top of page

Search Results

空の検索で1006件の結果が見つかりました。

  •  「晴れの国」岡山を体現するワイン

    「晴れの国、岡山」。晴れの日が多く温暖な気候を生かして、様々な農産物で全国有数の質の高い農業が営まれます。清水白桃やマスカット、ピオーネは栽培面積、品質とも全国一を誇っております。 そんな果物王国の岡山県に、 2016年、domaine tetta が新見市哲多町の山間に誕生しました。ここでは、 栽培から醸造、熟成、瓶詰めまで一貫して行われます 。耕作放棄地になってしまっていた葡萄園に、「美しい葡萄の景色を取り戻したい」と地元新見市ご出身の高橋竜太氏がワイナリーを創業されました。初めは作った葡萄を山梨や長野のワイナリーで委託醸造されていたそうです。2017年にdomaine tettaとしてファーストヴィンテージがリリースされました。 岡山県新見市哲多町は平均気温13.7度、平均降水量1,522mmと 日照時間が長く 、 日本の中でもワイン造りに適した場所だと言えます 。晴れの国岡山とは言えど、 降雨量はしっかりあるので全ての葡萄に雨除けを設置 。葡萄畑には斜面の谷から風が常に吹き抜け、その風が病害を防いでいます。何より特筆すべき点は、地質が 石灰質土壌 である事。ワイン用の葡萄栽培にはやせた土壌が向き、日当りと水はけの良さ、蓄熱性が高い土壌が理想です。石灰質土壌は世界的に見てもわずか7%しかなく、その半数がフランスにあるとされ、シャンパーニュやシャブリなどワインの銘醸地にも似た水捌けの良い土壌だと言う事が出来ます。 新見市内の大半が石灰岩質のカルスト大地に位置しており、古くから地場産業として石灰業が盛んに行われておりました。市内にはおよそ20もの石灰関連の企業があり、街中の至るところに石灰岩や、石灰鉱山を見ることが出来ます。domaine tettaの葡萄畑にも、石灰岩の露出を見ることが出来ます。葡萄栽培にも恩恵を与えている、数億年前に堆積された貴重な大自然の産物はあまりにも壮大で、畏敬の念を抱かずにはいられません。 ワイナリー内は自然の重力で葡萄を移動させる グラビティフローシステム を採用し、発酵は極力自然発酵。ワインは旨味や香りを除去しないように極粗目のフィルターで濾過されます。 亜硫酸塩(*1)の添加は無添加か極少量 で、ワインの貯蔵には石灰岩の採掘トンネルを天然の貯蔵庫として活用されております。 生産者: domaine tetta / ドメーヌ テッタ ワイン名: Bonbons Colorés Rosé / ボンボン コロレ ロゼ 葡萄品種 :安芸クイーン 75%、 マスカット・ベーリーA 16%、シャルドネ他 9% ワインタイプ :ロゼワイン 生産国 :日本 生産地 :Okayama / 岡山県 ヴィンテージ :2019 参考小売価格 :¥2,300 「ボンボン コロレ ロゼ」は、 カラフルなロゼキャンディー という意味で、甘くチャーミングな香りが大変特徴的です。岡山県で多く栽培されている「安芸クイーン」を主に使用し、樽熟成されたマスカットベイリーA、少量のシャルドネを見事にアッサンブラージュ(*1)。巨峰同士の交配から生まれた安芸クイーン由来のラズベリーやザクロの香りはとてもフルーティで、味わいはとてもシャープ。パイナップルやオレンジなどのトロピカルなフレーバーはまるでフルーツバスケットの様です。それは果物王国・晴れの国岡山を体現しているかの様です。 山間部であるゆえ寒暖差のある気候と、地質的にもワイン作りの条件が揃ったdomaine tetta。創業当時、荒れ果てた葡萄畑を再生する中で、土を掘り起こしている時に出てきたシンボルであるパンダはとても大きく、誇らしそうに佇んでいました。 (*1)亜硫酸塩:一般的に酸化防止剤とも呼ばれる添加物 (*2)アッサンブラージュ:フランス語でブレンドを意味する <ソムリエプロフィール> 藤原 龍 / Ryo Fujihara アマン東京 ソムリエ シンガポール「WakuGhin」や「ジャンジョルジュ東京」など、国内外のミシュラン星付き名店を経て、2018年より現職。 ホテル館内のイタリアンレストラン、鮨店、カフェや客室のワインリストを手掛ける。 日本酒にも傾倒し、その深い知見による酒ペアリングは内外からの信望も厚い。

  • 静かに再起する産地 ダオン <ポルトガル特集後編>

    ダオンは森に囲まれた静かな産地だ。

  • 頑張ろうピノ・ブラン

    私が栽培を開始した北海道北斗市の Due Punti Vineyards には、植樹本数の多い順にピノ・ノワール、シャルドネ、ツヴァイゲルト、メルロー、ピノ・グリ、ピノ・ブランを植えています。ただ 一番増やしていきたいのは現在一番少ないピノ・ブラン なのです。何年後かわかりませんが、いつか自身で栽培したピノ・ブランで魅力あるワインを造りたいと思っています。昨今、日本ワインを生産者として牽引されてきた先輩方のお陰でブドウの苗木は昔に比べると手に入れることのできる種類が増えたのですが、まだまだ手に入らない品種があり、また品種によっては手に入るクローンが管理されておらず、ピノ・ブランの植樹はなかなかできていません。 ピノ・ノワール(もしくはピノ・グリ)から突然変異した ピノ・ブランはその昔シャルドネと間違えられていたというくらい、影の薄い品種でした 。品種特性は樹勢が強めで、ピノ・グリやピノ・ノワールよりも生産力が高く、凍害にも強いですが、房はコンパクトになりやすく真菌系の病気に弱いのは難点です。 そんなピノ・ブランは冷涼な気候をメインに、世界中の至るところで植樹されています。アルザス、シャンパーニュ、ブルゴーニュ、イタリア北部、ドイツ各地、オーストリア、スイス、多くはありませんがニューワールドの国々にも。国別で見れば、恐らく ドイツ が最もこの品種を大切に扱っている国の一つで、他国では比較的酸味が溌剌とした早飲みタイプの辛口に仕上がっていることが多いようです。とはいえ今まで個人的に一番感銘を受けたピノ・ブランの一つは、オーストリア・ブルゲンランドのPrielerが造るドライなピノ・ブランでしたし、他の国にも飛び抜けた生産者は各所に存在しているはずです。 今回自身のピノ・ブランの経験のため飲んでみたのは、イタリアで赤よりも白ワインへの愛情が感じられる数少ない地域のひとつ アルト・アディジェ 、ここで名声を築いた生産者 カンティーナ ・テルラーノ です。この生産者はピノ・ブランというブドウ品種をワイナリーと地域にとって最も重要な品種の一つとして考えており、それが本格的な醸造スタイルにも反映されています。この品種に関しては3種のワインを展開していますが、最上級は2万円超えなので・・今回はまだリアルに買える価格である2つのレンジを比較して掘り下げていきたいと思います。 生産者 :Cantina Terlano / カンティーナ テルラーノ 生産国 :イタリア 生産地 :アルト・アディジェ ブドウ品種 :ピノ・ビアンコ インポーター :ヴィーノ フェリーチェ 価格 :①¥3,000 ②¥6,000 ①Tradition ピノ・ビアンコ 2018 ・収穫量 63hl/ha ・発酵  ステンレススティールタンク ・熟成  ステンレススティールタンクで澱とともに6ー7ヶ月 ・手作業で収穫され、自然なデブルバージュを経て発酵開始 ②Vorberg Reserva ピノ・ビアンコ 2016 ・土壌  砂質粘土で下層土には55-60%の石英岩、炭酸カルシウムがないため土壌pHはやや酸性より ・収穫量 52hl/ha ・発酵  70hlと30hlのオーク樽 ・熟成  澱とともに伝統的な樽の中で12ヶ月 ・穏やかな全房での圧搾から自然なデブルバージュを経て発酵 香りの強度はフレッシュで第一アロマ(レモン、ピーチ)が主体の①の方が強く、酸味についてもよりしっかりと感じます。②も第一アロマ(アプリコット、レモン)が主体なのですが、こちらの味わいには①にはあまりない、まさにフリンティ!(*1)な個性が紛れもなくあり、余韻がめちゃくちゃ長いワインです。熟成中の澱との長い接触の影響もあるかもしれませんが、こういった個性は、品種はともかく石灰質を豊富に含む土壌、もしくは今回のアルト・アディジェのような特定のスレートタイプ(*2)の土壌と深く関係していると推察できます。今回は同じ生産者のレンジ違いで比較してみましたが、①②それぞれしっかりとした個性があって、ピノ・ブランへの情熱を感じる仕上がりで魅力的でした。 ちなみに北海道で造っていきたいと思っている品種がゆえ、よく気候の比較もしていますので今回の比較資料も記させていただきます(*北斗市、シャンパーニュ地方Epernayは2018年データですが、カンティーナ テルラーノ付近のBolzanoのデータのみ平均データになっています)。 雨のデータからは日本でより良いブドウを造ることの難しさが想像できるし、温度のデータからは4月と5月の温度差から、 ブドウの活動開始時期が1ヶ月遅れるという北海道の特異な気候 がわかります。とにかくブドウ樹が雨を感じないような工夫が欲しいところ。ここ北斗市の畑の土壌は火山性の黒ボク土の表土と密度の高い粘土の下層であるため、これらの気候の違いと土壌の特徴がブドウの実に、ワインにどう影響するのか・・・。来年はいよいよ1500本ほどのピノ・ブランの植樹を予定しているので、北斗市での生育を注視していきます。植樹するクローンはD209というピノ・ブランの2つのスタンダードクローンの内の一つ(もう一つはFR70)で、房はコンパクトで病気にかかりやすいタイプです。現在病気に強く、またワインにした時にも品質の高いクローンをドイツとイタリアから数種類輸入交渉中で、こちらは来年うまく輸入できても、1000本超えて植えれるようになるのは8年後くらいでしょうか、気の長くなる話ですが是非トライしてみたいと思ってます。ともに頑張ろうピノ・ブラン! (*1)フリンティ:ワインのテイスティング用語で、「火打ち石」のような香りを意味する。 (*2)スレート:粘板岩の一種。ドイツのモーゼルがこの土壌で良く知られている。 <プロフィール> 井坂 真介 / Shinsuke Isaka DUE PUNTI株式会社 CEO 1985 鹿児島県生まれ兵庫県出身 学生時代のレストラン勤務時に飲んだアスティ・モスカートでワインの世界にエントリー。その後インポーターの営業とソムリエ業をそれぞれ大阪とロンドンで、またブドウ栽培・ワイン醸造をニュージーランド、イタリア、北海道余市町で経験。2020年2月北海道北斗市で独立し自社醸造を目指している。 J.S.A.ソムリエ、WSET®︎Advanced Certificate < DUE PUNTI株式会社 > ワイナリー運営のため北海道北斗市に設立(2020年2月)。2021年醸造開始を目標に現在準備中。自社畑は2020年に約1.2ha分を植樹。「品質ファースト」と「広い視野」というDue Punti(2つの点)を指標に自分でも毎日飲みたくなるようなワイン造り を目指す。

  • 小公子が放つ驚きのオリジナリティ

    以前勤めていたレストランに九州ワインの取り扱いが一本もなく、これはダメだと思い、ワイナリーを訪問して衝撃を受けた 安心院ワイン を紹介したいと思います。 九州というと 大分 の「 安心院葡萄酒工房 」、 熊本 の「 菊鹿ワイナリー 」、 宮崎 の「 都農ワイナリー 」が有名で、それぞれ違ったスタイルのワインを手掛けられていますが、今回は大分県宇佐市、安心院町にある安心院葡萄酒工房の「 小公子 」をお勧めします。 安心院葡萄酒工房がある大分県宇佐市は、九州で最も社格の高い官幣大社で全国に40,000社ある八幡さまの総本宮の宇佐神宮が最も有名ですが、近隣には温泉もたくさんあり、景勝地の耶馬溪など観光地として有名です。郷土料理には宇佐唐揚げ、とり天、日田焼きそば、豊後牛、大分県まで広げると関サバ、関アジなど海の幸も有名です。 安心院葡萄酒工房は年間約15万本(うちスパークリングワイン5万本)生産する九州を代表するワイナリーで、寒暖差が激しく、季節雨が吹き下ろす自然豊かな盆地に位置し、葡萄畑の標高は200m~300mで自社畑は3.3ha。葡萄の樹は全て 短梢のコルドン (*1)で レインカット (*2)が施されている。大分でフィロキセラは今の所確認されていないが、台木は101系、3306、3309、Teleki5BB等様々なタイプを使用している。 現在、自社畑にはシャルドネ、小公子の他、ノートン、タナ、ピノタージュが植えられているが、今後15ha畑を増やし、ピノ・ノワール(777、667、MV6)、ビジュノワール、ヴィダル、メンシア、カベルネ・フランが植えられる予定で、九州でこれらの葡萄からどの様なワインが誕生するのか今後も目が離せない。 安心院葡萄酒工房は自社畑の葡萄と約40の安心院町内の契約栽培農家から仕入れる葡萄から、品種の個性を活かすワイン造りをコンセプトにされているので、どのワインも一貫して品種のキャラクターが綺麗に現れている。 シャルドネの畑 興味深いのはシャルドネから造られるワインで、早摘みのシャルドネにリザーヴワインを加えて1年以上寝かせ、ドサージュは毎年変わるが2~3gとかなりドライに造られる最も有名なスパークリングワインは日本ワインコンクールで数々の賞を受賞しているし、安心院町の松本地区のイモリ谷で生産されたシャルドネからは樽発酵、樽貯蔵しシュールリーの状態で造られる白ワイン、 嚆矢 (こうし)という名のついた新しい取り組みの一環として手掛けられたオレンジワインなど、様々なスタイルのワインがシャルドネから造られているし、今後は単一畑のキュヴェも登場するかもしれない。 生産者 :安心院葡萄酒工房 葡萄品種 :小公子100% ワインタイプ :赤ワイン 生産国 :日本 生産地 :大分県 ヴィンテージ :2018 参考小売価格 :4,008円(税込) 今回特にお勧めの 小公子 は山ブドウの研究家、 澤登晴雄 氏が様々な山ブドウを交配して日本で造られた、収穫時期の早い葡萄品種。自社畑の窪みの区画に植えられ近年は4月に霜が降りるので空気を循環させるため水を撒き、芽を凍らせるなどして対策をとっている。 最新の圧搾機により綺麗な葡萄ジュースが採れるのでピュアなワインが出来るようになった そうだが、ワインの色調は深みのある濃い赤色で、カシスやプラムなどの力強い果実の香りにすり潰したブラックペッパーなどのスパイス、タバコや土っぽい香りが複雑性を与えています。空気に触れさせると、なめし革や紅茶のような香りも現れ、全体的に芳香豊かで濃縮感のある印象を受けます。味わいは、力強く口いっぱいに豊かな広がりを感じ、キレイな酸味が味わいにきめ細かさと緻密を与え大変心地よく、 国際品種とはスタイルの違うオリジナリティのある味わい です。小公子でこの様なワインが出来るなんて!と驚かれる方も多いと思います。 小公子の畑 大ぶりのチューリップグラスで、塩でいただく豊後牛と合わせるとぴったりですし、ワイン単体で小公子のキャラクターを楽しむのも良いでしょうし、お祝い事にもお勧めのワインです。 九州で、しかも小公子でこの様な素晴らしい赤ワインが造られているのかと思わず嬉しくなる様な一本。 是非一度お試し下さい! (*1)コルドン:葡萄樹の伝統的な剪定手法の一つ (*2)レインカット:文字通り「雨除け」。ヨーロッパでは禁止されている産地もあるが、雨の多い日本では一般的に採用されている。葡萄の房ごとに傘をかける「傘かけ」よりも効率が良い。 <ソムリエプロフィール> 千々和 芳朗 / Chijiwa Yoshirou ホテルニューオータニ博多 カステリアンルーム ソムリエ 1979年福岡生まれ。大学を卒業後グランド・ハイアット福岡に入社し、様々なレストランにてソムリエとして研鑽を積み、2019年7月より現職。 JSA日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ、ASI国際ソムリエ協会認定ディプロマ取得。 第一回ボルドー&ボルドーシュペリュールソムリエコンクールファイナリスト 第二回ボルドー&ボルドーシュペリュールソムリエコンクール準優勝 <ホテルニューオータニ博多 カステリアンルーム> 1978年に創業した歴史ある老舗ホテルのメインダイニング。長年にわたりストックされてきたワインや毎月開催されるワイン会やメーカーズディナーを求めて全国からワイン愛好家が集うフランス料理店。

  • シャンパーニュにおけるグレートヴィンテージの考察 ①

    ワインに関して良く言われるのが、グレートヴィンテージとオフヴィンテージの違い。 世界中を取り巻く天候や気候によってその年の出来を判断し、ワインと共に語られていく。  勿論、私たちソムリエもこの評価を参考にし、ゲストから頼まれたワインをセラーから出すまでに、今までの知識と経験からグラスの形状や提供温度を導き出し、その溝を埋めるかのように情報をアップデートし記憶に刻んでいっていると思います。 シャンパーニュでも、近年では 1990年 , 1996年 , 2002年 , 2008年 というように語り継がれる程のグレートヴィンテージがあり、実際数々の素晴らしいシャンパーニュに出会う事が出来ました。 正直、評価には諸説があり、生産者やワイン評論家がおっしゃっている事がソムリエの根幹にあるので、異論を唱えるつもりは全くございません。ただ、今回 私の中でモヤモヤしているヴィンテージがあったので少し自論も含めてご紹介 を。 "1995年"と"1996年"のヴィンテージシャンパーニュに関して 言わずもがな、 1996年 は素晴らしいヴィンテージです。この年は-20℃まで下がる地域があるほど冷え込んだ2月を迎えましたが、6月には最高の開花を迎え、9月の雨を乗り切り素晴らしい状態で収穫を迎える事が出来ました。 Chardonnayの品質が特に優れていた年 であり、 酸の成熟度から1928年以来の、20世紀で最も偉大なヴィンテージになると期待されています 。 続いて 1995年 。4月〜5月に遅霜の影響でダメージを受けた地域もあったが、6月16日の開花以降順調に成熟してゆく。暑い夏と少ない雨によって酸の乗った熟度の高いブドウを収穫出来た年であり、古典的なヴィンテージとなりました。 1996年と1995年、どちらもブドウの成熟に関して素晴らしい状態であるのは間違いないですね。 現時点で20年以上経っているヴィンテージシャンパーニュですので、すべてを比較する事は難しいのですが、 1996年 はSALON(サロン)やPascal Doquet(パスカル ドケ)等、シャルドネが素晴らしい生産者に関しても" 刺すような酸味 "が抜けておらず、元々のブドウのポテンシャルが高くない生産者に至っては、酸味と熟成感がどちらも激しく主張しており、 違和感を感じてしまうものさえありました 。 逆に、 1995年 は 飲み頃のピークが長く 、私が在籍していたL'orgueil(オルグイユ)で感じた印象と現在抜栓して提供している印象に特段のズレが生じず、 安心してアプローチ出来る印象があります 。 特に Andre Beaufort (アンドレ ボーフォール)の1995年は私の人生の中でもTOP 5に入る程感動した事を今でも覚えています。 その時のコメントを走り書きですが、記載しておりましたのでご紹介させて下さい。 " 輝きのあるゴールデンイエロー。粘性が強く果実の凝縮度が伺え、きめ細かい泡が規則的に続いている。 パティスリーに入ってきたようなフルーツフレーバーに甘いバニラ、バターやナッツの混在した状態。熟成からくるモカフレーバーも心地良い。抜栓直後から開いており親しみやすく、液体としての完成度が非常に高い。 力強い凝縮度の高いアタック。上品な酸と果実の甘さが鼻を抜ける。中盤からアフターにかけては芯のあるしっかりとした酸が骨格をつくり長い余韻につなげている。 勿論、今から楽しめる1本だが、10年後の変化が楽しみで仕方ない" いやぁ…これを飲んだ時は正直カミナリが落ちたような衝撃を受けました。 Andre Beafortは元々個人的に好きな生産者でありましたが、パックヴィンテージでも飲み頃を捉えるのが非常に難しかったのです。 これは単に熟成の年数だけではなく、素晴らしいヴィンテージと素晴らしい生産者が組み合わさる事で、無限の可能性がある事を再認識出来た一例だと考えております。 その他にもシャルドネ100%のシャルル エドシックのブラン デ ミレネール1995であったり、王道のドンペリニヨン1995であったり、予想を遥かに越えてくる素晴らしいシャンパーニュに幾つも出会ってきました。 ワインは嗜好品ですし、ヴィンテージ一つで語れない事も多いと思います。 生産者の想いや保管状態等、あらゆる要因が重なって一つのワインが何年もの間熟成の時を経ているので、ゲストが(自分も)ワインを飲む際、最高の瞬間になるようソムリエも研鑽していかなければいけないですね。 --- 余談ですが、先日、お客様に提供したシャンパーニュが思いの他香りと味わいのズレが大きく…私の中でも納得出来なかったのでゲスト了承の下 カラファージュ してみたら、ことのほか素晴らしい液体に変化し大満足でお帰りになられた事例がありました。 と、同時に様々な概念にとらわれず向き合って本当に良かったなぁと思った瞬間でもありました。 マニアックではありますが、可能性が感じられたので引き続きデータをとっていこうと思います。 もし、シャンパーニュのカラファージュに興味がある同志がいましたら、今度検証しましょう!未来の可能性に乾杯!! < Andre Beaufort > 生産者: Andre Beaufort / アンドレ ボーフォール ワイン名 : Grand Cru "Ambonnay" Millesime Brut / グラン クリュ アンボネイ ミレジメ ブリュット 葡萄品種 :Pinot Noir, Chardonnay / ピノ ノワール, シャルドネ ワインタイプ :Champagne / シャンパーニュ 生産国 :France / フランス 生産地 :Champagne / シャンパーニュ ヴィンテージ :1995年 アルコール度数 : 12.0% インポーター :Terra Vert 参考小売価格 :¥40,000前後(2017年当時) 1969年よりシャンパーニュで一早くビオロジックを導入。一切の農薬を排除した葡萄栽培と瓶内2次発酵も天然酵母のみで行うなど、独自の手法から生まれる個性派なシャンパーニュメゾン。アンボネイに1.6ヘクタールとオーブ県のポリジィに4.5ヘクタールの畑を所有。 <ソムリエプロフィール> 安藤 修 / Osamu Ando キンプトン新宿東京 / KIMPTON SHINJUKU TOKYO Beverage Manager / Hotel Head Sommelier 1987年 東京生まれ。 2006年 日本大学文理学部体育学科 卒 サーヴィスの楽しさに開眼し、スポーツ関係のキャリアを諦め現在に至る。 ビバレッジに興味を持ったきっかけは、意外にもワインではなくコーヒー。 “Streamer Coffee Company”のラテア―トに感動し、本格的に学び始め、2014年にはレストラン業界では数少ないAdvanced Coffee Meister ( No.0101 ) を取得。 様々なレストランにてサーヴィス、ソムリエとして研鑽を積む。

  • シャンパーニュの味わいにおけるドサージュの面白さ

    近年、シャンパーニュの多くの生産者が Extra brutや Brut Nature を手掛けています。 その理由は 気候変動だけではなく、人々のライフスタイルの変化など多岐にわたる のですが、ドサージュはシャンパーニュの味わいにおいて、 歴史的にもその流行を生み出してきた重要な一つの要素でもある のです。 シャンパーニュの歴史の細かい部分については省略させていただきますが、フランス革命後に、ナポレオンがシャンパーニュを世界的に広めたと言っても過言ではないでしょう。 「シャンパーニュは勝利に相応しく、敗北の時にこそ必要だ。」 この名言からも生粋のシャンパーニュ好きなことが伺えます。さて、この頃はシャンパーニュの透明度を高めることが品質の良さを決める重要なポイントでした。どうしても残ってしまう澱をいかに綺麗に取り除くことができるかが価格を左右していたのです。当時は澱を取り除くために古い瓶から新しい瓶に移し替えていたので、なんと半分ものシャンパーニュを失ってしまっていました。そこで、澱引きを簡単に行うためのピュピトルが ヴーヴクリコ で発明されることになります。クリコの従業員である アントワーヌ・ド・ミュレ が発案し、最初は机に穴を開けただけだったという逸話が残っています。 当時のヴーヴクリコの味わいはというと、澱引きで減ったシャンパーニュをブランデーシロップで補っていましたからとても甘口のシャンパーニュだったことが容易に想像できますね。 当時で1Lあたり150gのものドサージュ だそうです! ナポレオンを破ったロシア人将校に、ありったけのシャンパーニュを差し出していたマダムクリコの見事な手腕。甘口シャンパーニュは極寒の地ロシアの貴族たちの間で大流行するのでした。 そこから少し時が経ち、現在私たちが口にしている辛口のシャンパーニュがイギリス市場によって拓かれていくのです。当時甘口ポートがデザートワインとして定着していましたが、食事中でも楽しめるワインとして辛口のシャンパーニュが開発されていったのでした。 1856年に初めてBrutを出荷したのは実は ペリエジュエ でした。とはいえ、ドサージュは20g~22gだったそうで、 現在と比べて2倍近い糖分が含まれていた ことになります。 シャンパーニュにおけるドサージュの目的は大きく分けて二つあります。先ほど触れたように、デコルジュマンの際に目減りしてしまった分を補うということの他に、 味わいのバランスを調整するという重要な目的 があります。瓶内二次発酵が終わった段階のシャンパーニュは酵母が糖を食べつくしてしまっているので、残糖度はほんのわずかになっています。そこでドザージュをすることにより、繊細な味わいの調整を行うのです。今現在では、何をドザージュに使用するのかなど生産者の創意工夫により様々なアプローチがされています。 ドサージュに使用される、 門出のリキュール のレシピはあまり明かされることはないのですが、澱引きしたあとの同じワインにショ糖(cane sugar)やテンサイ糖(beet sugar)を混ぜて使われることが多いです。また小さな生産者の中には濃縮したブドウ果汁であるMCR(mout concentre et recutifie)を選択しているところもあります。しかし、最近の傾向として、コストや使い勝手の良さはあるものの、MCRの原材料がシャンパーニュ地方以外で生産されていることや、ワインの素材感に影響を与えてしまう点に難色を示す造り手も増えてきています。それにより、使用する素材など細部にこだわりコストをかけて、特別なリキュールを自家製で作っているところも増えています。 様々なスタイルのドサージュが生まれることにより、時代とともに味わいのバランスはより緻密で繊細になってきています。それはこれからのシャンパーニュがもっといろいろなシーンにより深く特化していける可能性をひしひしと感じさせてくれます。 さて、今回は敢えて、現在の甘口シャンパーニュをご紹介したいと思います。 <ワイン情報> 生産者 : Andre Beaufort /アンドレ ボーフォール ワイン名 :Polisy2002 Demi-sec /ポリジー2002ドゥミセック 葡萄品種 :Pinot noir80%・Chardonnay20%/ピノ・ノワール80%・シャルドネ20% ワインタイプ :シャンパーニュ 生産国 :フランス 生産地 :Ambonnay/ Montagne de Reims & Polisy/ Cote des Bar モンターニュ・ド・ランス地区/アンボネイ村&コートデバール地区/ポリジー村 ヴィンテージ :2002 インポーター :テラヴェール 参考小売価格 :\14,800(税抜) 今から4年前、 アンボネイ 村にある アンドレ・ボーフォール に訪問しました。お庭には可愛いガチョウたちが気持ちよさそうに闊歩していました。優しい笑顔で迎え入れてくれた、2代目 ジャックボーフォール は引退され、現在は兄弟9人でシャンパーニュ造りをされています。シャンパーニュにおけるビオティナミの始祖とも言われる、アンドレボーフォール。1969年より自然農法をスタートさせ、1971年に「Certipaq」からビオディナミを認定されました。1981年にはホメオパシーやアロマテラピーで自身のブドウ畑を管理、栽培していきます。化学肥料、除草剤、殺虫剤全般そして硫黄や硫酸銅なども一切使用していません。今はアンボネイ村に1.6ha、ポリジー村に4.5haを所有しています。 その畑はさまざまな草花や昆虫が共生し柔らかい土壌を造りだしており、自然を生かそうとする純粋な気持ちに溢れていることが伝わります。そんな2つの土壌で大切に栽培されたブドウは収穫後、ポリジー村で醸造されます。 彼らが特にこだわっているのが「 酸と糖 」のバランス。そして「 野生酵母 」のみでの発酵を行うということです。2代目ジャックの以前の時代から今現在も、とても重要なことのひとつなのは、ブドウの熟度と酸の残り具合だということです。この二つの要素がワインの骨格を決め、長期熟成を可能にするのだと考えられています。なので、他の造り手と収穫時期が異なってしまうことも多いとのこと。「重要なのは糖度ではなく、熟度と酸だ」との言葉どおり、PH3以下という高い酸度をもつブドウは結果的に、アルコール発酵、マロラクティック発酵を経ても十分な酸が残り、醸造中にSO2(*1)を加えなくともワインを酸化から守ることができるのだと教えてくれます。以前から、自然なワイン造りを志してきたので、この強い酸とバランスをとる為にドザージュを多くしていたそうなのですが、 ここ10年で収穫時期を見極めことで、酸と糖のバランスがより取れるようになってドザージュを昔より減らせるように変化してきています 。 そしてふたつ目のポイントである、発酵についてです。一次発酵は長期使用している古木樽で野生酵母のみで行われます。ポイントなのは二次発酵で、通常はティラージュ(*2)時に培養酵母を加えて二次発酵を行いますが、 アンドレボーフォールではティラージュ時に酵母の添加はしない のです。一次発酵後もわずかに残る酵母が活性化していれば、瓶内二次発酵時にブドウの濃縮果汁を加えるだけで自然に発酵が始まるので、自然酵母をしっかりと畑で育てることが重要になってきます。ただ、ヴィンテージによっては自然酵母の働きが弱く、二次発酵後のガス圧が1.2気圧ほどにしか上がらない場合もあるそうで、その場合は全てのボトルからワインを木樽に戻して活発な酵母を選び移すことでワインを活性化させた後、少量のティラージュをして瓶内第三次発酵をするそうです。全て手作業、そして自然酵母のみのワイン造りの厳しさが垣間見えます。年間生産本数は2500ケースのみのレコルタン・マニピュラン(*3)だからできるこだわりと手間のかけ方で、唯一無二のシャンパーニュを作り出しています。 私が今回ご紹介させていただいた、Polisy2002 Demi-secはポリジー村のブドウのみを使用しており、濃縮果汁を使って1Lあたり45gのドザージュをしているのが特徴的です。洋梨、オレンジのコンフィ、パイナップルなどのトロピカルフルーツ、ローズマリー、ヴェルヴェーヌ、ミントなど様々なハーブのアロマ。ドザージュの高さを感じさせない美しい酸が素晴らしく、たくさんの草花に囲まれているかのような余韻が長く包み込んでくれます。口福のマリアージュはハーブを使ったオリエンタルなタイ料理や、アルザス料理のベッコフ。デザートにはオレンジなどの柑橘をつかったショコラ、パイナップルケーキ、洋梨のタルトなどがおすすめです。あとおせち料理にも〇!つい甘口のシャンパーニュなんて!と敬遠してしまいがちですが、美味しいものが大好きな貴方にはきっと大人の愉しみかたができるはず。是非今だからこそ敢えてチャレンジしてみてはいかがでしょうか? (*1)SO2:亜硫酸、俗にいう酸化防止剤のこと。抗酸化作用と殺菌作用という二つの目的のために主に添加される。 (*2)ティラージュ:二次発酵の前段階として、ワインに糖と酵母を加える工程。 (*3)レコルタン・マニピュラン:葡萄栽培から醸造まで一貫して行う小規模生産者のこと。なお、シャンパーニュ生産者にとっての「小規模」は、他産地の生産者にとっては十分に中規模以上であることも多い。 <プロフィール> 近越 安那   1982年生まれ、石川県金沢市出身。 制作会社勤務を経て、飲食業界へ。 シャンパーニュバーの先駆けであるti quoiで2011年から約2年間勤務の後、2014年に独立。麻布十番にて完全紹介制のchampagne bar HACHI をオープンする。

  • 一周遅れのランナーか?それとも世界の最先端? <ポルトガル特集 前編>

    数年前に、 ダオン を代表する生産者である キンタ・ダ・ペラーダのアルヴァロ を訪問した時に連れて行かれたのが、街と森の境界線にある場所だった。周りを見回して驚いた。葡萄畑のようだが無造作に植えられたのか 樹間の統一性のかけらもなく、全ての樹は地面をうねり、ふたつとして同じ姿はない 。

  • プロのシャンパーニュの楽しみ方!

    こんにちは、恵比寿にあるワインショップ、WINE MARKET PARTY店長の沼田です。 今回ですが、少しだけ勉強になる「 プロのシャンパーニュの楽しみ方 」と、最近「 珍しい飲み比べ 」をしたのでレポートしたいと思います。 皆様はシャンパーニュを飲む際に何を見て飲んでいますか? 「ラベル?」 「生産者?」 「ブドウ品種?」 「ヴィンテージ?」 「地区?」 「特級村?」 色々な楽しみ方があると思うのですが、ここでは さらに一歩だけ突っ込んだシャンパーニュの楽しみ方 をご紹介していきます。 もちろん上記6つも大切、見るべき部分ではありますが、私自身は、それに加えて、 『原酒の年号』 『デゴルジュマン(*1)の時期』 『ドザージュ(*2)の量』 『瓶内二次発酵が王冠か、コルクか』 を確認して、考えながら飲んでいます。 ⓵『原酒の年号』 ラベルに年号の入ったシャンパーニュはその年の葡萄で造られていますが、ノン・ヴィンテージのシャンパーニュの場合、その中に何年の原酒が入っているか、気にした事はありますか? 大手メゾンなどの場合、大体3年~4年分の原酒をブレンド して造られており、ベースとなる 原酒が70%~90% 入り、 リザーヴワインと呼ばれる、ベースの原酒よりも古い原酒が10~30%% 入る事が一般的です。 リザーヴワインの量は生産者や年によって変わるのですが、例えば、2015年のベースとなる原酒が70%だとすれば、2014年、2013年、2012年のリザーヴワイン(ベースより古ければ全てリザーヴワインと呼ばれます)が30%、という形です。 古いリザーヴワインが入れば入るほど熟度も高く、色合いも濃くなり、味わいにも複雑さが出てきます。 最近は裏ラベルに細かく年号の記載をしてくれる生産者も増えてきましたが、大手メゾンでは書いてくれているのは稀、フィリポナなどはスタンダードクラスから「ベースの年号」と「リザーヴワインの%」等が記載されているので、写真を撮っておけば、同じ物なのかどうかの確認もできます。 いつも同じ生産者を飲んでいるのに「あれ?前回飲んだ時と微妙に味わいが違うかも?」、なんて思った時はベースの年号が切り替わっているかもしれません。 謎解きをしているようで、ちょっとワクワクしませんか? これでヴィンテージ・シャンパーニュと同じような楽しみ方がノン・ヴィンテージでもできますよね(私だけ?)。 ⓶『デゴルジュマンの時期』 出来立て、リリース仕立て、日本に届きたてのシャンパーニュを休ませずに飲むと、色々な要素がバラバラに感じる事がよくあります。 「泡立ちが強い」「酸が強い」「リキュール(*3)が馴染んでいない」「樽熟成した原酒の香ばしさが強い」など、バランスが悪い事が多いのですが、 デゴルジュマン後1年半~2年ほど経つと、良い意味で球体に近くなり、全てが馴染んでいきます 。 もっと時間が経つと香ばしいウェハースや栗きんとん、カラメルのような雰囲気となり、「熟成シャンパーニュ」として楽しく飲めると思います。 最近はデゴルジュマンの時期を裏ラベルに記載する生産者も増えてきたので、そのあたりを気にしながら買ってみるのも面白いのではないでしょうか? 大手メゾンでは記載が無い事も多いのですが、売れ残っている方がデゴルジュマンからの時間が経過し、美味しくなっている事があるので、私はワインショップや酒屋を巡っている時に気にするようにしています。 そこまで回転しないマグナムボトルやロゼ・シャンパーニュが狙い目だと思います。 仕入れる側、売る側としては、インポーターさんに入荷した時期やデゴルジュマンの時期を確認して仕入れて、一つの売り文句にしています。 勿論「若くて泡立ちが強い方が好き」という方もいるので、ここはお好みで。 ⓷『ドザージュの量』 近年は温暖化も進み、以前よりもしっかりと熟した葡萄が収穫されるようになったシャンパーニュ地方。 世界の流行と共にリキュールを添加しない ノン・ドゼ などの極辛口のシャンパーニュも多くリリースされてくるようになりました。 その葡萄、その土地本来の個性を味わえるノン・ドゼや ブリュット・ナチュール (0~2g/L)を買い、より深くその土地を知るも良し。 エクストラ・ブリュット やバランスの取れた ブリュット を飲んで、食前~食中に楽しむも良し。 苺や木苺などをグラスに入れて、 ドゥミ・セックやセック といったほんのり甘いシャンパーニュをプールサイドで楽しむのもアリだと思います(私みたいな昭和世代だと)。 ⓸『瓶内二次発酵が王冠か、コルクか』 ※今回のコラムでのメインはココ。 「瓶内二次発酵をコルクってどういう事?」と思われている方も多いと思います。 一般的に、シャンパーニュの瓶内二次発酵は「 王冠 」で行っていますが、完全に密閉され、泡立ちも力強く残り、味わいもフレッシュ。 二次発酵が終わった後、完全に密閉された王冠のまま置いておくと、酵母の香りは多少強くなりますが、酸素と触れ合って味わいの変化する「 熟成 」は緩やかです。 ですから、シャンパーニュは デゴルジュマンをした後、製品になってからが熟成 、と、私は捉えています。 勿論、「リリース直後が一番美味しいから、すぐに消費してくれ」といった生産者も多くいますが、私は、デゴルジュマンから2年程経過し、樽や泡立ちが落ち着き、果実とリキュールがうまく馴染み、角が取れて成長したシャンパーニュが好みです。 「 瓶内二次発酵をコルク 」で行うシャンパーニュは、王冠などが普及していなかった時代に行われていた古いシャンパーニュの製法。 コルクを打栓し、 麻紐 で結って二次発酵をさせ、終わった後はその紐と解いて自分の手で澱引きをするという、手間の掛かる造り方。 王冠と違うのは、二次発酵時にコルクを用いる為、「酸素をうまく取り込みながら二次発酵する」イメージです。 その為、熟成感のあるゴールドの色合いとなり、しっかりと酸も乗りながら、乳酸を感じさせるような円やかさも感じます、もう少し進んでいると優しいシェリーのような独特の風味も感じられます。 シャンパーニュとして出来上がった時点から美味しく飲めて、王冠二次発酵のクリーンなシャンパーニュとは一味違う、旨味のある味わい。 さて、この瓶内二次発酵をコルクで行っているとわかる点はどこでしょうか? それはボトルの瓶口です。 写真左側の王冠がはまるタイプのボトルが一般的ですが、 右側の瓶口のように王冠のはまらない形状のボトル を使用している生産者が稀におり、そういったシャンパーニュはほぼ上記に書いた通り、色合いが濃く「熟成感」が出ています。 こういったボトルを使っている有名な生産者ですと、今は無き アラン・ロベール や、 ボランジェのRD、アルフレッド・グラシアンのミレジム、ラリエのウヴラージュ、フルーリーのミレジム、ジャン・マルク・セレックのパルティシオン などが二次発酵時にコルクを使うボトルを用いています。 これは「この生産者のこのキュヴェはコルク栓二次発酵」と前以て知っていないと、『キャップシールを剥いてみるまでわからない』ので、普通に気にしていないとそんな所を見ないかもしれません。 圧倒的に出会う確率も低いので、シャンパーニュ好きであっても知らない、気にして飲んだ事が無い、という方もいるのではないでしょうか。 私は何気なく開けたシャンパーニュがこの瓶口の時『うぉ~、コルク栓瓶内二次発酵キター!』と、一人で盛り上がっています(笑) さて、ここまで書いたところで、ある程度味わいの違いはわかっていただいたと思いますので、私が実際に飲み比べたシャンパーニュを簡単にご紹介します。 長くなってしまったので簡単に・・・。 ★ボネール コレクション ブラン・ド・ブラン トリロジー 2008年 3本セット 生産者: ボネール ワイン名: コレクション ブラン・ド・ブラン トリロジー 2008年 葡萄品種 :シャルドネ100% ワインタイプ :泡(シャンパーニュ) 生産国 :フランス 生産地 :シャンパーニュ地方/アヴィーズ ヴィンテージ :2008 インポーター :㈱恵比寿ワインマート 参考小売価格 :3本セット ¥33,800円 ボネールは1932年に 特級クラマン村 に設立された生産者(RM)。 現当主、ジャン・ルイ・ボネールの奥様マリーは、元々ブージー村にて「ポール・クルエ」を運営、さらにマリーの姉は「アンドレ・クルエ」を営む生粋のシャンパーニュ一家。 栽培にはリュット・レゾネを採用し、豊富なリザーヴワインを用いた正統派ながらも贅沢なワイン造りを行っています。 このトリロジーは輝かしい極上ヴィンテージとなった2008年に特別なコンセプトで仕込まれたキュヴェ。 本拠地である特級クラマン村の最上の区画から選りすぐられたシャルドネを使用し『ステンレスタンク』『樽』で原酒を別々に熟成。 さらに『ステンレスタンク熟成』させた原酒を用いて『瓶内二次発酵をコルク』で行ったキュヴェを加えたブラン・ド・ブランの3本セット。 デゴルジュマンはどれも2017年4月、ドザージュも全て2.5g/Lというシャンパーニュです。 ●Grand Cru Vintage 2008 ♯1 ステンレスタンクで温度管理された状態により9か月間熟成。 岩塩のようなミネラル感と凍らせたレモン、ライムの皮を感じさせる爽やかなブラン・ド・ブラン。 ●Grand Cru Vintage 2008 ♯2 発酵後、205リットルのオーク樽を用い1年間の熟成を経て仕込まれたキュヴェ。 程良く香ばしい樽の風味、バターやナッツのような雰囲気を持ち、マーマレードのような少し厚めの果実味も感じる。 ●Grand Cru Vintage 2008 ♯3 ♯1と同じく、ステンレスタンクで9か月熟成された後、コルク栓による瓶内二次発酵&熟成を行って仕上げられたキュヴェ。 ほのかにシェリーのような酸化の要素のある風味がシャンパーニュに厚みを与え、頬を刺す酸味が心地よい1本です。 皆様の手元にも、同じ瓶口のシャンパーニュがあるかも?しれませんね。 とても楽しい飲み比べでした。 『原酒の年号』 『デゴルジュマンの時期』 『ドザージュの量』 『瓶内二次発酵が王冠か、コルクか』 そんな部分を気にしながら飲むのも、シャンパーニュの楽しみ方の一つ。 シャンパーニュ好きの方々と、早くワイン会などが気軽にできるようになると良いですね。 それでは。 (*1)デゴルジュマン:瓶口にゆっくりと集められた瓶内二次発酵の名残である澱を抜く工程。現在は一般的にこの工程は機械化されており、-27℃に液体に瓶口を浸して澱を凍らせたのち、抜栓して澱を弾き出す。ア・ラ・ヴォレという手作業の場合は、凍らせないが、熟練を要する作業となるため、安定性に欠ける傾向がある。 (*2)ドサージュ:シャンパーニュを最終的に打栓する前にリキュール(*3)を加えて甘味を調整する工程。 (*3)リキュール:門出のリキュールとも呼ばれ、多くの場合は、ワイン1ℓに対して、500~750g程度のサトウキビ由来の糖を加えたものが使用される。 <ソムリエプロフィール> 沼田 英之 / Hideyuki Numata WINE MARKET PARTY 店長 1978年東京生まれ。 ホテルのレストラン、バーで経験を積み、イタリアのトスカーナへ留学。 帰国後ホテルのフレンチレストランでソムリエとして従事し、フランスワインを勉強する為、2008年にフランスワイン専門店ラ・ヴィネに入社。2012年より姉妹店であるWINE MARKET PARTY店長として働く。飲食店へのワインリスト制作、料理研究家の方向けのワイン講師、企業向けのワインセミナー、個別のワインサロンなども多数行っている。 恵比寿ガーデンプレイスにあるワインショップ。100坪ある店内は常時1,200種類以上のワインを揃え、世界中のワイン、食品、雑貨、書籍などを取り扱う。 併設している姉妹店フランスワイン専門店ラ・ヴィネにはマニアックなフランスワインを含め1,000種類近いワインが並ぶ。 計2,000種類以上のワインが揃う、日本屈指の大型ワインショップ。 テイスティングコーナーも併設しており、常時25種類以上のグラスワインが楽しめる。

  • 選択 <循環の守り手として生きていく>

    2021年に入ってしばらく経過したが、長野は12月中旬の初雪から継続して雪が降り、畑は2月の中旬を過ぎても雪に覆われていた。日本都市部、世界各国、かわらず新型コロナウイルスの影響で苦しい状態が続いているが、今年はどんな年になるのか、昨年の自然災害、地球気候危機に直面している現状を考えながら、いま自分に何ができるか、何をすべきか真剣に模索している。 世界で多発する 自然災害 、現在危機を迎えている 気候変動 、これらは この地球に生きる全ての生き物にとって深刻な問題 だ。自然生態系における「 循環 」を崩す人間社会が存在する限り、そこで暮らす全ての人がこの問題に関係している。 今回は、この気候危機を改めて見つめ直し、環境破壊に大きな影響を与えている「農業」の在り方について考えていきたい。 2020年に発生した自然災害 昨年、世界各地で多くの自然災害が発生した。 ・ オーストラリア火災 (2019年9月から2020年2月) オーストラリア東部のビクトリア州とニューサウスウエールズ州をまたいで発生した大規模火災、消失面積10万㎢以上(※韓国面積 約10万㎢)、哺乳類、鳥類、爬虫類など10億以上の生命が失われたと推定、NSW州では約5万匹いたといわれるコアラの内、約3万匹が死んだと言われている。 ・ カリフォルニア火災 (2020年8月から10月) 相次ぐ落雷によってカリフォルニア州北部の別々の場所で発生した小規模の山林火災が燃え広がって大規模火災へと発展、2020年だけで8,200件、8,400戸を超える住宅が焼失し、消損面積16000㎢を超える大規模火火災となった。(※日本四国面積 1万8,000㎢)8月16日デスバレーで54.4℃、9月6日にはロサンゼルス郡で49℃など多くの地点で観測史上 最高の気温を記録。 ・アマゾン火災 7~10月の乾季山林火災、放牧地や畑を作るための野焼きを原因とするものが多発しているが、過去50年程で最悪とされる干ばつが山林火災を起こりやすくし被害を拡大させている。世界最大の湿原パンタナールでも、山林火災が多発し1月から9月中旬までにおよそ15,000件発生し観測史上最も多い約1万9,000㎢を焼失。アマゾンはブラジル国境を越えて広がるため、周辺国のベネズエラ、ボリビアでも山林火災が多発している。 ・ジャカルタ洪水(2020年1月) 一晩で400ミリ近い豪雨が降り、ジャカルタと首都圏全域で鉄砲水が発生し主要河川が氾濫。この豪雨によって、少なくとも66人が死亡し、約4万人が避難を余儀なくされた。 ・米国ミシガン州洪水(2020年5月) 州中央部のトライシティーズに大雨が降り、2日後にはミッドランド郡で大規模な洪水が発生。蓄積された雨水が河川や小川を増水させ、一帯を浸水させるほどの壊滅的なダムの損壊を引き起こしました。州政府はエデンビルとサンフォードの1万人以上の住民に避難命令。 ・中国洪水(2020年5月15日から7月) 中国の中南部で豪雨により発生した大規模な洪水。中国全土で130以上の河川が警戒水位を超えて、洪水による死者は少なくとも141名に達し、被災者数は7000万人以上に上った。毎年大規模な洪水が発生している中国だが、気候変動による極端な気象現象による洪水リスクは今後さらに高まる可能性が高い。 ・日本7月豪雨(2020年7月) 7月3日から7月31日にかけて、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で集中豪雨が発生、またその後7月25日の埼玉県三郷市の竜巻、7月28日からの東北地方での大雨により被害が拡大した。これらの災害を含めた被害は、8月4日現在で全国34県に及び、人的被害114名(死者82名、行方不明4名、負傷28名)、住家被害17,898棟(全壊272棟、半壊579棟、一部破損914棟、床上浸水7,756棟、床下浸水8,377棟)。 気象庁によると7月上旬降水量の総和、1時間50mm以上の降水が発生した回数が1982年以降最大、また3日から14日(12日間)の全国の総降水量が平成30年7月豪雨(11日間)を超えたとしている。 ・アフリカ 乾燥、洪水、バッタ大量発生による甚大な農業被害。これら多重苦による深刻な食糧不足、飢餓。 ・アメリカ・フロリダ州 遠くない将来、気候変動の影響で、洪水の増加や土地の水没が予想される。 かつてならば100年に1度と呼ばれた類いの異常気象が毎年、世界各地で起きるようになっている。 これら自然災害の大きな要因がCO2増加による 地球温暖化、気候変動 であるのは言うまでもない。 なぜ地球温暖化が進むと、こうした異常気象が増えるのだろうか? それは、 温暖化で暖められた陸や海から蒸発する水分、大気中の水蒸気が極端に増える事によって起きている 。 通常、陸や海からは水分が大気中に蒸発し、やがて雲を作り雨になって循環している。ところが温暖化が進むと蒸発する水分が大気中に大幅に増え、それが豪雨をもたらし、洪水や土砂崩れにつながる。一方で水分を奪われた陸地では乾燥化が進み干ばつや火災のリスクが増す。さらに海水が蒸発する時に奪う熱が形を変えて大気を運動させるエネルギーになるため、台風などの暴風雨が強く発達しやすくなる。 このように温暖化が進むと猛暑だけでなく、雨が降る所では豪雨災害が深刻化し、降らない所では干ばつが深刻化と両極端な現象をもたらしやすくなると考えられている。 プラス1.5度 ご存知の方もいると思うが、これは温暖化の連鎖が止められなくなる温度のことで、産業革命前からすでに1度上昇している地球の平均気温が、もし今後1.5度を超えてさらに上昇すると、北極の氷の融解が止まらなくなり温暖化が加速し、それによってシベリアの永久凍土もとけ、温室効果ガスのメタンが放出、さらにアマゾンの熱帯雨林が消失するなどしてドミノ倒しのように気温が上昇し続け元に戻れなくなるという指摘だ。ポツダム気候影響研究所 共同所長 ヨハン・ロックストローム氏は早ければ10年後にも1.5度に到達すると警告している。 「温暖化時計」 https://www.mcc-berlin.net/fileadmin/data/clock/carbon_clock.htm 日本メディアではあまり報道されていないため危機感がなかなか生まれない状態だが、実際に「気候危機」はすでに始まっており、近い将来、人間の力では止められなくなってしまう可能性すらある状況だ。 私たちの住むここ 日本は、世界で2番目に気候変動のリスクを負う国 だそうだ。島国である日本は海面上昇によって多くの場所が冠水するとも言われている。今後の台風巨大化、豪雨被害拡大、漁業、農業への影響、低食糧自給率による食糧危機など、大きな被害が出る可能性は高い。 しかし、世界では二酸化炭素排出量が毎年増え続けている。日本を含む排出量上位5カ国だけで、 世界全体の60%近く の二酸化炭素を排出している。 工業 14世紀イギリス工業発展 による 石炭使用、 18世紀 半ばから 19世紀 にかけて起こった 産業革命 (工業化)以降の更なる 石炭の大量使用による大気汚染、19世紀半ばから20世紀初頭 (第二次産業革命) 石油燃料を用いた重工業の機械化・大量生産化、20世紀末の冷戦終結後 に急速に進んだ経済のグローバル化による市場規模拡大による 二酸化炭素排出量の激増 。産業革命以降、特に第二次世界大戦後の人類の経済活動の急成長に伴って環境への負荷も急激に増大している。 農業 第二次世界大戦後 (1945)の本格的な 化学合成農薬の利用開始 (ハーバー・ボッシュ法による窒素肥料合成の本格化と余剰窒素による環境汚染)、「 緑の革命 」( 1940年代 - 1960年代 )による 化学肥料 の大量投入 、 1970年 に アメリカ 企業の モンサント が開発した 除草剤 グリホサート (商品名: ラウンドアップ )の普及。現在の窒素肥料依存。それらによる生態系への悪影響、地下水河川や海洋汚染。 気候変動の大きな要因となっている 酪農、畜産 から発生する メタンガス 。人間が食べる食肉の飼料を栽培する為には広大な土地が必要となり、それが森林伐採、野生地への侵入と生息地破壊を引き起こす。二酸化炭素を吸収、酸素をつくり出してくれる自然植物や野生動物の生息地を破壊してまでして作っているものが食肉用の飼料。 世界中に飢餓で苦しむ人が多くいる中、信じられない世の中だ 。 人間圏の圧力に悲鳴をあげはじめている地球生命圏の声が、天空から海原から、そして大地から聞こえてくる。 天空からは温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、大気汚染などの悲鳴が、海原からは冨栄養化、エルニーニョ現象、赤潮、青潮、原油汚染、浮遊物汚染、海面上昇などの悲鳴が,大地からは土壌侵食、砂漠化、重金属汚染、地下水汚染、熱帯林の伐採、鳥インフルエンザなどの悲鳴が聞こえてくる。地球生命圏ガイアの悲鳴は、いまや慟哭に変わりつつある。 (陽 捷行氏) 世界の人々へ食糧を供給している農業だが、実際には自然環境へ大きな負荷をかけているという事実がある。 SommeTimesの記事をお読みになっている方々の多くは、ワインに大きな関心をもたれている方々だと思うが、 ワインも然り、大規模生産によって地球に大きな負荷をかけながら、持続不可能なブドウ栽培を行っている生産者も多く存在する 。 ワインはあくまでも嗜好品。人々に感動を与える素晴らしい飲み物ではあるが、極端に言えばアルコールがこの世に存在しなくても人間は生きていける。そう考えると、 絶対に必要でないものを生産する為に、地球を汚染し、負荷をかけてまで作る必要があるのだろうか ?とも思ってしまう。 化学農薬、化成肥料、除草剤、灌漑でブドウ(植物)を育てる事は比較的簡単だ。しかし本来、自然に存在する植物は自らの力で生育する。森に育つ植物達がまさにそうだ。 植物は太陽光、二酸化炭素、水をもとに 光合成 により 自分が生きるための養分(糖)はつくり出すことができる 。この糖をもとに植物のからだをつくる細胞(タンパク質や炭水化物)を合成するが、しかし、そのために必要な 窒素やリンなどを自らの力で直接吸収する事ができない 。この植物の必要物質を吸収できる状態にしてくれるのが 土壌中にいる微生物 であり、 植物は微生物に糖や有機酸を与え共生している 。土壌中に微生物が豊富に活動出来る土壌環境(有機物含む)があり、太陽、空気、水があれば植物は大きく生長出来るということだ。 植物が根の先端から有機酸を出しながら土の表層(作土)にたくさんの根を伸ばしていくと、土壌微生物が根の周囲に集ってくる。その微生物と植物の根が土中で繋がり共生関係を結ぶ事によって植物は自分の根が届く範囲よりも広範囲から養水分を集めることも可能になる。通気性がよく、適度な水分を含む団粒構造の土には多くの微生物と植物の根がお互い活発に活動しあい養分のやりとりを行っている。 目に見えない土壌の中はまるで小宇宙、様々な活動がドラマチックに展開されている。 かたや、 効率重視の大量生産を行う現場では、除草剤、化成肥料の大量使用により雑草一つ生えていない、まるで砂漠のような土で植物が栽培されていることもある 。雑草対策のための除草剤散布により土壌中の微生物の数や種類は激減し、植物はその少ない微生物から必要な養分を充分に吸収することが出来なくなる。人間が代わりに必要物質を植物に化成肥料として与えてやらなければならないわけだが、人間で言えばサプリメントだけで生きていくようなものだ。 土中の微生物は雑草根の激減、餌となる有機物の極端な不足、化成肥料養分による共生関係不結合などにより、ますます棲みづらい環境になっていってしまう。こうして地力がどんどん低下しバランスを失うと、植物自体の健康までもが低下し、害虫が異常発生したり病気が猛威をふるったりと、ますます化学の力に頼らざるを得ない状況に陥ってしまう。環境に負荷をかけ続けないと成り立たない農業。これがまさに近代農業における 持続不可能な「不の循環」 だ。 持続可能な社会を取り戻すために このような不の循環を断ち切るために、長年に渡って、世界中から様々な声が上がっている。一つずつ、丁寧に紹介していこう。 環境、社会、文化の多様性を目指す「アグロエコロジー」 “ agro- ”(農業)と“ ecology ”(生態学)の2語を合わせた造語。 「アグロエコロジーは環境面だけでなく、経済、社会、文化の多様性、生産者と消費者の主体性の向上を目指すものであり、現行の農業食料システムで破壊されてきたものを取り戻すための試みである。」(久野秀二教授) ある生物や植物が、他の生き物や環境の中で互いにどのような関わりを持って育ち、どのような多様性の中で生きているか、を明らかにする学問(生態学)と、自然界の有機的なつながりとバランスを保つことで、自然本来の再生能力を持続させる考え方(エコロジー)。 要するに、現在なされている工業型農業とは本質的に異なるもので、化石燃料をわずかしか使わず、化学投入資材にも依存せず、生物多様性を強化し、循環を促進し、生態学的な機能を最大限に発揮させることで病害虫を抑制し、自然と調和しながら食料を生産していくということ。(参照:HATCH update: 2020.09.29) リジェネラティブ・オーガニック農業 「従来の農業は、気候危機を深化させている炭素排出量の最大25%を占めています。リジェネラティブ・オーガニック農法は、地中に炭素を戻す一助となる健全な土壌を構築します。これらの農法は従来農法に比べ、大気からより多くの炭素を隔離することのできる健康な土壌の構築を促進します。このため、農家は数千年も前から多種多様な方法を使用しています」 (アウトドアブランドPatagoniaの取り組み) 「小農権利宣言」と「国連家族農業の10年」 2017年12月20日の第72回国連総会で、2019から2028年の10年間を国連の「 家族農業の10 年 」(UN Decade of Family Farming)とすることが全会一致で決定された。この決定は、国連加盟国に対して家族農業を中心とした農業政策の策定を求める国連の啓発活動であるため、2019年からの10年間に国連加盟国は具体的な政策対応を迫られることとなる。 またさらに2018年12月17日の国連総会では「小農民と農場で働く人びとの権利に関する国連宣言(小農の権利宣言)」が採択された。(賛成 121・反対 8・棄権 54、 日本は棄権 。) 家族農業や小規模農業を見直していく国際的な動きが現在高まりつつある。 世の中には、持続不可能な自然破壊を伴う農業もあれば、持続可能で自然を敬い、生態系バランスを考慮、さらに大気中二酸化炭素の循環をも考慮する農業もあるということ。そして、 大規模ではなくより小規模へ、農だけでなく社会全体が縮小へ向かうべきではないだろうか 。 大量生産、大量消費、使い捨て。 資本主義による資本の無限価値増殖による限度無き資源の搾取収奪。 環境危機が深刻化しても、まだひたすら追い求める経済成長。 我々には、しっかりと向き合う責任がある 。 「Fridays For Future 」(気候のための学校ストライキ) 15歳の時に、 グレタ・トゥーンベリ が一人で行った抗議活動。 2018年の国連気候変動会議 で演説して以降、学生ストライキは毎週世界で行われ2019年は、それぞれ100万人以上の学生が参加している。 「No Future No Children」(未来がなければ子どももいない) 2019年カナダ在住の18歳少女が「政府が環境危機対策にしっかり取り組み、安全な未来を約束するまで、子どもをつくらない」と宣言し、開始1カ月で若者を中心に5千人以上が賛同したキャンペーン。 気候変動による未来を恐れる若者達が世界中で声を上げる中、大人達は今何をすべきなのか 。 ワインを選ぶ時に考えて欲しい。 原料のブドウはどこでだれにどのように育てられたのか? 全てとは言わないが、出来る限り環境負荷のない栽培方法で育てられたブドウを原料につくられたワインを選んで欲しい。 一人の力は小さいが、それが多く集れば必ず大きな力となる 。 福岡正信「わら一本の革命」(1983年 初版発行) 「地球規模での砂漠化、緑の喪失が深刻化している中で、かつて風光明媚を謳われた日本列島の緑も今、急速に枯渇しようとしている。しかし、それを憂うる者はあっても緑の喪失を惹起した根本原因を追究し撃破する者はいない。ただ結果のみを憂い、環境保護の視点から緑の保護対策をとなえる程度では、とうてい地上の緑を復活させることはできない。飛躍し過ぎた言葉ともとれようが、地球の砂漠化は、人間が神なる自然から離脱して、独りで生き発展しうると考えたおごりに出発するものであり、その業火が今、地球上のあらゆる生命を焼き亡ぼしつつある証(現象)だと言えるのである。」 「先頭に立って自然を破壊してきた驕慢な人や耕人たちが、今反転して、森の守護人となり、緑を復活できるか否かにかかる。」 後藤伸「明日なき森」(氏の講演1998〜2002の編集本) 「地球の誕生から46億年。その水溜りで発生した生命の誕生から38億年。やがて生命が岩石の陸上にあがり、その生命活動によって土をつくり、多種多様の生物が生まれていった.. いのちの悠久の歴史が熊野の森にも刻まれていました。しかし、戦後の拡大造林がそれを一気に壊していきました。この40〜50年で消え去った生命とその営みのなんと多いことか。人類の歴史は、自然破壊の歴史で、ことに産業革命以後、生命の共生という掟を完全に念頭から外した人間たちは、戻す方法を知らないまま、どんどん自然を壊していったのです。 巻き枯らしで赤茶けた杉の向こうからかすかに聞こえてくる生命の歌声に耳を傾けながら、私は今後もこの作業を続けていきたいと思っています。」 古賀綱行「野菜の自然栽培」(1986年 初版発行) 「生まれた以上は、自然植物を栄養として生きていく。年につれ最後は、自然の掟にしたがって土にかえっていき、植物の栄養と化す。自然界皆よくできている。動・植物あらゆる物を食ったそのお礼に、また自分の全ての栄養をお返し申し上げて消えていくまでのことだ。」 ロレンツォ・コリーノ「ワインの本質」(2019 日本語訳) 「土壌や地下水、ひいては生産者と消費者の健康にも影響を及ぼしかねない単一生産。今や大量生産など目指す時代ではない。それは酪農や畜産、穀物栽培やワイン生産などでも大量生産システムはすでに破綻していることから明らかなはずだ。 有機物の多い、より良い土作りをすることで菌根などの栄養分の共生が促され、ぶどう自体が病気にも強くなる。植物間に調和が生まれ、深い味わいの、そして何より体に良いぶどうができ、それがワインへと変わる。 ワインの世界は、必然的に量から質へと方向性が変わりつつある。これは多くの生産者が、調和の取れた環境の大切さに気付き始めているからである。健やかな環境から生まれるワインは、画一的な大量生産品がもたらす味覚の貧困化に歯止めをかけ、その目には見えない価値が大きな感動を呼び起こす。こうしたワインは、限られた土壌資源を無駄無く有効に使うことから生まれる、健全で産地独自の味を持ったワインだ。」 偉大なワイン 少しだけ、ワインの話もしよう。 生産者 :La Ferme de La Sansonnière(ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール) ワイン名 :La Lune Amphores(ラ・リュンヌ・アンフォール) 品種 :シュナン ブラン ワインタイプ :白 生産国 :フランス  生産県:ロワール 生産年 :2016 販売元 :Racines(ラシーヌ) 1989年創業。当主の マルク・アンジェリ は、ニコラ・ジョリーらと共にビオディナミの最重要啓発グループ「 ラ・ルネッサンス・デ・アペラシオン 」の中核メンバーとして、世界にビオディナミの力を伝道した使徒の一人。 (輸入元資料抜粋) 「INAO (国立原産地呼称機関)と論争を繰り返し、原子力発電所建設に反対し、核開発や戦争に怒り、純粋に平和のために祈り、つねに古の叡智に耳と心を傾け、 精神をとぎすまし、マンネリと不断に戦い、思索しつつワインを造っているような人物です。純粋なひたむきさと強い意志、高い志と繊細な感覚が、経験から練りあげられた技と一体になって、丹精した畑の力を引き出すことに成功し、味わいに現れているのではないでしょうか。いまや人知の域を越えて「芸術品」ともいうべき境地に達した趣のある極上のアンジュを味わって、幸せなひと時に浸っていただきたいと思います」(合田泰子氏) サンソニエールの「ラ リュンヌ」を初めて飲んだときのことを今でもはっきりと覚えている。ソムリエ時代に参加したワインの試飲会、沢山のワインが用意されており1番目から順番にハイペースでテイスティングをしていた(たしか30アイテム以上ほどだっただろうか、勤務中の短い休憩時間内で多くのワインを試飲するためにはかなりスピーディーに試飲しなくてはならない)。20番近くまでいいペースで試飲を重ねていた時、彼のワインを口に含んだ瞬間、それまでの速い動きが完全に止まってしまった。「なんだこれは」目をつむってじっくりとワインを味わい、 その液体から感じる大きなエネルギーに圧倒され、且つその美しい完成された世界観に一瞬で魅了されてしまった ことを覚えている。そして、すぐに造り手の名前を確認した。 心に響くワインだった。 最近とても思うことは、今の時代を見越す先見の明に優れたひとたちがどれだけ偉大かということと、むかしの時代から変わらず自然を敬い続け生きてきたひとたちが見てきた、感じてきたもの(感覚)がどれだけ真実かということだ。福岡正信氏(1913生)は、今から40年近く前から未来を危惧し己の思想をもとに農を実践された。後藤伸氏(1929生)は、紀伊半島南部の生態系の解明と保全に生涯を懸けて打ち込み、現在の自然保護などという概念が無い時代、周りから奇異の目で見られながらもその保護を訴え続けた。 古賀綱行氏(1918生)は、まわりの植物を「観察」することで季節の変化と温度を知り、花の咲き方でその年の天候を予測し、自然と共に農を営んでいた。 創業からビオディナミを実践し、強い意思でワイン造りを行うマルク アンジェリ、世間からワインとして認められない時代からナチュールワインを世に紹介してこられた先人たち、そしてこのワインを輸入しているインポーターRacines。 時代が追いつく前から先見の明に優れた方達に共通しているのはきっと「 己の感覚を信じそれに従った 」なのではないかと思う。 偉大な先人たちへの尊敬と感謝。 農園での取り組み 最後に、私自身が自分の農園で現在行っている取り組みや、今後の目標に関しても、お話しておきたい。 1.Vineyard: ・早生栽培(雑草選択、種まき) ・除草剤、殺虫剤(不使用) ・殺菌剤(要必要時) ・ボルドー液(減らす努力) ・自然エキス(微生物増、免疫強、防除):今春から ・ビオディナミ的思想(月、土壌微生物、周りの環境(森)も全て畑の一部として考える、五感、観察) 2. 環境(敷地内) ・杉林の整備(間伐)を行い森に光を入れ多様性を促進する:現在進行 ・日本蜜蜂の飼育、巣つくりを行い、かれらの生息出来る環境をつくる(森つくりの重要な役割を担う):今春から ・日本蜜蜂の蜜源となる花の栽培(空きスペースを花畑へ変える):今春から ・県内食品廃棄物を堆肥化して、それを使用してお花畑をつくっていく:今秋から ・間伐した杉を幅広く利用していく(日本の大きな不の遺産「林業:放置された人工林」問題への提議、取り組み):現在進行 3. 野菜 昨年までは、在来種、固定種を種から有機栽培してましたが、今年はさらに 1. マルチの使用をやめる(プラスチック、ゴミ) 2. 不耕起(雑草根による耕耘) 3.自然エキス を加え、福岡正信氏の思想や、古賀綱行氏、臼井健二氏、岡本よりたか氏、三浦伸章氏、竹内考功氏などの実践方法を自分なりに解釈したものを行う予定。 4. 目標 ブドウ栽培、ワイン造りを軸とした自給自足の豊かなライフスタイルを構築し、それを発信して、一人でも多く田舎で農を営む人を増やしたい。 地方が抱える少子高齢、人口減、限界集落、荒廃地、空き家などの多くの問題を少しでも解決する力になっていきたい。 2018年10月に家族で長野に来てから2年半、「ワイン造り」単体での響きは良いが、実際はブドウ栽培という農であり、農は自然の上に成り立っており、自然は環境であり、環境は動植物で営まれており、そこには大きな問題も存在していて、結局、ワイン造りという一つのものづくりだとしても、非常に多くのこと、極端に言えばすべてと関わっている ということに気付いてから、ワイン造りという立ち位置からでも、それらと全てとしっかり向き合い、考え、行動していくべき、していきたいと思うようになった。 今の子供たちが将来大人になった時に「何で何もしなかったの?」と言われないように、環境問題にはできるだけ取り組み、マイナスになることを極力減らし、逆にプラスになる行動をとっていきたいと思っている。 参考資料 「人新生の資本論」(斎藤幸平) 「コロナ後の食と農」(吉田太郎) 「あなたこそが、地球の最後の希望(講演)」(谷口たかひさ) <プロフィール> ソン ユガン / Yookwang Song Farmer 1980年宮城県仙台市生まれ。実家が飲食店を経営していたこともあり幼少時よりホールサービスを開始。2004年勤務先レストランにてワインに目覚めソムリエ資格取得後、2009年よりイタリアワイン産地を3ヶ月間巡ったのち渡豪、南オーストラリア「Smallfry Wines(Barossa Valley)」にて約1年間ブドウ栽培とワイン醸造を学ぶ。また、ワイン産地を旅しながら3つのレストランにてソムリエとして勤務。さらにニュージーランドのワイン産地を3ヶ月間巡り、2012年帰国。星付きレストランを含む、都内5つのレストランにてソムリエ、ヘッドソムリエとして勤務。 2018年10月家族で長野へ移住。ワイン用ブドウを軸に有機野菜の栽培をしながら、より自然でサスティナブルなライフスタイルを探求している。 2021年ブドウ初収穫/ワイン醸造開始予定。 現在も定期的に都内にてワインイベントやセミナーなどを開催。 日本 ソムリエ協会認定 シニアソムリエ 英国 WSET認定 ADVANCED CERTIFICATE 豪国 A+AUSTRALIAN WINE 認定 TRADE SPECIALIST

  • ガリシアの隠れた銘醸地

    今回紹介するワインは、 アデガ・マヌエル・フォルミーゴのフィンカ・テイラ です。 生産者 : Adega Manuel Formigo/アデガ・マヌエル・フォルミーゴ ワイン名 : Finca Teira/フィンカ・テイラ 葡萄品種 : Treixadura70%,Godello20%,Torrontés10%/トレイシャドゥーラ、ゴデージョ、トロンテス ワインタイプ : 白ワイン 生産国 : スペイン 生産地 : DO Ribeiro/リベイロ ヴィンテージ :2015 インポーター : 株式会社仙石 参考小売価格 :2500円 こちらのワインの産地は Ribeiro (リベイロ)という、スペイン北西部の ガリシア州の内陸部 に位置するエリアです。 ガリシア州のワインというと、上質な白ワインを造る DO Rías Baixas、メンシア というブドウ品種で知名度を上げた DO Ribeira Sacra といった産地を思い浮かべる方が多いと思います。 今回取り上げる DOリベイロ は、ガリシア州内ではもちろん、スペイン国内でも、実は深い歴史のある産地の一つです。 原産地呼称も、熟成赤ワインで有名な DOCa Rioja 、シェリー酒の産地として知られる DO Jerez-Xérès-Sherry y Manzanilla-Sanlúcar de Barrameda と並んで、 1930年代には既に認定されていました 。 ワインの生産もローマ帝国時代にまでさかのぼり、中世においてもイギリスに輸出されていたことや、大航海時代には新大陸に渡ったことがあるという記述や供述があります。 しかし、1588年の「 アルマダの海戦 」でスペインの無敵艦隊が敗れた後は世界に出ることがなくなりました。さらにその後、世界的にも流行った フィロキセラによって土着品種のほとんどが絶滅 し、他のブドウ品種を植えたことにより品質の低下が起きたと言われています。 現在は、土着品種再生の動きにより、ガリシア州の中でも、DO Rías BaixasやDO Ribeira Sacraに負けずとも劣らない、見事なワインを造っています。 リベイロでは、 トレイシャドゥーラ というブドウを使った白ワインを多く造っています。現在はトレイシャドゥーラ100%のワインも見られますが、トレイシャドゥーラ単体では酸味が強いため、リアス・バイシャスやポルトガルでも栽培さられているアルバリーニョや、近年注目を集めているゴデージョをはじめとしたブドウ品種をブレンドして、酸を調整しながら造るスタイルが主流となっています。 リベイロの葡萄畑の様子 今回紹介するフィンカ・テイラも、トレイシャドゥーラを主体とし、ゴデージョとトロンテスというブドウを使っています。 トロンテスというブドウは、トレイシャドゥーラに次いでリベイロでは2番目に多く植えられているブドウです。主要品種としてはあまり使われませんが、補助品種として軽やかさと華やかな香りをワインに加えることが出来ます。 このワインを造っているボデガ、マヌエル・フォルミーゴはオーナーの名前でもあり、名字のフォルミーゴというのはガリシア語で蟻を意味しています。 そのため、こちらで造っているワインのエチケットには蟻が書かれているのも特徴です。 相性の良い食材としては魚介類が挙げられますが、ガリシア州でよく食べられるカメノテやマテ貝といった食材と非常に相性が良いです。 学生時代から何度も訪れていたということもありますが、個人的に注目している産地の一つではありますので、これからの発展が楽しみです。 〈プロフィール〉 鎌田 昌之(カマダ マサシ) 1990年 京都 伏見生まれ 大学時代のスペインへの語学留学で、スペインワインの美味しさを知る。 大学卒業後はインポーター2社で働き、2017年にスペイン・サン・セバスティアンにある料理大学バスク・クリナリー・センターの、ソムリエとワインマーケティングのマスターコースに入学。同年、コース初のアジア人として卒業。 スペインではセビージャのDelatierra、マドリッドのEnoteca Baroloにて職場研修後、ワーキングホリデーを利用して、サン・セバスティアンワインショップのn.06で勤務。 2020年より東京・六本木にあるスペイン料理店「フェルミンチョ」にて勤務。

  • ペアリングの元常識 <1>

    料理とワインのペアリングにおいて、長年「 常識 」とされてきた組み合わせの中には、様々な研究と検証が進んだ現代においては、 既に否定されているものも少なくありません 。

  • 自宅にセラーが無い!

    ワインファンの高嶺の花、自宅用ワインセラー。 高品質のセラーは目が飛び出るほどの高価格(安い中古車が買えるレベル)ですし、冷蔵庫サイズの家電が一つ増えるというのも、スペースに限りのある都心部の住宅では悩ましい問題です。 最近は小型で安価なセラーも充実してきましたが、果たして自宅用ワインセラーを導入すべきかどうか、どのように判断していけば良いのか、これもまた悩ましい問題です。 まずは、ワインにとってどのような環境が理想的で、そのような環境が好ましく無いのかを知っておきましょう。 理想的環境 ① 8~15℃で温度が一定している ② 振動が少ない ③ ある程度の湿度がある 好ましく無い環境 ① 温度が15℃を超える環境 ② 温度変化が激しい環境 ③ 強い振動 ④ 極端な乾燥 ⑤ 直射日光の当たる場所 となります。 これらを踏まえた上で、 冷蔵庫とワインセラーがどう違うのか をお話し致しましょう。 冷蔵庫は、温度帯が固定されており、そのどれもがワインにとって理想的な温度帯とは言えません。そして、冷蔵庫内は比較的乾燥していますので、コルクも心配です。振動も大きめなので、ワインに多少なりとも影響が出る可能性があります。 ワインセラーは、ワインにとって理想的な温度に設定することができるのが最大の利点です。ですが、振動と湿度コントロールに関しては、安価なセラーの場合不十分なことも多いので注意しましょう。 次に、 ワイン保存の目的別 に見ていきましょう。 1. 長期保存(1年以上)して、熟成をさせたい。 この場合は、ワインセラーしか選択肢はほとんどありません。地下でエアコンの空気が入ってこないような環境でも無い限りは、長期熟成の為にはセラーが必要です。「冷暗室」であれば、という話もありますが、押入れの奥、のような環境では不十分なので注意してください。セラーの導入が難しい場合は、各種ワイン用の倉庫サーヴィスの利用をお勧め致します。 2. 短期間保存して、すぐに飲む。 結論から言うと、冷蔵庫の野菜室で十分です。温度は2~5℃と理想点よりは少し低いですが、野菜室は密閉構造になっていることが多く、湿度をある程度保つことができます。ですが、強い臭気を放つ食材(例えばキムチ)を同じ野菜室に入れると、コルクから臭気が侵入してしまう可能性がありますので、注意してください。スクリューキャップの場合は、気にする必要はありません。ワインセラーでしたら、セラーの温度設定によっては、セラーから出してすぐに適温の状態でワインを楽しむことができますが、冷蔵庫で保存した場合は、以下のタイミングで冷蔵庫からあらかじめ出しておくことをお勧め致します。 スパークリングワイン:10分前 軽い白やロゼ:20分前 しっかりとした白やオレンジワイン:30分前 軽い赤:40分前 しっかりとした赤:50分前 最後に、 NG環境 についても触れていきましょう ① 室温の室内(要するに常温保存) ワインがあっと言う間に熱劣化し始めます。 ② 直射日光の当たる場所 1日でワインが完全に劣化します。 この二つは絶対に絶対に避けましょう! ほんのちょっとの気遣いで、ワインは美味しく保存することができます。 面倒と思わずに、ワインにとって好ましい環境に保存してあげてください!

お問い合わせ

この​サイトについてのお問い合わせや取材依頼などは下記よりご連絡ください。

​有料会員になる

800円/月のプレミアムプランに加入して全ての記事にフリーアクセス​。
 

© 2024 SommeTimes

bottom of page