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- Advanced Académie <15> ビオディナミ・前編
SommeTimes Académie <16> 農法2 でも簡潔に触れたが、本稿と次稿では、二回に渡って、 ビオディナミ農法 の詳細を追っていく。 理由は釈然としないが、結果だけを見る限り、ビオディナミ農法の効果は信じるに足る 。現在、世界の最も優れたワインの多くがビオディナミ農法によって造られており、ビオディナミ採用以前と以後では、それらの偉大なワインの品質に、大きな変化が一貫して認められてきたからだ。その効果の理由がどこにあるのか、良く言われている「ビオディナミの真の効果は、畑仕事の厳格化にある」というのは真実と断定できるのか。なるべく丁寧におっていこう。 提唱者ルドルフ・シュタイナー ルドルフ・シュタイナー は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、オーストリアとドイツで主に活動した人物である。彼の肩書は、 哲学者、教育者、科学者、神秘思想家、人智学者 と幅広く、一貫性にも欠けるように思えるが、「 哲学的アプローチによって、物質世界と精神世界を繋ぎ合わせる 」という神秘的思想を掲げ、ある種の精神科学とも言える「 人智学 」を提唱した。実は、シュタイナーが農業に関心をもったのは、晩年に差し掛かった頃だった。後に、ビオディナミ農法の礎となる、全8回に渡る講義「 農業再生のための精神的基礎 」を行ったのは、 1924年。シュタイナーの死からわずか一年前の出来事 であった。つまり、シュタイナーは自らが提唱した新たな農業の在り方の行く末、その効果を見届けぬまま、この世を去ったということだ。 神秘か現実か ビオディナミ農法は、一歩間違えると神秘的な話に終始してしまい、「宗教的」とすら揶揄されてしまう。本稿では、できる限り神秘的な内容は簡潔に述べ、現実的な範囲に留めるように努めていく。
- その憂いが、世界を変えた <ボジョレー特集後編>
愛するものに、自らの理想像を押し付ける。厄介極まりないヒトの性に、筆者もまた囚われている。ありのままを受け入れたいと建前を言い放ちながらも、本音では自らが受け入れられる折衷点を常に探っている。それは結局のところ、部分的にでも理想を押し付けていることと何ら変わらないことと知りながら。筆者のような妄執に囚われたものが、そこから抜け出し、冷静かつ公正でいるためには、指針が必要だ。動かざる指針が。サステイナブル社会が問う「造る意味」と「造る責任」。ワインにおいて、造る意味の大部分は「テロワールの表現」に宿る。そして、造る責任は「無駄にしないこと」に集約される。それらは確かに、私にとっては動かざる指針だ。今一度、自らを縛り付ける頑なな情熱と向き合ってみよう。手にした二つの指針を頼りに。 非常に古い時代の姿をそのままに残す、ボジョレーの古樹 ジュール・ショヴェの系譜 『ボジョレーとは、香りのワインである。』 第二次世界大戦後に、化学肥料と化学合成農薬の助けを得て 大幅に高収量化 した代償として、 潜在的な脆弱性 を抱えてしまったボジョレーの葡萄は、 過度の補糖や亜硫酸添加、不必要な添加物 、そして 強い濾過 によって 補強と矯正 を施されていた。そして、みるも無残に「生命」を失っていたボジョレーを憂い、 強固な科学的知識と数多くの実験 をバックボーンにして、 過去の美しいワインの姿を取り戻そうとした一人の醸造家 が、先の言葉を残すこととなる。その醸造家の名は、 ジュール・ショヴェ 。彼の憂いは、やがて世界中を巻き込む巨大なうねりとなり、工業化の一途を辿っていたワイン産業を農業へと引き戻し、現代まで続くナチュラル・ワインというアンチ・カルチャーの礎となった。
- Advanced Académie <16> ビオディナミ・後編
前稿 に続き、本稿でもビオディナミの詳細に迫っていく。ビオディナミ農法とオーガニック農法を決定的に隔てるものが2つある。 調合剤(プレパレーション)とビオディナミカレンダー とも呼ばれる「 農事暦 」の存在だ。 調合剤 ルドルフ・シュタイナー は、植物が自然に備えている力(抵抗力)を最大限発揮することを手助けするために、 動物の糞や薬用成分を含む植物、特定の鉱物 といった 天然物 のみを由来とした、極めて詳細な条件に基づく特殊な 調合剤 とその 製法 を考案した。中には、特定の植物と特定の動物の臓器の組み合わせが指定されているものまであるが、全てが特有の作用を達成するという明確な目的のために指定されている。調合剤は、シュタイナーが説く壮大で難解なエネルギーシステムと深く関連しているが、正確に理解するのは容易では無い。また、それぞれの調合剤には、関連する惑星が明示されているが、話が複雑化する上に、根拠も不明瞭、理解も容易ではなく、 実践者以外には不必要な情報 とも言えるため、割愛する。調合剤は、 即効性が高いものではなく、効果を発揮するには下準備が必要となる 。具体的に言うと、調合剤が効果を発揮するためには、畑から毒物(化学合成農薬、化学肥料)による悪影響が相当程度消失している必要がある。そのため、ビオディナミ農法に転換しても、その効果は直ぐには現れず、多くの場合 3~5年の期間 続けて、ようやく効果が現れる。 雌牛のツノ 後述する 500番、501番 の調合剤に深く関係している。なぜ雌牛のツノなのか、そこには明確だが難解な理由がある。シュタイナーの理論を可能な限り簡潔に説明すると、空洞である雌牛のツノは 内部的にはエネルギーを留める役割 を果たし、外部的には 太陽のエネルギーとの繋がりを作り、上昇的エネルギー (雌として、生命を育むエネルギー)を生み出す役割をもつ、ということである。この理論を目の当たりにして、多くの読者が、全く疑問を拭い切れないのは当然だと思う。筆者も似たようなものだ。なので、客観性をもつために、とある実験結果についても述べておく。牛糞を瓶に詰めたものと、雌牛のツノに詰めたものを用意し、同じ条件の元、地中で熟成(発酵)させたものを比べると、雌牛のツノに詰められた牛糞の方が、微生物の活動が70倍も高かったとのことだ。
- ワインと味わいの不思議な関係
多くのワイン愛好家の方々が、特定の状況や場所で「 ワインをより美味しく感じた 」経験をおもちなのではないでしょうか。今回は、その謎めいた現象に迫ってみたいと思います。なお、本稿の内容は、 科学的見地に基づいた内容では基本的にありません 。あくまでも、実体験に基づく「 推測 」になります。一種の思考実験を覗くようなお気持ちで、お読みいただければ幸いです。 まずは、「美味しく感じた」という体験を、2つの大カテゴリーに分けてみます。 1. シチュエーション(状況)によって美味しく感じる。 2. ロケーション(場所)によって美味しく感じる。 の2種に分けることができるでしょう。 シチュエーション 1のシチュエーションに関しては、 「久々に飲むワイン」 「友人や家族、恋人と飲むワイン」 「仕事後に飲むワイン」 「ピクニックで飲むワイン」 などなど、様々な「ワインを美味しく感じる」シチュエーションが考えられます。
- Bordeaux in Green <ボルドー特集:前編>
正直に言おう。私の心は長らくの間、ボルドーから離れていた。かつて夢中になっていたことを、どこか小っ恥ずかしく感じて、少し酸っぱい想い出に蓋をするようなところもあったとは思うが、単純に、私の心に響くボルドーになかなか出会わなくなっていたのもまた事実だ。思えば、近代のボルドーにとって、莫大な設備投資は品質向上とイコールであるかのような報道が、絶え間なく続いてきた。その金満的で工業的な進化は、ワインに自然への賛美を求める私のようなトラディショナリストにとって、決して魅力的なものではなかった。もちろん、全てのボルドーがそうでは無いことは重々承知していたが、それでも、私の酷く個人的で感情的な嫌悪感を拭い去るには至ってこなかった。はっきりと言おう。私はもうとっくの昔に、ボルドーのファンではなくなっていたのだ。そんな私が、なぜ今更ボルドーに向き合うことになったのか。かの地に対して10年以上失っていた興味が、なぜ戻ってきたのか。それは、 ボルドーが変わった からだ。驚くほど 劇的に、そして急速に。今ボルドーは、世界最高の銘醸地として、世界のワインシーンを力強く牽引する存在へと返り咲こうとしている 。 世界最先端のサスティナブル産地 ボルドーとサスティナビリティのイメージが結びつく人は、ほとんどいないだろう。それもそのはずだ。フランスにおけるビオロジック、ビオディナミ、リュット・レゾネ(以降、まとめてサスティナビリティと記述する)を牽引してきたのは、ブルゴーニュ、アルザス、ロワールやジュラといった産地であり、ボルドーは(極一部での導入はあったものの)完全に蚊帳の外だった。 サスティナビリティの導入は、必ずと言って良いほど、何かしらの商業的リスクが伴う。すでに世界に名だたる銘醸地としての確固たる地位を確立して久しいボルドーにとって、 そのようなリスクをとる動機が極めて希薄だった のは事実だろう。そう、ボルドーには相当な期間、環境問題から目を背け、慢心を放置し、胡坐をかいていられるだけの余裕があったように見えた。少なくとも、中国市場が桁違いの囲い込みを続けている間は。 しかし、中国圏及び華僑富裕層の興味が、明確にブルゴーニュへとシフトし始めた頃から、ボルドーはそのままでは居られなくなった。設備投資を惜しまずに最先端風のワインを造り、巨額のマーケティング費用を投じていれば安泰、というビジネスモデルが、崩壊し始めたのだ。ボルドーは再び、世界市場の支持を集める必要に駆られた。日本国内においても、多くのワイン有識者たちが感じてきたことと思う。 果たしてボルドーは、このままで良いのか 、と。
- ラベルに罪はあるのか
ワインのラベルは重要だ。 ブラインドテイスティングでも無い限り、一連のワイン体験の中で 最初 の「楽しむ」プロセスは ラベルを観る ことだ。 ラベルには、そのワインに関する様々な情報が詰めこまれている場合もあれば、文字による情報をほとんど含まないデザインの場合もある。 実は、そのどちらのパターンであっても、 ラベルデザインとワインのスタイルは、同じ方向を向いていることが圧倒的に多い 。経験を積めば、産地と品種が分かってさえいれば、そのワインのスタイル(品質では無い)に対して、ラベルデザインからかなり正確な予測を立てることすらできるようになる。 不思議と思えるかも知れないが、造り手の哲学が反映された(反映させないという形の反映のさせ方も含めて)ラベルに、農産物である葡萄が人の手によってワインへと転じていく過程における、 自然と人の多様な関係性が宿る のは、必然と言えるのではないだろうか。 そもそも、味わうという行為は、舌の味蕾がキャッチした刺激に加えて、触覚が感じとるテクスチャー、嗅覚が感知したアロマ、言語情報による知覚的影響、そして視覚が捉えるイメージが全て合わさった、 脳の総合体験 である。 我々のほとんどが、目をつぶってイチゴを食べるよりも、はっきりと目視することによって、イチゴの存在を確定させた方が美味しく感じるだろう。 その辺りも踏まえてみると、ワインを味わうという行為の中で、 ラベルの鑑賞がその体験を十分に向上させ得る ことが、ロジカルに理解できるかと思う。
- 葡萄品種から探るペアリング術 <3> ソーヴィニヨン・ブラン
ソーヴィニヨン・ブラン をテーマとします。このシリーズに共通する 重要事項 として、葡萄品種から探った場合、 理論的なバックアップが不完全 となることが多くあります。カジュアルなペアリングの場合は十分な効果を発揮しますが、よりプロフェショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 ソーヴィニヨン・ブランの特徴 テロワール、栽培、醸造に対して非常に敏感に反応する性質がありますが、ブラインド・テイスティングでも容易に判別できるほど、ソーヴィニヨン・ブラン 特有の個性も強い品種 です。世界各国で栽培されている人気の高い国際品種ですが、そのスタイルは意外とシンプルにまとめることができます。一つは単一品種で造り、樽の影響を効かせない ロワール型 、もう一つは他品種(最も一般的なブレンド相手はセミヨン)とブレンドし、新樽もしっかりと効かせる ボルドー型 (グラーヴ型とも)です。 ペアリングにおいては、ロワール型はソーヴィニヨン・ブラン特有のカヴァー範囲の広さと、特殊な対応力を発揮する一方で、ボルドー型は、また異なる範囲を広範囲にカヴァーします。 つまり、 2つの主要なスタイルを合わせれば、単体の葡萄品種としては、あらゆる白葡萄の中でも最も広範囲に対応できる品種でもある 、と言うことです。
- Advanced Académie <17> 抜栓後の酸化
抜栓後の酸化は、悩ましい問題だ。大人数でワインを飲む場合は気にしなくても大丈夫だが、家庭で一人飲みの場合や、レストランがグラスワインを出す時には、この問題が付きまとってくる。 酸化=劣化とは限らない のもまた悩ましさを増長するが、そこに劣化のリスクが含まれる以上は、出来る限りコントロールしたいと思うのは、当然だ。 抜栓後酸化のメカニズム まずは、抜栓後の酸化のプロセスを追っていこう。 主犯格はもちろん 酸素 なのだが、 酸素だけで酸化できるわけでは無い 。協力者が必要なのだ。 最初の協力者は、ワインに含まれる 金属イオン 。 その中でも、 鉄と銅 のイオンが大きく影響する。 逆の方向から見ると、鉄と銅のイオンさえなければ酸化は起こらないはずなのだが、残念なことに、ワインからそれらの金属イオンを、 酸化をストップする濃度まで取り除くのは不可能 とされている。 酸素は、これらの金属イオンの助けを借りて、まず最初に フェノール類 (単量体フェノール)を酸化させる。そしてその際に、 過酸化水素( 活性酸素種の一種 )が生成される。 過酸化水素は、抜栓後の酸化においては、酸素と同格の主犯格となる。 非常に反応性が高い 過酸化水素は、ワインに含まれる様々な成分と、次々に反応(酸化させる)を始めてしまう。
- ワインとコーヒーの考察
ワインとコーヒーに関して、同じ嗜好品として比較される事がしばしばあるかと思います。 ここではワインのプロフェッショナルが集まっているので、今回は少し息抜きとして“コーヒー”という身近な飲み物に関して寄稿させていただきます。 まずは最近のコーヒー事情に関して。 皆さんは" Specialty Coffee "という単語をご存知でしょうか? 多くの有名なコーヒーショップやカフェはこの理念の下、品質の高い豆を仕入れ、焙煎し、一杯のコーヒーを提供しています。 私が所属しているSCAJ (※注1) という組織では、スペシャルティコーヒーに関して以下のような基準で定義がされています。 ▪ 消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。 ▪ 風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。 ▪ カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。( From seed to cup ) ▪ 生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。 ▪ 適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。 ▪ 適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。 コーヒーに関しては、“ カッピング ”(挽いたコーヒー豆に熱湯を注ぎ、4分後に上澄をスプーンですくってテイスティングする方法)を行い、コーヒー豆を挽いたものにお湯を注ぎ口に含む工程の中で、コーヒーの香りや味を評価します。 ワインで言うテイスティングにあたり、コーヒーの品質の善し悪しを、同じ条件下において判断するというものです。 たくさんのコーヒーを同時にテイスティングする必要があるため、そして、 淹れ方の技術による差 があってはコーヒーそのものの味を評価できないため、世界共通で、このカッピングという方法でコーヒーを味わいます。 主な評価に関しては、COE(※注2)カッピング評価基準および、SCAJカッピング評価基準によりFLAVOR:フレーバー、AFTER TASTE:後味の印象度、ACIDITY:酸の質、MOUTH FEEL:口に含んだ質感、CLEAN CUP:カップのきれいさ、SWEET:甘さ、BALANCE:ハーモニー均衡性、OVERALL:総合評価の合計8項目から成り立ちます。原料であるコーヒーの生豆の品質が評価されたもので、品質評価の点数が80点以上のものをスペシャルティコーヒーと呼び、 日本に輸入されるコーヒーのうち、スペシャルティコーヒーが占める割合は約11%と年々上昇傾向にあります。 スペシャルティコーヒーの変遷に伴い、忘れてはいけないのがコーヒーウェーブです。ワインにもその時代を築いた幾つかの“波”が存在しますが、コーヒー業界にも存在します。こちらも以下に紹介しますのでご参考までに。 ✴︎First Wave 19世紀後半〜1960年代に広まった日本での最初の流行。 コーヒーが大衆の食堂で楽しまれるようになった 事がFirst Waveの功績である。 その要因としては、 流通の発達により大量のコーヒーが食卓に届くようになり価格が安くなった事で、“コーヒー(珈琲)”が一般的な飲み物となり、広く親しまれるようになった。 “Regular Coffee“は流通の革命と効率化によってもたらされたものである。 ✴︎ Second Wave 1960年代〜2000年頃まで続いた第2の流れ。大衆的な飲み物から卓越した飲み物となり、世界中に均一で良質なコーヒーの"味"を届け、 コーヒーを万国共通の価値観へと昇華 させた。“ ローストとスタイルの融合 ”、“ エスプレッソ系ドリンク ”の台頭。ロゴ入りの紙コップを片手に街中を颯爽と歩くスタイルがクールであり、街で仕事をする人々にとってのファッションアイコンになっていく。今や世界中に顧客を持つシアトル創業の“ スターバックス ”はセカンドウェーブの中で最も成功したブランドである。 ✴︎ Third Wave 2013年頃から日本でもこの用語が頻繁に使われ始めた。“苦味やコクが旨い”という日本風の価値観は完全に打ち崩され、 酸味と甘味、そして複雑さという全く異なる世界が広がっている のが今の実情である。同じ種類のコーヒー豆であっても、ロースターによって焙煎の方法で違いを楽しんだり、同じロースターであっても年ごとの味の違いを楽しんだりする事が出来、 コーヒーをまるでワインのような付き合い方に昇華させた のもサードウェーブの特徴と言える。純喫茶のような器具にこだわり一杯一杯を丁寧にいれる。そして、 シングルオリジン という単一農園が主流になってきたのもこの流れが大いに影響している。 現在までコーヒーの世界も急速に発展してきています。 コーヒーが身近になったのは、先代の方々の努力の賜物です。 日々に感謝に、より素晴らしい未来に私も微力ではありますが貢献していければと思っております。 ※注1 SCAJ・・・Specialty Coffee Association of Japan : 一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会 ※注2 COE・・・ Cup of Excellence(カップ・オブ・エクセレンス)、 その年に収穫されたコーヒーの中から最高品質(トップ・オブ・トップ)のものに与えられる名誉ある称号で、中南米を中心に各国でコンテストが行われている。 国内予選を勝ち抜き、国際審査員の厳格なカップテストにより評価された、全生産量の数%にも満たないほんのわずかなコーヒーのみカップ・オブ・エクセレンスの称号が授与される。 ――― さて今回、私が提案するのは、エスプレッソにGrappa(グラッパ)を入れて楽しむ Caffè Corretto(カフェ・コレット) 。 イタリア発祥のこの飲み物はイタリアだけでなく全世界で幅広く楽しまれています。 グラッパだけでなく、ハーブ系の蒸留酒やブランデー等を入れても成立しますが、あえて王道のグラッパで。 エスプレッソ2ショット(ドッピオ)に約15mlのグラッパを注げば完成!のシンプルなものですが、コーヒー豆やグラッパにこだわれば至福のひと時に・・・ コーヒー豆はグァテマラ、ウエウエテナンゴ地域のミディアムロースト。 ミルクチョコレート、キャラメル、ヘーゼルナッツの香ばしさが前面にでており、チェリー系の綺麗な酸に加えアフターに、ほのかにピーチの印象。余韻も長く、厚みのある味わいが時間をかけて変化していきます。 そこに合わせるグラッパは樽熟成をしている上質なグラッパ。バローロやバルバレスコのネッビオーロ種の搾りかすから作られたグラッパはそれだけで妖艶。惹きつけられる1杯です。 香りが芳醇で繊細なこのタイプのグラッパはコーヒーの苦みが強すぎると生きてこないので、フルーツトーンの残るやや浅煎りの豆をチョイスするとGOOD。コーヒーのアフターと華やかなブランデー香が交互に追いかけていき、何とも言えない心地よさを体感出来るはずです。 シーンとしてはブランチ後の昼下がりにテラスで。オランジェットと共に最高のひと時を演出して下さい。 生産者: Berta / ベルタ ワイン名 : TRE SOLI TRE Grappa di Nebbiolo / トレ ソーリ トレ グラッパ ディ ネッビオーロ ワインタイプ : Grappa / グラッパ 生産国 :Italy / イタリア 生産地 :Piemonte / ピエモンテ アルコール度数 : 43° インポーター :FOODLINER / フードライナー 参考小売価格 :¥16,000 バローロ及びバルバレスコのネッビオーロ100%使用。(ラ・モッラ及びモンフォルテダルバのバローロ生産者の絞りカス、パルッソのブッシア、コンテルノ・ファンティーノのジネストラ、ロベルト・ヴォエルツィオのチェレクイオ)。 蒸留後、ミディアムトーストしたアリエ・トロンセ産225Lのバリックで7年3ヶ月間熟成。 <ソムリエプロフィール> 安藤 修 / Osamu Ando Hotel Indigo Karuizawa Food and Beverage Manager / Hotel Head Sommelier 1987年 東京生まれ。 2006年 日本大学文理学部体育学科 卒 サーヴィスの楽しさに開眼し、スポーツ関係のキャリアを諦め現在に至る。 ビバレッジに興味を持ったきっかけは、意外にもワインではなくコーヒー。 “Streamer Coffee Company”のラテア―トに感動し、本格的に学び始め、2014年にはレストラン業界では数少ないAdvanced Coffee Meister ( No.0101 ) を取得。 様々なレストランにてサーヴィス、ソムリエとして研鑽を積む。 2013 - 2015 Pierre Gagnaire Tokyo - Chef de Rang / Sommelier 2015 - 2017 Innovative Restaurant “81” - Chef Sommelier 2017 - 2019 L’orgueil - Director / Chef Sommelier 2019 – 2021 KIMPTON SHINJUKU TOKYO - Beverage Manager / Hotel Head Sommelier 2021 – Hotel Indigo Karuizawa - Food & Beverage Manager / Hotel Head Sommelier ✴︎ J.S.A.Sommelier Excellence ( 2020〜 ) ✴︎ Advanced Coffee Meister ( No.0101 ) ✴︎ Maîtres des Service Concours – Semi Finalist ( 2015 / 2019 ) ✴︎ 全国梅酒評議会 評議委員 ( 2017 )
- 生体アミンとSO2:示された一つの可能性
個で全を語ることは危険であり、一つのソリューションが全てを救うという希望もまた、ただの夢想に過ぎないのではないだろうか。 「ワイン不耐性にようやく光が」 (ジャンシス・ロビンソンMW著、小原陽子訳)と題され、オンラインワインメディア 「Vinicuest」 上で公開された記事(訳文は こちらのリンク から、原文は こちらのリンク から)は、日本のワイン業界に、大きな波紋を呼んだ。 SNS上でもリアルの会話でも、コンヴェンショナル派(慣行派)とナチュラル派がこの議題に対して、議論を活発に繰り広げ、特にナチュラル派の中には、自らが信じてきた「低亜硫酸ワインは頭痛にならない」という主張を真っ向から否定されたと誤解し、極端な拒絶反応を示す人々も多くいた。筆者はどちらかというと(サスティナビリティという広い範囲を含めると)ナチュラル派に属しているが、 「感情的な拒絶反応からは論理的思考は生まれにくい」 と強く注意喚起をしたい思いに駆られている。 やや不毛な争いへと走っていたこの論争に対して、論理的かつ科学的フォローアップをするために、翻訳者である 小原陽子さん が、特別ウェビナーを作成し、 オンデマンド講座 (受講価格1,500円)として提供している。 筆者はすでにこの講座を購入し、数回視聴させて頂いたが、大変素晴らしい講座となっているので、是非SommeTimes読者の皆様にも、オンデマンド講座を購入して視聴していただきたい。 また、小原陽子さんの素晴らしい取り組みに心からの敬意を表する意味でも、 本記事では講座そのものの具体的な内容に関しては、論じていく上で重要と考える部分以外は、極力ふれない こととする。 マスター・オブ・ワイン資格取得のための論文として、 ソフィー・パーカー・トムソンMW が発表し、ジャンシス・ロビンソンMWが記事にし、小原陽子さんが翻訳とウェビナーを提供したこの一連の議題には、二つの主役的存在がいる。 生体アミンとSO2 だ。 まずは端的に説明するが、 ワイン不耐性の原因とされる(ワイン中に含まれる)生体アミンの増殖を、SO2の正しい添加によって大幅に抑制することができる 、というのが本題である。 ここでまず、極めて 重要な補足 を入れておく。 この議題の対象となっているのは、あくまでも「ワイン不耐性」であり、「二日酔い」では無い 。ナチュラル派に非常に多く見られた極端な拒絶反応は、この部分を明らかに見落としていると考えられる。それに、ソフィー・パーカー・トムソンMW自身が明確にしているように、彼女の発表には、 ナチュラル・ワインを否定するような意図は一切含まれてはいない 。 ワイン不耐性と二日酔いは、共に頭痛、吐き気、発疹、紅潮といった症状を引き起こすものであるが、 発生するタイミング、経緯、原因物質が大きく異なると考えられている 。 ワイン不耐性 は、生体アミンの中でも ヒスタミン を主因(その他の生体アミンによる影響もあるとのことだが、詳しくは オンデマンド講座 にてご確認いただきたい)として、 生体アミン自体の毒性によって、人体に影響を及ぼす と考えられている。 一方で 二日酔い は、アルコールが肝臓の機能によって分解された際に生じる アセトアルデヒド の毒性によって、影響が出ると考えられている。つまり、生体アミンよりも影響が出るまでに一つ段階が多いため、発生するタイミングもワイン不耐性に比べて 遅くなる のが一般的だ。 現在、 約10%の人々が、ワイン不耐性 (もちろん、深刻度には個人差がある)をもつと考えられているそうだ。 オンデマンド講座 では、生体アミンが生成される原因として、 SO2以外の物質や条件 にも触れており、生体アミンの中でも特に毒性の強いものが分解される(無毒化する)ことを妨げる様々な要因に関しても触れられているが、やはりSO2の効果的な添加こそが最も有効な抑制手段であることは、講座の内容から判断する限り、ほぼ確定的に判明していると言えそうだ。 大元の論文の著者であるソフィー・パーカー・トムソンMWは、生体アミンの生成量を抑制する可能性が高い 醸造方法 を複数挙げており(これらの内容も オンデマンド講座 で紹介されている)、それらの醸造方法が真に毒性のある生体アミンを抑制し、そして一部の生体アミンが真にワイン不耐性と関連性があるものなのであれば、ジャンシス・ロビンソンMWが書いた記事のタイトル通り、まさに「ワイン不耐性にようやく光が」見えてくる、ということなのだろう。 ここでもまた、 重要な補足 をしておく。ソフィー・パーカー・トムソンMWはあくまでも科学的検証結果に基づく 「可能性」 の話をしている。決して断定しているわけでもないし、ナチュラル・ワイン側の意見を否定しているわけでもない。無意味に過敏な反応は、重々控えるべきだ。それに、 現在正しいと信じられている科学的検証結果が、後の検証によって否定される、ということは往々にしてある 。(葡萄の遺伝子調査の結果に、何度騙されてきたことか!) さて、実はここからが、SommeTimesとしてのこの議題に対する疑問の 本題 となる。 先ほども述べたが、この議題はあくまでも 生体アミンとワイン不耐性に限定されたもの であり、 その他のいまだ未解明な現象とは関連していない 。 ワインと人体の関係性に関して、一部科学的な検証はあえて無視している(科学とは、100%正しい結果になることが極めて難しいものである)ものの、実体験をベースにして、未解明なものを挙げつつ、この議題自体への筆者の疑問点も挙げておく。 1. 低亜硫酸ワインと二日酔いの関連 二日酔いの主因成分(要因の全てでは無い可能性も十分にある)とされるアセトアルデヒドは、体内に存在する グルタチオン という酵素の働きによって、無毒化されると考えられている。 SO2はグルタチオンの働きを阻害する という研究結果が報告されており、二日酔いに限定すれば、SO2との関連性を否定しきれていない。しかし、そもそも SO2を添加していない酒類(日本酒やウィスキー等、多々存在する)でも二日酔いは当然のように発生する ことから、ワイン飲酒による二日酔いとSO2の間に関連性がある可能性が示唆されている背景には、ワインに含まれている「他の何か」も絡んでいるのかも知れない。どちらにしても、現状では未解明である。 2. ナチュラル派に頻発(?)する謎の不耐性 筆者はかつて、コンヴェンショナル(SO2をしっかりと添加した)ワインをより多く飲んでいたが、その当時(まだ若かったというのもあるかも知れないが)は、頭痛とは無縁だった。しかし、ナチュラル・ワインを中心に飲むようになって以降、コンヴェンショナルワインを飲むと、非常に早いスピードで、かなりの強度の頭痛に襲われるようになった。科学的ではなく、あくまでも実体験ベースの( 定量的では全く無い )検証ではあるものの、頭痛発生までのスピードと頭痛そのものの強度は、亜硫酸添加量と比例関係にあるように思える節がある。(添加量の多い)甘口ワインは、その意味では私にとっては天敵であり、甘口ワインが大好きな筆者にとって、非常に悩ましい問題である。 定量的で無い以上、このような発言は科学的には完全にNGではあるが、私の周囲にいるナチュラル派には、私と同様の変化が起こっている方々が、決して少なく無い割合で存在している。当然、完全に未解明どころか、研究が進んでいるかすら、極めて怪しい。 3. ワイン不耐性の原因は生体アミンだけなのか? ソフィー・パーカー・トムソンMWは、生体アミンだけをワイン不耐性の原因として断定しているわけでは決してない。あくまでも主因成分として非常に高い可能性の一つ、としているに過ぎない。(詳細はオンデマンド講座でご確認頂きたいが)生体アミンの生成を抑制するための理想的なSO2添加タイミングと添加量は、慣行的なワイン造りにおいて、全くもって特殊なものでは無い。むしろ、非常に一般的な範囲の添加タイミングと添加量と言える。近年は、添加タイミングが瓶詰め前頃に限定されるケースも確かに増加傾向にはあるが、単純に「量」の話をするのであれば、ソフィー・パーカー・トムソンMWが推奨する方法を当たり前のようにやっているワインの方が、圧倒的多数であることは間違いない。もちろん生体アミンの増殖と抑制に関連した「その他の要因」も明示されているため、実情が遥かに複雑であることは理解できるし、そういったワインに含まれる「生体アミンとは全く別の何か」が、毒性をもっている可能性も捨てきれないかもしれないが、それでも 「SO2の正しい添加によって生体アミンを抑制し、ワイン不耐性に対して強力な効果を発揮するのであれば、ワイン不耐性に苦しむ人の割合は、(そのタイプのワインの生産量の圧倒的な多さを鑑みれば)もっと少なくても良いのでは無いか?」 という、単純な疑問が完全には解決されていないように思える。 さて、話を本稿の冒頭に戻そう。 個で全を語ることは危険であり、一つのソリューションが全てを救うという希望もまた、ただの夢想に過ぎないのではないだろうか。 ソフィー・パーカー・トムソンMWの素晴らしい功績によって、ワインと人体の関係の謎が、大きく解明に向けて前進したのは間違いないだろう。もし仮に、この研究結果が間違っていたと未来で証明されたとしても、そこに向けた前進の偉大な一歩であることには変わりない。我々には、まだまだ長い道のりが待っている。その道程で少しずつ明かされていく謎と共に、ワイン道を楽しみ、嗜んでいきたいものだ。
- 南アの多様性と進化
1498年にヴァスコ・ダ・ガマが開拓したヨーロッパからインドへ至る新たな通商海路の要所が、南アフリカの西ケープ州に位置する喜望峰だった。やがて、大航海時代が始まり、オランダ東インド会社の南アフリカ現地法人代表であったヤン・ファン・リーベックがケープタウンに葡萄を植えたのが1655年。ヨーロッパからも、他の主要なニューワールドワイン産出国からも遠く離れた南アフリカは、ヨーロッパのワイン文化とニューワールドのワイン文化が絶妙に入り混じりながらも独自の発展と遂げた、興味深いワイン産地だ。 聡明な南アフリカワイン協会( WOSA )も、南アフリカ特有の多様性のアピールに余念が無い。そして、この国に宿った数多の個性は、確かに独自の声を発している。 今回は、「 南アフリカワイン ベンチマーク テイスティング 」と題された、ブラインドテイスティングプログラムの内容を、筆者のブラインドテイスティングによる感想と共にレポートする。 Flight 1 「Syrah vs Shiraz」 と題されたこのフライトには、南アフリカ特有のワイン文化が色濃く反映されている。Syrahはヨーロッパ的ワイン、Shirazはニューワールド的ワインを目指してデザインされた味わい。果たしてどれほどの違いが生まれるのだろうか。 Sample 1 透き通らないくらいの濃いパープル。 ヴァイオレット、ブルーベリー、黒胡椒の香り。 非常に滑らかなテクスチャー、こなれたタンニンと丸い酸。 中心は硬いが、程よく密度のあるボディ。 余韻は柔らかいが短い。 Shiraz 予想価格 3,500円 ©︎WOSA 実際は、2,210円のShirazであった。価格に関しては公正にジャッジしたつもりだったので、まさかの2,000円代前半という結果には驚いた。スタイルとしては、分かりやすくニューワールド風。果実味が味わいの中核にしっかりと座っており、タンニンと酸の処理もスムーズなタイプ。
- クリュのこれから
シャンパーニュ地方にも、もちろん存在する格付け。 シャンパーニュの格付け「 エシェル・デ・クリュ 」は、 1919年 に初めて導入され、当時は 12村がグランクリュ に制定されました。その後 1985年に改定 され、今の 17村 となっています。「エシェル・デ・クリュ」の本来の機能は、ブドウを買い付ける際の価格決定システムでした。各村の格付けによってブドウの価格を一律で決定するこのシステムは、自由競争を阻害するとして 1999年より禁止 されましたが、 現在でも品質の基準として機能しています。そのため、今現在も定期的に見直しがされている そうです。 皆さんもよくご存じのグランクリュ17村と、プルミエクリュ44村が、格付け表記を認められています。またそれ以外のクリュは258村あり、近年は格付け表記がなくとも評価されるクリュが出てきています。 そんな「クリュ」の特徴を生かすことに心血を注いでいるヴィニュロンの中から今回ご紹介したいのは、「 シャルトーニュタイエ 」というメゾン。そして当主である アレクサンドル シャルトーニュ 氏です。 大学の卒業研修で ジャック・セロス アンセルム氏に師事 し、2006年に実家であるシャルトーニュタイエに戻りシャンパーニュ造りをはじめます。 アレクサンドルがまず初めに手掛けたことは、健全なブドウを栽培するための 土壌改良 、そして 自然環境を尊重したワイン造り 。さらに1863年にブドウの栽培農家として創業した シャルトーニュタイエの歴史を改めて紐解き、所有する全て テロワールの徹底した研究と分析 。これらを、丁寧かつ斬新なアイデアで進めていく彼の情熱的なスタイルは、とても純粋で非常に興味深く印象的です。 「健全なブドウの樹の根はまっすぐ地中に伸びていくものなんだ。」 そう言って、いくつか地中に生えたブドウの樹の根の写真を見せてアレクサンドルが説明してくれたことをよく覚えています。畑表面の草だけでなく、微生物まで殺して土壌を不活性化させてしまい、ブドウの根がまっすぐではなく横方向に成長してしまう環境を作り出す除草剤は、一切使用しないことを徹底するようになったそうです。その代わり、より良い土壌を作る為に野草を調整し、適切な空気を含ませながら畑を鋤き耕している。馬や機械は使わず、畑は全て人の手で耕しています。 さて、ここからはクリュの話をしたいと思います。 シャルトーニュタイエは、ランスから北西に車で15分ほどの距離にある メルフィー村 に在ります。この村の畑の総面積は45haと大きくはないのですが、その中にも多様な土壌と微量気候が存在していて、シャルトーニュタイエはそのうち10haを所有しています。 また近年、新たに隣のサン・ティエリー村にも畑を所有しているとのことです。 メルフィー村は600年以上前からワイン造りが行われていた土地ではありますが、他のグランクリュやプルミエクリュに比べて知名度が低く格付けは84%。しかしながら、 最近のシャンパーニュではこのようなクリュから、次世代の素晴らしい生産者の手により、そのポテンシャルが引き出され、評価されるシャンパーニュが生まれてきている のが非常に面白い傾向だと思います。 アレクサンドルが手掛けるシャルトーニュタイエのシャンパーニュは、「Heurtebise」 や「Les Orizeaux」など土壌やブドウ品種が異なる単一区畑から、それぞれの区画の個性を生かしたシャンパーニュ造りをしています。一次発酵には野生酵母を使用し、2次発酵は自分の畑から選んだ酵母を培養して使用しています。それは、メルフィー村のテロワールをシャンパーニュに表現するために必要なことだと考えているからです。その他にも一次発酵の際に、畑の土壌によってステンレスタンク、たまご型コンクリートタンク、バリックを使い分けるなど様々な工夫と試行錯誤をしています。 そして、テロワールを表現するためにシャンパーニュの個性に合わせてドサージュの量を決めています。いつも同じ量とは限りません。以前私が訪問した際、ドサージュ量が1gづつ異なるベースワインの比較試飲をさせて頂いたことがありました。 僅か1gでも味わいの表情ががらりと変化 し、 ドサージュが多ければ甘く感じるというものでもない ということが非常に興味深い経験でした。そして熟成の度合いや飲み頃の時期など様々なことを考慮しながらテロワールを最大限に伝えたいという思いを、ドサージュからもひしひしと感じた瞬間でもありました。 クリュの特徴を生かし切るワイン造りに情熱を傾ける、次世代生産者のひとりであるアレクサンドル シャルトーニュ。これからの進化にますます目が離せません。 <ワイン情報> 生産者: Chartogne Taillet /シャルトーニュタイエ ワイン名:Cuvee Les Orizeaux /キュベ レ ゾリゾー 葡萄品種:Pino noir100%/ピノノワール100% ワインタイプ:シャンパーニュ 生産国:フランス 生産地:Melfy/ シャンパーニュ地方/メルフィー村 ヴィンテージ:NV インポーター:フィラディス 参考小売価格:\15,300(税抜) 瓶内熟成は48か月。ドサージュは3g/L。 キュベ レゾリゾーはメルフィー村の南側に位置する単一畑で、植樹されたのは1950年代だそうです。砂質と石灰が主体の土壌には鉄分が含まれ、粘土も少し混ざっているため、独特のミネラル感と豊かさが感じられます。ほのかな蜂蜜のニュアンスから、ベリー系フルーツの果実味が感じられ、美しいミネラルが心地よい切れ味の良さを表現しています。 口福のマリアージュはサクッと上がった串揚げや天ぷら。オレンジとレモンのゼリー。 <プロフィール> 近越 安那 1982年生まれ、石川県金沢市出身。 制作会社勤務を経て、飲食業界へ。 シャンパーニュバーの先駆けであるti quoiで2011年から約2年間勤務の後、2014年に独立。麻布十番にて完全紹介制のchampagne bar HACHI をオープンする。










