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ガリシアの隠れた銘醸地

今回紹介するワインは、アデガ・マヌエル・フォルミーゴのフィンカ・テイラです。


生産者: Adega Manuel Formigo/アデガ・マヌエル・フォルミーゴ

ワイン名: Finca Teira/フィンカ・テイラ

葡萄品種: Treixadura70%,Godello20%,Torrontés10%/トレイシャドゥーラ、ゴデージョ、トロンテス

ワインタイプ: 白ワイン

生産国: スペイン

生産地: DO Ribeiro/リベイロ

ヴィンテージ:2015

インポーター: 株式会社仙石

参考小売価格:2500円


こちらのワインの産地はRibeiro(リベイロ)という、スペイン北西部のガリシア州の内陸部に位置するエリアです。

ガリシア州のワインというと、上質な白ワインを造るDO Rías Baixas、メンシアというブドウ品種で知名度を上げたDO Ribeira Sacraといった産地を思い浮かべる方が多いと思います。

今回取り上げるDOリベイロは、ガリシア州内ではもちろん、スペイン国内でも、実は深い歴史のある産地の一つです。


原産地呼称も、熟成赤ワインで有名なDOCa Rioja、シェリー酒の産地として知られるDO Jerez-Xérès-Sherry y Manzanilla-Sanlúcar de Barramedaと並んで、1930年代には既に認定されていました


ワインの生産もローマ帝国時代にまでさかのぼり、中世においてもイギリスに輸出されていたことや、大航海時代には新大陸に渡ったことがあるという記述や供述があります。

しかし、1588年の「アルマダの海戦」でスペインの無敵艦隊が敗れた後は世界に出ることがなくなりました。さらにその後、世界的にも流行ったフィロキセラによって土着品種のほとんどが絶滅し、他のブドウ品種を植えたことにより品質の低下が起きたと言われています。


現在は、土着品種再生の動きにより、ガリシア州の中でも、DO Rías BaixasやDO Ribeira Sacraに負けずとも劣らない、見事なワインを造っています。

リベイロでは、トレイシャドゥーラというブドウを使った白ワインを多く造っています。現在はトレイシャドゥーラ100%のワインも見られますが、トレイシャドゥーラ単体では酸味が強いため、リアス・バイシャスやポルトガルでも栽培さられているアルバリーニョや、近年注目を集めているゴデージョをはじめとしたブドウ品種をブレンドして、酸を調整しながら造るスタイルが主流となっています。


リベイロの葡萄畑の様子


今回紹介するフィンカ・テイラも、トレイシャドゥーラを主体とし、ゴデージョとトロンテスというブドウを使っています。

トロンテスというブドウは、トレイシャドゥーラに次いでリベイロでは2番目に多く植えられているブドウです。主要品種としてはあまり使われませんが、補助品種として軽やかさと華やかな香りをワインに加えることが出来ます。


このワインを造っているボデガ、マヌエル・フォルミーゴはオーナーの名前でもあり、名字のフォルミーゴというのはガリシア語で蟻を意味しています。

そのため、こちらで造っているワインのエチケットには蟻が書かれているのも特徴です。


相性の良い食材としては魚介類が挙げられますが、ガリシア州でよく食べられるカメノテやマテ貝といった食材と非常に相性が良いです。

学生時代から何度も訪れていたということもありますが、個人的に注目している産地の一つではありますので、これからの発展が楽しみです。



〈プロフィール〉

鎌田 昌之(カマダ マサシ)


1990年 京都 伏見生まれ

大学時代のスペインへの語学留学で、スペインワインの美味しさを知る。

大学卒業後はインポーター2社で働き、2017年にスペイン・サン・セバスティアンにある料理大学バスク・クリナリー・センターの、ソムリエとワインマーケティングのマスターコースに入学。同年、コース初のアジア人として卒業。

スペインではセビージャのDelatierra、マドリッドのEnoteca Baroloにて職場研修後、ワーキングホリデーを利用して、サン・セバスティアンワインショップのn.06で勤務。

2020年より東京・六本木にあるスペイン料理店「フェルミンチョ」にて勤務。


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