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出会い <21> 誰かが選んだワイン
Scheurmann, Rosé 2020. ¥5,400 固定概念というのは本当に厄介なものだ。 私自身は普段から相当気を使って、自分を縛り付けるような考えは可能な限りもたないようにしているのだが、それでも積み重ねた経験とやらが半自動的に邪魔をしてくることが少なからずある。 「老い」も経験の一種なのだから、「年は取りたくないなぁ」と自分の思い込みが機会損失につながってしまう度にため息の一つや二つはつくものだ。 そんな時の特効薬は、誰かにワインを選んでもらうこと。 これもまた、経験を重ねるほど機会や動機が減ってきてしまうものなので、積極的にそうしようと意識していないとなかなか難しいのだが、大きな学びを得ることが実に多い。 さて、今回出会った最高のワインもまた、誰かが選んだワインだった。 しかも、普段の自分なら選ばない可能性もあるワインだっただけに、その喜びも大きかった。

梁 世柱
2022年10月2日


再会 <21> 熟成の果てに待ち受けるもの
R. López de Heredia, Viña Cubillo Crianza 3er Año, Late 1960s~70s. ワインの熟成というのは非常に奥が深い。 そしてその熟成に付随した「飲み頃」という考え方もまた、実に奥が深い。 筆者も頻繁にこの熟成と飲み頃に関する質問を受けるが、シンプルかつ完璧な答えが存在していないため、毎度のようになんとも返答に困ってしまうのだ。 いや、よく考えてみれば、一つだけ完璧な答えがあった。 「自分の好きにすれば良い」だ。 まぁ、それは半分くらい冗談なのだが、答えをなかなか明確には示せない理由は確かにある。 その理由とはズバリ、主観性の問題だ。 どの熟成タイミングのワインを「美味しい」とか「素晴らしい」と感じるかはまさに千差万別で、あまりにも個人差が大きい。 例えば私自身は、はっきりとしたフルーツの味わいと、程よい熟成感が相乗効果を生み出しているようなタイミングのワインが好きだが、同じワインを飲んで「若すぎる」と思う人も、「遅すぎる」と思う人も必ずいる。 一方で、それぞれの熟成タイミングに、ある程度一貫

梁 世柱
2022年9月25日


出会い <20> 葡萄品種を気にしない、という自由
Gió Hills, thoải mái Blanc 2021. ¥2,700 長野県・千曲川ワインヴァレー特集の第2章でも触れたが、2022年現在、ワインを品種名で売らないといけない時代が終焉へと向かっている。 ヨーロッパ伝統国の複雑な原産地呼称制度を覚えなければ、何もワインのことがわからない。そんな極端に高いハードルを、「品種名で売る」というアイデアが豪快に破壊し、ワインの裾野を広げるために、多大なる貢献をしてきたのは間違いない。 筆者がソムリエ修行をしていたニューヨークでも「品種名の便利さ」は顕著で、ごく一部の熱心なワインマニア以外は、ほぼ必ず品種名でワインを選んでいた。それがどの国のワインであっても、だ。 原産地呼称よりもはるかに使い勝手の良い「共通言語」となった品種名は、ワインをサーヴィスする人と、ワインを飲む人たちの間のコミュニケーションを劇的に簡素化し、様々なミス・コミュニケーションや、ロスト・イン・トランスレーションのリスクを低下させてきた。 実は、品種名でワインを売るというアイデアが、これほどまでに強力な効果を発揮できたのには、

梁 世柱
2022年9月18日


再会 <20> 孤島の伝説
Domaine Hatzidakis, Vinsanto 16, 2004. エーゲ海に浮かぶ孤島、サントリーニ島は、世界で最も美しい島の一つ。 そのことに異論を唱える人は少ないだろう。 火山島らしく隆起の激しいダイナミックな大地。断崖をくり抜きながらヒトが築き上げた純白の建築物と、ディープブルーに輝く海の鮮やかなコントラスト。そして、地表に置かれた籠のようにも見える古い葡萄樹の数々。 サントリーニ島は確かに、ポセイドンに愛されたとでも言いたくなるような、特別な場所だ。 世界中が喉から手が出るほど欲しがるような観光資源をもつサントリーニ島の主要産業は当然、観光業である。そして、高品質なレンズ豆の特産地であり、サントリーニ島特有のサントリン土を使用したセメント工業でも知られている。 我々のような「ワインにどっぷりと使った人たち」からすれば意外かも知れないが、サントリーニ島を全体として見ると、ワイン産業は「サントリーニ島ではワインも造ってる」というくらいの立ち位置となる。 実際に、サントリーニ島の葡萄は次々と引き抜かれ、その上に高級ホテルや商業施設が

梁 世柱
2022年9月11日


出会い <19> 意味不明というスパイス
Mélange, Rougir 2021. ¥5,500 長年数多くのワインと接していると、ある程度の予測が付くようになってしまう。 もちろん、正確無比な予測とまではいかないが、まぁどうして、なかなかいい線まで行けたりするものだ。 場所、葡萄、ヴィンテージ、醸造スタイル。 情報がこれだけあれば、大体は十分と言える範囲までは予測できる。 それなりに便利な技能と言えなくもないが、普段からワインをそういう目線から見るのは推奨しない。 方程式に何もかも当てはめてしまうと、どうにも、ワインが無機質なものに見えてきてしまうからだ。

梁 世柱
2022年9月4日


再会 <19> ワインに宿った狂気
Dominio del Urogallo, Las Yolas 2011. どんなマイナー産地にも、どんなに評価が低い産地にも、一人や二人くらいは、特別な存在が居たりする。 ワインという世界の興味深いところだ。 しかし、たとえ彼らのワインが凡百の「その他」とは明らかに一線を画し、象徴的存在となったとしても、数多くの追従者が現れなければ、その産地自体の評価を押し上げるにはなかなか至らない。 例えば、イタリアのアブルッツォ州。モンテプルチアーノ・ダブルッツォというこの地の赤ワインは、長らくの間大量生産型のカジュアルワインとして存続してきたという歴史がある。 アブルッツォには、Valentini、そしてEmidio Pepeという世界的な名声を誇る特別な造り手達がいるが、彼らの品質に追いつくほどの追従者は結局現れていない。 その結果として、モンテプルチアーノ・ダブルッツォというワインは今でもカジュアルワインから脱却できていない。 これもまた、ワインの面白いところであると同時に、ワイン市場の残酷さを示す例と言えるだろう。

梁 世柱
2022年8月27日


出会い <18> 常識の外側
Bat Gara, Txakoli “Uno” 2014 ワインの世界にも、「常識」というものはある。 シャンパーニュ地方でシャンパーニュ製法に基づいて造ったスパークリングワインのみが、シャンパーニュを名乗れる。 ブルゴーニュのシャルドネは、バトナージュして、MLFして、それなりに新樽を使う。 優れたバローロは、少なくとも10年は寝かせる。 ワインという文化を形成する様々な要素に、常識はついて回る。 そして、常識を知らないと恥ずかしい思いをすることも、確かに少なからずある。 しかし、それらの常識には必ずと言ってよいほど例外があるものだ。

梁 世柱
2022年8月13日


再会 <18> 塗り替えられる「ティピシテ」
Christophe Pacalet, Côte de Brouilly. 2020 ¥4,800 プライヴェートではほぼナチュラルワインオンリーの筆者は、同類の例に漏れず、ガメイが大好きだ。 華やかなベリー香に、ほのかなワイルド感が加わる蠱惑的なアロマ。 ピュアな果実味と踊るような酸。 軽やかで、伸びやかで、自由なワイン。 そんなナチュラルガメイの聖地といえば、当然ボジョレーである。 マルセル・ラピエールをはじめとして、ナチュラルワインを代表するような偉大な造り手たちがひしめくこの地のワインを飲んで人生が変わった、と言う人にも数えきれないほど出会ってきた。 そんな聖地にも今、温暖化と言う荒波が押し寄せている。 1970年代頃までのボジョレーは、アルコール濃度11%を超えることは滅多にないワインだった。 やがて、徐々にインターナショナル化していったボジョレーは、補糖によって12.5%程度までかさ増しすることが一般的となった。 12.5%は、それでも十分気軽にグビグビ飲める、というアルコール濃度であり、ガメイ特有の「軽さ」も相まって、ボジョレー本来

梁 世柱
2022年8月7日


出会い <17> ブルゴーニュ味のワイン
Racines Wine, Chardonnay “Sanford & Benedict Vyd.” 2018. ¥16,000 ブルゴーニュが高い。いくらなんでも高過ぎる。 ワインファンを大いに悩ませるこの問題は、実に深刻だ。 特に、新しくワインの魅力に目覚めた人たちにとって、世界最高峰のクラシックワインを体験するためのハードルがとてつもなく高くなってしまったという現実は、非常に厳しいものだ。 それなのに、先輩たちは口を揃えて「クラシックを学べ」と言う。 よほどの経済力か、稼ぎのほとんどをワインに捧げるほどの覚悟、もしくは、ごく僅かな幸運に恵まれた人しか入れない特殊な環境やグループにでも属していない限り実現不可能な「指導」など、もはやただの理不尽でしかない。 それに、ブルゴーニュにしても、ボルドーにしても、気候変動の影響で「クラシック」な味わいは、すっかり迷子になっている。 例えば2018年ヴィンテージのブルゴーニュに大枚を叩いてその味わいを体験したとしても、それはクラシックワインの体験などとは到底言えないだろう。(例外的に素晴らしいワインを造

梁 世柱
2022年7月31日


再会 <17> 「らしさ」とは
農楽蔵, Nora Rouge 2017 日本でワインの仕事をするなら、日本ワインのことを無視するわけにはいかない。 時代は、インターナショナル&ボーダーレス。海外のワインプロフェッショナルやワインファンから、日本ワインのことを訊ねられるのはもはや日常茶飯事だ。 日本酒(清酒)、焼酎、お茶など、これまでは「日本色」の強い飲料に関して聞かれることの方が多かったが、近年は日本ワインへの海外からの関心も確実に高まっている。 「だから」、というとなんとも調子の良い話に聞こえると思うが、もちろん、自発的な興味は十分にもって、日本ワインとなるべく頻繁に接してきたつもりだ。 過去10年ちょっとの間に、様々な側面で、日本ワインの品質は確かに向上してきた。 だが、正直なところ、それでもまだ、大多数の日本ワインは、私にとっては「ものたりない」。 そう感じる理由もわかっている。 インターナショナルスタイル(*1)というカテゴリーのワインが、すでに旧時代の遺物となりつつあるからだ。

梁 世柱
2022年7月23日


出会い <16> 中国で発見、ピノ・ノワールの好適地
Silver Heights, Jia Yuan Pinot Noir 2019. ¥5,700 中国はかねてからニューワールド新興産地として、大いに期待されてきた。 生産量ベースではすでに世界10位近辺におり、ニュージーランド、オーストリア、ギリシャといった国々を上回り、年によってはポルトガルさえも超える。 当然、日本の生産量は、中国には遥か遠く及ばない。 中国がワイン産地として期待されてきた理由は、主に2つある。 一つはその圧倒的な国土の広さだ。 超大量生産型も可能だが、それ以上に、「あれだけ国土が広ければ、どこかに最高の好適地があるはずだ。」という期待の方がずっと大きい。 それもそうだろう。超大量生産型ワインはすでに飽和状態だし、そもそもそのコンセプト自体が時代と逆行している。 もう一つの理由は資本力だ。 ワイン造りにはお金がかかる。特によりインターナショナルなスタイルでワインを造る場合、ヨーロッパ伝統国やニューワールド各国のワインと対抗するためには、莫大な設備投資が必要になる。 また、ワイン造りそのものの経験にも乏しいため、高額な報酬で、

梁 世柱
2022年7月17日


再会 <16> ピラジンの何が悪いのか
Latta, Cabernet Franc “Benovolent” 2021. ¥5,500 ワインプロフェッショナルと一口に言っても、様々なタイプの人がおり、当然のようにそれぞれ異なったフィロソフィーをもっている。 私自身は基本的には非常にオープンなタイプだが、ある特定の考え方に対しては、頑なな態度を見せることも少なからずある。 例えば、ブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュ、バローロ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、リオハ、プリオラートといった世界最高峰の銘醸地に対して、全くリスペクトをもっていないタイプのワインプロフェッショナルとは、どうも馬が合わない。 意外といるものだ。カリフォルニア至上主義とか、ゴリゴリのナチュラル至上主義とか、なかなかに偏った人たちが。ワインの世界は広いから楽しいのに、と何とももどかしい気持ちになる。 それが本人の「好み」なのであれば、何の問題も無いのだが、ワインのことを他者に伝える立場として、「カリフォルニアのピノ・ノワールは、ブルゴーニュよりも遥かに優れている。」なんて堂々と発言してしまうのは、流石にどうかと

梁 世柱
2022年7月10日


出会い <15> 常識を書き換えたワイン
Arnot-Roberts, Sauvignon Blanc “Randle Hill Vineyard” 2020. ¥5,300 圧倒的な才によって、その産地のイメージを一変させてしまう。 そんな造り手が、世界各地に僅かながら存在している。 その最たる例の一つは、カジュアルワインというイメージがこびりついて離れなかったフランス・ロワール渓谷の小産地プイィ・フュメを、ソーヴィニヨン・ブランの聖地へと押し上げた故ディディエ・ダグノー。 ダグノーの場合は、純粋な品質面での劇的な進化でもって世界を驚かせたのだが、少し違った角度から、イメージが一新されるパターンもある。 例えば、カリフォルニアのアルノー=ロバーツがそうだ。 アルノ=ロバーツが登場する前は、(正確に言うと、同時多発的に同様の造り手が複数誕生したが、インパクト面ではアルノ=ロバーツがダントツ)カリフォルニアのワインは、白、赤共に樽のしっかりと効いた濃厚で重厚なワインと言う画一的なイメージに支配されていた。そしてその味わいは、テロワールの特徴とすら言われていた。 そんな中、アルノー=ロバーツ

梁 世柱
2022年7月3日


再会 <15> 最後の再会
La Ferme de la Sansonnièr, Anjou “Vignes Françaises en Foule” 2002 敬愛する造り手は誰か、と問われたら、私は真っ先に彼の名を思い浮かべる。 マルク・アンジェリ。 フランスのロワール渓谷で、孤高のワインを生み出す賢人だ。 マルクは『ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール(以下、サンソニエール)』という名の農場を経営しており、ワイン造りだけに留まらず、驚異的なジュ・ド・ポム(リンゴジュース)や、ミエル(蜂蜜)なども生産している。 農園は1990年から既にビオディナミで管理され、マルク自身も自然の力を最大限に引き出すために苦心しながら、様々な挑戦を続けてきた。 特定のワインに対してあまり思い入れをもたない筆者にとっても、そんなマルクのワイン(サンソニエール)は特別な存在だ。 なにせ、私とサンソニエールの間には、いくつものエピソードがある。 もう15年以上前になるだろうか。 当時は、いわゆるクラシックワインというものを集中的に学んでいた私が、徐々にナチュラル回帰の世界へと引き込まれていくきっ

梁 世柱
2022年6月26日


出会い <14> 温暖化時代のロゼ
Dom. du Moncaut, Rosèita 2020 ¥2,700 ロゼは夏の飲み物だ。 筋金入りのロゼ好きである筆者のような飲み手にとっては、ロゼはオールシーズンなのだが、世界的なスタンダードとしては、ロゼとは夏の季語である。 しかし、日本ではなぜか春の、桜の時期の飲み物と印象付けられてきた。 世界中を見回しても、ロゼ=春、となっているのは日本だけだ。 挙句の果てには、春のロゼプロモーションが始まると、「桜の香り〜」といった理解不能なテイスティングコメントまで氾濫する。 もし筆者が間違っていたら素直に認めるので、誰か私に飲ませて欲しいものだ。桜の香りがするロゼなるものを。 ロゼにまつわる誤解はこれだけではない。 ロゼ=甘い、というイメージもかなりの謎。 確かに、昔田舎で見た一升瓶に詰められた謎めいたロゼは甘かったし、フランス・ロワール地方のロゼ・ダンジュや、アメリカ・カリフォルニア州のホワイト・ジンファンデルのように甘いロゼは存在しているが、生産量ベースで見ると、間違いなく圧倒的なマイノリティーだ。 いつか、本格的なリサーチをしてみたいと

梁 世柱
2022年6月19日


再会 <14> ガリシアの秘宝
Quinta da Muradella, Muradella Blanco 2012 2000~2010年前後頃のスペインワインは、実に楽しかった。 現在はカタルーニャ州の各地やマドリード近郊を中心に新たな盛り上がりを見せ、また違った楽しさが生まれているが、ほんの10年ほど前まで、スペインワインのホットゾーンは、間違いなく北西のガリシア地方だった。 そのシーンを引っ張っていた象徴的存在は、ラウル・ペレス。 天才の名をほしいままにした希代の醸造家は、ガリシアの各地に点在していた気概溢れる造り手たちとタッグを組み、時に自らの名を冠し、時に彼らの名を冠して、数えきれないほどの傑作群を世に送り出していた。 ラウルとタッグを組んだことによって、結果的にその名声や評価が大きく高まった造り手も多く、フォルハス・デル・サルネスのロドリゴ・メンデス(リアス・バイシャス)、アデガス・ギマロのペドロ・ロドリゲス(リベラ・サクラ)などは、すでにスーパースター級の存在となっている。 そんなラウルに連なる造り手たちの中でも、最も地味で、最も奥深く、最も難解かつ異質なのが、今

梁 世柱
2022年6月12日


高級ビールを嗜む <1> 聖地ポートランド
レヴュー企画の不定期連載として、「高級ビールを嗜む」をスタート致します。 ビールには、ワインも顔負けの非常に奥深い世界が広がっています。 基本のスタイル(製法カテゴリー)に、様々な副材料も含まれば、そのヴァリエーションはまさに無限大。 筆者はビールの専門家ではありませんが、飲料のプロフェッショナルとしての目線から、厳選したビールをレヴューして参ります。 基本的なテーマはタイトルの通り、「高級ビール」です。 つまり、日常の中で、乾いた喉を潤すために飲むビールではありません。 ここで言う高級ビールとは、(価格も高いですが)特別な時間を演出してくれる、孤高のビールたちのことです。 日本でも、クラフトビールがブームからスタンダードへと移り変わりつつありますが、世界のクラフトビール事情は、思ったよりも遥か先へと進んでいます。 本企画の初回は、クラフトビールの中でも、特にクリエイティヴなビールの聖地とされる、アメリカ・オレゴン州の州都ポートランドで誕生した、驚きの一本です。

梁 世柱
2022年6月7日


出会い <13> ワインファンのロマン
SRC, Etna Rosso “Alberello” 2019 ¥9,400 近年爆発的な人気の高まりを見せ、今ではイタリアの銘醸地として、真っ先に名前が挙がっても不思議では無いほどの地位を得たシチリア島・エトナ火山。 『火山の山肌で葡萄を育て、火山のテロワールが宿る。』 なんていうパワーワードも素敵だが、それだけで人気が出るほど世界のワイン市場は甘くない。 そう、エトナの人気が高まった理由は、その圧倒的な個性と品質にあるのだ。 イタリアのワイン史にその名を残す名醸造家サルヴォ・フォティによる一連のワイン群や、フランク・コーネリッセンのようなカルト的人気を誇る生産者など、エトナを彩る造り手たちの魅力も申し分ない。 成功すべくして成功した。エトナとは、そういう産地だと思う。 そして、エトナの底知れない可能性に心を奪われ、この地に移住してきた新たな造り手たちも多い。 今回の出会いは、そんなエトナのニュージェネレーション組と。

梁 世柱
2022年6月5日


再会 <13> アリゴテの覚醒
Benjamin Leroux, Bourgogne Aligoté 2018, ¥4,340 長年のブルゴーニュファンであれば、アリゴテという葡萄のことをご存じの方も多いだろう。 ブルゴーニュで栽培されるシャルドネ以外の葡萄品種としては、最も良く知られているアリゴテだが、その評価は極めて低かったと言える。 もちろん、ドメーヌ・ドーヴネ(不世出の大天才、マダム・ビーズ・ルロワが率いるドメーヌ)のアリゴテのように、突然変異的に異常な品質に到達したワインはあったものの、アリゴテと言えば「安いけど、薄くて酸っぱくて微妙」というのが定評だった。 DRC(世界で最も高価なワイン群の一つを手がける、ブルゴーニュのトップ・ドメーヌ)の所有者も、(プライベートワイナリーのドメーヌ・ド・ヴィレーヌとして)ブルゴーニュのマイナーエリア(ブーズロン)でアリゴテに注力してきたりもしたが、それも影響力としてはあまりにもピンポイントだった。 ドーヴネにしても、ドメーヌ・ド・ヴィレーヌにしても、造り手がとにかく有名過ぎたため、アリゴテ自体の評価を上げたというよりは、「彼らが

梁 世柱
2022年5月29日


出会い <12> 若者の感性
Indomiti, “Arga” IGT Garganega 2020 ¥3,800 私もとうに「若手」ではなくなり、すっかりと「中堅」になって久しい。むしろ、ベテランに片足を突っ込み始めたぐらいのタイミングだろうか。年を重ねるにつれ、学ぶ機会よりも教える機会の方が増えてくるのは必然なのだが、どちらかというと学ぶことの方が好きな私にとっては、少々悩ましい問題だ。インプットとアウトプットのバランスを取るのは、とても難しい。 というと、年を重ねるのが辛いように思えてしまうかも知れないが、楽しい部分もたくさんある。特に、若手の台頭にはいつも心が踊らされるのだ。 ワインを扱う業種(ソムリエやショップ店員、インポーターなど)であれば、随分と前からたくさんの後輩や若者たちと接してきたのだが、最近はワインを造っている人でも、私より若い人がかなり増えてきた。 彼らのワインを飲むのは本当に楽しく刺激的で、もはや趣味と言えるほど、ついついのめり込んでしまう。 今回出会った造り手はまだ30歳にもなっていない、ミレニアル世代のシモーネ・アンブロジーニ。イタリア国内の様々

梁 世柱
2022年5月22日
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