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スペインワイン再認識 リオハ

日本に戻り、再びワイン業界で働き始めて約2年半が経ちました。

これまでインポーターだったこともあり、最初は戸惑いながらの仕事でしたが、今はお客様の声を直接聞きながらワインを提案することにやりがいを感じています。


そのような中で書く今回ですが、今までは1本のワインについて色々書いてきました。

しかし、これからは一つの産地を紹介しながらオススメのワインを紹介出来たらと思います。


最初である今回は、DOCaリオハについて書いていきたいと思います。ワインを勉強した方であれば最初の方に上がってくる産地の一つであり、スペインワインといえばリオハという方も多いのではないでしょうか?


DOCaリオハはスペイン北部のラ・リオハ州を中心にバスク自治州、ナバーラ州、カスティーリャ・イ・レオン州にも少しエリアをもつ産地です。


サブゾーンは、エブロ川上流にあるリオハの中心地リオハ・アルタ、バスク自治州のアラバ県にエリアを持つリオハ・アラベサ、エブロ川下流でナバーラ州にまたがるリオハ・オリエンタルの3つに分かれます。(2018年までは下流であることから下の意味を持つバハが使われたリオハ・バハでしたが、良いイメージがないからか変更されました)


ローマ帝国時代からワイン造りが行われていましたが、本格的に名が知られるようになったのは19世紀。フランスのフィロキセラ禍にボルドーの多くのネゴシアンがリオハにワインを求め、この時期に醸造技術が上がり、品質向上につながりました。


その後、原産地呼称DOを1925年にスペインで最初に取得し、1991年に現在の特選原産地呼称DOCaに昇格しました。


そのようなリオハで語らずにいられないのは、熟成期間によって分けられるカテゴリーです。


赤ワインは最低24か月、そのうち12か月は225ℓのオーク樽で熟成、白、ロゼワインは最低18か月、そのうち6か月オーク樽熟成したワインがクリアンサ


赤ワインは最低36か月、そのうち12か月のオーク樽熟成、最低6か月の瓶内熟成、白、ロゼワインは最低24か月、そのうち6か月オーク樽熟成をしたワインがレセルバ


赤ワインは最低60か月、そのうち24か月はオーク樽で熟成、24か月の瓶内熟成、白、ロゼワインは最低48か月、そのうち6か月オーク樽熟成したワインがグランレセルバ


この3つのカテゴリーは熟成期間など異なりますが、スペインの他のワイン産地でも採用されています。


またこれらはあくまで最低期間であり、規定ギリギリの期間で造った低価格のグランレセルバや、瓶内熟成の期間は最低期間でも樽熟成が長い高品質なレセルバなど、一概にもグランレセルバだから良い、といえないところも面白いです。


そして、近年は高価格帯でも瓶内熟成を行わずカテゴリー無しで市場に出ているワインも多く、これらのカテゴリーの今後が気になるところであります。


また、リオハのエリア内でも、DOカバの認証でスパークリングワインを造っていましたが、それとは別に新しいエスプモソ・デ・カリダのカテゴリーを作りました。

製法は瓶内二次熟成で、最低15か月の瓶貯蔵熟成期間でありますが、24か月以上でレセルバ、36か月以上でグランアニャーダを名乗ることが出来ます。


ここまでリオハの産地を紹介してきましたが、そのようなリオハでお勧めしたいワインは、ビーニャ・トンドニア・ティント・レセルバです。



生産者: R López de Heredia Viña Tondonia /R ロペス・デ・エレディア・ビーニャ・トンドニア

ワイン名: Viña Tondonia Tinto Reserva /ビーニャ・トンドニア・ティント・レセルバ

葡萄品種: Temprenillo(75%),Graciano(15%),Garnacha y Mazuelo(10%) テンプラニーリョ、グラシアーノ、ガルナッチャ、マスエロ

ワインタイプ: 赤ワイン

生産国: スペイン

生産地: DOCa Rioja /リオハ

ヴィンテージ:2008

インポーター: 株式会社サス

参考小売価格:8000円


リオハ・アルタの中心地アロにあるこのボデガは、1877年創業。オーク樽で発酵後、アメリカンオークで72か月間という長い年月熟成させ、レセルバ規定の6か月間瓶内熟成後リリースされます。

スペインの赤ワインはしっかりフルボディなイメージが多い中、アルコール度数も13%と決して高くはなく、熟成感のあるやわらかなタンニンとエレガントな酸があるため、お客様に飲んでいただいた後には、スペインワインのイメージが変わったというお言葉をいただいたこともあります。

近年はエレガントな内陸部のガルナッチャや北西部のメンシア、さらにはカナリア諸島のワインも注目されていますが、このようなリオハのワインの存在も忘れてはいけないと日々考えております。


リオハを含め多くの産地で様々な規定が年々変わり、その中で新しい産地やワインがどんどん出てくるスペイン。


しかし残念ながら、まだ認知度が高いとは言いづらいスペインワイン。それらにも対応しながらも、今回のような昔ながらのワイン造りを守る生産者の良さも伝え、少しずつでも広めていけたらと思います。


〈プロフィール〉

鎌田 昌之 (カマダ マサシ)


1990年 京都 伏見生まれ

大学時代のスペインへの語学留学で、スペインワインの美味しさを知る。

大学卒業後はインポーター2社で働き、2017年にスペイン・サン・セバスティアンにある料理大学バスク・クリナリー・センターの、ソムリエとワインマーケティングのマスターコースに入学。同年、コース初のアジア人として卒業。

スペインではセビージャのDelatierra、マドリッドのEnoteca Baroloにて職場研修後、ワーキングホリデーを利用して、サン・セバスティアンワインショップのn.06で勤務。

2020年より東京・六本木にあるスペイン料理店「フェルミンチョ」にて勤務。



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