昨今の四川ブームで文字通り「火がついて沸き立つ」ような人気が出ている料理の一つ、火鍋。
火鍋は、中国・重慶市の郷土料理「重慶火鍋」に代表される「麻辣火鍋」(要するに、真っ赤な色をした強烈に辛い火鍋の類)だけとして食べることが伝統だったが、1980年代に入ると辛いものが苦手な人たちのために、内モンゴル発祥の濃厚な豚骨スープ(こちらは辛くない)を取り入れ、それぞれを「陰陽文様」を表した仕切りの左右に配置する「鴛鴦(ユアン)火鍋」が考案された。
筆者は日本で火鍋ブームが起きる随分と前に、香港で本場の味を体験しているのだが、正直なところ、実は「恐怖」として記憶に残っている。
失神しそうなほど辛かったのもそうだが、獄炎がごときスープに隠れた謎食材の数々こそが本当の恐怖だった。
おそらく何かしらの「ホルモン」と思われるその肉と思わしきものは、生粋のホルモン好きである私ですらも箸を置くほど強烈な見た目をしており、勇気をもってその謎肉を食べた私の後輩は、翌日見事に腹を下していた。
さて、今回の検証では(真っ当な)麻辣火鍋を題材にしていくのだが、これがワインにとって実に難しい料理なのである。
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