オーストリア南部のシュタイヤーマルクは、まだ「知られざる産地」と表現した方がいいだろうか。この産地の特徴は、「ナチュラル」「ミネラリー」そして「フルーティ」な、世界に類を見ないスタイルのソーヴィニヨン・ブランだ。5月に当産地協会のツアーに参加した内容をここではレポートしたい。
セップ・ムスター、アンドレアス・ツェッペ、ヴェルリッチ、シュトロマイヤー。
シュタイヤーマルクは、一部で熱狂的なファンを持つナチュラルワインの生産者たちが本拠としている産地だ。
しかし、ナチュラルワインの聖地だ、という理解で終わっていないか?
シュタイヤーマルクとはそもそもどのような産地なのか、考えてみたことはあるだろうか?
オーストリアを代表する品種、グリューナー・フェルトリーナーがほぼ存在しない産地、シュタイヤーマルク。今回当地のワイン協会主催のツアーに参加し、その独自性と面白さに改めて驚かされることとなった。オーストリア編後半の本稿では、シュタイヤーマルクという産地の特徴に改めて目を向けてみたい。ナチュラルワインのイメージに覆い隠された、その特異性や多様性が浮かび上がってくるはずだ。