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再会 <30> 先見の明
Moreau-Naudet, Chablis 1er Cru Montmains 2013. 地方 に行く機会があれば、できる限りスケジュールに組み込んでいることが一つある。 それは、 ワインバーに行く こと。 東京で散々飲んでいるのに、なぜわざわざ地方で?と思う方もいるかも知れないが、これにはれっきとした理由がある。 東京都内にある飲食店の総数は、一つの都市内に存在する数としては、実はぶっちぎりの世界一。 World Cities Culture Forumの2019年度の統計から主要都市を抜粋すると以下のようになる。 No.1 東京、日本(148,582店舗) No.2 ソウル、韓国(83,239店舗) No.4 パリ、フランス(44,896店舗) No.7 ニューヨーク、アメリカ(26,697店舗) No.9 ロンドン、イギリス(18,110店舗) となっている。 そう、東京の飲食店数は世界2位のソウルを約65,000店鋪上回り、4位パリの約3倍、7位ニューヨークの約5.5倍、9位ロンドンの約8倍となっているのだ。 この数字が何を意味してい

梁 世柱
2023年2月4日


曇り空の向こうへ <シャブリ特集:後編>
変わらないための努力をしていくのか。変わっていくための努力をしていくのか。たった2つしかない選択肢が示されたとき、そしてその両方が茨の道であると知ったとき、人はどちらを選ぶのだろうか。 混迷の中にある銘醸地 シャブリ は、まさに今、 岐路 に立たされている。 選択をするのは、 この問題の当事者である造り手 であり、あくまでも 傍観者 である我々飲み手では決してない。 しかしその選択は、否応なしに、 飲み手の審判を受ける ことにもなる。 造り手と飲み手は、本質的に 並列の関係 にあるのだ。 造り手がいるからこそ、飲み手はワインを味わうことができる一方で、そのワインに対価を支払う飲み手がいてこそ、造り手はワイン造りを続けることができる。 だからこそ、飲み手に見限られるという最悪の結末を、世界に名だたる銘醸地シャブリが迎えるようなことは、決してあってはならない。

梁 世柱
2022年3月27日


混迷の銘醸地 <シャブリ特集:前編>
今日よりも、より良い明日がきっと来る。 エントロピーの増大に抗うことが、生きるということそのものである人類にとって、少なくとも今はまだ、 時間とは不可逆的なもの なのだろう。そう、過去に向かって生きることが、精神世界の中だけの話なのであれば、我々にはそもそも 選択肢が無い のだ。 それでも、人は過去を振り返る。 私がいま、世界中のワイン産地の中で、最も危惧しているのが、 シャブリ だ。 シャブリは今、美しい過去の記憶、より良い未来に期待する思い、そして人々がシャブリに求める理想像が、複雑に入り組んだ迷路と化し、そもそもゴールが存在するのかも、分からない状態にある。 混迷の根源的原因はただ一つ、 気候変動 だ。 思い起こせば10数年前、シャブリの造り手たちとこの問題に関して議論すると、決まって同じ答えが返ってきた。 地球温暖化は、シャブリにとっては恩恵となる。 それが、過去のシャブリにとって、誰もが予想し、期待していた「より良い明日」だった。 そもそもシャブリは、冷涼という括りには到底収まりきらないほどの、限界的産地だった。冬と春の寒さから葡萄樹を

梁 世柱
2022年3月12日
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