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再会 <66> 北海道生まれ、最高のVin de Soif
Domaine Ichi, op.10 Petillant Naturel Rosé 2023. Vin de Soif(ヴァン・ド・ソワフ)という言葉に明確な定義があるわけでないが、一般的には、フレッシュかつフルーティーで、アルコール濃度が低く、極めてドリンカビリティに長けたワインのことを指す。 ワンフレーズで言い表すなら、「超グビグビ系ワイン」、といったところだろうか。 グビグビ、はサラサラでもスルスルでもゴクゴクでも構わない。どちらにしても、似たようなものだ。 この言葉自体がナチュラルワインを示唆しているわけでもないのだが、低亜硫酸醸造の方が、Vin de Soifらしい性質を遥かに実現しやすいというのもあり、実際にはナチュラルと呼べるカテゴリー内に入っていることが非常に多い。 そんなVin de Soifは、私にとって極めて重要な役割をもったワインである。

梁 世柱
2024年8月18日


PIWI品種とナチュラルワイン <オーストリア・シュタイヤーマルク特集:Part.3>
気候変動とナチュラルワインは、すこぶる相性が悪い。 低介入醸造を可能とする葡萄の必須条件はいくつかあるが、その最たるものは、低いpH値(単純化すると、高い酸度)と、高いポリフェノール類の熟度だ。 気候変動の一部である温暖化は、糖度の上昇を大幅に加速させるため、低介入醸造を重要視する造り手たちは、アルコール濃度の抑制と低pH値のために、早摘みを余儀なくされる。 しかし、過度の早摘みは未熟なポリフェノールともダイレクトに繋がるため、結局問題が起こる。 この堂々巡りを回避するために、栽培品種が今の気候に適しているかどうかも含めた畑仕事の根本的な見直しや、糖度上昇の加速によって劇的に狭まった「適熟」のスイートスポットを、決して逃さないように収穫することが、かつてないほど重要になっているが、当然それも、簡単なことではない。 特に収穫タイミングに関しては、超速で飛ぶジェット機を、連写機能を一切使わずに写真に収めるようなものだ。 栽培に関しては他にも、オーガニックという大きなカテゴリーの生産者に対しても、問題がのしかかっている。 ..

梁 世柱
2024年8月16日


出会い <65> 新世代のスタイリッシュなナチュラルワイン
Peltier Ravineau, les Bois brûlés 2023. ¥3,800 世代が変わればワインの味も変わる、というのは、ワインの世界では延々と繰り返されてきたことだ。 基本的には、だいたい10年単位で一世代と括ることができるので、私がワインを学び始めてから20年ちょっとの間に、その前の世代とさらに前の世代を遡って体験したことを踏まえれば、少なくとも四世代分、様々な産地の変化を見届けてきたことになる。 もはや多少の変化では驚きすらしなくなってきたことには、少々の寂しさと物足りなさを覚えもするが、それは仕方のないことだろう。 近年の世代交代で見られてきた変化の全体感を捉えると、オーガニック化と、テロワール重視への大幅な醸造技術のシフトという二つの傾向が真っ先に挙がる。 そしてその変化は、クラシック、ナチュラル関係なく、あらゆるジャンルのワインに及んでいる。

梁 世柱
2024年8月11日


Wine Memo <27>
Laurent Bannwarth, Riesling Bildstoeckle 2019. ソムリエとしての修行を始めて間もない頃。今から20年ほど前の話だ。 私は順当に、“当時は”ワイン界の中心にいたフランスの銘醸地、つまりブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュから学び始めていたが、ワインの教科書を読み進めるうちに、とある産地に強く興味をもった。 フランスのアルザス地方だ。 理由は大したものではない。フランスなのにドイツ語が飛び交うだとか、度重なる戦争でフランス領とドイツ領を行き来したとか、ワインのボトルがドイツと同じ細長いタイプだとか。 その背景にある悲惨な歴史と理不尽に奪われた命には興味をもたず、ただただアルザスの特異性という結果だけが私を惹きつけた。

梁 世柱
2024年8月9日


栄光の落日 <オーストラリア・クラフト・ワイン特集:前編>
2015年頃から約3年間、熱狂していたと言っても決して大袈裟ではないワインが、私にはあった。一人のプロフェッショナルとして、常に公正公平であれるようにと、ワインと造り手に対して感情移入することを徹底して避けてきた筆者にとって、それは極めて例外的な出来事だった。どこか停滞感が漂っているように感じていたオーストラリアという国に、突然変異的に発生した、底抜けに明るく、親しみやすく、どこまでも人懐っこいワインたち。ヨーロッパ伝統国ではすでに一大勢力となりつつあったナチュラル・ワインとはどこか違う雰囲気を纏った、未知の魅力に溢れたワインに、私はまさに虜になった。新しいワインを試すたびに、驚きと発見がある。ワインそのものも、それらのワインを使ったペアリングも、私の知的好奇心を、これでもかと刺激した。だが、私とオーストラリア・クラフト・ワインの蜜月の日々は、長続きしなかった。 本特集では、筆者がなぜオーストラリア・クラフト・ワインに熱狂し、激しく失望し、数年を経て、また愛するようになったのかを、パーソナルな視点と客観的な視点を織り交ぜながら、追っていく。前編と

梁 世柱
2022年1月15日
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