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前進するオーストリアワイン <オーストリア特集:前編>

最良のオーストリアワインとは何か?


という問いには、様々な答えがあるだろう。

とはいえ少なくとも、素晴らしいテロワールから生まれるワインだ、ということについてはどなたも同意いただけるのではないか。

ではオーストリアの優れたテロワールとはどこか?

そこにはどのような特徴があるのだろうか?


今後、例えばハイリゲンシュタインの名前はさらに重要性を増すだろう。オーストリアのほぼ全ての畑をデジタルデータにするという意欲的なプロジェクトが指し示す先は、更なるそれぞれの畑への理解と、優れたテロワールへの希求である。




VieVinum

ウィーンで2年に一度開催される「VieVinum」は、世界で最も美しいワインフェアともいわれる。それは会場となるホーフブルグ宮殿の美しさによるものか、それとも出展者から供されるオーストリアワインによるものだろうか。


Covid-19のため前回はキャンセルとなり、4年ぶりの開催となった今年は、待ちに待った生産者と世界中から集まったプロフェッショナルの再開を喜ぶ空気が会場に溢れていた。



400社以上が出展するこの試飲会では、オーストリアワインをテーマとした数々のセミナーも行われる。先陣を切ったのは、2020年からオーストリア・ワイン・マーケティング協会の代表を務めるクリス・ヨーク氏


過去20年間、オーストリアワインの躍進を支えてきたのは、美しくオーガナイズされたこの協会のマーケティング戦略と、それを率いた前代表のヴィリー・クリンガー氏である。そして、その後を継いだヨーク氏による「Austrian Wine Update」と題されたこのセミナーも、同様にとてもよくオーガナイズされたセミナーだった。



© ÖWM / ÖWM


誰しも例外なくCovid-19の影響を強く受けたこの2年間の中で、オーストリアワインの輸出量は大きな伸びを記録した。特に2021年度は金額ベースで前年比15.7%の上昇と、爆発的といってもいい。オーストリア国内の飲食店や観光業に関わる消費は苦戦したものの、オンラインを主軸にしたセミナーやコミュニケーションがこれまで以上の成果をあげたのが成長の主な要因だ。従来の重要なヨーロッパ市場だけでなく、アメリカやカナダ、そして中国などでも伸長している。


もうひとつ注目したいのは、その単価の伸びだ。2000-2021の間に、輸出量が約2倍になっているのに対し、輸出金額は5倍以上。単価は2.5倍の伸長である。


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