高すぎると揮発性が高く、香りをかぐと刺激臭に感じるので苦みが強く感じることもある。以前スピリタス(※2)で試したら、のどがやられました。アルコールが多く含まれていることは甘みを感じる要因の一つと言われています。 ※1 MLF:MaloLactic Fermentationの略。ワインに含まれる鋭角なリンゴ酸を、柔和な乳酸へと変える作用。 ※2スピリタス:ポーランドのウォッカ アルコール度数96度ある 実験方法 対象 :店舗で使用しているグラスワイン、酒精強化ワイン、日本酒、ブドウジュース 使用機器 :株式会社 アタゴ製 ワイン用糖酸度系 PAL-BX|ACID2 測定方法 : 一度テイスティング、 主観にて10段階で【K糖度】と【K酸度】 を計測。その後糖酸度計にて糖度(Brix%)と総酸度を計測し、私の主観(官能評価)とどのように差が出てくるのかを見ていきます 。これに付随して、香りのタイプやアルコール度数の関係も考察していきます。 糖度について注意事項: 今回の測定では糖度は( Brix% )を用います。この数値は液体に溶けている可溶性固形分の%濃度を示しています。これにはアルコール、糖分、酸、塩類なども含まれるため、今回は糖酸度計のメーカーさんに伺った計算式でアルコールと酸を引いて、なるべく糖分だけの数値を算出しました。アルコールはボトルに記載されていたものをそのままデータとして使用しましたので、ある程度の誤差はご承知おきください。(生産地の規定によって様々な範囲の誤差が認められているため、生産地と生産者によっては表記との乖離が大きい場合もある) 酸度について注意事項: ワインには多くの酸が含まれていますが、 この測定では総酸度を検出 するので酸の種類までは特定できません。MLFの有無でリンゴ酸か乳酸の割合によって、酸味の感じ方が変わる可能性も考慮に入れる必要がありそうです。実際に乳酸が多い日本酒とクエン酸が多い白麹タイプの日本酒では、糖度も酸度も同じでも、クエン酸のほうが酸味を強く感じるということもありました。 仮説 測定前にいくつかの 仮説 を立てておく。 ① 比較的温暖な地域のワインは糖度が高く、酸度が低い傾向にあるのではないか? ② 糖度と酸度が両方とも低い場合には味わいが単調になるのではないか? ③ アルコールが高いワインはK糖度が高い傾向にあるのではないか? ④ 香りが甘いものは実際の糖度よりもK糖度が高くなる傾向にあるのではないか? 結果 ・スパークリングワイン編 スパークリングワインはドザージュの量を表記しているのである程度糖度が推察しやすい。ドザージュを全くしていない【 ミニエール / ブリュットゼロ NV 】はやはり、 ブリュット (12g/L以下)や エクストラドライ (12g~17g/L)に比べて 糖度の低さと酸度の高さはトップクラス 。数値だけだと酸っぱい薄い味わいの液体になりそうだが7~8年の熟成を行うこのシャンパーニュはタイトなスタイルの中に十分な厚みが存在し、香り豊かで複雑さを備えたワインだと感じた。 〇白ワイン編 シャルドネの飲み比べではブルゴーニュ最北の産地である 【パトリックピウズ / シャブリ テロワール フィエ 2018】 が一番酸度が高く、糖度が低いと考えていたが、 【ジャン・シャルトロン / サントーバン 1er ミュルジェ・ド・ダンデシャン2018】 のほうが 酸度が高く、糖度が低いという結果 に。 【ドメーヌボングラン / ヴィレクレッセ キュベ EJ テヴネ2014】 は貴腐葡萄が含まれた厚みのある 辛口タイプであるが、印象より糖度はかなり高い 。 【ブレッド&バター / シャルドネ カリフォルニア2019】 は糖度が高いのは印象通りだが、 酸度がシャルドネの中で一番高いのは意外 であった。 【フランソワ ヴィラール / レ コントゥール ド ドポンサン2018】 品種はヴィオニエ、香り豊かでモモや甘いお茶のようなニュアンスによってか甘さを感じていたが、実際には 糖度がかなり低い上に酸度もシャブリよりも高い結果 に。 【チャールズ スミス / カンフーガール リースリング2019】 は印象通り、甘さを感じるが、しっかりした酸味によってフレッシュフルーツのような爽やかなスタイルにしあがっている。 【ラ フェルム ド サンソニエール / ラリュンヌ アンフォール2018】 これは意外で、味わいにはかなり厚みとうまみも酸味のようなものも感じたのだが、数値的に全体を見てもかなり低い数値であることがわかる。 酸味と甘みの数値が低くてもほかの部分で多分に補う要素があることがうかがえる 。 ◎ロゼ・オレンジワイン編 この分野はマセラシオンの期間やタンニンの量などによって、糖度と酸度以外の要素も多く考えられる。 【コーナー / ピガート2020】 は アルコール10.9%とかなり低めなうえに糖度が低い 。味わいはアルコールを感じないピーチティーのようで、うまみを感じる印象。野生酵母の使用(選抜酵母よりもアルコール変換効率が悪くアルコール度数が下がる傾向にある。)と調べられなかったが、同じエリアの南オーストラリア州の他の生産者よりも早めに収穫しているのかではないかと想像する。 *左から二番目のLa Luneは白ワイン ●赤ワイン編 【カーゼ コリーニ / ヴィナイオータ2017】 は 辛口ワインの中では糖度が3.69とトップ 。日本酒やライトな甘口ワインと同程度の甘さが含まれている。ブドウの種が完熟するまでは収穫しないといわれる。写真を見たことがあるが一部干しブドウのようになっていたものも含まれていた。同じイタリアのリパッソより糖度が高い。ここまで高いと重たくなりそうだが、意外とフレッシュさも保たれていて絶妙なバランス。 【ドゥニベルトー / フィサン2012】と【ブレッド&バター / ピノノワール カリフォルニア2019】 の比較、および、 【ソシアンドマレ / ラ ドモワゼル ド ソシアンドマレ2017】と【ブレッド&バター / カベルネソーヴィニヨン カリフォルニア2019】 の比較。 糖度においては予想通り印象通りブルゴーニュのピノノワール、ボルドーよりカリフォルニアのほうが高かったが、 酸度も両方ともカリフォルニアのほうが高い傾向 にあった。 ブルゴーニュのピノノワールは酸味がしっかりあるイメージからか K酸度では〖5〗 をつけたものの赤ワインの中では一番酸度が低いという結果 であった。 ■甘口ワイン編 全体的に糖度が桁違いに高いが、特に 【サントワインズ / ヴィンサント2010】 は群を抜いて高い、全体でも1位、そして酸度も1位。ただし主観では他の甘口よりもK酸度とK糖度を低くつけており印象としては熟成からくる複雑味、塩気、苦みが相まって高い酸味と甘みがバランスのとれたものとして感じる。 アルコールが低いことも影響しているかもしれない 。 □酒精強化ワイン編 今回は基本ドライタイプのシェリーを選びました。 【ルスタウ / アルマセニスタ オロロソNV】測定した中でも 際立った糖度の低さ 。酸度もある程度高く、今回の測定でのトップドライワイン。 △日本酒編 全体的に糖度高く、酸度がかなり低い 。ワインの場合は半甘口レベルとなる程度の糖度がある。 ▲ジュース編 デザートワインクラスの糖度と酸度があるがアルコールがないからか、デザートワインに感じるつよい粘性も見られず。甘さもデザートワインのほうが強く感じものが多かった。 全体として傾向と考察 まずは 意外 であったのが、アメリカの カリフォルニアワインの酸度の高さ である。 ①比較的温暖な地域のワインは糖度が高く、酸度が低い傾向にあるのではないか? と仮説を立てていたが 違う結果 となった。カリフォルニアワインは同じ生産者であったため生産者の傾向かもしれないが、リオハのワインや甘口ヴィンサントをみてもある程度糖度の高いワインは酸度を高く保つことでバランスをとる必要があるのかもしれない。この辺りはほかのサンプルを計測するとともに生産者にも話を聞いてみる必要があるが次回の課題としておく。 次に、 ②糖度と酸度が両方とも低い場合には味わいが単調になるのではないか? 【ラ フェルム ド サンソニエール / ラリュンヌ アンフォール2018】 の結果を見ると、数値的に全体を見てもかなり低い数値であることがわかるが、味わい的には厚みと複雑味を感じる。この結果だけでは決められないが、 酸味と甘みの数値が低くてもほかの部分で多分に補う要素があることがうかがえる 。 ③アルコールが高いワインはK糖度が高い傾向にあるのではないか? 明らかに糖度が高いものを除くと、K糖度は高い傾向にあるように見えるが、 相関があるかまで計測できるほどデータがそろってはいなかった 。 ④香りが甘いものは実際の糖度よりもK糖度が高くなる傾向にあるのではないか? 【フランソワ ヴィラール / レ コントゥール ド ドポンサン2018】 などがいい例で、実際には糖度がかなり低い上に酸度も高いのにK糖度は〖5〗。これだけでは断言できないが、 香りによってかなり左右されている可能性が高い 。 全体の総括 としては、正直 糖度(Brix%)と総酸度だけでは味わいは測れないという印象 でした。 それだけ ワインは多角的な要素が絡み合っている ということを、改めて実感する結果になったとも言えます。 クオリティの高いワインには酸味と糖度のバランスはもちろん、香りの豊かさは欠かせないと感じましたし、味わいが強くなくてもアルコールが高くなくても、複雑性や変化などが多く見受けられるワインも多くあります。 今回の糖酸度計からさらに進化して、総合的にワインのデータを分析できるようなものが登場し現場でも使われる時が来るかもしれません。今回のデータでさえ、テイスティングや仮説と数値の間に〔 ズレ 〕が生じたときこそ、さらにもう一歩踏み込んだワインへの理解のきっかけになるのであろうと思えば、今回の実験も無駄ではなかったと思います。 ここから、≪温暖な地域での酸度の高さ≫など踏み込んだテーマで計測していくことで、このデータが更に活きるかもしれません。≪ブルゴーニュ ピノノワールの酸味の正体≫なんていうテーマもいいかもしれません。 余談ですが現在緊急事態宣言下でアルコールの提供ができず、お茶などをベースにしてノンアルコールドリンクの作製をしています。ノンアルコールは甘いジュースタイプが多く、辛口で食事に合うものを作ろうと糖分を一切入れずに作っていましたが、なかなかうまく厚みが出ずに苦戦していました。この実験を通して、辛口と思われるワインたちにもある程度の幅で糖度が含まれていることがわかり、ある程度の糖分と酸味を駆使することで各段にノンアルコールのクオリティが上がりました。皆様はこの実験からは何を感じとっていただけるでしょうか? それでは一刻も早くこの前段未聞の時期が収束することを祈っております!! <ソムリエプロフィール> 苅田 知昭 / Tomoaki Karita Restaurant Re: 支配人兼シェフソムリエ 1982年栃木県日光生まれ。 臨床心理学を専攻するものの大学時代のアルバイト先の研修旅行でジュヴレシャンベルタンのドメーヌに連れていかれワインをはじめとした飲食、飲料の虜に。株式会社シャノアールにてコーヒー業界から飲食に入るが、カフェインに極端に弱いことが発覚しワインの道へ。イタリアンバル、カフェ、パティスリー、ビストロと様々な業態の立ち上げ。飲料を担当。 飲食以外のジャンルを経験する為、株式会社KDDIの常駐営業として人材育成を担当後、中目黒cuisine francaise NARITA YUTAKA 支配人兼シェフソムリエとして飲食業界に復帰。 現Restaurant Re: 支配人兼シェフソムリエ 。 2018年 JSA シニアソムリエ 取得 営業の傍ら、毎月、若手ソムリエや飲食人、インポーターを集めた勉強会を開催。近年はワインだけでなく、日本酒や焼酎の酒蔵の方も招き、情報提供、普及に尽力している。 <Restaurant Re:> 東京中目黒、目黒川沿いにあるフレンチレストラン。八重桜の季節には満開の桜を見ながら食事を楽しむこともできる。 日本各地の和の食材を使い、昔ながらの食材や地方の食文化が再発見できるフレンチ。 シャンパーニュやブルゴーニュのボトルワインが充実していながら世界各国の豊富なグラスワインの数は都内屈指。ペアリングではワインはもちろん、日本酒、焼酎、紹興酒と幅の広さも定評がある。
- Advanced Académie <6> ワインの品質
品質が高い。ワインを表現(鑑定)する際に、頻繁に用いられるフレーズだ。しかし、何をもって「品質が高い」とするのかは、決してシンプルな話ではない。
- 固定概念を壊して自由を得る
緊急事態宣言の真っ只中、皆さま如何お過ごしだろうか? 宣言の対象である兵庫県で働く私にとって、まさか自分が「禁酒法」のような状況下になるなんて思ってもみなかった。 SommTimesの他の執筆者でも触れてる方は多いが、まさしくソムリエ職務の在り方そのものを考え直す機会だとつくづく感じる。 僕自身も1年前の最初の緊急事態宣言下で、「業界の流れは止めるべきではない」と思い様々なインポーターのアイテムをテイスティングし、コメントをセールスに使って頂いたり、eコマースでの家飲みワインセット商品の選定をさせて頂いたりと、その時思いつく限りの色んなアクションを起こした。 その時私は初めて、エンドユーザーの顔が見えないサービスの提供はとても難しいものだと感じた。 なぜならレストランの現場では完成された料理が目の前に存在し、自分の思い描く温度や状態のワインが直接提供できる。当然、顧客へのダイレクト性が高いためレスポンスが速く、何か問題があったとしてもチューニングがし易い。 けれども家飲みのシチュエーションでの提案だと、レストランとは異なり料理や温度管理も難しいし、そもそも各家庭にどんなグラスウェアがあるかも分からない。 「発信」という手段に対して以前より世間の興味が向いている分、これは自分にとっての良いチャンスだったと思うが、その反面、より家飲みに寄り添ったプロのソムリエとしてのリコメンドする力を磨かなければいけないと思った。 そこで以下の2つの項目をより深く考察しようと思い立った。 ①料理とワイン ②己の舌の感度をより上げる この2点である。 ① 料理とワイン 非常に悩ましいところで、 頭にこびり付いた固定概念というものが本当に邪魔をする 。 例としては多くのワインの教科書に載っている「その土地の料理とその土地のワイン」というのが、正にそれにあたる。 例えばオリーブオイルを使った料理に、冷涼な北の産地のワインを選ばない、というような慣習を、産地特性の知識として覚え、それをお薦めに活かすのは勿論大切なのだが、料理名とワインの丸暗記だけのとして蓄えるのは、避けるべきと僕は考えている。 そうしないと今日多くのWEBで書かれているような、キャンティには反射的にTボーンステーキ、ジンファンデルにはBBQ、ブルゴーニュにはハムとパセリのゼリー寄せ、という様な現状になる。 これは海外のソムリエが日本酒をテイスティングして「スシとサシミに合う」と言うようなものだが、我々日本人は皆全て日本酒と共に寿司と刺身を毎日食べているのか?どこの家庭にハムとパセリのゼリー寄せがあるのか?といったリアルな状況とは、完全な矛盾が生じてくる。 「その土地の料理とワイン」というのは、「その土地の気候や風土、農業に由来し伝統的に共に供されてきた組み合わせの例」としてソムリエは認識するべきである。 そして家庭の食卓におけるワイン提案を想定するならば、ソムリエは(伝統的組み合わせに限らず)口にする全てのものとワインの相性を、常に考えなければならないと思う。 料理とのペアリングの要素などは編集長である梁ソムリエが詳しく執筆なさってるので此処では触れないでおく。 ② 己の舌の感度をより上げる 30代半ばに差し掛かる自らの健康を考慮した事もあるのだが、より深くワインの味わいや本質やキャラクターを捉えるためには、自らの舌の感度をさらに磨かなければならないと思ったので、週に2日の塩分を全く使用しない料理の導入と、可能な限りのうま味調味料(かつては化学調味料と呼ばれていた)の排除を行なった。 もちろんリステリン等のマウスウォッシュやフリスクなども絶った。 ヒトが味わいを感じる味蕾という舌の器官は、10日で新しいものに生まれ変わるとされ、初めは物足りなく思えた新しい試みの食生活も次第に楽しめるようになり、ミネラルウォーターや米の繊細な甘味などの微妙な違いが、判断できるようになってきた。 ワインの味わいもより細かい構造を捉えられるようになってきたので、引き続き継続してゆきたい。 発信力が大切になってくるこの時代だからこそ、プロのレコメンドとしてのその根拠と裏付けを取れるように、自分なりのロジック構築、ペアリングの成功と失敗による経験値の蓄積を怠らず行って、より自分らしいレコメンドを行えるようになりたいと改めて感じた。 固定概念を打ち破ったワイン ワイン名 :Bordeaux Blanc C de Sec 2018 ワイナリー :Chatau Closiot 生産地域 :フランス・ボルドー地方・バルサック村 ブドウ品種 :セミヨン80%、ミュスカデル、ソーヴィニヨン・ブラン インポーター :テラヴェール 今回紹介するこのワインも、正に固定概念を打ち破ったワインであろう。 生産者はブルゴーニュの鬼才、 ジャン・マリー・ギュファン 。 2016年にこのシャトーを購入して、天候の関係上この2018年ヴィンテージがファーストリリースのワイン。 現代のモダンなスタイルとも言える、ソーヴィニヨン・ブラン7割、セミヨン3割でフレッシュさを売りにするタイプではなく、セミヨンを完熟させ、伝統的なミュスカデルを加えつつもボルドーでは珍しいMLF(乳酸発酵)を行なっている。そして無濾過。 甘夏や水仙のようなチャーミングで小ぶりの花の香りに、MLF由来によるつるんとしたテクスチャーがあり、口内に含むと綺麗な球体が描かれる。 バルサック村は石灰岩があるのでワイン自体の芯が強く、主菜にも合わすことのできる味わい。 豚肉をたっぷりの新生姜と共にバターでソテーしてレモン汁を絞ったような簡単な家庭料理でもしっかり楽しめる。 今回私は初めての寄稿だったが、今後も皆様にとって有益で面白味のある内容にできたらと思っている。 <ソムリエプロフィール> 朝倉 達也/ Tatsuya Asakura 1986年生まれ鹿児島県出身 Maison de Taka Ashiyaシェフソムリエ ASI 認定Diploma JSA認定ソムリエ・エクセレンス WSET Level 3 第3回ソムリエスカラシップ優秀賞受賞 第9回全日本最優秀ソムリエコンクール本戦出場 15歳で料理人として飲食業界に入り20歳を機に接客へ転向。 22歳でソムリエ資格を取得しLE PONT DE CIEL(大阪・一つ星)でソムリエ職務の基礎を学ぶ。 GEORGE BLANC(マコン・三つ星)やGUY LASSAUSAIE(シャスレー・一つ星)などのフランスの星付きでも研修を重ね、 2013年より現職。 Maison de Taka Ashiya 兵庫県芦屋市にある邸宅レストラン。 2007年にフランス・ルーアンの2つ星であるGillの姉妹店としてオープン。 現在はエクセブティブ・シェフである高山英紀の名を冠したレストランに改名。 地元の食材や日本の作家とのコラボレーションをコンセプトにし、 長年地元の顧客を中心に愛されている。 高山英紀はボキューズ・ドール国際料理コンクールで二度の日本代表の経験もある。 高山を始め、メートル・ドテルの今村昭彦は『メートル・ド・セルヴィス杯』準優勝、料理人の糸井章太は 次世代の料理人を発掘するプログラムである『RED 35』にて最年少でRED EGGのタイトルを獲得するなど 関西でも屈指の実力派が集まるレストランである。
- SommeTimes Académie <8>(ワイン概論4:フォーティファイド・ワイン)
試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。
- 古樹という魔法の言葉
私も随分と長い間、 勘違い していた。私が本格的なソムリエ修行を始めた2000年代は、まだまだロバート・パーカーJr(*1)が全盛期の頃で、今ではすっかり飲まなくなった濃厚でパワフルなスタイルのワインを、あれこれとテイスティングする日々を送っていた。 当時、大多数のワイナリーが最もハイエンドなキュヴェとしてリリースしていたワインは、決まって 単一畑の古樹 (本コラムでは、古樹=樹齢50年以上、としておきます)の区画から造られたものだった。 マッチョなワイン=高品質という図式に支配されていた当時の市場 にあって、そういった特別な古樹のワインは、「 古樹は自然と収量が落ちるため、味わいが濃縮する 」という謳い文句の元、 ほとんどが濃厚極まりないワインだった ように思える。 当然、私の認識にもべったりとこびりついた。 古樹=パワフル 、というイメージが。 レストランでも、セミナーでも、私はそのこびりついたイメージに疑いの念を抱かず、長い間そのまま発信してきた。 その間違いに本当に気付いたのは、たった6~7年前の話だ。 私はプロとしてとても恥ずかしいことに、多くの人に嘘を語ってきたのだ。 本当に、申し訳ない。 現代は、高級ワインに必ずしもパワフルさが求められなくなった。 ようやく見えてきた古樹ワインの本当の姿は、これまで私が信じてきたものとは、随分と違っていた 。 相当な数の「現代的」な古樹ワインをテイスティングした結果、私は一つの確信に至っている。 これまで一般的に信じられてきた「古樹=パワフル」というスタイルは、明らかに人為的に創出されたものだと。 過熟をさせず、過度な抽出をせず、新樽も控え目にした古樹ワインが、パワフルなワインとなることは、非常に少ない。 濃密ではあっても、重さは無い。むしろ、その濃密さは、多層的と言った方が的確で、ワインの質感そのものは、全体的に頑強というよりも、しなやかでフワッとした表面のテクスチャーと強靭なミネラルのコアがコントラストを形成していることが多い。果実味も濃密ではなく、優しく滋味深く、少し枯れたニュアンスが入る(酸化という意味では無い)。 葡萄樹も生き物だ。歳月を重ねれば角が取れて丸くなるのは、よく考えれば当たり前のこと(角が立ち続けるケースもあるが)だった。 今となっては、不思議に思う。 私はなぜ、 ステロイドで筋肉増強したムキムキマッチョのおじいちゃん 、みたいなワインを好んで飲んでいたのかと。 古樹と言っても、様々なタイプがあるが、古樹であることの真価が発揮されるには、3つの条件があると思う。 1. 無灌漑(灌漑をしていたとしても、必要最小限の使用) 2. オーガニック栽培(減農薬であっても、除草剤は厳禁) 3. マッセル・セレクション 無灌漑とオーガニック栽培は、葡萄の根がより深く地中に張り巡りつつ、地中の微生物や地棲生物たちとの共生関係を維持していくための重要な要素。 マッセル・セレクション(葡萄畑の中から優良株を複数選び、新たに植樹していく手法)は、 古樹の畑でこそ、より広範囲な多様性が形成される(多層的な味わいの実現に寄与する)という意味でも重要。 そんな3つの条件を全て兼ね備えた古樹の畑から造られる、極上の古樹ワインに出会った。 生産者 :Alheit Vineyards / アルヘイト・ヴィンヤーズ ワイン名 :La Colline Vineyard / ラ・コリーヌ・ヴィンヤード ブドウ品種 :Semillon / セミヨン ワインタイプ :白ワイン 生産国 :南アフリカ 生産地域 : フランシュック ヴィンテージ :2018 インポーター :ラフィネ 希望小売価格 :10,000円 「私たちは、ワインの品質と美しさは、全て葡萄畑のみから来ると信じている。ワインの真髄は、あらゆる荒唐無稽な嘘を取り払った先に、ようやく明らかになる。」 そう語るのは、南アフリカを代表する白ワインの造り手となった クリス・アルヘイト 。酵母無添加、酵素無添加、無濾過無清澄、補酸無し、新樽無し、MLF発酵(*2)は自然任せ、発酵前の亜硫酸添加無し、と人為的介入を極限まで削ぎ落としながら、極めてクリーンにテロワールをワインに転化させる、名手中の名手だ。 古樹のシュナン・ブランやセミヨンで注目が高まっている フランシュック にある ラ・コリーヌ・ヴィンヤード には、 1936年植樹のセミヨン が残っている。しかもこの古樹は、300年以上に渡って マッセル・セレクション でその遺伝子が受け継がれてきた樹だ。さらに、葡萄樹が畑の中で突然変異を繰り返してきた結果、白葡萄としてのセミヨンだけではなく、濃いピンク、淡いピンク、淡い緑といった様々な果皮の色をもつセミヨンの、自然変異集合体となっている。 【アルヘイトの葡萄畑はこちらのリンクから】 https://alheitvineyards.co.za/the-vineyards/ 色調にも微かなピンク色が混じり、多層的で開放的なアロマがたまらない。 滑らかな球体のようなテクスチャーの中に、フルーツ、ミネラル、酸のレイヤーがこれでもかと折り重なっているのに、驚異的な軽やかさがある。 古樹の真価に想いを馳せながら、「これだよ、これ、これなんだよ」と唸った。 このワインの価格は10,000円。 古樹ワインとしてのこれ以上ない品質、葡萄畑そのものの特殊性と希少さ、クリーン・ナチュラルなワインが、いかに精緻なテロワール表現に至ることができるのか、その全てを体験できるワインなのだから、コストパフォーマンスは驚くほど高い。 数がとても少ないワインだが、血眼になってでも探し出す価値は十分にある。 (*1)ロバート・パーカーJr:80年代後半ごろから、世界のワイン市場に強力無比な影響力を及ぼした米国のワイン評論家。100点満点法という分かりやすい尺度が市場に与えた影響は甚大であり、彼が高得点を与えることが多かった濃醇でパワフルなワインは、相当程度技術による再現性が高かったため、世界中の数多くのワインがこのスタイルへと変化していった。 <ソムリエプロフィール> 梁 世柱 / Seju Yang La Mer Inc. CEO 1983年大阪生まれ。2003年にNYに移住後、様々なレストランにてソムリエとして研鑽を積む。 2011年starchefs.comよりRising Star NYC Sommelier Award受賞。 2012年Zagat SurveyよりZagat 30 under 30 NYC Sommelier Award受賞。 同年、Wine Enthusiast紙より、America’s 100 Best Wine Restaurant Award受賞。 世界最大のソムリエ激戦地での連続受賞は日本出身のソムリエとして唯一の快挙となった。 2012年に日本帰国後は、ミシュランガイド三ッ星店も含め、都内のレストランでシェフ・ソムリエを歴任。 2017年、オーストラリアにて開催されたSomms of the Worldに、World’s 50 Best Sommeliersの一員として招聘。 2018年、La Mer Inc.設立。代表取締役社長兼CEOに就任。 ワインジャーナリストとしてワイン専門誌に多数寄稿。









