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やばいぞソムリエ

【ある日のSNS】

このコラムを書いているのは2021年2月9日、緊急事態宣言が延長されコロナ禍のまっただなかである。レストランは時短営業を余儀なくされ、ワインを通じたリアルコミュニケーションを19:00以降、楽しむことも御法度とされている。そしてレストランは勿論の事、小売店、インポーター、農家、魚屋、肉屋等々、数えきれないほどの飲食業、また関連業界の人々が日々頭を抱えている。

そんな中SNS上のあるメッセージが私の目に飛び込んだ。


「酒販店様、飲食店様向けに以下のテーマについて無償でセミナーを開催いたします。」

・動画編集(スマホ)

・YouTube開設・運用方法

動画の活用はYouTubeにとどまらず、

Facebook、Instagram、Twitterと様々なSNSに利用可能です

ぜひ動画の力でまだ見ぬお客様へ

みなさんの声を届けてください

新たな企画を生み出すきっかけとしてください

私が本当にお世話になった

みなさんにできる

唯一の恩返しです

たくさんの方たちからのご連絡お待ちしています

ヘレンベルガー・ホーフ 代表

山野 高弘


これを見たときに何故か「これやっ!」「これは絶対会いにいかなあかん!」と、まるで神様のお告げのように何かが下りてきたのか、すぐにシェフと若手サービススタッフと伺わせてください、ってメッセージを送っていた。



(*1)山野高弘名言集】

今回受けてきたセミナーの中で印象的な言葉を紹介したい。


・コロナ禍は2〜3年続く。覚悟を決める。

たとえみんなのマスクがとれたとしてもお客様の消費行動の方法、考え方は元どおりには戻らない。このままレストラン、会社を潰すのか?嫌なら何かやるしかない。


・もうGoogleらない!検索はYouTubeで

動画は圧倒的に記憶に残りやすく、人の心を動かす。

しかも我々の子供世代はYouTube大好き。勉強、ゲームの攻略法、サッカーのドリブルまでもYouTubeで学んでいる。これからYouTubeと共に育った世代がどんどんでてくる。


・「もの」ではなく、「こと」を売る時代。もはや情報には価値はない

我々が言うのもなんだが、ワインはだいたい美味しい。ワインの情報もすぐに調べられる。何を買うよりも、誰からどう買うのかが大事である。

消費者は体験、経験を求めている。


これって我らソムリエ、考え方改めないとやばいんじゃない!?



【ソムリエあるある(自分への戒めを含む)】

・インプットとアウトプットの割合がいびつ

私がコンクール、資格取得にひたすら取り組んできた弊害かもしれない。通常の社会生活を営むうえで、インプットとアウトプットは50%50%でバランスよく保たれるべきなのに、コンクールでの結果、資格試験の合格を求めるがあまり、インプット(勉強)にあまりに膨大な時間を割いてしまっている。その結果、知識を得たはいいが発信する意識、機会に欠けている。


・広報活動が苦手

強い現場主義(とにかくお客様とお話するのが大好き、接客しながらワインを販売したい)が邪魔をして、それ以外の販売活動、PR活動、営業活動に対しての意欲、技術が乏しい。

その結果、自分自身が発信拠点となれていない。



【これからのソムリエが動画を使ってする事は何?】

・あるジャンルでトップを目指す

自分の武器をもう一度考え直そう。自分が最も得意なジャンルを見つめなおし、研いでいく作業を。


・伝えたい人に伝える

ただただ投げるだけじゃ、その労力に見合わない。

注目を集めることも大事だが、そのうえで何に誘導する、どこに着点(目的地)をもっていくか、それをよく考えること。


・お客様、視聴者の事を考える。誰のどんな問題を解決するのか。

フォロワー、チャンネル登録数の増加よりも、お客様との繋がりの濃さをつくること。

自分の存在価値よりもお客様に有益な何かを伝える。←これ特に大事かなーって思います。ソムリエは、自己満型の自己アピールに走りがち。


・批判されてなんぼ

それは初めて見られている、たくさんの人にみられている証拠。

健全な目的さえブレていなければ問題なし。


・最大の極意“続けること”

頑張る姿、熱量を配信し続けていると必ず誰かが振り向いてくれる。

どの道のプロフェッショナルも必ずおっしゃる言葉はこれ。「継続は力なり!」



【追記】

「みんなー、コロナおわったからうちのレストランに帰ってきてー」って、そんな甘い話が有るわけがない。コロナ禍が終息した時に、お客様が戻ってくるのは、きっと厳しい状況下でもあがいていた人の所だと思う。

一応、最後にワインの話を少しだけ。今回のおすすめワインはオーストリアのブラウフレンキッシュ、ハインリッヒさんがつくります。ペアリングで大活躍のハインリッヒさんの赤ワイン。甲殻類のスープやタコのラグーなど、なんか白ワインじゃしっくりこないし、でもピノノワールじゃないんだよなー、って感じた時、私はよく使用します。

ワインの説明は是非YouTube「ドイツワイン王子のドイツワイン最高!」を見てください。



生産者:Heinrich/ハインリッヒ

ワイン名:Burgenland Leithaberg /ブルゲンランド ライタベルグ

葡萄品種:Blaufränkish /ブラウフレンキッシュ

ワインタイプ:赤ワイン

生産国:オーストリア

生産地:ノイジードラーゼー

ヴィンテージ:2016

参考小売価格: 6,000円



(*1)山野高弘 プロフィール

ワインインポーター ヘレンベルガー・ホーフ(株) 代表取締役社長

受賞:Riesling Fellow ~リースリング・フェロー~

(ドイツ政府機関公認の国際的な称号。アジア初、初の親子受賞、世界最年少受賞。受賞時世界で16名のみ)

愛称:リースリング王子、ドイツワイン王子、ドイツワインの伝道師、造り手さんからは親しみを込めて「タカヒ~ロ~」と呼ばれている。




<ソムリエプロフィール>

塚元 晃 / Akira Tsukamoto

レストラン相楽 / マネージャー兼ソムリエ

アカデミーデュヴァン大阪校 / 講師


International A.S.I. Sommelier Diploma取得

第7回イタリアワイン・ベスト・ソムリエコンクールJETCUP 優勝

イタリア共和国駐日大使館公認イタリアワイン大使

Wines of Portugal Japanese Sommelier of the year 2016 第3位

第2回ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクール2018 優勝

現在も世界中のワインと出会うべく勉強中



<レストラン相楽>

港町・神戸の多様な文化を、世代や国籍を超えて相楽(あいたの)しめるように。そして近隣の方々からも必要とされるコミュニティとなるよう、目利きされた兵庫・神戸の商品を提供し、神戸を切り口に多様な食文化を楽しめる発信基地を目指す。

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