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  • オルタナティブ品種に、最高のステージを <ドイツ特集後編>

    オルタナティブ品種にヴァリューパフォーマンスが優れたワインが多いことは、周知の事実だと思われるが、だからといって その価値が真っ当に評価されているとは決して限らない 。そのようなワインには、もっと 導きの手が必要 だ。ワイン界に蔓延している有名産地、有名品種、有名銘柄至上主義から、現代人が抜け出すことは容易では無く、多くの人はブランドワインを学べば学ぶほど、その大沼に深く沈んでいく。

  • 想い出のワイン 〜テルトル・ロットブフ〜

    自分が経営しているIZAKAYA VIN の中での話で申し訳ないが、最近のお客様の注目はいつもブルゴーニュである。 インスタグラムを開いていても、つながりのあるワインラバーの注目は常にブルゴーニュばかりだ。特にルーミエやアルマン・ルソー、トルショーが多い。 自分がワインにはまり始めた20代の時(20世紀末)は、メドックの格付けワインから勉強して、サンテミリオンやポムロールに憧れを抱いたものだった。 21世紀に入ると、世間では次代の シンデレラワイン を求めたり、 ガレージワイン などを探したりと盛り上がっていた気がする。 実際、ワイナートの2001年春、2002年冬 2004年春の特集には新進気鋭のボルドー生産者が特集されていた。 自分は今でもボルドーは大好きだ。 だが、以前に比べてボルドー人気は下降気味に感じられる。 もともと生産量の少ないブルゴーニュのワイン。 値段が高騰し続けているにもかかわらず、注目はいつもブルゴーニュだ。 当店ではボルドーが昔に比べて、オーダーされる回数が減ってきている。 クオリティは格段に上がっているにも関わらず 。 あの時に誰もが熱狂したワインたちは現在、自分に関わる方々の琴線に触れることがないのか全然SNSに登場してこない。そのことが嬉しくもあり、寂しくもある。そんな気持ちが募り、今回は自分がかつて熱狂して、夢中になったワインを紹介したいと思う。 『テルトル・ロットブフ』 サンテミリオン地区 1999年にサンテミリオンを探索していた時、まちの広場にある酒屋さんに立ち寄り、オススメのワインを訪ねてみた。 そこで特別にテイスティングさせてもらったのが、 『 ロック・ド・カンブ1989年  AOC コート・ド・ブール 』  だった。 今までに飲んだことのない味わいに、驚きと感動を覚えて、店主にすぐに紹介してもらった。 ロック・ド・カンブに行きたかったが、ここのワイナリーの本拠地であるサンテミリオンの テルトル・ロットブフ に行くといいと言われ、無理を言って訪問させてもらった。 ボルドーの中心地から車で約1時間、リブルヌの街を越えて、サンテミリオンに到着。目印の少ないややこしい道を通り抜けると、本当にシャトーなのか疑いたくなる作りのテルトル・ロットブフが見えた。 そこからは驚きの連続だった。 ワインに対する常識を覆されたようなあの体験は、なかなか出会えない。 人生でも数回あるかのような最高の体験だった。 それまでにメドックの格付けシャトーや、右岸のワイナリーの代表的なところは訪問させて頂いていたので、テルトル・ロットブフの世界観は初体験だった。    ワイナリーは、とても小さく、シャトーとはお世辞にも呼べない。だが、質素ながら趣があり自然と調和しているかのような佇まいだった。 応接間でしばらく待たせてもらったが、膨大な書物が並び、哲学書、美術書や歴史書が並び、このオーナーはとても知的な方に違いないと確信した。 そしてテルトル・ロットブフの当主、 フランソワ・ミジャヴィル 氏がやってきて、笑顔で迎え入れてくれた。 とても知的で優しく、時々皮肉を交えて色々なことを教えてくれた。夢中になって熱く語るときは息つく間もなく喋り続けてくれた。 そんなミジャヴィル氏にとても惹かれ、夢中になってしまった。 情熱家でもあるが、アウトサイダーであるところが好きだったのかも知れない。 このシャトーは義理の父であるエミール・ジラールから受け継ぎ、元々はテルトルという名前であった。 ミジャヴィル氏は有名な運送会社の一族に生まれ、その子会社の社長をしていたが、結婚を機に26歳にしてワインの世界に入ってしまった。 1974年のことだったが、資本家でありブルジョワ的な立場だった彼が、栽培から醸造まで行うのは世間から見て異様な光景だったに違いない。 フィジャックとシュバルブランでワイン造りを学んだあと、1978年に現在の地に戻り、ワイナリー名を『 LeTertre Roteboeuf 』に変更した。 「 げっぷ牛の丘 」と大まかに訳されている「テルトル・ロットブフ」という名前は、中世に牛が放牧されていたと思われる時代に敬意を表している。 ワイン造りの世界に魅せられ、周りの反対を押し切り、好きな仕事をすると決意した彼は、ワイン造りというものを深く考察し、様々なアプローチをし続けている。最先端テクノロジーには一定の理解を示すも、自分のところの規模を考慮して採用はしない。それよりも自分で観察しながら、手作業で行うことに楽しみを覚えているようだ。 また伝統的なネゴシアンシステムよりも、輸入業者や商人に直接ワインを販売することを好み、サンテミリオンの格付けにも加わろうともしない。それにも関わらず、リリース直後に完売する稀有なシャトーだ。 ワインに向き合い、独特のワイン造りを貫き、クオリティだけで勝負できるワインを作り続けている。 1978年がファーストヴィンテージだが、1981年ぐらいから手応えを感じたらしい。 初めて新しいフレンチオーク樽で熟成されたのは1985年のヴィンテージから(50%)。財政基盤が整った1989年から新樽100%にした。 この1989年が転換期 だと本人は言う。 一連の説明を受けた後、地下セラーでのテイスティングが始まった。 1989年のロック・ド・カンブに感動してここにきたことを伝えたが、そのワインはコート・ド・ブールにあり、こちらには置いていないとの事。 その代わりにテルトル・ロットブフで比べようじゃないかという事で、1989、1990年を出してくれた。 それは とても官能的なワインで、シルクのように滑らかでエレガントの極致 だった。 その前に酒屋で感動したロック・ド・カンブ1989年はまだまだやんちゃで力強くスパイシーで荒削りに思われた。 ミジャヴィル曰く テルトル・ロットブフのテロワールはとても繊細でエレガント。丘の中腹の斜面で、石灰岩と粘土をベースにした土壌。半円形劇場な畑は排水性に優れている。サンテミリオンの中ではとても涼しい。 比べてロック・ド・カンブのセラーは川の近くでより深い。涼しくてゆっくり熟成する。さらに品種とテロワールのせいか長熟。ただタンニンがやや粗いという。粗いタンニンは香りの華やかさを阻害するという考えの彼は、そこが問題点と捉えていた。 ロック・ド・カンブに感動した自分に対して、まだ君は未熟だと言わんばかりの怒涛の解説に戸惑いもしたが、テルトル・ロットブフのあの滑らかで官能的な液体は間違いなく、自分の人生でTop10に入る味わいだった。 *Tertre Roteboeuf 80%がメルロー、20%がカベルネフラン *Roc de Cambes Côtes de Bourgに12ha メルロー 90% カベルネ・ソーヴィニヨンとマルベックが混じる このワインの秘密を語るミジャヴィル氏。 芸術家のようなしゃべり口が素敵だ。 『素晴らしいワインとは官能的でなくてはならない。 硬いタンニンは熟成を助けるかもしれないが、芳香を妨げる。 美しいワインを生み出すためには、完熟、もしくは過熟したぶどうが必要だ。 過熟して死にゆくぶどうの中にも美しさがある。 危険を冒していても熟したタンニンであるべきだ』 ミジャヴィル氏はタンニンが熟し、酸度の低いぶどうを求める。 最良のタイミングを見計らって収穫するため、1日で全て収穫することが多い。しかし収穫人を確保するため、約2週間契約する必要があるという。 とても効率が悪いが、理想を追求するには仕方がない。 このようにリスクを負って品質を追求した生産者は、ボルドーでも類を見ない。 帰り際、果樹の木がある素敵な庭の前で彼は、 『ワインは外で飲むほうが、美味しく感じる。 自然を感じながらワインと向き合った方が、何倍もいい。 地下セラーは感覚を研ぎ澄ませるが幸せはない。 やはり外の大地の風を味わいながら飲むワインが一番うまい。 君はそこでロック・ド・カンブを飲んだのだね。ありがとう。』 と言ってくれた。 こんな素晴らしいワイナリーは他に無い。 当時ブルゴーニュに住んでいた自分は思わず、ここで働かせて欲しいとお願いしましたが、あっさり断られました(笑) もしかしたら、未熟な自分への皮肉の言葉だったかも知れない。 それでも彼の知的でウィットに富んだキャラに魅了され、いまでも最高のワイナリーはテルトル・ロットブフだと思っている。 世間ではブルゴーニュのような小規模生産者が好まれているが、ボルドーでもこのような情熱的でドメーヌ的な生産者がいる。 ここはその代表的なワイナリーだろう。 もし飲んだ事がないワインラバーがいらっしゃるならば、是非このテルトル・ロットブフを味わって頂きたいと思っています。あの時の感動をみなさまが少しでも感じてくれたら嬉しいです。 *ちなみにこのテルトル・ロットブフは世界的に最高評価のワインなので、値段はとても高価です。とはいえブルゴーニュのグランクリュを飲むと思えば、そこまで変わりません。 * 1987年からコート・ド・ブール地区にロック・ド・カンブを作る。 * カスティヨンにもDomaine de l’aurageを所有 <ソムリエプロフィール> 加藤 重信  IZAKAYA VIN 代表  家族の影響で幼少の頃よりワイン文化に触れ、1999年にフランスに滞在。 毎日のようにワイナリーをめぐる。 渋谷で唯一のシャンパンバーや恵比寿にワインバーを立ち上げ、現在は IZAKAYA VINの代表に就任。

  • 西ドイツを襲った大洪水

    7月15日、世界に名だたる銘醸地が連なる西ドイツ(ベルギー、オランダの一部も)を、記録的豪雨とそれによって引き起こされた未曾有の洪水が襲った。13日頃から降り注いだ雨は、複数のエリアで例年同時期の約2ヶ月分に相当する降雨量を24時間で記録し、多くの河川を氾濫させた。 被害を受けた地域からは、現時点で180名以上の死者と、数多くの行方不明者が報告されているが、その中でも最も甚大な被害を受けたのが、ドイツの北西部に位置する アール峡谷 である。 7月19日の時点で、死者数が117名に達したアール峡谷は、ドイツ北限のワイン産地であり、 世界屈指のピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)の銘醸地 としても名を馳せている。その被害の全容が明らかになるのは、まだ先と思われるが、現地から届けられた写真と、断続的に更新される被害状況報告を見る限り、 アール峡谷が危機的状況に瀕している可能性は極めて高い 。 日本国内でも人気の高い生産者である クロイツベルクやマイヤー=ネーケル からも、被害状況の報告が届いている。 アール川から程近い場所に醸造所を構える クロイツベルク (輸入元:ヘレンベルガーホーフ)では、三段に積み上げた樽の二段目まで浸水する被害を受け、水が引いた現在は、醸造所の復旧作業に追われている。生育期真っ盛りの葡萄畑では、救援に駆けつけた ルドルフ・フュルスト (フランケン)のスタッフが総出で作業に当たっている。 クロイツベルクの様子(画像提供:ヘレンベルガーホーフ) マイヤー=ネーケル (輸入元:Diony)からは、醸造所の樽や熟成中のボトルなどが流され、3km先で発見されたという衝撃的なニュースが届いている。樽が流されるほどの水流があったことから、醸造所の被害も大きなものであったことが予想されるが、こちらにも グンダーロッホ (ラインヘッセン)から救援チームが送られ、復旧作業に加わったとのことだ。 収穫に向けて葡萄畑においても最も人手が必要とされる時期(急斜面が多いアール峡谷の葡萄畑には機械が入れない)であり、醸造所の設備も今年のヴィンテージの醸造に使用することが可能かは不透明なままだ。救援を得ることができていないワイナリーも決して少なくはないだろう。 アール峡谷は今、非常に多くの助けを必要としている 。 一方、モーゼルからも被害状況の報告が届いているが、アール峡谷に比べると被害は限定的であるようだ。例年3~4月に、降水と雪解け水による水位上昇で洪水に見舞われることが多いモーゼルでは、ある程度の洪水対策(セラーの低い位置にワインが入った樽を置かない等)ができており、今回の洪水は季節外れの異常事態ではあったものの、醸造所やワインへの被害は最低限に抑えられたようである。むしろモーゼルでは、洪水に慣れていないアール峡谷への支援体勢を整える動きが活発化している。 ザンクト・ウルバンス・ホーフ はマイヤー=ネーケルに救援物資を送り、 ドクター・ローゼン はSNS上で、アール峡谷復興の義援金を送るためのVDP(ドイツ高品質醸造所連盟)のアカウントをシェアしている。アール峡谷で醸造所が壊滅した造り手の、今ヴィンテージの醸造を引き受けるワイナリーも、モーゼルに限らず、ドイツ全土で出てくるだろう。 危機的状況にあっても、他助の精神に満ちたドイツの生産者たちの迅速な動きには、強く心を動かされる。即効性の高い義援金は確かな助けになるが、長期的に見れば、アール産のワインをより多くの人が飲むことの方が助けになるだろう。長い時間がかかると思われる復興には、継続的にキャッシュフローが流れていく必要がある。 VDPが立ち上げた義援金サイトはこちら しかしそもそも、なぜこのような異常な洪水被害が生じたのだろうか。 全長89kmのアール川(ライン川の支流)は、基本的には穏やかで緩やかな小河川であり、洪水の被害は100年に一度程度記録されてきた。1910年の洪水被害以降は、実は2016年に洪水(3.5mの水位上昇)が発生しているが、それから僅か5年後の2021年に、2016年の2倍とも報じられている規模の洪水に襲われた理由は、ただ一つしか無い。 気候変動だ。 近年、世界各地のワイン産地で、旱魃が報告されてきた。カリフォルニア、チリ、ポルトガル等では特に顕著であり、大規模な山火事の発生にも繋がっている。気候変動の恐ろしいところは、このような被害が、一箇所では収まらないことにある。旱魃によって蒸発した地中の水分は、巨大な雨雲を生成し、他の場所に局地的な豪雨被害をもたらすのだ。 日本国内においても、2兆1500億円という過去最大の水害被害額を記録した2019年のように(その大部分は東日本台風が原因)、大規模水害が頻発するようになっており、決して他人事では済まされない。 ナチュラル・ワイン特集記事 でも繰り返し述べてきたことだが、 ワイン産業の大部分は環境破壊に加担している 。 窒素系化学肥料の大量施肥は、大気中に温室効果ガスである窒素を放出し、農薬は葡萄畑を取り囲む生態系を破壊するリスクと共に、土が二酸化炭素を固定できる能力を著しく減衰させ、重く分厚い瓶に詰められたワインは輸送中に大量の二酸化炭素を排出する 。 生活必需品ではなく、あくまで嗜好品であるワインが環境破壊に加担し続けることを、もはや世界が許容しなくなるのは間違い無い 。 一体我々は、どれだけたくさんの「教訓」を必要とするのだろうか。どれだけたくさんの「悲劇」に遭遇すれば、考えを改めるのだろうか。 小さな力も、束ねれば大きなうねりとなる。 読者の一人一人が、ワインを購入する際に、「そのワイナリーが何かしらの形で環境保全に取り組んでいるかどうか」を考慮するだけでも、ワイン産業は確実に変わっていく。 ワインという文化を子や孫の世代に繋いでいくためにも、美しい地球を残していくためにも、我々一人一人が、変わっていく必要があるのでは無いだろうか。 ヘレンベルガーホーフによる、クロイツベルク支援の取り組み。

  • ノンアルコール・ペアリング Vol.1

    昨年から新型コロナの影響で酒類提供が都内、一部地方都市にて禁止と限定緩和を行き来しています。この出来事をきっかけに、今後ノンアルコールドリンクの需要、そして、ノンアルコールペアリングに関しても、より取り入れる店舗が増えると予想しています。

  • 2年連続パーカー100点!! を飲み比べて

    表題の通り、最近2年連続パーカー100点のワインを飲み比べてみました。 パーカーさんこと ロバート・パーカーJr. 氏については、その採点方法、採点基準等、いろいろ皆様も思うところはあるかと存じます。 また、このコラムでは彼の説明は省きますが、ロバート・パーカー氏は記事の公平性を高めるため、執筆に関連した旅行費用は自身が負担し、接待を受けない、広告もとらないという姿勢を貫いたところは個人的に嫌いじゃないです。 生産者: Château Pontet-Canet / シャトー ポンテ・カネ ワイン名: Château Pontet-Canet / シャトー ポンテ・カネ 葡萄品種 : Cabernet Sauvignon 65% Merlot 30% Cabernet Franc & Petit Verdot 5%/ カベルネ・ソーヴィニョン 65% メルロー 30% カベルネフランとプティ・ヴェルドー 5% ワインタイプ :赤ワイン 生産国 : フランス ヴィンテージ :2009 2010 インポーター : ミレジム 参考小売価格 :オープン (750ml) さて、今回取り上げさせていただきましたパーカー100点を獲得したボルドー格付第5級 シャトー ポンテ・カネ 2009年及び2010年は、ボルドーにおける ビオディナミ の先駆者で、2004年よりビオディナミを導入し、2010年にはビオディナミ生産者が結成した組合の厳しい基準をクリアし、 ビオディヴァン の称号を得ました。 また、つい最近までビオディヴァンの称号を得た唯一の格付シャトーでした(今年から、格付第3級のシャトー・ラ・ラギューヌもビオディヴァンによるビオディナミの認証を受けたワインをリリース)。 年々、ビオディナミを導入する格付シャトーが増えてきていると感じていますが、馬による耕作等をはじめ、当然所有する畑が広いほど仕事は大変です。特に、シャトー ポンテ・カネは年間生産本数約25万本を誇るため、その 膨大な仕事量は想像に難くありません 。 次に、2009年と2010年というヴィンテージですが、ボルドーにおいて2009年はブドウが完熟し、凝縮感があり、いわゆるグレートヴィンテージという評価となっています。 また、2010年も2009年に続く偉大なヴィンテージと高い評価を受けています。 実際にテイスティングをしてみて、まず 2009年 は非常に外交的な人当たりの良いワインで、しっかりと完熟した濃厚なカベルネ・ソーヴィニヨンと果実味たっぷりのメルローが共存し、非常にボリュームのあるワインですが、今飲んでも最高に美味しい満足感のあるワインに仕上がっています。 続いて 2010年 ですが、ポテンシャルは高いですし、こちらも今飲んでも十分美味しいのですが2009年と比べると頑強で気位が高くまだちょっと心を開いてないな、といった印象を受けました。 ちなみに、双方ヴィオディナミワイン特有の、ともすればネガティヴな香り等の印象は全く無く、実に素晴らしいクリーンなナチュラルワインでした。凄いワインの管理体制ですね… なお、上記のようにシャトー ポンテ・カネ 2009年及び2010年は素晴らしいワインですが、パーカー100点という評価と相まって、実勢価格は例年の2倍ほどします(泣) しかしながら、是非皆様に勇気をもってお試しいただきたいです。 <ソムリエプロフィール> 山本 隆裕 / Takakhiro Yamamoto 1977年静岡生まれ。名古屋と東京の様々なバー、及びレストランにてソムリエとして研鑽を積む。 2020年より株式会社SUGALABO入社、S担当。

  • サン=テミリオンの衝撃

    2021年7月上旬、世界中の熱心なワインファンに衝撃を与えるニュースが、フランス・ボルドー右岸の銘醸地であるサン=テミリオンから舞い込んできた。

  • 1本と向き合って

    この春より京都から東京に戻り、深大寺の maruta ではペアリングではなく、1本のワインに向き合いながら、まだ見ぬ変化を個人的に楽しんでいる日々です。 今回紹介するワインは、チェコの新進気鋭の生産者である ミラン・ネステラック がリリースまで大切に熟成をさせるミニマルラベルシリーズの ピノ・グリ を使用した PodFuck になります。 生産者 :Milan Nestarec / ミラン ネステラック ワイン名 :Podfuck / ポドファック 葡萄品種 :Pinot Gris . Pinot Noir ワインタイプ :Rose 生産国 :Czech / チェコ 生産地 :Molavia / モラヴィア ヴィンテージ :― インポーター :CROSS WINES / クロスワインズ 参考小売価格 :¥5,400 ミランがピノ・グリに対して大切にしている特徴は、 果皮からの芳香や色 に加え、 豊富なフェノール系の香り で、ネーミングはその香りや色に惑わされた隣人が" ニセモノ "という意味で付けたそうです。 もうご存知の方も多い人気の作り手ですが、ご紹介する2017ヴィンテージもリリースまで3年、カジュアルキュヴェでも1年の熟成を経ています。 そして日本に届くまで2ヶ月、どんなにゆっくりな船に乗せても揺れてしまうので、インポーターであるCROSS WINESのルリさんがゆっくりとワイン達を休ませた上でリリースされます。 毎年飲ませて頂いているワインですが、今年リリースされた2017は更にバランス良く、開けた直後もブランデー漬けにしたサクランボのやさしい甘みと、上品なタンニンに旨みのある酸が心地よく、当時在籍していたLurra゜のみんなと思わず笑顔で顔を見合わせたのを覚えています。 僕がまだGrisに在籍していた6、7年前のペアリングという言葉も馴染みのなかったアラカルトの頃、グラスで提供していたワインが少し残った時にセラーに入れて、どんな変化が起こるのかを楽しみながら定点観測をするのが、密かな楽しみでした。 そして彼のワインに出会ってから、僕の密かな楽しみは毎年の楽しみに変わりました。 ミランのワインの開けたての妖艶な香りを楽しみ、翌週には徐々に増していくダッチパンケーキのメープルシロップの香り、温度を上げて香りの余韻も愉しんで…. こんな風に定点観測したのは久しぶりです。 いつか彼に会えた時には彼の好みや好きな音楽の話がしたい。 また僕の密かな楽しみが増えました。 <ソムリエプロフィール> 外山 博之 Maruta マネージャー 1981年 埼玉生まれ 都内を中心にバーテンダー、サービスマンとして勤務後、 2012年Grisマネージャー就任。ナチュラルからトラディショナルまで幅広いセ レクトのワインを中心にしたペアリングとそのアルコールの構成要素を表現し たノンアルコールペアリングが好評を得る。 2019年よりシェフのJacob kearを中心としたレストランプロジェクトの京都 LURRA°にドリンクディレクターとして加わり、2020年のミシュラン一つ星獲得に貢献。 2021年 3月より調布のMarutaへ戻り、庭のハーブなどを用いたドリンクの開発など、新しいドリンクの提供の形を考案中。

  • 契約農家の重要性

    北海道後志地方余市郡余市町 北海道余市郡余市町。ここ10年余りで、 国内屈指のワイン産地 として全てのソムリエ・ラインラヴァーに認知されるようになった注目の産地である。数々のワイン雑誌に頻繁に登場し、断片的にその情報に触れる機会も多いと思われるが、今回はそんな余市町のワインを、北海道出身の私が歴史から順を追って簡潔にまとめてみたいと思う。 北海道民にとって、特に札幌近郊で生活するものにとって、余市町とは「 フルーツのまち 」である。リンゴ、なし、ブドウ(生食用、醸造用ともに)の生産量は道内で1位を誇っている。私も小さいころに「サクランボ狩り」に家族で出かけた思い出や、家の冷蔵庫に「りんごのほっぺ」という余市町のリンゴから造られた100%ジュースが置いてあり大好きだったのを覚えている。 余市町の歴史 そんな「余市町=フルーツのまち」という構図ができたのは、 明治初期 にまでさかのぼる。 1875年 、北海道開拓視聴から様々な果実の苗木800本の配布を受け、余市町にて栽培が開始される(日本で初めてリンゴの栽培に成功したのは余市町である)。 1877年 、ブドウが初めて結実したが、この頃はまだ生食用のブドウのみしかなかった。 1943年 、戦時中に白ワインの酒石酸が必要になったため「 余市ワイナリー 」が中心となってワイン製造を始めたのが発端となる。ちなみに、余市ワイナリーは余市町最古のワイナリーであり、その後に続くワイナリーは2010年設立の「 ドメーヌ・タカヒコ 」を待たなければならない。 1960年代 、道東、池田町ブドウ・ブドウ酒研究所と契約し、原料ブドウの供給を開始。つまり、この頃の池田町のワイン生産構造は、余市町を含む後志地方のブドウに依存していたのである。 1973年 、ワインづくりを新たな道内産業にしようとした北海道は、西ドイツへ人材を派遣。およそ 50種のドイツ・オーストリア系品種の苗木 が集められる。 1983年、セイベルやミュラートゥルガウ、ツヴァイゲルト といった優良品種が決定される。 1984年 、生食用ブドウの収益低下やリンゴの価格暴落に伴い、北海道ワイン株式会社を中心に醸造用ブドウの普及に力を入れる。この頃に生食用ブドウやその他果実から「醸造用ブドウ」の栽培に鞍替えした農家が多い(藤本毅氏、北島秀樹氏)。30年以上のベテランブドウ栽培家や、家族二代に渡り醸造用ブドウを栽培するなど、優秀な契約農家の存在が余市町のワインのレベルを底上げしているのは間違いない。 生産者 :北海道ワイン株式会社 ワイン名 :葡萄作りの匠 北島秀樹 ケルナー 品種 :ケルナー タイプ :白ワイン 産地 :北海道余市町 ヴィンテージ :2019 アルコール度数 :12.5% 価格 :2,420円 北海道ワイン株式会社の功績 北島秀樹氏は、1985年に、それまでの生食用ブドウの栽培からワイン用専用ブドウ栽培へと鞍替えをした第一人者であり、 北海道ワイン株式会社 (本社は小樽市)が初の専属契約を結んだ栽培農家である。同社は持続可能な経営戦略をおよそ300軒の契約農家と共に構築しており、豊作でブドウ価格が値崩れしたり、その年の販売予定ワインの量を超える場合であっても、年間契約価格で原料を全て買い入れる「 全量買取契約 」を締結している。また、ブドウの重さや糖度によって、契約単価を上乗せするインセンティブを与えたり、また各栽培地域での 自然環境に適した栽培条件を自社で研究 し、栽培のノウハウを農家に渡している。近年は若い世代が続々と北海道の地に参入しているが、まだ実地経験の浅いワインメーカーたちは、こうして地域から情報を得ることができる構造をうまく理解している。 契約農家の重要性 現在、余市のワインを数多くテイスティングすると、一つ思うことがある。それは 自社で栽培したブドウから造られた、より値段の高い「エステート」のものよりも、契約農家やJAから供給されたより廉価なスタンダード品の方がワインのレベルが高いことが多々ある ということだ。当然、まだ自社畑のブドウの樹齢が低かったりすることがその理由の筆頭に挙げられると考えるが、あらためて日本において秀逸な量と質を兼ね備えたワインの生産には、培われたノウハウを持つ有能な契約栽培農家の存在が必要なのであろうと考えさせられる。 白ワイン用ブドウ品種「ケルナー」 「 ケルナー 」という白ブドウ品種が、北海道において最重要視されるようになったのは割と最近のことである。古くは1973年にドイツからもたらされたブドウの1つであるが、北海道の優良品種に指定されなかったために、長らく放置されていた。近年は、「バッカス」よりも糖度が上がり、酸がやや控えめに仕上がることから、より上質なブドウとして余市町の各ワイナリーの白ワインの中核をとなることが多い。現在、白ワイン用ブドウ品種として北海道で最大の栽培面積(約35%)となっている。 登地区 「北島農園」があるのは、日本海に注ぐ余市側の右岸、「 登町 」だ。現在、余市には11のワイナリーが稼働しているが、そのうち7つのワイナリーがここに集中している。その理由は広大な面積の畑が手に入りやすいこと。ワイン用ブドウの栽培は、生食用ブドウの栽培よりもhaあたりの収量が少ないことから、広大な一枚の畑がないと農家にとって経済的に成立しない(近年、空知地方がより注目されているのは、耕作可能な土地がまだまだ残っていること)。話は変わるが、数年前に余市のワイナリーを訪れた際に「佐々木さんの実家はどこですか?」と聞かれ、「江別市です」と答えると、「実家に戻ったら一周ぐるっと見渡してみて下さい。日当たりのよさそうな斜面があったなら、そこにブドウを植えてみてください。きっとよいワインになると思いますよ」と言われたことを思い出した。まだまだ北海道には多くのポテンシャルが埋まっていることの表れだろう。 さて、この一方で、ドメーヌ型の「我」をいく生産者も忘れてはならない。「ドメーヌ・タカヒコ」を中心とした、、、といきたいところなのだが、長くなりそうなのでここで終了とさせて頂きたい。 <ソムリエプロフィール> 佐々木 健太 (ささき けんた) 南仏ニースにある一つ星レストラン「Keisuke Matsushima」にて研鑽を積む。 帰国後フォーシーズンズホテル丸の内東京、南青山レストラン「L’AS」のソムリエを経て独立。ワインスクールの講師としては5年目に突入。強引な暗記に頼らない理解がより深まる解説が、「資格取得後に差が出る講義」として絶大な支持を得る。現在は、2020年に新たに立ち上がった、Live配信専用ヴィノテラスワインスクール専任講師。また自身のYoutubeチャンネル「サイバーワインスクール」を運営。さらに「ワイン教育」を軸に、多数企業のコンサルティング業務に従事。ワインリストの作成からアプリケーションの開発など、幅広く活動。

  • ドイツの今を知らねば、時代に置いていかれる <ドイツ特集前編>

    ドイツが時代に寄せてきたのか、時代がドイツに追いついたのか 。どちらにしても、ドイツワインを取り巻く市場が、 劇的な変化の最中 にあることは間違いない。もし、「 ドイツワイン=甘口のリースリング 」というイメージしか抱いて無いのなら、 この機会に認識を改めていただきたい 。もしワインを伝える側にいる人が、旧時代的なメッセージを発し続けているのならば、時代遅れも甚だしいどころか、ドイツの志高い生産者が心血を注いできた挑戦を無慈悲に踏みにじる行為であると、厳しく断じさせていただく。そう、現代のドイツは、凄まじい多様性を既に開花させているのだ。1,970~80年代には生産の9割が白ワイン、そしてその6割が甘口という極端な国家的戦略で知られたドイツも、 今では生産量の1/3が赤ワイン となり、リースリングの占める割合は全体の2割強、 甘口の割合も激減 している。本特集前編では、ドイツがどの様に変化してきたのか、リースリング以外の品種がどの産地で飛躍的に成長しているのか、現代のドイツワインがいかに多様性に満ちているのかを、 内的要因、外的要因の双方向から、紐解いていく 。

  • どんな企画が面白いだろうか

    私はワインスクールで講師をさせてもらっておりますが、そんな事を常々考えます。 今企画に寄稿するのにも頭を悩ませていた頃、同じスクールで(同企画にも参加されている)井黒さんがブラインドテイスティングをテーマとした講義を始められたのを見て“これにしよう”と考えました。 【ブライドテイスティングをしてゆく過程を明かしてゆきながら、答え合わせと共にワインを紹介する】 正解であれば尚良いのですが、不正解であっても推理してゆく過程を読み物として楽しんで頂ければ良い、と思い至った訳です。 という事で早速、私の未来のビジネスパートナーでもある、「銀座おのでら」の 竹澤希 シェフにブラインド用ワインをお願いしました。 彼は南青山のL’ASで6年間スーシェフをされていた時代にソムリエを取得しており、かつ私とは10年来の付き合いである事から、私のワインの好みを熟知しています。 近年は娘さんが誕生し、より賑やかになった 竹澤家 にて、以下件のワインをブラインドテイスティングした模様をお届けしたいと思います。 ※シェフには【フランスのもの】というお願いをしてやっています。 若山 「(色調)結構紫がかってて、濁りがある…。 (香り)落ち着いてない感じ、ブレット(*1)がありますね。ブルーベリーとかスミレ、シラー? (テイスティング)あー。知ってる造り手ぽい。」 竹澤 「飲んだ事はあるかもしれない。」 若山 「プチプチしてるんで熟成から瓶詰めまでが短い、2019年…酸の性質がフレッシュだから早摘みか標高差がある。しっかり果実感もあるしMC(*2)か発酵前に低い温度でマセレーションしてる。ブレットがあるから長い歴史のある造り手か、そうでなくとも醸造の施設は古いと思います。」 竹澤 「冷たいね、冷蔵庫入れてたからだね。」 若山 「(この時点でシラーとほぼ断定しつつ)色調、果実味が抑圧的でミネラルの出方を考えると標高差か寒暖差のあるエリア。あ、でも温度が 1、2℃上がるだけで印象が変わった 。果実感とタンニンが出てきた…リショーとかラングロールの系列ではないですね(彼の奥さんがBMOさんに勤務している為、そこのラインナップと思っている)。」 「うーん…今BMOさんのワインでブレットも出てくる造り手ってちょっと浮かばないですね…」 竹澤 「造りを変えたらしいよ。」 若山 「ローヌ、ラングドック、ルーション…造り手が限定できないとエリアは出ない気がする…うーん。こんなに後ろ(重心が低いという意味)が強い、温度が上がったら思いの外強い。香りがしっくりこないけど、果実感とタンニンでリショー。ローヌのシラー、カリニャンのブレンド、2019年でお願いします。」 という件があってオープンされた答えはこちらでした。 生産者 : Clos Massotte / クロ・マソット ワイン名 : Cuvve M et Tes Toi Rouge / キュヴェエム・エ・テ・トワ・ルージュ 葡萄品種 : Cinsault / サンソー ワインタイプ : 赤ワイン 生産国 : France / フランス 生産地 : Roussillon / ルーション 地区 : Les Aspres/ レ・ザスプル ヴィンテージ : 2019 インポーター : BMO株式会社 参考小売価 : 3,850円(税込み) サンソー。 単一は出てこないだろ 。笑 この【出てこない】というのは発想として、という意味です。 その理由は、 【サンソーはフランスでは主にブレンドで用いられる様に、キャラクターが際立つ品種ではない】 からです。また 【時間の経過と共に盛上るタンニン】 は果皮の薄いサンソーの特徴には当てはまりにくかった為です。 テクニカルによると発酵前のマセレーション(温度の記載はなし)期間は一週間。短いですね。つまりサンソーとしてはやや濃いめの色調、タンニンの強さや性質から考えると ➀樹齢の高さ、収量制限、あるいは水分ストレス故に、通常より顆粒が小さく、皮が厚いブドウであった事 ②果実の熟度が高かった為に、それらの性質を抽出しやすかった事 によるものなのではないかと考えられます。 うーむ。これは難しい。笑 また醸造工程において オークを使用していなかった という事にも驚きでした。 品種を【シラー】と特定するに至った最初の要因は、このワインに僅かに感じられたブレットでした。この酵母はオークを使用しているケースでしか出会った事がなかったからです。 “ブドウに付着している” ケースより “オークに付着している” であろうケースでしか考えにありませんでした。であれば、醸造に使用したグラスファイバータンクは密閉率がやや低めなのでしょうか。確かに亜硫酸を添加する事に抵抗のある造り手であれば、どの様な熟成方法でもこの酵母が繁殖する確率は高いと考えられますが=【シラー】という概念がぬぐえなかったのが大きい様に思います。色気を感じる野性的なキャラクターと微量なこの酵母の香りは、時に絶妙なマッチングを見せますから、今回のワインからはまさにそれ、と思いたかった所為もありますね… ただピエール・ニコラ氏の畑は平均樹齢が60年超、標高の高いエリアにある、という情報を見て思考の過程は間違ってはいなかった、と言い訳させて下さい。笑 ブラインドテイスティング、特にナチュラルワインというのは品種個性が見つけにくいものも多いので難しいですが、非常にエキサイティングな時間でした。 最後に季節の食材とのマッチングです。 これは暑くなる季節にぴったりのスパイシーなお料理との相性が期待できます。 【夏野菜】と【スパイス】をキーワードに、(ワインが)室温の状態ならばナヴァランダニョーや麻婆茄子、ドライカレーなどの家庭料理に。 冷やすと味わいがスマートな方向になりますから、ラタトゥイユ、エビとアスパラのナンプラー風味、ユッケなども良いと思います。香りに特徴があるので、パクチーをアレンジにしても良いですね。 夏が近づくと、南仏のワインが飲みたくなります。 外出をあきらめる機会も多い現状が思いの他続いていますが、まさにご家庭で手軽に作れるお料理と楽しんで頂きたい1本です。 (*1)ブレット:ブレタノミセスの略称。酵母菌の一種であるブレタノミセスは、ワイン造りの様々な段階でワインに影響を与える。適切な調和の中にある場合、「なめし革」といった表現と共に、好意的に捉えられるが、行き過ぎた場合、「馬小屋臭」とも言われる強烈な異臭の元となる。 (*2)MC:マセラシオン・カルボニックの略称。フランス・ボジョレーを筆頭に広く採用されている醸造法で、二酸化炭素を利用して発酵を進めることによって、フレッシュな味わいと安定した色調をもたらす。また、二酸化炭素には抗酸化効果もあるため、酸化防止剤を極力添加しないナチュラル・ワインの醸造においても、広く採用されている傾向がある。 <ソムリエプロフィール> Sourire de cheucho Inc. Sommelier 若山 程映(ワカヤマ ノリアキ) 1986年 神奈川県出身。 目黒ホテルクラスカにてサービスマンとしてキャリアをスタート。 ブルゴーニュ地方で修行経験があり、当時からシェフであった湯澤秀充氏からの影響が大きく、ソムリエを志す。 その後、赤坂のセレブールでソムリエとしてのキャリアをスタート。 銀座のレストランエール、中目黒のCRAFTALEにてシェフソムリエ、支配人として勤務。 株式会社スーリールドシュシュの本部ソムリエとして、アサヒナガストロノーム、レグリス、ランベリーに勤務する傍ら、自由が丘ワインスクールの講師や他企業のワイン監修などコンサルタント業務、プロ向けのワインセミナーなども行っている。

  • SommeTimes Académie <12>(ワイン概論8: ブドウ後編)

    試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。

  • 伝統産地の異端児

    近年、地球上においてワインの生産地として大きな変貌を遂げた場所は枚挙に暇がない。だが同時に従来通りの造りを頑なに守り続ける生産地も多数存在する。今回は後者の中でも、相当期間そのイメージを守り続けてきた伝統的生産地から、反骨・異端の生産者を紹介しよう。 舞台はスペイン、カタルーニャの プリオラート (*1)。スペイン国内において リオハと肩を並べる偉大な生産地 だが、近年ではリオハ同様に「古き良き時代のワイン」と捉えられる向きが多い。固有品種であるガルナッチャやカリニェナに国際品種のカベルネ・ソーヴィニョン等をブレンドした、当時モダンと称されたスタイルは凝縮した果実味とエネルギーに満ちたアルコールを持ち、極めて濃厚な印象を飲み手に与えるものだった。プリオラートという産地の歴史的背景は注釈で述べるが、端的に言うとそのスタイルは「 求められて完成したもの 」であったと言えると思う。 現在、そんなプリオラートにおいて異彩を放つのが、今回紹介する テロワール・アル・リミットのドミニク・フーバー その人である。初めて彼のワインを飲んだ時の衝撃は、10年ほど経った今でもなお色褪せることはない。彼の来日時には自店でのメイカーズディナーをはじめ、食事やテイスティングを共にする機会にも恵まれ、その見地の深さや人柄にも強く惹きつけられた。2015年に縁あって現地のテレビ局の企画に出演することになり、彼のもとを訪れたのだがその際のもてなしにも心動かされたものである。 漫画「神の雫」で主人公が「第11の使徒」の候補として選んだのが彼の造る最高峰キュヴェのひとつ、レス・マニェスだったことで一躍日本のワイン業界でも注目を集めたが、彼の真骨頂はむしろエントリーレンジのワインにあると僕は考えている。この「ヴィ・ディ・ヴィラ」といういわゆる村呼称を冠する赤ワインは、トロジャ村に点在する畑から集められた、ともに高樹齢のカリニェナとガルナッチャのブレンドワインだ 生産者:Terroir Al Limit / テロワール・アル・リミット ワイン名:Torroja Vi de Vila / トロジャ・ヴィ・ディ・ヴィラ 葡萄品種:Carinena Garnacha / カリニェナ、ガルナッチャ ワインタイプ:Red / 赤ワイン 生産国:Spain / スペイン 生産地:Priorat / プリオラート ヴィンテージ:2016 インポーター:ワイナリー和泉屋 参考小売価格:¥8,800 このワインを飲まずして「真のプリオラートのテロワール」は語れない。古樹由来の複雑な構成、太陽と標高の共存、一本芯の通った硬質な佇まい、そして力強くも繊細な味わい。重心は低めながら美しい酸に支えられ、口に含んだ瞬間に口内で至福が弾ける。決して安いワインではないが、大振りなグラスで14℃程度の少し低めの温度からエントリーすれば明らかに価格を超えた実力を感じられるはずだ。彼が自身のワインのことを、誇りをもって「ガストロノミー」と表現するのも頷ける味わいである。 世界はまだまだ広い。既に特長やキャラクターを把握できたものと思っていたプリオラートですら、この始末である。全てがあっという間に変わっていく現代において(2020年はちょっと酷かったけれども)、目を離して良い生産地など存在しないという事を改めて肝に銘じたいと思わせてくれた生産者、そしてワインであった。百聞は一飲に如かず。是非一度、機会を作ってお試しあれ。 (*1)プリオラート:スペインに2産地しかない最高位格付けの一つ。2000年にカタルーニャ州政府から認定を受け、2009年にスペイン中央政府に追認されたことにより、正式なDOCaとなった。12世紀後半からという長いワイン造りの歴史を誇るが、フィロキセラ(葡萄を枯死させる害虫)をきっかけに一度壊滅寸前まで衰退したのち、1980年代初頭の「4人組革命」によって息を吹き返した。本文にも「求められて完成したもの」とあるが、ロバート・パーカーJrの高得点を得やすい濃厚なスタイルとプリラートのテロワールがマッチしたため、そのビッグワインのスタイルが新たな伝統的スタイルとして定着した。 <ソムリエプロフィール> 田代 啓 / Kei ‘Tassy’ Tashiro Chi-Fu ディレクター / ヘッドソムリエ 1977年大阪生まれ。 1歳のとき家族で渡米。幼少期をニュージャージー州で過ごす。 ホテルニューオータニ(主に大阪)にて7年従事、ソムリエとなる。 現在はミシュラン一つ星のアジアンフュージョン・Chi-Fuを含むグループのディレクター兼ヘッドソムリエ。 ワインディレクターとしても国内外のレストランのワインリスト作成・ペアリング考案を手掛ける。 特にアジアのソムリエとのパイプが太く、現地レストランでのコラボディナーや講演等、幅広く活動。 生産国やスタイルに捉われることなく上質なワインをセレクトするペアリングには定評がある。 コンペティションには一切の出場経験なし。 シャンパーニュ騎士団認定 シュヴァリエ Star Wine List 日本アンバサダー アカデミー・デュ・ヴァン大阪校 講師 ミシュランガイド大阪・京都 一つ星 ゴ・エ・ミヨ掲載店 中国料理をベースとしたアジアンフュージョン・ダイニング。 ワインリストやストックの幅広さは関西随一。 国内外問わず多くのゲストがその個性豊かなペアリングを求めて訪れる。

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