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飛躍の時 <トスカーナ特集:Chianti Classico編 Part.3>
Chianti Classico Collectionでの二日間を終えた時、私は不思議な高揚感に包まれていた。 極限まで集中したテイスティングを、連日8時間近く休みなく続け、舌も足も思考も、疲弊しきっていたはずなのに、私は妙に興奮していたのだ。 4年前の辛酸を晴らすべく、地道に研究を重ねてきたChianti Classico。 その答え合わせをひたすら繰り返した2日間。 確信に変わった数多くの仮説。 新たな発見。 未知のワインとの出会い。 新世代の躍動と、ベテランのプライド。 複雑に絡み合う思惑。 そして、思い知らされたChianti Classicoの偉大さ。 会場で見聞きした全てが、私を刺激し続けていたのだ。 Chianti Classico編最終章を執筆するにあたり、私は今、安堵感と共に、寂しさに似た感情を抱いている。 2020年代のワイン産業 新型コロナ禍の本格化と共に幕を開けた2020年代。様々なワイン関連ニュースも飛び交ったが、その中でも最もインパクトが大きかったのは、間違いなく ボルドーの話題 だろう。 2021年後半にC.I.V.

梁 世柱
2023年4月14日


キアンティの頂 <トスカーナ特集:Chianti Classico編 Part.2>
膨大に積み重ねられてきた歴史の最先端を生きている我々は、先人達が苦難の末に辿り着いた偉業にフリーアクセスできる。 ワインの世界においても、偉業とすべき成果は数多存在しているが、その中でもいつも私が心惹かれるのは、 中世を生きた先人たち が会得した、 優れたテロワールを見定める秘術 だ。 現代では銘醸地となった地の多くが、その最初期は決して大きな産地ではなかった。 そして不思議なことに、最初期、つまり オリジナルの葡萄畑があるエリアは、現代においても、最上の地であることが多い 。 歴史深いChianti Classico。 そのオリジナルたるエリア。 知る必要がある、理解する必要がある。 Chianti Classicoの真髄に、一歩でも近づくためには。 Chianti Classicoの領域 Chianti Classicoは、トスカーナ州内のサンジョヴェーゼ銘醸地としては、最も北側に位置する産地の一つとなる。 単純に最も冷涼と考えたいところだが、実際には複雑かつ多様なマイクロ気候が形成されているため、その理解は誤解を招きやすい だろう。...

梁 世柱
2023年4月1日


大いなる前進 <トスカーナ特集:Chianti Classico編 Part.1>
代わり映えしないフィレンツェの街並み。 街中に張り巡らされた、妙に洗練された路面電車。 荘厳と佇むサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。 見覚えのあるホテル。 苦々しい記憶が徐々に蘇ってくる。 再訪を強く望んできたのに、私の心には嬉しさなど一欠片も宿っていなかった。 そう、トスカーナは4年前の私に、随分と長引いた 敗北感 を刻んだ地だったからだ。 トスカーナワインに関する知見と経験が根本的なレベルで足りなかった当時の私に、高貴なサンジョヴェーゼは分厚い壁となって立ちはだかった。 不安げにスワリングを繰り返すグラスの中に、確かにあったはずの真理。 私はそこへついぞ到達できぬまま、帰路についた。 ワイン人として次のステージへ進むために、私が乗り越えねばならない試練を残したまま、4年という時間だけが、無情に刻まれ続けてきた。 久々に降り立ったフィレンツェに私がもち込んだのは、覚悟だった。 再び敗北を味わうことになったなら、求道者として大きな回り道を強いられると。 サンジョヴェーゼ 長らくの間、私はイタリアに数多くある地場黒葡萄品種の中でも、 ネッビオ

梁 世柱
2023年3月16日
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