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SommeTimes Académie <5>(ワイン概論1:酒税法と統計)

SommeTimesは、従来の短期集中型の暗記に頼った勉強、試験に合格することのみを目的とした勉強法に、強く異を唱えます。試験後に忘れてしまった知識に意味はありません。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「記号」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「何を意味するのか」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「リアル」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください


酒税法と酒類分類

区分(醸造酒)

ワイン&シードル:種類(果実酒)

日本酒:種類(清酒)

区分(蒸留酒

ブランデー:種類(ブランデー)

ウォッカ、ジン、ラム等:種類(スピリッツ)

甲類焼酎:種類(連続式蒸留焼酎)

乙類焼酎:種類(単式蒸留焼酎))

区分(発泡性酒類

ビール:種類(ビール)

発泡酒:種類(発泡酒)

第三のビール等:種類(その他発泡性酒類)

区分(混成酒

酒精強化酒:種類(甘味果実酒)

ヴェルモット等:種類(甘味果実酒)

クレームドカシス、アマレット等:種類(リキュール)


SommeTimes’ View

酒類区分の知識そのものが実際に役に立つシチュエーションは極めて稀なため、第三のビールや、各種焼酎等、区分と種類の把握の先にある知識を身につけるべき。

焼酎の中でも原料の味わいが強く出ているものは単式蒸留の乙類。国税庁によって規定された原料と製法を守れば、本格焼酎と名乗ることができるのも乙類。一方で、甲類はクセの少ない味わいから、酎ハイ等のベースとして使われることが多い

・第三のビールが含まれる「その他発泡性酒類」は、麦芽か麦を原料の一部としている必要があるため、スパークリング・ワイン等は含まれない。

・シェリー等の酒精強化酒は、区分上は混成酒となるが、あくまでもワインの一種として考えるべき。



統計

国別ワイン生産量順位(2018年:O.I.V.による統計)

No.1:イタリア

No.2:フランス

No.3:スペイン

No.4:アメリカ合衆国

No.5:アルゼンチン

No.6:オーストラリア

No.6:チリ

No.8:ドイツ

No.9:南アフリカ

No.10:中国


SommeTimes’ View

上位三カ国で全世界の生産量の約半分を占めている。

・近年はイタリアが一位になる年が多いが、フランスとイタリアは頻繁に順序が入れ替わる。つまり、特定の年の順位を覚えても無意味。

・アメリカ合衆国の四位は、しばらくは不動と思われる。五位から十位までは、年によって頻繁に入れ替わる。また中国の生産量データは正確では無い可能性が高く、順位が年によって大きく変動する。

今後大きく生産量が伸びる可能性が最も高いのは中国。高級ワイン生産へのシフトも目覚しく、10年後にはアメリカ合衆国のポジションを脅かす存在になっている可能性がある。



国別ワイン消費量順位(2018年:O.I.V.による統計)

No.1:アメリカ合衆国

No.2:フランス

No.3:イタリア

No.4:ドイツ

No.5:中国

No.6:イギリス

No.7:ロシア

No.8:スペイン

No.9:アルゼンチン

No.10:オーストラリア


SommeTimes’ View

・この統計の順位を覚えることにあまり意味はない。

どの国における消費が、世界のワイン市場に大きな影響力をもっているかを把握することが重要。

アメリカ合衆国、イギリス、中国、ロシアの四カ国は特に高級品への影響が大きく、需要と供給のバランスが崩れることによって、特定のワイン(特筆してフランスのブルゴーニュ産ワイン)が驚くほど高騰するケースが生じる。

・フランスやイタリアは自国消費率が群を抜いて高く、市場への影響力が小さい。

国単位で一まとめにすると、実情が見えにくくなる。例えばアメリカ合衆国では、ニューヨーク州やカリフォルニア州のワイン消費量は、テキサス州よりも遥かに多く、日本でも東京都と広島県とでは大きな開きがある。このように、実際は都市単位で考えた方が、リアルな情報源として有用となる



国別葡萄栽培面積と葡萄生産量(2018年:O.I.V.による統計)

2018年時点では、栽培面積はスペインが一位、中国が二位。

葡萄生産量は中国が一位、イタリアが二位。


SommeTimes’ View

・この統計の順位を覚えることにあまり意味はない。ワイン用以外の葡萄も統計に含まれているためである。

・生産量が一位である中国は、全生産量の89.7%が食用葡萄であり、ワイン用は10.3%なのに対し、栽培面積が一位のスペインは、全生産量の96%がワイン用葡萄となっている。

・葡萄畑の高密植が一般的なフランス等の国と、低密植の畑が多く残るスペイン等では、単純に栽培面積だけを比べることに、重要な意味が生じない。



フランス(ブルゴーニュ)の高密植の葡萄畑


ポルトガルの低密植の葡萄畑


次回のワイン概論2では「スティルワインのカテゴリー」に関してお話ししていきます。



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