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Wine Memo <7>
Cantina Riezo, Nerello Mascalese Bianco 2022. 出会い <26> 脱フレンチコンプレックス でも紹介した、 長野県高山村 にある Cantina Riezo 。 湯本ご夫妻 のイタリア好きが高じて、以前紹介した アリアニコ など、絶妙にマニア心をくすぐるワインを手がけているが、 主力商品はシャルドネ 。 高山村のテロワールは、 日本屈指のシャルドネ (味わいの路線としては、 上質なシャブリに近い )を生み出すことができると筆者自身も確信している。 派手さは無いものの、ミッドパレットの充実度が高く、テロワールとの確かな適合を感じられる素晴らしいワインなので、もし見かけたら入手してみていただきたい。 今回ワイナリーを訪問した際には、Cantina Riezoの葡萄畑を湯本さんたちと歩きながら、そんなシャルドネを横目に、私はイタリア品種に関する質問を繰り返したのだが、何よりも印象に残ったのは、ご夫妻の 「冷静な判断力」 だ。

梁 世柱
2023年6月9日


Wine Memo <6>
Grain-mur, Brise d’ é t é 風薫る 2022. 日本ワイン、特に長野県や北海道のワインを飲む時に、単純な銘柄や味わいとは 別のちょっとした楽しみ がある。 その楽しみとは、 裏ラベルに小さく書かれた「製造者」の欄 にある。 極小生産規模のワイナリー(ワインレーベル)にとって、大変お金のかかる醸造設備を整えるのは簡単ではない。 また、醸造設備をもてたとしても、経済的なことを考えれば、少量生産ではなかなか難しい。

梁 世柱
2023年5月26日


出会い <37> 日本らしさ、長野らしさ
Vino della Gatta SAKAKI, 赤獅子 2022. ¥4,200 日本でのワイン造りが、猛スピードで広がっていることをご存知の方も多いだろう。 特に、 長野県と北海道 では、毎年のように新しい造り手が数多くデビューしているため、追いかけ続けるのも大変だ。 だからこそ、発見に満ちた地方(?)巡業は楽しいし、長野県東御市にある「 東御ワインチャペル 」のような、地元産ワインに密着した専門ショップは、私にとっての「駆け込み寺」であり、ここを訪れるのは、ある意味での「聖地巡礼」のようなものだ。 そして、今回の訪問でも、素晴らしい出会いに恵まれた。 ワイナリーの名は、 Vino della Gatta SAKAKI 。 日本の中では年間の降水量が少なく、晴天率も国内随一となる「 中央高原型内陸盆地性気候 」、 平均10度を超える昼夜の寒暖差 、長野では一般的な火山灰由来の粘土質土壌である「黒ボク土」ではなく、 「砂礫土壌」が主体 、といったテロワールの特徴が見られる 長野県坂城町 に、葡萄畑が拓かれている。

梁 世柱
2023年5月21日


考え抜くものたち <長野・千曲川ワインヴァレー特集 第2章>
日本ワインに明るい未来はあるのか。 その問いへの答えを探るには、何をもって「明るい未来」と考えるかを明確にしておく必要がある。 日本ワインが、現在の在り方の延長線上、つまり 日本国内消費量が極端に多い状況で発展していくだけ なのであれば、 その未来は明るい と言えるのかもしれない。 地産地消の流れがますます加速し、まだ産声を上げたばかりの産地にも第二、第三世代が現れれば、文化が徐々に形成され、地域に根付いていく。 日本人らしい丁寧な「モノづくり」を続けている限りは、安泰と言っても基本的には差し支えないだろう。 一方で、 世界の中での立ち位置を基準に考えた場合 、現状のまま日本ワインが「明るい未来」を迎える可能性は、 絶望的に低い 。 そしてその理由は、 ワインそのものの品質や個性では決してない 。 今、突破不可能とすら思えるような サスティナビリティという巨大な壁 が、日本ワイン産業の目前にまで差し迫っていることに気付いている消費者やプロフェッショナルは、非常に少ない。 そう、現在世界中のワイン産地が最重要視していることが、何よりも日本では難しい

梁 世柱
2022年8月31日


突き進むものたち <長野・千曲川ワインヴァレー特集 第1章>
梁世柱は日本ワインに冷たい。 散々言われてきたことだ。 確かに私自身もそれを否定できないという自覚をはっきりともっているが、そこには 明確な理由 が常にあったのもまた事実だ。 日本で造られたワインが、海外の(特にヨーロッパの)ワインに対する オマージュやイミテーション である限り、私はその元となったワインと 同じ評価基準で日本ワインを評価するしか選択肢が無くなる 。 その評価基準とは、ヨーロッパの 古典的価値観に基づいた品質評価 、そして その品質とワインに付けられた価格のバランス だ。 そもそも日本のテロワールに適合してるとは、ヨーロッパの基準で見れば到底言い難い外来種の葡萄を、極限の献身と、深い知恵でもって育てても、適地適品種という残酷なほど強大な壁にぶつかることは避けられない。当然、そこまで辿り着くための献身や知恵にも、多大なコストがかかる。 その結果、同程度、もしくはそれ以上の品質評価ができる海外産のワインが、日本ワインの半額以下で、「輸入品」として手に入ってしまう、という絶望的な状況から抜け出せくなってしまう。 私が多くの日本ワインに対

梁 世柱
2022年8月14日
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